明鏡国語辞典
めいきょうこくごじてん
コミュニケーションは語彙力から
日本語の疑問を解決。表記・敬語・誤用・語法などの解説が圧倒的に多い。「部長から寸志を賜る」「アニメ好きの血がうずく」「人類は科学の恩恵にあやかってきた」といった誤用とされている用法も取り上げている(なお、この「うずく」は三省堂国語辞典と三省堂現代新国語辞典では誤用の表示なしで載せている。用例は両者とも「勝負師の血がうずく」)。
新語や俗語も多く、「SDGs」「四継」「義実家」「ありよりのなし」や、俗語系では「ショタコン」「ノンケ」「貧乳」「巨乳」「バグる」「もふもふ」「肉々しい」「ディスる」「バズる」「イケボ」「無理ゲー」「イキる」「w(ダブリュー=笑い)」「なる早」「塩対応」「SNS映え(「映え」の用例)」「わかりみ(接尾語「み」の補説)」「フルボッコ」なども載っている。
第二版では、多くの電子辞書と、一部のスマートフォンに内蔵されている辞書で採用されていた。なお、書籍版と電子版では、用例が後者より少なくなっていた。
第三版は二色刷りになり、語釈と用例で書体が変わって見やすい紙面となった。語釈でゴシック体が用いられるのは類書初。箱のデザインは水色と青の市松模様で、某キャラクターの羽織をほうふつさせるものとなった。第三版で別冊付録は「明鏡 利活用索引」と改められ、内容が本文に組み込まれた。付録の索引では、難読語の画数索引とアルファベット語の索引が新たに加わった。
表記欄は「書き分け・書き方」の2種類になり、また「読み分け」の欄も新設され、漢字の読み方や表記に関する解説が全面的に改められた。異字同訓の漢字の使い分け例(平成26年)にも対応。
新たに「品格」欄も設けられ、例えば「少し」の類義語に「幾分・いささか・一毫・一抹・一縷」など、ほとんど硬い言葉が用例とともに掲げてある。
語の位相表示で、比較的古めかしい用法には〔古風〕、新語や近年用いられるようになった用法には、旧版に収録されている語や用法も含めて〔新〕の表示がされるようになった。例「エモい・推し・鬼のように」「(話の)キモ・(ゲームに)課金・(写真を)盛る」。
ちなみに第二版では俗語とされていた語や用法で、第三版では俗語でなくなったのもいくつかみられる。〔俗〕の表示がなくなった語や用法の例「朝一・(せりふを)噛む・(いらだつ意味の)切れる・激辛・こっぴどい」。また「(俗な意味の)萌え・(予定が)かぶる」などのように〔俗〕から〔新〕となったのもある。
なお、新規項目で「日本産業規格・山の日・令和・SDGs」などの類には〔新〕はついていないので、俗語の表示は〔俗〕と〔新〕の二種類になったとみたほうがよいだろう(第二版でも〔俗〕、すなわち俗語は『改まった場では使いにくい卑俗なことば、新しいことば』とあった)。
2022年の第二刷では、語義区分が追加された項目もあった。「刺さる②〔新〕」「二次元②〔新〕」「沼②〔新〕」「履歴②」「聖地②」など、主に近年用いられるようになった用法が掲載された。その分、既存の項目は用例などの文字数の削減がなされた。
項目数
約73,000語〔第二版より+約3,500語〕
▼「沖つ」などの古語、「薬事法」「日本工業規格」のように法改正で旧称になったものなど、第二版の書籍版から削除された項目も少なくない。「もと」は3つあった項目が1つに統合された。また、「苦心惨憺」「風光明媚」「唯一無二」など、四字熟語は用例から独立して見出し語になったのもある。
一方、書籍版で削除された項目については、2022年以降に発売された電子辞書に搭載された同辞書第三版の電子版にはすべて載ってあり、内容も書籍版の第三版と同じ方針で掲載されてある。また、「日本産業規格」などのように書籍版と語釈が異なる例もある。
ページ・判型
1,922ページ
※複合語は追い込みでは立項されておらず、かつ語義区分が多い語は、新しい行ごとにブランチが組まれているのでページ数は多め。
第二版は1,954ページ(別冊96ページ)だが、第三版は判型が少し大きくなり、本文のレイアウトも更新され、それによってページ数も圧縮された。また、文章語や雅語の位相表示や、常用漢字一覧のページがなくなった。また、語義区分で①②…より細かく分ける片仮名の語義区分が、第三版ではなくなった。片仮名の語義区分は(文型表現を除き)すべて①②…のように普通の意味区分となり、統合されたものもいくつかある。
B6判・B5判
※第三版の大型版は、第二版の大型版よりも一回り大きくなった。もちろん2色刷り。B5判は小学館の大辞泉第二版と同じ判型。