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ヘカテ表記編集


※ヘカテのみでは両方(ヘカテ及びヘカテー)にヒットするため、マイナス検索では「ヘカテー」で絞り込むなどの工夫が必要になる。


概要編集

ヘカテーは、ギリシャ神話の魔術と冥府の女神である。

三叉路など、3という数字に縁をもつ。日本語では長音を省略してヘカテとも書かれる。

(参考Wikipedia【ヘカテ-】)この他ヘカーテという表記もある。


ギリシャ神話の神だが、もともとギリシャの外、アナトリア半島から持ち込まれた神である。

彼女の神名が古代アナトリアの言語で何を意味していたのかは不明。

太陽神アポロンの別名「ヘカトス(遠くへと矢を射る者)」やエジプト神話の多産の女神ヘケトに関連付ける説がある。


ギリシャ神話に編入されて以降は、魔術幽霊、豊穣、浄化と贖罪、出産を司る冥府神とされ、その権限も冥王ハーデスとその貴妃・ペルセポネに次ぐ地位を得た。 ヘカテーはヘシオドスの『神統記』で、ゼウスから他の神よりも特に尊敬されての支配権を与えられ、さらにかつてティーターンが保持していた栄誉を一人で独占する存在といわれる。またティーターンの末裔で天空神ウラノスの孫に当たり、月と狩猟処女神・アルテミスとは従姉妹関係にあるとされている。


ティタノマキア(世代交代戦争)ではゼウス軍に属し、クリュティオスという巨人を松明で殴り倒す(『ビブリオテーケー』)という勇ましい姿を見せている。その他、ヘラクレスの生誕でとばっちりを喰らいイタチに変えられたアルクメネの侍女・ガランティスを自身の聖獣として囲ってやったり、ペルセポネの誘拐で太陽神ヘリオスとともにデメテルに誘拐の一報を伝えたりと、割と出番は多い。


家族編集

ティーターンの一人クレイオスの子ペルセースの娘とされる。ペルセースの子を産んだのはティーターンのコイオスポイベの娘アステリアーである。アポロニウス・ロディウスの『アルゴナウティカ』等によると一人っ子である。母アステリアーの姉妹のレートーアポロンアルテミスの母であり、この二人とヘカテーはいとこにあたる。

バッキュリデースの詩ではニュクスの娘とする表現がなされ、オルフェウス教の頌歌ではデメテルが母とされる。アルテミス同様、特定の配偶神を持たず処女神として扱われるが、怪物スキュラの母クラタイイスをヘカテーとする説がある。シケリアのディオドロスはキルケーの母ペルセーイスとメーデイアの母エイデュイアをヘカテーと同一の存在だとした。


神格・信仰について編集

ヘカテーに祈る者は力と戦勝を獲得し、他の神と共に崇拝されるべき豊饒の神として語られる。またあらゆる成功を招く神としても崇められ、旅人の守護神とされるヘルメスとともに旅路の安全を祈願された。こうした恵み深い神としての性格を持つ一方で、と同一視されてと魔術、秘儀の支配者とみなされ、ヘカテーは狂気を司る女神として恐れられる。

時代が降ると共にその姿も三つの体を持つ姿で描かれ、『アルゴナウティカ・オルフィカ』のように獅子の首を持つ異形の姿で表現されることもあった。ヘカテーは松明を持って猛犬や亡霊を従えた姿で表され、猛犬が冥府の番犬ケルベロスであることすらあった。

特にヘカテーを構成する“3”の数は「誕生・生・死」「過去・現在・未来」を象徴しており、前述の三つの体も天上・地上・冥府での姿であるとして、それぞれセレーネー、アルテミス、ペルセポネと結び付けられ一体化された。魔術を行使する者は真夜中に三又路で儀式を行って彼女の加護を受けようとした。ヘカテーへの供物として、卵、魚、黒犬の子、黒い雌羊の子が捧げられたという。また、侍女に復讐の三女神・エリーニュスたちと、冥界の妖精・ランパスランパード)、女怪エンプーサ吸血鬼モルモーを従えているともされた。

ヨーロッパ広域に伝わる超自然的存在の集団・群れによる空中騎行「ワイルドハント」を率いるとされた存在の一人である。


教父ヒッポリュトスの『全異端反駁』では「ボンボ(Bombo)」という異称で唱えられる、ヘカテーへの祈祷文が引用されている。女神転生シリーズに種族「鬼女」で登場するボルボの元ネタは恐らくこれである。海外版では「Volvo」という表記になっているらしく、北欧の在来宗教の巫女・賢女「ヴォルヴァ(Völva)」と似ているが、教父文献での表記・読みからみても両者は無関係と考えられる。

ヴォルヴァ、ボルボ、という名称の神も、現存する北欧神話文献では確認できない。


キリスト教の普及と共に以上のヘカテー等の女神、地母神への信仰は邪教とみなされるようになり、その信者は「魔女」とされ歴史の表舞台から姿を消した。

しかし近現代に古代多神教が「ネオペイガニズム」「ウイッカ」として復興・再構築されると再び信仰されるようになり、ディアナと並び人気の高い神となっている。


関連タグ編集

ギリシャ神話


ヘカーティア・ラピスラズリ

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