「ご立派になられましたね。貴虎お坊ちゃま」
演: 岩田さゆり、内田愛(幼少期)
概要
Vシネマ『鎧武外伝 仮面ライダー斬月』に登場。
呉島貴虎がまだ少年だったころに呉島家の使用人として働いていた女性で、少女時代に呉島兄弟の父である呉島天樹に連れてこられ、貴虎と交流する内に彼と親しくなっていった。
おしとやかな性格で家事上手な女性ではあるが、何故かアップルパイだけは美味しく作れないというある意味致命的な弱点を持っている。
だが呉島の人間として厳しい教育を受けていた為、同世代の友達がいなかった貴虎にとっては唯一心を許せる人物にして心の支えでもある大切な人で、彼女もまた、そんな貴虎の唯一の理解者でもあった。
ちなみに前述の彼女が作るアップルパイだが、1人で食事をしていた当時の貴虎にとっては「誰かと一緒にとる食事」だったことから思い出の味となっている為、今でもアップルパイだけは美味く作れないらしい(後述するが、その原因には諸説ある)。
詳しい理由は不明だが、何らかの事情で呉島邸を離れた後は天樹の世話をしており、ユグドラシルのアーマードライダー達が襲撃されるという不可解な事件が起きる最中(本編20話以降)に、貴虎たちの父である天樹の死を伝える為に6年ぶりに呉島家を訪れた。
久しぶりに貴虎と再会した際、彼が「ユグドラシル・コーポレーション」(以下ユグドラシル)が推し進めようとしている『プロジェクトアーク』を遂行するにいたって苦悩していることに気付くと、かつて作った不味いアップルパイを彼の為に焼き、まだ2人が幼かったあの日のように心を通わせるが、何故か彼女所の周辺には「ヘルヘイムの森」の植物らしき物が生えているなどの不可解かつ不穏な雰囲気が醸し出されているが…?
「やはり、気付いてしまったのですね…」
実は彼女こそユグドラシルのアーマードライダーたちを襲撃していた犯人=仮面ライダーイドゥンの正体であったことが物語終盤にて判明する。
さらに天樹も実際には彼女によって殺されたというのが真相であり、彼女の正体は天樹がユグドラシルの未来を担う人材育成の為に設立した孤児院である「沢芽児童保育館」の出身者で、彼が人類を救う手だてを得る為に家族にさえ秘密で行っていた非人道的な行為の犠牲者の1人にしてその生き残りであった。
※この施設とそこで行われていた事の詳細は、「ユグドラシル・コーポレーション」の記事の「更なる真実」の項目を参照。
彼女の目的は自分たちを使い捨てのモルモットの如く切り捨てて来た(殺した)ユグドラシルとその中核を担っていた呉島家への復讐であり、久しぶりに呉島家にやって来たのもその為である。
とはいえ、貴虎に対しては愛憎入り混じった複雑な感情を抱いており、優しい彼が「プロジェクトアーク」のような非道な計画の罪を1人で背負い込まなければならないのか、何故彼が呉島家の人間であるのかと疑問や憤りを感じていた。
孤児院時代にユグドラシルに仇なす者を始末する暗殺者としての戦闘訓練を施されたのか(その施設で育成されるカテゴリーには「社会の闇で暗躍する工作員」もある事が彼女の発言から示唆されている)その戦闘能力は凄まじく、不意打ちとはいえシドを彼が仮面ライダーシグルドに変身する時間を与えず一方的に攻撃して重傷を負わせたり、湊耀子を翻弄するなどの行為をあっさりとやってのけている。
さらに、彼女の正体とその目的に気づいた貴虎との決戦時では仮面ライダーイドゥンとしての能力を最大限に活かして彼を翻弄し優位に立った。だが最終的には“罪をいくら背負おうと人類を救う意志”を貫き通す彼の決死の行動の前に敗北した。
しかし、完全に非情になりきれなかった貴虎の迷いにより見逃され何とかその場から逃げおおせるも、既に「禁断のリンゴロックシード」の副作用の為に彼女の体は限界に達しており、最後は今まで『禁断のリンゴロックシード』のデータを得る為に今までの事態を敢えて傍観していた同じ施設の出身である戦極凌馬によって止めを刺され、その波乱に満ちた生涯に幕を下ろした…。
なお、死の間際に彼女が最後に呟いた言葉は、目的を達成出来ずに死ぬことへの呪詛でもなければ、呉島家や同じ施設の生き残りであるのにも拘らず自分とは全く真逆の存在である凌馬への恨み節などでもなく、貴虎の名前だった。
このことから、心のどこかでは本当に彼の事を大切に思っており、愛していたのかもしれない(現にそうとしか思えない描写もある)…。
なお、大人になってもアップルパイだけは貴虎の事を意識し意図して不味く焼き上げたとなっているが、一部のファンの間では「禁断のリンゴロックシード」の副作用で肉体がインベス化しており、味覚が失われた結果ではないかとする説もある。公式からの明言はないため真相は闇の中である。
余談
- 劇場版のパラレルワールドに登場する貴虎は既婚者となっており、病気で入院している妻がいるのだがもしかして……?
- 同じ孤児院出身である凌馬との関係については凌馬は「同じ施設の仲間」と言っていたが、実際は都合よく利用できた実験台程度の認識でしかないと思われる。