「泥棒」
「私のモンに唾つけたから!」
「それいけチェンソーマン!悪魔退治に出動だ!」
概要
主人公・デンジとともに暮らす、髪を三つ編みにした幼い少女。小学生。デンジ曰く「友達みてーな…妹みてえなヤツ」と、関係は判然としない。
人物像
強気でワガママ、常に元気いっぱいな少女。デンジ曰く「性格がヤバい超問題児」。
外見は、整った顔立ちの美少女。しかし、デンジと一緒に暮らしている影響か、品性を欠いたデンジと似通った口調で話しをする。挙動や所作、クルクル変わる表情もデンジの影響を強く受けており、もはや『デンジ2号』といっても過言ではない成長を遂げている。
彼の主観によれば「大学行けるくらい頭いい」とのこと。その評価の正確性はさておいても、デンジよりは頭がいいらしい。
デンジの発言や自室にランドセルがあることから、小学校に通っていると推測されていたが、131話にて事実であることが判明した。
デンジにかなり懐いてるが、後述する彼女自身の本質もあってかデンジを「私のモン」と言い切るほどにデンジへの独占欲が強く嫉妬深い様子。
「ナユタの前でデンジとイチャイチャしてはいけない」というのは「破ったら死ぬルール」の第三条にして最重要項目である。
一方、犬化したアサをもとに戻す条件の一つにアイスを食べさせる事を要求したり、空腹で駄々をこねたり等年相応のあどけなさを見せる。
下記の通り、その正体は悪魔。その為、悪魔らしい一面も持ち合わせており、人間の時代が崩壊し悪魔の時代が来ることを歓迎するなど、人類の存亡に関しては無頓着であることがうかがえる。
反面、ピザを始めとした食文化が無くなることを拒絶したり、飢餓の悪魔からの協力要請を学校があるからという理由で断るなど、人間の文化そのものには思い入れもある模様。しかし、本質的に悪魔らしい思考を持ち、人間を殺すことには何の躊躇いもない上、学校のクラスメイトに関しても死んでも構わないと思っており、一度はデンジに悪魔側につくよう勧誘するなど、デンジと飼い犬達以外の相手への関心や愛着は皆無だが、良くも悪くもデンジを中心に考えているため、デンジがナユタ自身を最優先している間は人類側でいる模様。
支配の概念から生まれたために本質的な支配欲を持ち、人類の文化に思い入れはあるが窮屈とも考えており、悪魔側について人類を支配することを望んでいるが、上述のように現時点ではデンジを中心に物事を考えているため、デンジがナユタを一番大切だと思っている限りは人類側でいると断言している。
冒頭の台詞を言いながら、物理的にケツを引っ叩いて無理矢理出動させている辺り、だらしない兄を引っ張る気の強い妹気質である。
ワガママを言ったりと振り回しつつも、何だかんだでちゃらんぽらんなデンジを甲斐甲斐しくサポートしており、彼女のおかげで結果的にデンジは命拾いする事もある。
作中の動向(ネタバレ注意)
飼い犬たちの散歩から帰宅した矢先、デンジとアサ(実際は体の主導権を奪ったヨル)がキスをしている現場に遭遇してしまい、アサに「泥棒」と罵り、また無意識ながらもアサの中に潜むヨルの存在と危険性を感じ取って(ナユタ曰く「嫌な匂いがする」)、デンジに警告を発した。
ナユタの妨害でお家デートをなかったことにされて凹んでチェンソーマンになることを渋るデンジに「人気者になれば彼女よりも沢山の愛が貰える」とおだてて誘導するなど、本性の片鱗が見え隠れしているが、気分屋でワガママなデンジをなだめるのに苦労してもいる。
デンジとアサが芋虫の悪魔に追い詰められていた際には、芋虫の悪魔の頭を一部支配することで、「人間がクソの味」になると思い込ませた。結果、デンジやアサを捕食させた直後に嘔吐によって吐き出させ、二人の命を救った。
直後に飢餓の悪魔と対面し、人間の時代が終わり悪魔の時代が到来する蓋然性があることを告げられる。また、その会話中飢餓の悪魔のことを姉として認識していることが判明。同時にデンジやアサの命を狙う理由をも聞き出す。
当初は『悪魔の時代』についても歓迎するかのような素振りを見せていたが、好物のピザが無くなることを知ってからは激しく拒否。飢餓の悪魔から協力を要請されるも、「学校があるから!」という理由で断った。
従属させたクラスメイトから給食のデザートを巻き上げ、3つも食べるという悪魔的快楽を貪るナユタ。しかし、突如教室に乱入してきた特殊部隊に捕獲されてしまう。その後は吉田からデンジへの交渉材料とされるも、公安の職員と共にデンジと再会した直後に「デンジい!!」と叫びながらデンジに抱き着くと同時に「くっさ!」と文句を言いながらも喜びの表情を見せた。直後に自身やデンジを脅迫する吉田に敵意を向け、デンジに「デンジ!!コイツにさ!ファッキューって言って!!早く!!」と文句を言いつつデンジと共に帰宅した。
その後、自宅に帰宅した後は風呂上がりにデンジに髪を乾かしてもらいながらデンジがナユタや普通の日常の為にチェンソーマンになることを辞めようと考えていた際には、疑問を持ちながらもその考えを否定することはなかった。
就寝後にデンジがニセチェンソーマンの存在や、そのあり方への不満、自身がこれまで戦ってきた経緯を顧みたことで深く落ち込んでいた際には、寝惚けながらもデンジの背中を撫でて励ましていた。
火の悪魔によって偽チェンソーマンが増殖した騒動の際に武器人間達にニャーコや犬達諸共自宅を放火されてしまい、それによってタカが外れたデンジに訣別とも取れる宣言をされたことで、唖然としてしまうも、咄嗟に能力で周囲の人間を操りデンジを群衆から逃がすことに成功する。しかし、直後に民衆に襲い掛かられ生死不明となってしまう。
この先ネタバレ注意
その後紆余曲折の末に寿司屋でバルエムに再会したデンジは寿司のレーンから流れてきたもの見ると…
そこには寿司皿の上に乗せられたナユタの生首がレーンから流れてくるという地獄のような光景であり、それを見たことで再び絶望したデンジは元凶であるバルエムの首を捩じ切ると同時に、かつてのように地獄のヒーロー・チェンソーマンと化してしまうのだった。
能力
他者を「支配」する力を持つ。
目立った殺傷能力は見せてはいないものの、指先から鎖を放ち打ち込むことで、対象の脳を「支配」して行動を全く別のものに変える能力と思われる。記憶の改竄も可能であるほか、アサの行動を犬に変えたり元に戻したり、悪魔の味覚をとんでもない状態に変えたりしている。
この能力の延長上によるものかは不明だが、「デザートを寄越しなさい」と同級生を従属させ給食のデザートを収奪、1人で3つも食べるという強欲極まりない悪魔的行為も常習している。
ただし前の悪魔から既に「支配」を受けた者に対してはまだ前の悪魔の支配下な為ナユタの「支配」の影響を受けない欠点がある。(一人物の発言のため確定的ではないが)
他にも、嗅覚による悪魔の感知能力は健在。アサの中にいるヨルや、自宅から離れた所から悪魔の匂いを感知したりしている。
感知能力に優れているわけでも無いチェンソーマンことデンジが、ソロかつ匿名で悪魔の出現と共に現場に急行して活躍できるのは、彼女のこの感知能力によるものらしい。
正体(一部ネタバレ注意)
「わんわん」
勝利の余韻は無くも、つかの間の平穏を過ごしていたある日、一人の少女と出会う。
少女に指をいきなり噛まれるも、その感触がマキマを彷彿とさせ、隣にいた岸辺により、少女がマキマに代わる次代の支配の悪魔であることを告げられる。
少女は名を『ナユタ』と名乗り、岸辺の命によりデンジはこのナユタと同棲することとなる。
出会い頭にデンジを指さして「わんわん」呼ばわりするあたり支配の悪魔らしさが滲み出ている。一方、デンジに食べたい物を聞かれた際「食パン」と答えており、「安上がりな悪魔」と言われている。生まれたばかり故か、先代のマキマほどの悪辣さは見られず、善悪の区別がまだ曖昧な子供といったところである。
ポチタ曰く、支配の悪魔は(支配という概念故に得ようもなかった)他者との対等な関係を欲していたらしく、どうしたらいいと問うデンジに「抱きしめてあげて」と説いた。
なお終始ポチタはマキマ、ナユタと呼び分けず「支配の悪魔」と呼んでいるため、マキマのデンジへの扱い同様にガワにはあまり興味がない模様。
あるいは「救ってあげたいのは支配の悪魔で、デンジを徹底的に踏み躙った"マキマ"になんぞ興味ねー」という意趣返しか。
そして無意識か、人肌寂しさか布団から抜け出てしまったナユタはデンジを抱き枕のようにしてしがみつき、デンジもまたポチタを抱くようにナユタを抱きしめており、ナユタは余程安心していたのか涎を垂らしていた。
仲間も親友も思い人も失ったデンジだが、最後の最後に妹分という新しい家族を手に入れたのだった。
デンジへの想い
デンジに引き取られたばかりの頃はデンジに対する感情は「可哀想な人間」「心臓が欲しい」という2つのみであり、そんな2つの感情を抱く己の存在への自問自答の末に自身の能力によってデンジの記憶を読み取り自身の前世であるマキマの存在と目的を知り、一度はマキマ同様にデンジを幸福にしてから絶望させようと考えるが、デンジと共に過ごす日々は、かつてマキマが欲していた他者との対等な関係=家族そのものであり、そんな日々の中でデンジへの感情は純粋な愛情へと変わっていき、ある時デンジに自分は何者なのかと質問し…
「ナユタは……」
「ナユタは俺の家族だよ」
そうして答えを得たナユタはデンジの心臓への執着が無くなっていき、チェンソーマン関係無く自身にとってデンジが何よりも大切な存在となっていた。
これらの事実からナユタの前世であるマキマは人並みの愛情受けずに育ったことが原因であのような歪んだ人格になったことが示唆されており、岸部もそれを肯定するような内容を第一部終盤に仄めかしている。また、今世でナユタが得た家族という存在はマキマが何よりも欲していたものであり、どういう形であれマキマの望みは叶ったとも推測される。
余談
- なお、デンジがマキマを食べ切って(=マキマが完全に死亡して)からそれほど月日が経っていないため、地獄で蘇った後またすぐ死んだと考えられる。
(ただし地獄での記憶をマキマが鮮明に覚えているような発言があるため、マキマが地獄で生まれ現世に何らかの力で来ていて、ナユタはその後現世で生まれたという解釈もできるが)
- 支配の悪魔といえ、彼女の脅威性は"契約"による不死性ありきだった為、それが無い素の力で純粋かつ圧倒的な力に囲まれればなす術も無かったのだろう。
- 最新話で判明した事実だが、誕生直後のナユタはデンジに対して、「心臓が欲しい」という感情以外に、「可哀想な人間」という感情を抱いており、前述の心臓への執着が健在だったことからマキマは完全にデンジに関心が無かった訳ではなく、一種の憐れみのような感情を抱いていたことが判明した。
- 『予言のナユタ』という本作の作者・藤本タツキの読み切り作品にナユタという容姿がそっくりな少女が登場するが関係は不明。おそらくはセルフオマージュであろう。
- こちらのボイスコミックでのCVは小松未可子。
- 『チェンソーマン』が影響を受けている作品の一つである『ABARA』には「那由多(なゆた)」という名前のキャラクターが登場しており、元ネタではないかと言われている。なお、同作の主人公は「電次(でんじ)」という名前である。
- 第二部で住んでいるアパートは「タツキコーポ」。第一部最終話の現場となったあのアパートと同じ物件と考えられる。正確な間取りは不明だが、キッチンと居住スペースの二部屋+トイレがあると推測される。風呂の有無は不明で調理にはプロパンガスを使用。エアコン設置済み。
- 同居人(?)は犬7匹(灰3匹、黒3匹、茶1匹:カラー版準拠)と猫のニャーコ。
- 室内にはすごろくや絵本といったおもちゃの他、ランドセルに”デンジ”、”ナユタ”と名前が記されたアロエの鉢や一部の世代には懐かしい14インチのビデオ一体型テレビも。
- 壁にはメニューを書いた用紙やカレンダーの他にも何故か今月のデンジと自分のオナラした回数を記録する用紙が貼り付けてある。
- 第120話では室内に電子レンジと古めかしい形の炊飯器(電気スープジャー?)、脚を折り畳めるちゃぶ台(大きめ)が確認できる。
- 『モンスターストライク』とのコラボで登場した「公安対魔特異4課リーダー マキマ」及び「犬と飼い主 デンジ&マキマ」には小ネタが仕込まれている。
- 両者ともにアンチアビリティの構成が『モンスト』のキャラである「禁忌ノ狂鬼 那由他」と全く同じであり、更にマキマはバリアを所持している点が同じ、デンジ&マキマはSSの仕様がほぼ同じ(どちらも本体が動かないのは共通だが、デンジ&マキマはデンジだけ動くためシステム的には別のSS)、そして三者ともに属性が一致しており、明らかにナユタの存在を意識したものになっている。