概要
ニュンペーとはギリシア神話に登場する美しい乙女の姿をした精霊あるいは妖精である。
英語読みの「ニンフ」の方がタグとしてもよく使用される。
神々の娘である者も多く、下級の女神として扱われる者もいる。神々と違って不死ではないが非常に長寿であり、また年老いることは無く、常時若い娘の姿をしている(おばさんや老婆のニュンペーというのは決して存在しない。ただし神々の娘として生まれた場合は幼少期を経験するかもしれない)。
日本で言う「八百万の神」であり、自然の色々なものに宿るとされる。宿る自然物と運命を共にしており、樹木のニュンペーであればその樹が伐り倒された時、泉のニュンペーであればその泉が涸れた時に生命が尽きるという。毒蛇に咬まれて命を落としたエウリュディケのように、人間と変わらない死因で亡くなることもある。
アルテミスなどの女神のお供を務めている者も多い。
花を咲かせたり、泉や樹木を守ったりし、さらに人々に恩恵を与える存在として扱われるが、同時に、人を魔力で惑わせたり、取り憑いて正気を失わせたり、好みの若い男を攫ったりする恐ろしい側面も持つ。これが、「ニンフォマニア」という女性の色情狂(要は“性欲を持て余す”状態)の由来となっている。
もっとも、神話のなかでこうした特殊能力を使うエピソードはあまりない。
姿が美しい乙女であるゆえしばしば神々や人間の男性からは恋愛対象とされ、自ら男性に恋心を抱くこともある。精霊/妖精とはいえ明確な女性の肉体をそなえており、性的機能などは人間と変わらないため、男の神々や人間の男性との間に子供をもうけることができる。相手が神々であっても、生まれるのが息子の場合は普通に人間の男性ということも少なくない。
アルテミスの従者たちのような一部のニュンペーは男性との交わりを禁じられている。
人間の男性と結婚したニュンペーも多いが、彼女ら自身は人間よりずっと長命にして年老いることも無いため、年老いて先立っていく夫(子供が生まれた場合は子供も)を見送る定めは必然と言っていい。だがその悲哀を描くような話はほぼ無い。
上級の神々の前にはほぼ無力であり、彼らの力で別の姿に変えられたり、男神の性的暴力の犠牲になったりしたニュンペーも少なくない。
様々な種類があり、
谷の精霊:ナパイア(ナパイアス・ナパイアー・ナパイアイとも)
山の精霊:オレアード(オレイアス・オレイアデスとも)
のような者が有名。
また、単体でエコーやダフネ、カリスト、ヘスペリデス、レーテーなどのように個別の物語を有するニュンペーも多い。
関連イラスト
関連タグ
サテュロス:男性で対応する地位にあると考えれられる存在。