概要
相手を強引に連れ去ったり、嘘を吹き込んで同行させたりする犯罪行為。
厳密に言うと前者は略取、後者は誘拐となるが、一般的にはどちらも誘拐で通っている。
ちなみに相手の同意があったとしても、利益を得ようと誘拐をでっちあげる行為も誘拐となる。
目的としては人質の危険をちらつかせて身代金をせしめるもの、猥褻行為や暴力などの個人的欲求を満たすもの、性的搾取や人身売買等で利益を得ようとするもの等がある。
ちなみに日本では、戦後身代金目的の誘拐は一件も成功していないと言われている(ただし被害者が死亡ないしは性的・暴力的被害を受けた例はある)
理由は身代金を受け取る際に犯人は絶対に姿を現さなければならない為、どうやってもそこで犯人自身が逮捕されるか、受け取り役が捕まって金が手に入らないからである。一応、その場に限れば警察をまく事に成功した例もあるが、それらも結局は逮捕されている。
ネット送金の活用や海外での金銭のやり取り、地下銀行などのアングラな手段を使う、暗号通貨を利用する。複数の人数を誘拐してその人質の中から一人を利用して身代金を要求し、無事に金が渡れば別の人質と二人解放という脅し方を使う、更には直接の成功を目的としない本来の目的から目を逸らす為の囮といったケースもあるが、いずれも大掛かりな準備が必要で、信用ならないルートで金銭を動かす必要が生じる(暗号通貨も足がつかない様に現金化するとなると怪しげなルートが必要)。犯罪・悪事というのは何をしても割りに合わないのが世の常であるが、特にハイリスク・ノーリターンと言える手段であろう。
フィクション作品における誘拐
ヒロインが敵のボスや組織に誘拐される(そしてその救出を動機に主人公が旅立つ)という展開は、古来より存在する冒険活劇のテンプレと言える。
それ故、ヒロイン=誘拐される存在という理屈により、物語上の本来のヒロインを差し置いて、劇中でよく誘拐されたりする存在がネタ的にヒロイン扱いされる場合もある(その場合性別などは問われない。:ヒロインの項も参照)。
また、いわゆる異世界召喚も原因が(超)自然現象など(こちらの場合は異世界転移)ではなく、召喚する主体が存在する場合、される側から見れば立派な誘拐(というか拉致・略取)である。作品によっては国家ぐるみの犯行と化している辺り実にタチが悪い。