意味
- (既成の不利益な局面を)局面が成立する以前の望ましい状態に戻すこと。「汚名(悪名、不名誉)を挽回」「遅れを挽回」「劣勢を挽回」など。
- (抽象的なものについて)失ったものを取り戻すこと。「名誉を挽回」「勢力を挽回」など。
1.は挽回の従来の用法で、望ましくない現状を補語(連用修飾語)にとる。敗局(黒星)を挽回、荒地を挽回、苦境を挽回、失敗(失策)を挽回、退勢(衰勢)を挽回、赤字(損失)を挽回、不振(不調)を挽回...など豊富な組み合わせで用いられる。
2.は1.から派生した解釈で、取り戻したいものを補語にとる。組合せはある程度限定され、たとえば1.の「悪評を挽回」「不景気を挽回」に対して2.では「好評を挽回」「好景気を挽回」とせず「評判を挽回」「景気を挽回」と中立的な言葉をとる。ただし、これらは「危険な状況を挽回」「粗悪の烙印を挽回」「無能のレッテルを挽回」などと同じく「悪い評判を挽回」「悪い景気を挽回」から「悪い」を省略した1.の用法としても解釈することができる。
従来の「汚名挽回」や「不名誉挽回」が「名誉挽回」と同義となるのは、1.に基づいて「汚名(不名誉)を着せられる以前の状態に戻す」と解釈するものであって、2.に基づいて「失った汚名(不名誉)を再び取り戻す」と解釈するものではないからである。