概要
公の法律に基づかない、個人や特定集団による私的な制裁は、つまり『集団リンチ』である。近世以前には仇討ち(敵討ち)として公に認められていた(それでも手続きが必要となることが一般的)が、近代国家では法律に則った裁判なしでの私的な制裁は違法とされる(教師や警察官などが独断で制裁を行う場合も、たとえ公務員によるものであっても、法的根拠に基づかない制裁は私的なリンチとなり、違法である)。
pixivでの傾向
歴史上の事例
中世期の日本(平安時代末期~戦国時代)は中央権力の力が弱く、地方の治安維持が不充分で、犯罪や領地侵害の被害に遭っても自力救済が必要とされる場合が多かったので、住民による外敵や犯罪者への制裁としての私的な暴力が多発した。作家の山本周五郎や民俗学者の宮本常一らによる編著『日本残酷物語』(平凡社)や、おもに室町時代を専門とする歴史学者の清水克行の著書などには、この手の話が多々ある。
18~19世紀のアメリカ合衆国の開拓時代も、西部の開拓地などでは中央権力が及ばず、保安官の数も少なかったので、住民による犯罪者への制裁が多発した。また、白人住民による黒人奴隷への集団暴行も多かった。
近代以降も、暴力団や新左翼の過激派団体など、武装組織内での構成員に対する制裁としてのリンチは多々みられる。とりわけ組織内で構成員の綱紀粛正を目的とした暴力、ときには殺人(自殺の強要も含む)が多かった団体の例として新撰組と連合赤軍が挙げられる。
21世紀に入って以降も、特殊詐欺を行う犯罪グループで金の取り合いからリンチになるケースもある。