曖昧さ回避
贅沢と暴虐を尽くし、古代中国の殷王朝を滅ぼしたとされる。日本においては九尾の狐として玉藻前と同一視される。この項目で解説。
以下は、全て彼女をモチーフとしたキャラクター。
- 『封神演義』に登場するキャラクター。→妲己(封神演義)
- 『鬼灯の冷徹』に登場するキャラクター。→妲己(鬼灯の冷徹)
- 『無双OROCHI』に登場するキャラクター。→妲己(無双)
- 『モンスターストライク』に登場するキャラクター。→妲己(モンスト)
- 『Fate/GrandOrder』に登場するキャラクター。→妲己(Fate)
人物像
史実
中国二番目(発見されている王朝の中では最古)の王朝・殷最後の王・紂王の妃である。中国読みはターチー(Daji)。
文武に優れていた紂王が堕落していた頃にそれに拍車をかけた張本人とされ、没後2000年経った現代でも毒婦の代名詞、そして中国三大悪女のひとりとして悪名が今も語り継がれている。
牧野の戦いで殷が滅亡したのに際し、捕らえられて大まさかりで首をはねられ、
「殷を滅ぼしたのはこの女なり」
とさらし首にされたという。
なお、当時の女性は姓名が逆に記載されていたため、彼女の場合は姓が「己」、名前が「妲」らしい。
ただし、現在の殷の古代調査では妲己らしき人物がいた記述が今までに記されていないこと、また、殷の前の王朝・夏の滅亡時にも、夏の最後の王であった桀王が、末喜という美女に溺れていたことから、この末喜と妲己がよく似ていること、そして桀王と紂王の最期が酷似していることから混同されて伝えられたともいわれており、実在した人物なのかは定かではない。
民間伝承
白面金毛九尾の狐と同一視され、「人間」だった本物の妲己を殺害して成り代わったとも云われている。
(上述した通り本来は「姓は己、名は妲」なのだが、姓名の付け方が変わった後世に誤解され、姓が「蘇」、名が「妲己」という設定になっている)
小説『封神演義』では紂王の無礼に怒った女媧の送り込んだ三匹の女妖の長女とされている。ただしテキストだと「千年狐」とあり、九尾とは書かれていない。
しかし、彼女が「殷王朝を滅ぼしてこい」という大義名分をいいことに余りにもハッチャけ過ぎたためとうとう女媧は彼女らに愛想をつかし、周軍に殷王宮が陥落した際には見捨てられることとなった。
最期は太公望によって捕らえられ、原作では太公望の飛刀、安能版では木吒に呉鉤剣を投げられて斬首されて死亡した。
ちなみに安能版では最初から最後まで女媧の捨て駒だったとされ、妲己本人もそれを察していた。
しかも女媧からは「イイ思いしやがって、と言わんばかりに露骨な嫉妬」を向けられたらしい。
「偉い者ほど、ましてや、それが女であればなおのこと、事後処理は残忍非情で、爪を切るように、容赦なく手足を切り捨てるものです」
「欲情を超越して色欲を捨てることと、嫉妬することとは、まったく別なことで(中略)天女も仙女も妖女も、それに下界の婦女も、それは同じことです」
とは彼女の弁で、事実彼女たちは楊戩の歓心を買いたい女媧に裏切られ捕縛されるという、ある意味悲惨な末路をたどった。
しかし、女媧の思惑や性根を察しつつも逃げるでもなく享楽に耽ったのは、「紂王が男前でしかも逞しくてアレが達者な帝王で女名利を極めつくしたかったらしい」とのことで半分以上は自業自得なのだが・・・(これに関しては、始皇帝の母趙姫が嫪毐を気に入ったのと似ていなくもない)。
また紂王に対しては本当に愛してしまったらしく、死を決意した彼を必死になだめ、彼が自焚するべく去った時には本気で大泣きした。
漫画版では「最強の魔女」みたいな扱いだが、原作だと「強い妖怪の中でも真ん中くらい」という扱いである。
あまり強くない姜子牙でもそこそこは戦えるレベルであり、多分、聞太師とか張奎の方が強い。宮中に入り込んだ際には雲中子の作った魔除けの効果がある松を使った木剣が掛けられただけで死にかけている。
ついでに言えば安能版では殷が滅んだのは命数を使い果たした、つまり運命として滅んだのであり、妲己が関わらずとも同じタイミングで滅んでいた事が最初から提示されていた。
彼女の任務は命数を短くすることだが、これに関しては完全に失敗している。
関連イラスト
関連タグ
封神演義 無双OROCHI 鬼灯の冷徹 モンスターストライク Fateシリーズ
チー(ゲゲゲの鬼太郎):ゲゲゲの鬼太郎に登場した弟。