概要
「マキマさんってこんな味かぁ…」
本作のヒロインにして全ての黒幕であったマキマとの戦闘に、辛くも勝利した主人公デンジ。
マキマの「習性」を利用したポチタとの共同作戦に加え、血の魔人であるパワーの助力もあり、その回復を遅らせることはできたものの、いくら切り刻んでもマキマを殺すことはできなかった。
というのも、彼女は己に対する「攻撃」を日本国民の誰かに肩代わりさせる「契約」で守られており、「私への攻撃は適当な日本国民の事故・病死に変換される」という言葉通りに、並大抵の攻撃では即座に復活されてしまう。
そこでマキマを葬る方法としてデンジが打ち立てた策は、自分が彼女を食べることであった。
その際にマキマの肉の一部を生姜焼きにして、ご飯と味噌汁と共にいただいたため、ネット上では『マキマ定食』の名で知られ、騒然となった。
後述のメニューにあるように血や臓器、果ては髪の毛すらも食べる必要があると思われることから、単純な重さだけで考えても4~50kgはあるため、考えついても実行に移すには多大な時間と勇気が必要とされる。
もちろんこれはマキマを葬るためのデンジが閃いた苦肉の策であり、決してデンジがカニバリズムに目覚めたわけではない。
本作の「悪魔」は、動植物や概念などあらゆるものの名前を持って生まれてくる人知を超えた怪物(魔人は死体を乗っ取った悪魔)であり、人の姿に近しい悪魔も比較的人間に友好的とされるだけで、あくまで構図的には悪魔を捕食しているだけと言える。
そして、この行為は彼にとって「支配の悪魔をやっつけて平和を取り戻す」という「攻撃」ではなく、「こんな目にあってもまだマキマを愛している」しかし「マキマのしたことは許される事ではないし、彼女の犠牲者は納得しない」ならば「彼女の罪を代わりに俺が全部背負う、俺とマキマさんは一つになるんだ」という彼女への「愛」による発想による行いであったため、支配の悪魔の「契約」による国民の身代わりも働かなかった。
「オレん腹からも便所からもマキマさんは復活しませんでしたよ」
「…みたいだな」
~マキマを使ったメニュー~
習性
マキマの「習性」とは「他者を匂いで判別する」というもの。これはこれまで登場した悪魔や魔人たちも少なからず行っていることだが、せいぜい「同類(悪魔)」か「人間」かという判別程度で、特に親しい者の匂いは判別できたりするが、基本的に悪魔(および魔人)も情報の大部分は視覚によって得ている。
事実、魔人であるビームは、レゼが見た目は人間と変わらないデンジの同類であることを見落とし「なんで匂いで気づかなかった!」と自嘲している。
だが、マキマは匂いのみで判断するためその誤謬が起こり得ないものの、興味のある者以外の匂い(=顔)を覚えていないという悪癖がある。
それ故、たとえばデンジと心臓、つまりポチタ(=チェンソーマン)とが分離した場合、彼女が興味を持っているのはチェンソーマンだけであるため、彼女はポチタの匂いのする個体をデンジと誤認してしまい、チェンソーマンの匂いの元であるポチタと離れたデンジ本人はマキマ自身が引き連れてきた人員、或いは呼び起こしたゾンビ同様の「その他大勢」と見なしてしまう。(流石に目の前で分離した場合は気付くと思われるが)
デンジは最後の最後で「マキマが好きなのは自分ではなくチェンソーマンで、自分は一瞬足りとも彼女の視界に入っていなかった(=欠片も愛されてなどいなかった)」ことに賭け、(デンジが起き上がった際の描写から恐らく)大量のゾンビに組みつかれた際にデンジとチェンソーマン(心臓)に分離、そしてそのままゾンビとともに吹き飛び、その中に紛れ込んだ。
果たしてマキマはそれに気付けず、その賭けに勝ったのだった。
実際、この直前までのチェンソーマンは今までのデンジの様に、攻撃時には「オラァッ!」、ダメージを受ければ「ギャアアア!」、追い詰められて「オアッ!?」と元気よく叫びまくっていたが、ゾンビの山に埋れて以降のチェンソーマンは火だるまになろうが四肢をもがれようがいつもの悲鳴をあげず、攻撃の際にも声を出していない。
この説が正しいとすると、マキマは「チェンソーマンは痰なんか吐きかけない」と言っているが、今現在目の前にいるのはデンジinポチタではなくポチタ(チェンソーマン)本人であるため、よりによってチェンソーマンご本人の行動に解釈違いと講釈を垂れるという醜態を晒した事になる。
そして、チェンソーマンに二度勝利したことで「これで自分が格上=格下のチェンソーマンは支配の対象」と勝負付けを終わらせ、マキマが油断してこれから来たる幸せな未来を夢想している隙に背後から接近、チェンソーの駆動音で咄嗟に振り向いたマキマをパワーの血で作ったチェンソー(いつものものと違いパワーの角らしき意匠が付いている)で袈裟斬りにし、その体内にパワーの血液を侵入させ、暴れさせることで常に殺し続け、更に同じチェンソーで頭部を破砕することで、思考も行動も不可能にすることに成功する。
このチェンソーの生成にパワーから貰った血を全部使うことになった為、ポチタ分離状態ではパワーの血が生命のデンジからすると自分で自分を心停止させて、死ぬまでの間隙に攻撃しているも同然の状態であり、「ギリギリだった」とポチタ=心臓を埋め込み直しながら独白している。
これにはマキマも想定外の倒し方+殺さなければどうあっても自由になれない事を知っているデンジを悟り、汗を流した。
こうしてマキマは自身を愛する、しかし自身は決して愛さなかった男の血肉として、その覇道に終わりを告げることとなった。
余談
血生臭い展開の多い『チェンソーマン』のエピソードの中でも屈指のショッキングなエピソードだが、さすがにネームを出した当初は担当編集の林氏に一度NGを出されている。
そのため代案を2~3案ほど出し直しその中の1案が通ったものの、「じゃあこれで描きます」と言った藤本タツキは明らかに描く気のない顔をしていたという。某炎のような漫画家もオドロキである。
案の定、最終的に上がってきた原稿は打ち合わせの内容を完全に無視して第1案の中身ほぼそのままであった。こうしてマキマ定食がジャンプに掲載されることになったという。
ただし、さすがに林編集も藤本タツキもこれが受け入れられるかは不安だったらしく、藤本は林編集に「もし炎上したら危ないのでしばらく隠れてください」と言っていたらしい。
関連タグ
妲己:世にも名高き狐の大妖怪にして傾国の悪女。
かつて少年ジャンプに連載された藤崎竜版の封神演義では、姫昌の息子・伯邑考の肉をハンバーグにしてそれを食べさせると言う描写があったことから、彼女を連想する読者は多かった。ある意味マキマとは逆の存在。
猪八戒:同じジャンプ作品であるギャグマンガ日和の西遊記~旅の終わり~で、仲間に食べられてしまったキャラ。
トリコ最終回構文:こっちは架空のネタだが、図らずも預言したようになった。