「ユグドラシル・コーポレーションが提案する、新しい概要です」
『仮面ライダー鎧武』に登場する架空の企業。
沢芽市を支配する医療系・福祉系事業を手掛ける巨大企業。しかし沢芽市に存在するのは支社で、本社は別の場所に居を構えている。
世界各国に支部があるようで、第33話では欧米系と思しき幹部たちも登場する。
沢芽支社の建物は、かつて駆紋戒斗の実家の工場があった土地に建てられた「ユグドラシルタワー」という巨大な塔。
ロゴマークは緑地の「YGGDRASILL」の綴りに、中央の「A」の部分が巨大な樹木となっているもの(下画像参照)で、ユグドラシルが出資したと思われるエリート校「私立天樹高等学校」(呉島光実が在学)を初め、沢芽市内各所にこのロゴマークが散見される。
沢芽市民の多くは本企業傘下の会社に勤務している。かつては寂れた田舎町であった沢芽市に新興都市として活気を取り戻させ、阪東清治郎を初めとした沢芽市を離れていた市民を呼び戻し、地域社会に貢献。葛葉紘汰の姉・葛葉晶もユグドラシル関連の企業で働いている。
また、専用のクレジットカードも販売されており、実際のクレジットカードさながらにゴールドカードも存在。呉島光実などの富豪が所持しているようだ。
食品生産も行なっており、沢芽ねぎを使ったカップ麺やドリンクといったありふれたものの他、ユグドラ汁なるお汁粉じみた何かを販売している。
その一方で、再開発はかなり強引な手法で行われ、幼い頃の戒斗や高司舞のように生活の場を奪われた者も少なくない。
また、企業城下町と化した沢芽市に閉塞感を感じる若者たちも多く、彼らは徒党を組みストリートダンスに興じてビートライダーズと呼ばれている。
……と、ここまではよくある通常の企業城下町に近い趣だが、本題はここからである。
実態
表向きは沢芽市に経済発展をもたらした救世主だが、その裏では呉島貴虎をプロジェクトリーダーにヘルヘイムの森、及びそこから採取されるロックシード、インベスの研究を行い、大部隊を率いてヘルヘイムの森の謎を解明すべく暗躍している。プロジェクトに参画している社員達はアーマードライダーを「モルモット」と呼んで見下している。
現実世界に侵食してきたヘルヘイム植物の証拠隠滅も密かに行っており、光実が「手馴れている」と称したようにその手際のよさは目を見張るものがある。また、証拠隠滅に関しては各機関にも手回しされており、自衛隊でさえ介入が許されていない。更にユグドラシルの意に従わない企業(特にユグドラシル資本ではない企業)がインベスに襲われるなどきな臭い面も見られた。
また、どういった意図で行っているのかは不明だが、ビートライダーズに目をつけDJサガラやシドを初めとした工作員を使ってロックシードや戦極ドライバーを流布、インベスゲームを流行らせている(戦極凌馬が「ヘルヘイムが活性化している」と発言していたが、これがインベスゲームと関連するのかは不明)。
しかしその高い技術をもってしてもインベスやヘルヘイムの森を制御しきれてはおらず、11話ではインベス達の暴走に対応しきれず見下していたライダーの一人に助けられるという事態を招いている。
ユグドラシルタワーは、外壁に武器が内蔵されていたり「空間偽装装置」なるものが設置されていたりと、会社の建物というより武装基地に近い。
真意
本来はヘルヘイムの森の謎を解明するための研究機関であり、多国籍企業としての姿は便宜上のものに過ぎない。
沢芽市に目をつけたのはクラックの発生頻度の多さ故であり、高司神社を強引に接収したのは神社の「ご神木」の正体がヘルヘイムの森の植物だったからである。
その最大の目的は森の謎を解明し、地球上への侵食を阻止する事で、行動を秘密裏に進めるのは世間にパニックを起こさせないためである。
……こう書くと、「手段の善し悪しはともかく人類の平和を守ろうとする組織」と取れなくはない。
しかし彼らは、それと並行して「プロジェクト・アーク」と呼ばれる計画を進めていた。
末路
オーバーロードの存在を知り、人類を救う第三の可能性を見出した貴虎であったが、オーバーロードを熟知している凌馬達の裏切りに遭い生死不明に(次話で生存確認)。
ところが今度は「禁断の果実」に目がくらんだシドがユグドラシルを裏切り、ヘルヘイムへの移動手段全てを破壊され研究もままならない事態に発展。
さらに破壊されたはずのユグドラシルのクラックがレデュエによってヘルヘイム側から再度開かれ、レデュエはインベスを率いて侵攻を開始し、ユグドラシルタワーを自分達の拠点に変えてしまう。
途中で対処不可能と判断した凌馬の逃亡により日本支部は事実上壊滅した。
第33話では仮想空間内で各国の支部長達に叱責され、「禁断の果実」の研究も侮辱された凌馬が、全世界にプロジェクト・アークの実態を暴露。
世界的パニックが起こると同時に各支部の関係者やそれと癒着していた国家権力者達も含め、ユグドラシル・コーポレーションは「世界規模のテロリスト」の烙印を押され、崩壊に追い込まれる。
その後も日本支部の関係者は「禁断の果実」を巡る戦いの中で次々と死亡し、唯一最後まで生存したのは、皮肉にも凌馬たちの裏切りで失脚した貴虎のみであった。
第46話では、平和が戻った町の中で、ユグドラシルタワーは解体工事が始まっていた。
DJサガラからは「世界の残酷さに屈服した弱い奴ら」と評された。シドと凌馬が醜い内輪揉めの末に何の成果も掴めず死亡、耀子も最期には愛に殉ずる形で死亡、貴虎だけは生存し弟共々零落して贖罪の道に入ったことを含め、日本支部壊滅後の組織の顛末を考えれば妥当な評価と言える。
主な社員と関係者
ユグドラシル・コーポレーション研究部門プロジェクトリーダー。
プロジェクトのマネジメントやヘルヘイムの森内部での研究班の護衛、インベス掃討を担当。
ユグドラシル・コーポレーション研究部門主任。
ヘルヘイムの森の研究、ロックシード及び戦極ドライバーとゲネシスドライバーの開発を担当。
錠前ディーラー。ユグドラシル・コーポレーションの協力者。
「モルモット」である各ビートライダーズにロックシードや戦極ドライバーを売りつけ、データを収集する事が仕事。
ゲネシスドライバー完成後は汚れ仕事全般を担当。
凌馬直属の秘書兼ボディーガード。
ユグドラシル・コーポレーションの協力者。
主にスパイ活動を行っている。
「ビートライダーズホットライン」DJ。ユグドラシル・コーポレーションの協力者。
インベスゲームに関する情報操作を担当。
ユグドラシル・コーポレーション直属の量産型アーマードライダー部隊。
ヘルヘイム植物の根絶による証拠隠滅、戦闘テスト及び旧世代ライダー討伐など、新世代ライダーのサポートを任務とする。
備考
ユグドラシルとは、北欧神話に登場する9つの世界を内包する巨大な木を意味する。『世界樹』とも呼ばれ、神々の没落とともに倒れることになっている。
メインライターの虚淵玄によると、ユグドラシル・コーポレーションのモデルは「東日本大震災における東京電力」であり、「会社・組織という子供たちの恐怖の対象」という側面と、「自然災害という『理由のない悪意』に振り回された被害者」という側面を両立させたかったという。
余談
内部の警備が物々しい割に、第14話にて呉島光実の潜入調査をやすやすと許している事から、視聴者から「ザルドラシル・コーポレーション」と揶揄されている。
また、『HERO SAGA』ではスマートブレイン、鴻上ファウンデーションと並び日本三大"何やってるのかわからない大企業"として扱われた。
さらなる真実(Vシネマのネタバレ注意)
2015年4月22日に発売されたVシネマにてさらなる衝撃の真実が明かされた。
※以下vシネマのネタバレ注意!
現在は廃園になり立ち入り禁止になっているユグドラシル傘下の「沢芽児童保育館」という養育施設の存在がVシネマ『鎧武外伝 仮面ライダー斬月』にて明かされた。
その施設は将来ユグドラシルの未来を担う人材を育成するための教育機関としての一面を持っており、戦極凌馬や幼い頃の貴虎に仕えていた使用人の朱月藤果もこの施設の出身である。
ここまでの説明だと単なるエリート養成施設の様に思えるが、やはりその実態は恐るべきものだった。
施設の立ち入り禁止の扉の向こうにあったもの、それは保育施設には似つかわしくない研究所のような部屋に枯れたヘルヘイムの植物、そして「かごめかごめ」を歌う奇妙な初級インベスの姿……。
沢芽児童保育館ではエリート育成と並行して、ユグドラシルの目に留まらなかった=才能が無いと判断された子供を利用した人体実験が行われていたのだった。前述の「かごめかごめ」を歌う初級インベスはその子供達の成れの果てである。
この非人道的な実態を憎んだ藤果が、ユグドラシルの関係者という立場を活かし戦極ドライバーと禁断のリンゴロックシードを奪取、復讐としてユグドラシルの関係者を次々と襲撃したのが『斬月』の物語の発端である。
また、呉島兄弟の実の父親でありこの非人道的な実態を容認していた呉島天樹も彼女に殺害されている。
貴虎は沢芽児童保育館に訪れる終盤でこの実態を知る事となり、上記の実態を行っていた天樹に対して怒りをあらわにしていた。
関連タグ
戦極ドライバー ゲネシスドライバー ロックシード ヘルヘイムの森
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