旺文社国語辞典とは?
サービス精神旺盛な、王道の一冊。語釈は簡潔かつストレート。一般語や古語のみならず、地名・人名などの固有名詞や、和歌や俳句なども含めた、幅広い分野の語を収録。単漢字の項目では、常用漢字と人名漢字がすべて掲載されている。
常用漢字には筆順・小中高の音訓割り振りも示されている。人名漢字は、巻末の人名漢字一覧で部首ごとにも並べてある。国語辞典の中では、この辞典がいちばん改訂の回数が多い。第十二版では新たに「はじまり」欄が設けられ、その事物についてどのように生じたのかの経緯が記載されている(索引もあり)。
また、辞書界隈ではこの国語辞典のファンの名称として「王国民」をもじって「旺国民」と呼称することもある。
旧、第十一版の重版
他の国語辞典では、重版で内容を書き換えることは少ないか、あまりない。しかし、旺文社国語辞典第十一版は重版を発行するたびに、小規模ではあるが新規項目を追加したり、既存の項目の内容を更新したりすることがあった。
第十一版は2013年発行だが、改訂後に追加された人名用漢字の「巫(フ・みこ・かんなぎ)」や「渾(コン・すべて)」、さらに「山の日」「ジョージア」など新規項目が重版でこっそりと追加された。「選挙権」が2016年6月から満18歳以上になることについても、重版で反映された。「創る」の表記も、のちに発行された重版で「作る」の補説で示されるようになった。
2020年の重版では、新規項目で「令和」「北マケドニア」や、例えば祝日の「体育の日」で「スポーツの日」について追記されるなどの内容の更新があった。また、2020年から完全施行された新学習指導要領の学年別漢字配当表(教育漢字)の1026字にも完全対応。小中高の音訓割り振りも最新のものになった(なお、付表の都道府県名は追記されていない)。
これらの内容の更新によって、既存項目の解説の一部や用例が削られることがあるが、特に解説に大きな違いは見られない。なお、11版の発行後に改称されたものをことごとく重版で立項するわけではなく、「アーティスティックスイミング」「顕性」「日本産業規格」などは重版では反映されなかった。
ちなみに2021年の重版では、新型コロナウイルス関連の語は追加されなかった。
旺文社国語辞典の特徴
- 国語辞典では唯一、複数の意味を持つ重要語には「中心義」が掲げてあり、その語の中核となるイメージを簡単につかむことができる。
- 「類語」「使い分け」「ちがい」「敬語」「はじまり」欄などが掲げてあり、語の微妙なニュアンスや周辺知識も学べるようになっている。
- さらに、「語源」や、言葉の意味の変化が分かる「変遷」欄も掲げてある。
- 巻末には「手紙の書き方」「英語略語集」「季語集」「世界文化史年表」など、多くの付録が掲載されてある。
書籍情報〔第十二版〕
項目数
約85,000語〔第十一版より+1,500語〕
編者
池田和臣・山本真吾・山口明穂・和田利政
発行日
▼なお、通常版は2023年10月20日にすでに大型の書店では並んでいた。本書は他の国語辞典とは異なり、増刷の発行日の表記は年度のみで、日付は書かれていない。
ページ・判型
1,744ページ
B6判(普通版)・B6小型判(小型版)
アプリ版もあるよ
公式で「書籍購入特典として、本と同内容のアプリ版付き」とある。
2021年にiOSとAndroidで使える「旺文社辞典アプリ」がリリースされたが(このときは同出版社の中学生向けの国語辞典・漢和辞典がある)、本書の第十二版も、同出版社から発売されている「漢字典」とともに2024年3月にリリースされた。書籍付属のシリアルコードを入力すれば、無料でアプリ版が利用できるようになる(書籍版を購入しなくても、アプリ内購入でアプリ版が利用できるようになる)。
関連タグ
同出版社の中学生向け国語辞典。