人物
冀州侯・蘇護の娘。
藤崎竜の漫画版だと単行本第6巻・第46話に登場。
冀州では『絶世の美女』と謳われていたが、藤崎版では普通の女の子。長い黒髪にリボンを結んだそばかすが特徴的な素朴な顔立ちで、不器量ではないが目を引くほどではない。
- 原作小説では、妲己は肉体は乗っ取っても顔貌までは変えられないため、もともと絶世の美女だった。
上記の噂を聞きつけた紂王に請われて、国を思い紂王の後宮に入ることを決心する(父は恋愛結婚をさせてあげたかったようだが、皇帝の要求を断れば国が滅ぼされるため)。
しかし、紂王との面会直前、(藤崎版だと胡喜媚と王貴人の策にかかり、原作だと冀州から朝歌に護送される途上で)妖狐状態の妲己に精神と身体を乗っ取られた。
この時点で、『人間・蘇妲己』本来の魂は滅び、事実上殺されたのと同じことに。
これ以後は、皆もご存じの妲己である。
しかし、父である蘇護も兄である蘇全仲もまさか、妖怪仙人に娘の身体が乗っ取られているとは思っていないため、変わってしまった娘が贅沢三昧・悪逆三昧をしていると思っている。
↑は本来の蘇妲己を乗っ取る前の妲己(千年狐狸精)。
厳密には聞仲に敗れて追い出された「王氏」である。
なお、史実において彼女は姓は己、氏は蘇、名前(もしくは字)が妲だった。
この当時、女性は姓を後に、名を前に記録していたのである。
しかし、知っての通り後世の中国人は姓を前に、名を後に書くようになった。
「蘇妲己」という名称は『封神演義』を執筆した人物が考古学者でなかったために「妲己」を二文字で一つの名前と誤解し、
さらに歴史書に「妲己は、紂王から侵攻を受けた有蘇氏(蘇の国を有する諸侯)が、講和のために献上した女」という一節から蘇を苗字とみなして付けられた名前である。
(ただし、氏は蘇だったのであながち間違っていない。「蘇妲」なら完璧だった)
ちなみに正史で妲己を差し出した有蘇氏は姓は己、氏は蘇、名は忿生。のちに周王朝に帰属したと伝わる。