概要
大森藤ノによるライトノベル。イラストはヤスダスズヒト。略称は「ダンまち」。
第4回GA文庫大賞〈大賞〉受賞。既刊は本編20巻、外伝15巻、短篇集3巻、特定のキャラの外伝が2本。
英語版でのタイトルはIs it wrong to try to pick up girls in a dungeon
2018年10月にArcadiaの書籍化作品としては初のシリーズ累計発行部数1000万部を突破。2024年3月時点では1700万部を突破している。
因みによく間違われやすいが、本作は小説家になろう発ではなく、Arcadia発である。(後から小説家になろうにも掲載はしていた)
そして、webに投稿されていたダンまちが『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 理想郷譚(プロトタイプ)』として、原作10周年記念プロジェクトの公式HPに掲載されている。
タイトルやイラストで誤解されがちだが、内容は英雄に憧れるだけだった主人公が様々な人物と出会い、仲間と共に冒険に挑みながら本物の英雄に成長していくという熱血かつ王道的なストーリー。またシビアな部分もあり、一部の人間達による悪意のある行為や、種族間の因縁や差別、身売りされる女性や恩恵を逆手にとった支配、国家間のにらみ合いなどといった明確な『悪』以外にも問題や危険を多く描かれている。その騒動に巻き込まれ、幼い子供などを含む無関係な一般人や、主要人物と近しい人物が死亡する時もあり、特に外伝は『闇派閥(イヴィルス)』との抗争がメインとなっていたためそういったシーンが多く、本編でも主人公達が成長していくにつれ同じような危険な場面が増えてきており、実際最終的には事なきを得たが、目の前で守ると誓った存在が一度は死亡してしまうという展開も起こっている。
作者曰く、タイトルの『ダンジョンに~』という題名はプロローグのタイトルで、本来は書籍前に改題した『眷族の物語(ファミリア・ミィス)』という題名にするつもりだったと何度か呟いている。しかしながら、現在のタイトルの中に入っている『出会い』というワードは、作中においても重要な要素の一つとなっている。
そして基本的にこの物語は、ベル・クラネルという一人の少年の一年間の冒険の軌跡である為、外伝も合わせれば三十巻近く出ているが、時系列的には未だに半年しか経っていない。
本編では現在までに第5部まで進み、第5部完結である第20巻のあとがきで、第6部が最終章であると綴っている。
コミカライズの本編が『ヤングガンガン』にて連載中。作画は九二枝氏。
10巻まで発売されていたが、2018年に理由は明かされていないが突然休載となり、現在も連載の目途が立っておらず、事実上の打ち切り状態となる。だが、2019年12月より作画を矢町大成に交代し、原作7巻である「春姫編」から連載が再開された。既刊5巻。
外伝『ソード・オラトリア』のコミカライズ(作画・矢樹貴)が『月刊ガンガンJOKER』にて連載中。既刊26巻。
『ファミリアクロニクルepisodeリュー』(作画・桃山ひなせ)が『ガンガンONLINE』にて連載された。全6巻。
『ファミリアクロニクルepisodeフレイヤ』(作画・桃山ひなせ)が『マンガUP』にて連載された。全5巻。
また、アプリ『メモリア・フレーゼ』にてepisodeリューがフルボイス付きで実装されており、2021年の冬からはepisodeフレイヤが実装を開始した。
また、イベントの一つだった「聖夜の夢想歌(トロイメライ)」(作画・汐村友)が『マンガUP』にて連載中。既刊3巻。
テレビと映画で、アニメ化がなされている。これに関する詳細は後述。
ストーリー
迷宮都市オラリオ――『迷宮(ダンジョン)』と通称される壮大な地下迷宮を保有する巨大都市。
未知という名の興奮、輝かしい栄誉、そして可愛い女の子とのロマンス。
人の夢と欲望が全て息を潜めるこの場所で、少年は一人の小さな「神様」に出逢った。
「よし、ベル君、付いてくるんだ! 【ファミリア】入団の儀式をやるぞ!」
「はいっ! 僕は強くなります!」
どの【ファミリア】にも門前払いだった冒険者志望の少年と、構成員ゼロの神様が果たした運命の出会い。
これは、少年が歩み、女神が記す、
――【眷族の物語(ファミリア・ミィス)】――
登場人物
ダンまちの登場キャラクター一覧を参照。
世界観
数千年以上前、ダンジョンと呼ばれる巨大な大穴から無限に産み出されるモンスターによって多くの人々が蹂躙されており、モンスターと戦った英雄たちの活躍が、様々なお伽噺(英雄譚)として現代に伝わっている。種族間の垣根を越えるまでは止めどなく溢れてくる物量に一度は絶滅寸前まで追い込まれている為、人々の間ではモンスター=悪は共通認識として浸透している。千年前に一人の大英雄がなし得たある偉業によって天界から神々が降臨し、『神の恩恵(ファルナ)』をもたらし、神の眷族となることで、人類がモンスターを退けていくようになっていく。そして神と眷族となった人間が『ファミリア』を組織し、多くのファミリアがオラリオに集い、世界の中心であり謎多き迷宮の攻略に日々挑み続けている。
神時代
約千年前、ダンジョンに蓋をした後に神々が現れ、ファミリアが作られるようになってから、現代にいたるまで使われている時代の名称。
用語
汎用
天界より降り立った不変不滅の超越存在(デウスデア)。下界の住人に神の恩恵を与えて強化できる。常に発する神威から一見して神と判別できる。下界の住人達の嘘を見分けられる。下界では神の力の使用を禁じられている。
「神の眷族」の意味であり下界に降りた神が神の恩恵を与えた人々を集めて組織した集団。ファミリアの主である神は主神と呼ばれ、主神の名を冠して呼ばれる。
- 神の恩恵(ファルナ)
神が扱う【神聖文字(ヒエログリフ)】を神血(イコル)を媒介にして刻むことで対象の能力を引き上げる、神のみに許された力。授かった時点で常人離れした身体能力にスキルなど様々な効果が得られる。
- モンスター
ダンジョンから産まれ落ちる人間の敵。
詳細はダンまちの登場モンスター一覧を参照。
- 冒険者
神の恩恵を授かり、ダンジョンでモンスターと戦い、そこから得た収入で生計を立てる者の総称。Lv.1が下級冒険者、Lv.2が第三級冒険者、Lv.3~4が第二級冒険者、Lv.5から上が第一級冒険者に分類される。
能力関連
- ステイタス
『神の恩恵』によって示される能力の総称。基本アビリティ、発展アビリティ、スキル、魔法(呪詛)、眷族の階位を示すレベルから構成される。
- レベル
神の眷族の階位を示す数値。階位の昇華(ランクアップ)には任意の基本アビリティがD以上となり、自分の限界を突破するような特別な経験(偉業)を積む必要がある。レベルの上昇は器の昇華と同義であり、アビリティの数値以上の心身の強化がされる。階位の上昇は上位存在たる神に一歩近づくことを意味する。レベルの差は戦闘において致命的である。本編での最高位はLv.7だが、過去にはLv.8やLv.9の眷族も存在した。
- 基本アビリティ
『力』『耐久』『器用』『敏捷』『魔力』の五項目からなり、0~999の数字で表される熟練度とS、A、B、C、D、E、F、G、H、Iの十段階のアビリティ評価で記される。【経験値(エクセリア)】を『神の恩恵』で更新することによって熟練度を上昇させることができる。
- 発展アビリティ
基本アビリティよりも専門的な能力。Lv.2以降のランクアップの際に発現する可能性があり、I-Sの等級が存在する。発現する能力はこれまでの行動や経験と相関が存在する。
- スキル
様々な要因によって発現する特殊能力。魔法効果の補助や力の強化など戦闘に役立つものも多い。
- 魔法
精神力(マインド)というエネルギーを消費して超常現象を引き起こす力。発動するには詠唱を必要とし、詠唱が長いほど効果が強力になる傾向がある。最大3つまでの魔法を獲得が可能。
- 呪詛(カース)
通常の魔法とは異なる「呪い」に分類される力。魔法と同じく詠唱によって発動し、肉体や精神に致命的なデメリットを引き起こす。防御と治療には専用の魔道具か魔法が必要であり、『耐異常』の発展アビリティでも防御出来ず、強力な力な反面、術者に代償を伴いこの点が魔法との違い。
アイテム関連
- ヴァリス
下界の通貨単位。『学区』では、「ラグナ」という独自の紙幣通貨が使われている。なお、1ヴァリスは3ラグナに相当する。
- 魔石
ダンジョンのモンスターの生命の核として存在する結晶。加工する事で資源として活用でき、ギルドでの換金が可能で冒険者の主な収入源となる。オラリオの収入源の一つで、ヴァリスと交換できる。魔石による魔石製品も作られている。
- 魔剣
魔法を放つ武器。高レベルの鍛冶アビリティをもつ鍛冶師が作製できる。誰でも速効で魔法を使用できるが眷族の使う魔法より効果は低く、一定回数以上の使用により砕け散るため消耗品である。クロッゾの一族により製作された『クロッゾの魔剣』は魔法の出力、使用限界、強度共に規格外の性能をもつ。
- 魔道具(マジックアイテム)
魔法的・超常的な効果をもたらす道具の総称。製作には神秘のアビリティが必要になる。
種族関連
- 人間
ヒューマンはいわゆる人間であり、亜人のエルフ、ドワーフ、アマゾネス、小人族(パルゥム)、獣人などの種族が登場しこれらを作中では人間と総称する。
- 精霊
神が降臨する前の古代において、モンスターを排除するために神々が下界に放った人間の導き手であり、神の恩恵とほぼ同じ役割を担い、英雄を力を貸していた存在。人間と子を成せないが、何らかの何らかの事情で精霊の血をその身に宿す人間も存在する。
地理・組織
物語の中心となる舞台。世界で唯一「迷宮」が存在する「迷宮都市」。
詳しくは個別記事へ。
物語のもう一つの中心舞台であり、作中で最も重要な存在。詳しくは個別記事へ。
- メレン
オラリオ南西部に存在する、ロログ港湖畔に位置する港町。漁業が盛ん。
- ラキア王国
男神アレスが治める、オラリオ西部に存在する国家。他国や他都市に戦争を仕掛ける軍事国家であり、60万を超える全ての軍人は神の眷族だが、ダンジョンが無いためにステイタスは低い。
- テルスキュラ
女神カーリーが治める、オラリオの東南に位置する断崖絶壁に囲まれた半島を領地とするアマゾネスの国家。男子禁制のためアマゾネスの聖地と呼ばれる。真の戦士を目指して眷族たちは互いに殺し合いの研鑽を積んでおり、ダンジョンは無いが眷族達のステイタスは高く、オラリオの上級冒険者にも匹敵することから世界勢力の一つとなっている。
- アルテナ
魔法大国。魔法使いが強い権力を持つ国家。多くの力ある魔法使いを有するオラリオを目の敵にしている。
- シャルザード王国
episodeフレイヤに登場した砂漠の国。
- オリンピア
世界で最も古い古代都市。3000年前に天界から落ちた火を中心に作られた。
- 朝廷
作者のTwitterで判明。極東の国そのものが、ファミリアの超巨大派閥。
- メイルストラ
女神アフロディーテが拠点を置いている歌劇の国。
- ベルテーン
女神ヴェーラが治める国家。外部とのやり取りを滅多なことでは行わない辺境の国で、国家系とは言ってるものの村くらいの規模しかもたない小さな集落らしい。
正式名称は『海上学術機関特区』。超巨大船『フリングホルニ』を校舎とする移動教育機関。
- 剣製都市ゾーリンゲン
本編の5年前に、リュー・リオンの必死の懇願でオラリオから去った女神アストレアが、いつかリューの助けになるかもしれないと考えて新たな【アストレア・ファミリア】の本拠地とした、世界きっての『刀剣製造都市』。
本編15巻で、ラキア王国を飛び出したヴェルフ・クロッゾが一時期滞在していた都市でもあり、ヴェルフはこの都市の鍛冶場でヘファイストスと初めて邂逅した。なお、その時の名称は「剣製都市ゾーリンガム」と描写されていた。
余談
作者である大森氏は「かわいい女の子はもういいから、渋いドワーフやイケメンのエルフも書きたい」と、劇中劇でコメントしている。これが本当かは不明だが、容赦なくキャラクターをぶっ殺したいのを止められたりするなど、編集部との間にささやかな対立はある模様。
アニメ
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか(アニメ)を参照。
理想郷譚 プロトタイプ(WEB版)
デビュー前Arcadia(小説投稿サイト)投稿時の原稿を10周年記念復刻連載。理想郷譚
続編に『妖精の枝史』がある。
相違点の一つWEB版のリューと『妖精の枝史』の成り立ちはリュー・リオンを参照。
関連タグ
#コンパス:2020年7月にコラボイベントが開催。アイズ・ヴァレンシュタインがプレイアブルキャラクターとして実装された。