「"ノブレス・オブリージュ"。高貴なる者には背負うべき責任がある」
「我々呉島は俗物とは違うのだ。分かったな、貴虎」
演:寺田農
概要
『仮面ライダー鎧武』のVシネマ作品である鎧武外伝第1弾の「斬月」編でその存在が明かされた、呉島兄弟の実の父親。
“ノブレス・オブリージュ”を信念とする非常に厳格な性格の男。
その存在は『鎧武』本編でも示唆されてはいたが、本編第4話にてシドの「ユグドラシル本社の重役」という台詞で語られるのみであり、詳細な人物像は外伝で初めて語られた。
前述の様な性格の為、親子関係はあまり芳しくなかったようで、後述する彼の死の知らせを聴いた際の貴虎と光実(特に光実)の反応は結構ドライなものであった。
ユグドラシルの重要メンバーである為、当然『ヘルヘイムの森』の研究に携わっており、森の侵食に対する対策の一環としてユグドラシルの創設を行い、更にユグドラシルを担う人材育成の為に孤児院を創設するなどの行動を起こしていた。
しかし、彼と彼が創設した孤児院には驚くべき闇が潜んでいた。
素性
実はその孤児院には、不適合者と見なした者を来たるべき日の為に備えて『ヘルヘイムの森の実』が人体に与える影響や森に地球が侵食されても人類が生き残る為に術としてのツールである『戦極ドライバー』開発の生贄(人体実験のモルモット)として扱う、という非人道的な実験施設としての一面が存在した(ユグドラシルの個別記事も参照)。
上記の例の様に彼は冷酷非情な一面も持っており、見方を変えれば貴虎が持っていた甘さ=思いやりや優しさといった人間味を完全に捨て去った、要は自身の信じる道を突き進み過ぎて、人類を救うという目的のためならば手段を選ばない独善的な思考の持ち主ともいえる。
このダークサイド的な思考は、長男の貴虎にはあまり受け継がれなかったようだが、次男の光実にはしっかりと受け継がれている模様。(→黒ミッチ)
また、後述の人物の発言によると「腐った果実は取り除くべきだ」とよく発言していたらしく、“ノブレス・オブリージュ”を唄いながら、前述のモルモットの件の様に自分の目に適わなかった者を取り返しの効かない方法で切り捨てており、本編でビートライダーズを侮辱しながらも彼らの被害について決して無関心でなかった貴虎との違いがこういった部分にも表れている。
なお、いくら人類を救うためとはいえ、知らず知らずの内に結果として他人の人生を狂わせるという呉島家の暗部を体現したかの様な彼の最期は自身の破滅へと繋がるという因果応報的な結果となる。
その結果とは、今までの非道な所業によって自身が育て上げた朱月藤果の恨みを買い、その彼女自身の手によって志半ばで殺されるという(彼女曰く)惨めな最期であった……。
なお、彼が裏で行っていたこれらの行為は貴虎にすら知らせることはなく、資料も隠し金庫に収納していた事から、心のどこかでは自身の行為に後ろめたい気持ちがあったのかもしれない(あくまで自身は人類を救う汚れ役として全うしようとしていたのかもしれない)。
だが、情愛を失った善意はいくら積んでも善行にはならず、結局力ずくで独善を押し通して自分が価値を見出せない数多くの他者の人生を踏み潰す道を選んでしまっていた。そしてその果てで、藤果の報復により命を落とした結果、自分も他人も地獄に落とす為に全てを費やした生涯が確定してしまった。
仮に、貴虎や光実の様に葛葉紘汰のような人物と出会い、その人物に感化されていれば、もっと違った人生を歩んでいたのかもしれないと考えると、自身の信念である“ノブレス・オブリージュ”を貫き通すが為に、常に孤独な人生を歩まざるを得なかった哀れな人物なのかもしれない…。
余談
- 寺田氏は仮面ライダーシリーズでは過去に『仮面ライダーW』で園咲琉兵衛/テラー・ドーパントを、後に『仮面ライダーBLACKSUN』で幹事長を演じている。ウルトラシリーズでは『ウルトラマンジード』で朝倉錘を、『ウルトラマンブレーザー』でドバシ・ユウを演じている。
- 因みに琉兵衛とは崇高な目的の為に他者あるいは家族を簡単に犠牲にできる冷酷さの持ち主である点も同じ。
関連タグ
深海理沙、南雅彦:仮面ライダーシリーズの人を守る為なら犠牲を出しても構わないという考えを持つ人物達。