原典「封神演义」
小説『封神演义』ではただでさえボロクソな批評がなされている史実から更にアホな為政者としての一面が強調されており、劇中でも臣下達から「昏君」(暗愚な君主という意味、分かりやすく言えばバカ殿)と罵られている。
女媧の像を見て気に入り「嗚呼、こんな美しい女性がいればすぐさま妻に迎えるのに」という身の程知らずにも程がある詩を神殿に残してしまい、女媧を始めとした仙人界からの怒りを買い殷王朝滅亡の引き金を引いてしまった。その結果派遣されてきたのが千年の妖狐・妲己一味である。
えっ、殷で使ってたのは甲骨文字で漢字じゃない? 知らんな。
ただ、たかがいたずら書き程度で機嫌を損ねた神も大人げないし、何よりそれで巻き込まれて殺される臣下・民衆たちはたまったものではない。(もっとも、古今東西の神々は大概器の小さい者も少なくはないが…。)
また物語の中でも紂王の本来の素質自体は非常に高い物として描かれており、はっきり狂ったのは妲己が来てからである。
王として覚醒した、というより本来の姿に戻った最終版では威風凛々たる帝王ぶりを取り戻して見せ、太師聞仲仕込みの天才的な棒術を見せつけた。
安能版小説「封神演義」
安能務の手による解説版では、そもそも最初から仙界の陰謀の舞台として殷が選ばれた結果、故意に争いを引き起こされたというのが真相だとされている(わざと殷周革命を引き起こさせて、そこに崑崙・金鰲の争いを絡めて一気に金鰲一派を始末する、という策略。この場合、革命を「起こさせる」妲己と「成功させる」姜子牙は「仲間」となる)。
その陰謀ですら雲中子曰く「天命と言えば聞こえは良いが、天界ではすることが無いため、退屈しのぎに下界で戦乱を起こして楽しんでいるだけ」との事。
紂王のいたずら書きは事実だが、それを国家滅亡までの大火にしてしまったのは、むしろ天界と仙界の共同謀議(姜子牙いわく『卑劣な謀略』)にこそ原因があり、仮に紂王がいたずら書きをしなくとも近い内に事を起こしていた事も仄めかされており、紂王は真の被害者ともいえる。
藤崎竜版封神演義
紂王は古代中国の王朝「殷」の第30代皇帝(おかしいと思った君は正しいから全巻読んでみよう、きっと最後は納得するはずだ)である。若くイケメンで文武両道に長けた人物で名君であり、誰もが殷の更なる発展させると思っていたが、妲己の出現によりその思いは打ち砕かれる。
妲己(千年狐)が現れてからは宝貝・傾世元禳による魅惑の術に嵌り、妲己の操り人形になってしまう。その後妲己によって人体改造を施され続ける。
太公望らが所属する属国「周」が反旗を翻し、牧野の決戦の際に妲己に改造され、本来現れる事は無い秘められた力「殷王家の力」を強制的に発現させられ、怪物となって戦う(アニメ版『仙界伝封神演義』ではもはや人間の形すらしていなかった)。道士を寄せ付けぬ圧倒的な力をもって戦うが、その姿を見た両軍の兵士が皆恐れ、しまいには自軍の兵士に槍を突き立てられる。
結果、自分はもう王として人に慕われていないと自覚し、絶望して人に戻るが急に老け込み白髪の老人のようになってしまった。
牧野から帰還した紂王は、休憩によった朝歌のあばら家の住民にさえ殺意を向けられ意気消沈。もはや抜け殻となって玉座へ座っていた。
王天君によってセッティングされた黄天化との剣闘の後、周軍によって囚われ、公開処刑が確定。周の武王に首を刎ねられこの世を去る。
本心では、操られながらも妲己のことを愛していた。
なお、番外編と言える『異説封神演義』での扱いは真逆で、飴を持ち歩くバカキャラでお坊ちゃま。酔って裸踊りをするなど愚行を繰り返し、殷を崩壊させた。史実や本編と違い、悲惨な死は遂げない。
また、同人誌・中華演義選では英邁に描かれるなどファンも多い。が、姫発や土行孫とバカ殿・ドスケベチームを組んで女性陣からのサービスを受けたがるなど愛すべき馬鹿扱いも受けている。
関連タグ
殷郊:第一王子
殷洪;第二王子