概要
女神信仰の起源は定かではないが、少なくとも2万年前には世界各地で地母神崇拝を発展させてきた。文字を発明する以前から、農業を行う以前から、人類は手乗りサイズの女神像を作り、ノウハウを後世に伝えた。
詳しくは地母神ページを参照。
中東で広く信仰されたイシュタルは、ユーラシア大陸各地の地母神信仰に多大な影響を与えた。
ヒンドゥー教ではデーヴィーたちへの信仰が盛んである。男神たちと同様に様々な化身を持ち、それぞれ配偶神や化身と神話において深く結びついている。
また、仏教では元々、インド土着のヒンドゥー教(バラモン教)の神々の多くを天部と呼びさほど特別視しないが、弁財天、吉祥天などの女神が仏法の守護神として取り込まれている。
阿羅漢は女性でもなれるが如来は男性しかなれないとされるため、女の如来は存在しない。(ただし絶世の美女を「生き如来」とあえて表現した歴史は古い。)
菩薩には女性もおり、ターラー(多羅菩薩)は女性の尊格である。観世音菩薩は男性の尊格であるが、法華経に記された三十三身(化身)には女性も含まれており、東アジア及び日本では女性的な容姿で描かれることも多い。
ローマではギリシャ人が信仰した神々を引き継いで信仰したが、実はポエニ戦争前後からエジプト由来のイシス信仰も伝来しており、彼女を祀ったイセウム神殿は現在もオベリスクを遺している。
欧米で近代に興ったペイガニズム(新異教主義、異教復興主義)やニューエイジでも女神は重要な存在である。
ペイガニズムではヨーロッパ各地の神話から、ニューエイジでは世界中の神話から引用される。
ニューエイジにおいて前述の観音菩薩は当然、女神として扱われる。
ちなみに、男性の神のことは男神(だんしん、おがみ)と呼ばれる。
女神の一覧
ギリシャ/ローマ系
ギリシャ神話とローマ神話の神は対応関係にあるものがあるため、対応する女神はセットで記述する。
名前(ギリシャ) | 名前(ローマ) | 説明 |
---|---|---|
ガイア | テルス | 地母神。カオスのみから生まれ、自分もエロス、エレボス、ウラノス、ポントスを自分のみで生んだ。後にウラノスを夫としてその間にも多くの子を生んだ。 |
ニュクス | 夜の女神。カオスの娘。 | |
ヘメラ | 昼の女神。 | |
レア | 地母神。 | |
テミス | 掟の女神。 | |
テテュス | 水神達の母。 | |
ムネモシュネ | 文芸の神々の母。 | |
ディオネ | ウラノスとガイアの娘。 | |
テイア | ヘリオスやセレネの母。 | |
ポイベー | レートーの母。 | |
レートー | ゼウスとの間にアポロンとアルテミスを生んだ。 | |
エオス | アウロラ | 暁の女神。 |
セレネ | ルナ | 月の女神。 |
デメテル | ケレス | 豊穣の女神。オリュンポス十二神/ディー・コンセンテスの一柱。 |
ヘラ | ユーノー | 結婚、女性らしさの女神。ゼウス/ユピテルの妻。オリュンポス十二神/ディー・コンセンテスの一柱。 |
ヘスティア | ウェスタ | かまど、家内の女神。オリュンポス十二神/ディー・コンセンテスの一柱。 |
アフロディーテ | ウェヌス | 愛と美の女神。英語読みはヴィーナス。オリュンポス十二神/ディー・コンセンテスの一柱。 |
アテナ | ミネルバ | 戦いと知恵の女神。オリュンポス十二神/ディー・コンセンテスの一柱。 |
アルテミス | ディアナ | 月と狩猟の女神。オリュンポス十二神/ディー・コンセンテスの一柱。 |
ペルセポネ | 花と春の女神。冥府の支配者ハデスの妻にされたため冥府の女王でもある。ゼウスとデメテルの娘。 | |
ヘカテー | 冥府に住む神。 | |
アンピトリテ | サラキア | 海の女神。海を司る神ポセイドンの妻。 |
クロートー | ノーナ | 運命を司る女神モイライ/パルカエの一柱。人間に与える運命の糸(寿命)を紡ぐ。 |
ラケシス | デキマ | モイライ/パルカエの一柱。運命の糸の長さをはかる。 |
アトロポス | モルタ | モイライ/パルカエの一柱。運命の糸を切る。 |
プシュケ | 名前は「魂」を意味する。元は人間だったが愛の神エロスと相愛になり、二人が結ばれるのをアフロディーテ(エロスの母)に認めさせるためにゼウスが神にした。 | |
エリス | 不和の女神。 | |
テティス | 海の女神の一柱。英雄アキレウスの母。 | |
イリス | 虹の女神。 | |
テュケー | フォルトゥナ | 運命の女神。 |
アストライアー | 正義の女神。ギリシャ神話のディケー、ローマ神話のユースティティアと同一視される。 | |
ユースティティア | 正義の女神。ギリシャ神話のテミス、ディケー、アストライアーと同一視される。“Justice”の語源。 | |
ニーケー | ウィクトーリア | 勝利の女神。 |
北欧神話系
名前 | 説明 |
---|---|
フリッグ | オーディンの妃、母性と出産の女神。 |
フレイヤ | 愛の女神、豊穣の女神。 |
ヘル | 冥府の女神、体の半分が腐敗しているといわれる。 |
イドゥン | 青春の林檎の管理者、神々に若さをもたらす女神。 |
ウルド | 運命の女神ノルンの一柱。過去を司る。ヴェルザンディ、スクルドの姉。 |
ヴェルザンディ | ノルンの一柱。現在を司る。ウルドの妹、スクルドの姉。 |
スクルド | ノルンの一柱。未来を司る。ウルド、ヴェルザンディの妹。 |
シフ | トールの妻、美麗な金髪で知られる。 |
ナンナ | バルドルの妻、夫の葬儀にて後を追う。 |
シギュン | ロキの妻、ラグナロクまでロキを守っている。 |
ソール | 太陽の神。 |
神道系
漢字表記も読みも色々なので独断と偏見で記載。
名前 | 説明 |
---|---|
イザナミ、黄泉津大神 | 国生みの母、黄泉の支配者、神代七代の七代目。 |
天照大神(アマテラス) | 太陽の女神、三貴子の一柱。明治時代に最高神と位置付けられる。 |
瀬織津比売(セオリツヒメ) | 祓戸四神の一柱、天照大神の荒御魂。鈴鹿権現、鈴鹿御前。 |
神産巣日(カミムスビ) | 造化の三神の一柱。 |
栲幡千千姫(タクハタチヂヒメ) | オモイカネの妹。 |
埴安神(ハニヤス) | 土の神。 |
櫛名田姫(クシナダヒメ) | スサノオの最初の妻。 |
菊理姫(ククリヒメ、キクリヒメ) | シャーマンの女神。 |
天宇受売(アメノウズメ) | 神々の前で全裸に近い姿で踊った女神。 |
木花咲耶姫(コノハナサクヤヒメ) | 繁栄と美の女神。 |
石長姫(イワナガヒメ) | 長寿の女神。 |
豊玉姫(トヨタマヒメ) | 海神の一柱。 |
玉依姫(タマヨリビメ) | 豊玉姫の妹。神武天皇の母。 |
田霧姫(タキリヒメ) | 航海、交通の安全を守る宗像三女神の一柱。 |
湍津姫(タギツヒメ) | 宗像三女神の一柱。 |
市杵嶋姫(イチキシマヒメ) | 宗像三女神の一柱。 |
道教系
ヒンドゥー教系
仏教にも取り込まれている。
名前 | 説明 |
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パールヴァティー | シヴァの妻、二神一体でアルダーナリシュヴァラとなる。 |
ドゥルガー | 戦いの女神。パールヴァティーと同一視されるようになった。 |
カーリー | 戦い、あるいは殺戮の女神。ドゥルガーの額から出現した。パールヴァティーと同一視されるようになった。 |
サラスヴァティー | 学問、芸術、水(河川)、豊穣などを司る女神。ブラフマーが生みだし自らの妻とした。 |
ヤミー | 原初の人間ヤマの妹であり配偶神。 |
ラクシュミー | 幸運の女神。ヴィシュヌの妻。 |
仏教系
漢訳名称で紹介する。
名前 | 説明 |
---|---|
弁才天(ベンザイテン)、弁天(ベンテン) | ヒンドゥー教のサラスヴァティーが仏教に取り入れられたもの。日本では七福神の一柱で、弁財天とも書かれる。 |
鬼子母神(キシモジン、キシボジン) | 夜叉、元は食人鬼であったが仏道に帰依し子供を守る女神となった。 |
吉祥天(キッショウテン) | ヒンドゥー教のラクシュミーが仏教に取り入れられたもの。 |
エジプト神話系
アイヌ神話系
ウガリット神話
シュメール神話系
名前 | 説明 |
---|---|
アヌ | 天の神。 |
エレシュキガル | 冥界の女神。 |
イナンナ | 戦いの女神。女性の繁殖力、愛の神。 |
ナム | 原初の海(Engur)の神。 |
ニンフルサグ | 地上の女神。 |
ニンガル | ナンナ(Nanna)の妻。 |
ニンリル | 大気の女神であり、エンリルの妻。ニップルの都市神の中の一柱。 |
アルメニア神話系
その他
名前 | 神話・出自 | 説明 |
---|---|---|
自由の女神 | アメリカ合衆国 | 銅像。 |
ホワイト・バッファロー・カーフ・ウーマン | スー族 | スー族の伝承に伝わる女神。 |
ネミッサ | アルゴンキン族 | アルゴンキン族に伝わる星を司る女神。 |
ハウメア | ハワイ | 豊穣の女神。 |
ネイシツアビネ | ミクロネシア | 植物を司る女神。 |
ネヘレニア | ケルト民族 | ケルト人に崇拝されていた守護神。 |
トゥラン | エトルリア | エトルリアの伝承に伝わる女神。 |
ロスメルタ | ケルト神話 | 豊穣の女神。 |
ベリサマ | ケルト神話 | 湖や川、炎や工芸を司る女神。 |
アスタルト | 地中海を中心とする世界各地 | 世界各地の広い範囲で崇められていたとされる女神。 |
イェマヤ | ヨルバ人 | オリシャ。水の女神。 |
オラパ | マサイ族 | 月の女神。 |
ナーン・クワック | タイ王国 | 幸運や商売繁盛をもたらす女神。 |
マドレモンテ | コロンビア | ジャングルの守護者。 |
創作に登場する女神
- アトロポス、ラキシス、クローソー(『重戦機エルガイム』、『FSS』)
- 城戸沙織、エリス、パラス、ティターン神族の女性陣(聖闘士星矢)
- 調和神ヴィシュヌ、蓬莱山のラクシュ(天空戦記シュラト)
- マーファ、カーディス(『ロードス島戦記』、『ソード・ワールド』等)
- フィーナ、レア(『Ys』)
- ベルダンディー、ウルド、スクルド(『ああっ女神さまっ』)
- スワティ(きゃんきゃんバニープルミエール以降)
- ダイコク、弁天お菊、ビシャモン、エビス、ホテイ、コトブキ壱号、コトブキ弐号(『はっぴいセブン』)
- 女神まどか(『魔法少女まどか☆マギカ』)
- 女神(サガ2)、ビーナス、ミューズたち、モイライたち(『Sa・Ga2秘宝伝説』)
- シェラハ(『ロマンシングサガ』)
- ミハール(『爆ボンバーマン2』)
- ネプテューヌ、ノワール、ベール、ブラン、マジェコンヌ(無印のみ)、イストワール(無印トゥルーのみ)(『超次元ゲイムネプテューヌ』;ただし、続編以降は下記キャラ含み女神の概念が全く異なる)
- ネプギア、ユニ、ラム、ロム(『超次元ゲイムネプテューヌmk2』)
- プルルート、ピーシェ、キセイジョウ・レイ(『神次元ゲイムネプテューヌV』)
- 天王星うずめ、暗黒星くろめ(『新次元ゲイムネプテューヌVⅡ』)
- ゾショネル ハーネラ バーサ グルーザ イシュタル 半神ダニカ(オウガバトルサーガ)
- マナの女神(『聖剣伝説』シリーズ)
- モリアン(『マビノギ』)
- ユピテルの姉妹(『神のみぞ知るセカイ』)
- アスタルテ(『ファイアーエムブレム 暁の女神』)
- ソティス(『ファイアーエムブレム風花雪月』)
- レナス・ヴァルキュリア、アーリィ・ヴァルキュリア、シルメリア・ヴァルキュリア(『ヴァルキリープロファイル』)
- エヘカトル、ルルウィ、ジュア(『Elona』)
- ネール、フロル、ディン、ハイリア(『ゼルダの伝説』)
- パルテナ、冥界女王メデューサ、女戦士パンドーラ、自然王ナチュレ(『新・光神話パルテナの鏡』)
- ファイナルファンタジーⅥのキャラクター→三闘神
- 月の女神(ファイナルファンタジーⅣの雑魚モンスター)
- コスモス、マーテリア(ディシディアシリーズの女神)
- アクア、エリス、ウォルバク(『この素晴らしい世界に祝福を!』)
- 八坂神奈子、洩矢諏訪子、他多数(『東方Project』)
- エリザベス、リュドシエル、最高神などの女神族(『七つの大罪(漫画)』)
- ゆのは(『ゆのはな』)
- D、サリエル、白織(『蜘蛛ですが、なにか?』)
- SCP-166(『SCP Foundation』)
- 女神(『月が導く異世界道中』)
- メルフィーナ(『黒の召喚士』)
- ジュリィ、ジャニス(プリパラ)