三省堂現代新国語辞典とは?
「三省堂国語辞典」から派生した、高校生にはうってつけの国語辞典。「現代」と名乗っていることもあり、現代語や近年生じた意味や用法の採録に積極的(この点の編集方針は三省堂国語辞典と共通)。「誤爆」「爆死」「反則」「マウント」「ギガ」「ととのう」などの新しい用法も収録。高校の教科書に合わせて改訂の作業が行われることもあり、次の改訂版までの出版の間隔が短い。
かつては「三省堂現代国語辞典」として発行したが、改題してこの書名になる。本書では特に高校生の学習用に特化されているため、語釈に分かりやすい表現を用いている。収録語数も7万語台と、一般向けとしても十分に用いられる。
本書の特徴
- 高等学校の国語の教科書に掲載されている語が丹念に採録されている。また国語に限らず、教科書や評論文に書いてある語句や語彙も、科目特有の定義や、大型の辞典に載っていないものまで、広く採録してある。また、第七版では主要な古語も収録された。
- 全ての常用漢字の項目に、原則5~6段階(「鬱」は13段階)の筆順付き。2017年公示の学年別配当や小中高の音訓割り振りにも対応。字義ごとの熟語や、独自の手書きの字体解説も示してある。
- 平成26年に告示された、最新の「『異字同訓』の漢字の使い分けの例」に対応。使い分けが明確に解説されている。同音異義語も、それぞれ別項目として載っていて、見出しの上に「相互参照の矢印」も示してある。
- その語の標準的な表記と参考表記が分けて示してある。その語は、どのように表記すれば相手に伝わりやすいのかが分かる。
- 平成19年に告示された、「敬語の指針」にも対応。それぞれの語の、敬語での言い方は、〔尊敬〕〔謙譲〕のラベルで示してある。
- 対義語・類義語や関連語も、多く示されている。言葉の使い分けの解説も示してある。「ことばの世界」では、その語に関係する熟語・故事成語やことわざなども掲げてある。
- 巻末は、ABC略語、画数で引ける難読語一覧、敬語解説、手紙の書き方、季語一覧などの付録がある。
- 笑う意味での「w」も、ABC略語集で掲げてあり、第五版で三省堂国語辞典に次いで掲載された。さらに、第六版でネットスラングの「草」や、「ググる」「orz」「イキる」「バズる」「沼」「(ツイッターの)FF」「JK」なども類書をしのぐ勢いで追加された。第七版でも「(アニメなどの)履修」「(女性の同性愛の意で)百合」「やんでれ」「りょ」「ぴえん」「バ先」などが追加された一方、「(ツイッターで)呟く」「ツイート」などTwitter(現X)でしか使われない用語は削除された。
- [くだけた言い方][大げさな言い方][ぶっきらぼうな言い方][隠語的な言い方][若い世代の言い方][新しい言い方][硬い言い方][古風な言い方]など、その語の用法やニュアンスなどが多く示されている。
書籍情報〔第七版〕
項目数
78,500語〔第六版より約3,000語追加〕
▼現代語と古語の両方の用法がある語は、同一の項目に加筆される形で追加された。また、巻末の英語略語のページ数が大幅に増え、項目数が1,130→1,640になった。なお、新語が増補されただけでなく、本文にあった大部分の英語の略語は巻末のほうに移動した。また、固有名詞の項目が第七版で多く削除された。
また書籍購入者特典として、クイズを解答すれば無料で利用できるウェブサイト版が2024年春に提供される。
編者
小野正弘〔主幹〕・市川孝・見坊豪紀・飯間浩明・中里理子・鳴海伸一・関口祐未
発行日
2024年1月10日発行
- 1998年11月20日 第一版発行
- 2004年01月10日 第二版発行
- 2007年11月10日 第三版発行
- 2011年02月25日 第四版発行
- 2015年01月10日 第五版発行
- 2019年01月10日 第六版発行
▼第五版では、本文の端に「ファイナル>ファンタジー」と書いてあり、一時話題になった。
ページ・判型
1,792ページ B6判
▼余談だが、新明解国語辞典第八版と同じページ数である。
関連タグ
同出版社の国語辞典