曖昧さ回避
- 中国の明代に成立した神怪小説『封神演义』の和訳タイトル。実在の王朝である周と殷の戦いを下敷きに、道教や仏教の神々やら異能者が入り乱れて戦う空想戦記。『封神伝』『封神榜』(榜とは立て札のこと)『封神榜演義』ともいう。
- →『封神演义』を参照
- 『封神演义』に大胆なアレンジを施した藤崎竜による少年漫画。集英社『週刊少年ジャンプ』に1996年から2000年まで連載された。本項で解説。
- 『封神演义』を原作としてコーエーから発売されたテレビゲーム。藤崎竜版とは無関係。
- →『光栄封神演義』を参照
概要
『封神演义』をモチーフとしているが、翻案・改変を大幅に加えた内容になっており、メタ発言や顔芸などのギャグ漫画的・時代考証完全無視の演出が乱れ飛ぶ、若年層向け娯楽漫画のスタイルに徹している。それらのぶっ飛んだ設定にSF要素によって裏付けを施した、ラストのどんでん返しは多くの読者の度肝を抜いた。
- 原典の封神演义にも時代考証を無視した点は多く、これを水滸伝や西遊記と比べ評価の落ちる一因だとしている中国文学研究者もいるが、本作はそれらの考証無視もSF設定により説明が付くようになっている。
- 本作のSF要素はそれ自体が物語の核心に関わるネタバレのようなものであるため注意が必要。wikipediaは現在ではネタバレに配慮しないようになっているため要注意。
ギャグ描写は単に笑いの要素というだけでなく、後の展開に関わる描写にギャグを織り交ぜることで目くらましとし、中盤から少しずつ真相に迫っていくという仕掛けにもなっている。ラストの展開と合わせて、伏線回収漫画としても知られる。
また、本作のアレンジは原典には登場しない中国史や伝承に通じる内容になっているものも多い。例えば、序盤に太公望が酒(仙桃)と泥酔拳を使うが、古代中国では酒は神を祀るものとして重要であり、酔拳(酔八仙拳)はのちの時代の仙人を模したとされる拳法である。聞仲の旧友である朱氏は婦好を元にしている。ラストの展開にも他の中国神話の要素が入っており、伝統的な絵図と同じような構図も見られる。
- 妲己が過去にも末喜として宮廷に入り込んでいたのは、末喜に関する歴史文献が妲己のエピソードを元に後付されたもの(もしくは両方とも創作されたもの)と考えられていることを踏まえてのものと思われる。歴史文献のこうした点までも活用している。
2001年には「異説 封神演義」なるパラレルワールドものの読み切りが週刊少年ジャンプに掲載された。さらに2018年週刊ヤングジャンプにて本編の続きにあたる「封神演義 外伝」が連載された。
原作クレジットなど
「申公豹が雷公鞭を持ち黒点虎に乗る」など、本来の古典小説には存在しない、安能務訳の講談社文庫版『封神演義』に基づく設定が一部で見られる。そのため途中から安能版が原作としてクレジットされるようになったが、多くの人物や宝貝の設定、ストーリー運びなどは原典・安能版のいずれとも大きく異なる。楊戩を「ようぜん」、哪吒を「なたく」と読む点は安能版と同じだが、聞仲は安能版とは異なる「ぶんちゅう」を採用している。
太公望の本名は幸田露伴の小説を元に呂望とされ、容姿が少年のままであるほか、設定も大きく異なる(シニア婚相手の馬氏も登場しない)。
- 名前に関して、本作ではバトル中の煽り文句ではあるが、最初に封神する敵となった陳桐(ちんとう)の響きを太公望が弱そうと指摘する場面がある。
アニメについて
2018年にTOKYOMX、KBS京都、サンテレビおよびBS11にて放送された「覇穹 封神演義」。
いずれも原作から内容を大きく改変された。
ただし仙界伝のゲーム版は原作の最後までの内容を反映している。
あらすじ
古代中国。妖しき仙女妲己に支配され堕落した殷王朝を倒すべく、仙人界は太公望に「封神計画」の実行を命ずる。これは殷に対抗する周王朝を興し、人間界に蔓延る仙人を封印する計画である。
殷と周の戦いは仙人界を二分する大戦へと発展。そして明らかになる封神計画の真相と、この世界の秘密とは……?
用語
仙人・道士:特殊な骨を持つ者が仙人界で修行することで至る存在。宝貝を使える。また、外見の老化が非常に遅い。人間ではなく動植物や鉱物などから仙人になった者もおり、妖怪仙人と呼ばれる。通常は仙人界に定住するが、人間界に降りて王朝に仕える者もいる。
宝貝:仙人や道士のみが使える兵器。
霊獣:仙人や道士が乗る動物。
仙人界:宙に浮かぶ岩場から成る世界。崑崙山脈と金鰲列島がある。金鰲は妖怪中心。
殷周易姓革命:腐敗した王朝「殷」を、西方の国「周」が倒す革命戦争のこと。これに崑崙、金鰲の仙人たちが介入している。
味方メインキャラ【周・崑崙サイド】
太公望とその仲間たち
太公望:飄々とした態度の中に信念と才智を秘めた道士。殷と因縁があり、周の軍師となる。
四不象:太公望のお供の霊獣。カバのよう。
武吉:太公望に弟子入りした快活な少年。
楊戩:画像の青髪。変化の術を使う天才。
哪吒:画像の赤髪。宝貝人間。
雷震子:鳥のような翼を持ち、天候を操る。周王朝の血を引く。
土行孫:女好き。土に潜る。
鄧蝉玉:土行孫に一目惚れした自称美少女スパイ。
韋護:助っ人として中盤から登場。ダジャレ好き。
周王朝
姫昌:文王。人望ある周の王。
伯邑考:姫昌の長男。
姫発:姫昌の子。武王として文王を継ぐ。
周公旦:姫昌の子。有能な官僚。
邑姜:太公望と同族の少女。
崇黒虎:周王朝に協力する諸侯。
黄家一族
黄飛虎:殷から造反した将軍。聞仲の親友だった。
黄天化:黄飛虎の次男。黄家唯一の道士。剣士。
黄天祥:黄飛虎の末っ子。
賈氏:黄飛虎の妻。黒髪の美女。
黄氏:黄飛虎の妹。殷の紂王の側室。
崑崙山脈
元始天尊:画像左。崑崙の教主にして太公望の師匠。妲己に対抗し封神計画を練る。
白鶴童子:元始天尊に使える白い鶴の妖精。
竜吉公主:水を操る美しき純血の仙女。
雲中子:生命科学に詳しい変人
燃燈道人:かつて崑崙にいた強力な仙人。
崑崙十二仙
普賢真人:水色髪。太公望の親友で理解者。
太乙真人:黒髪。哪吒の師匠で父代わり。
玉鼎真人:黒髪の長髪。楊戩の師匠で父代わり。
清虚道徳真君:バンダナを巻いている。黄天化の師匠。
道行天尊:赤ん坊のような仙人。韋護の師匠。
など
敵対メインキャラ【殷・金鰲サイド】
妲己三姉妹
妲己:殷の紂王をたぶらかす悪女。狐の妖怪仙人。金鰲三教。
胡喜媚:妲己の妹。妖怪仙人。
王貴人:妲己と胡喜媚の妹。妖怪仙人。
殷王朝
紂王:殷の王。かつては英明だったが妲己により乱心する。
聞仲:殷の太師。仙人であり、殷王に代々使える強者。金鰲三教。
黒麒麟:聞仲のお供の霊獣。
張奎:殷の武人で、聞仲を慕っている。
高蘭英:張奎の妻。
金鰲列島
通天教主:金鰲の教主。元金鰲の妲己を危険視している。
九竜島の四聖:画像左。聞仲を慕う。
魔家四将:画像右。四聖と異なり手段を選ばない。
趙公明:金鰲三教。貴公子のような風体の戦闘強。
雲霄三姉妹:趙公明の妹の美人三姉妹。
呂岳:画像右。趙公明の部下。人体実験好きのサイコ。
馬元:画像左。呂岳を父と慕っていたが……。
十天君
王天君:十天君のリーダー。黒髪。ピアスだらけ。キレ物。崑崙に恨みがある。
金光聖母:主人を襲う影を操る。女性。
姚天君:魂を落とす光を操る。
張天君:砂を操る。
など
メインキャラ【その他】
申公豹:最強。中立であり美学のために動く。太公望をライバル視する。ピエロのような姿。
太上老君:教主二人と並ぶ三大仙人の一人。桃源郷で寝て暮らしている。
黒点虎:申公豹のお供の霊獣。
余談だが、一部のキャラが『屍鬼』の漫画版(およびアニメ版)のキャラの原型になっている節が見られる。
関連タグ
封神100users入り 封神500users入り 封神1000users入り
仙界伝封神演義(SoulHunter) 覇穹封神演義 2018年冬アニメ