魔術とは、不可思議な力を持って一定の現象を起こす力の事、またその総称である。
概要
いわゆる『魔法』と同意義の力。
一定の方法論と術式を用いることで、宇宙内に存在しうるあらゆる現象を発生させる力、またその方式の体系そのものをの事を指す。
一般的に魔法に比べるとオカルトのイメージが強く、特に近代に入って黒魔術や霊能力を中心とした一大オカルトブームが西洋中を席巻した歴史もあって、現在ではダークネスな印象が付きまとう。
「魔法」と「魔術」の違い
基本的に明確な違いはほとんどないが、それらを題材にした書籍の著者によって様々な解釈がなされ、場合によっては全く性質が異なっていることもある。
(例)
- 『魔法』または『魔術』が、どちらかの上位相関である
- 『魔術』が『魔法』を模した科学的な術式である
- 『魔法』と『魔術』では根本的な理論が異なる
また「魔法」自体が漠然としたイメージで語られることも多いため、魔術の方がより難解で学術的に取り扱われることが多い。
日本における魔術
日本においてグリモワール類の翻訳にはあまり恵まれなかったが、1980年代から90年代にかけてアレイスター・クロウリーやエリファス・レヴィなど、近世・近代における著名人の著作が積極的に和訳・刊行されていた時代があった。既刊書の品切れを出しつつも2000年以降も新刊が出てはいる。
現代に置いても個別の魔術師やグループは活動しているが、近世・近代の大物と比べると著作の邦訳もあまり話題になりにくい。
出版社なりの企業努力なのだろうが、西洋魔術、自然魔術で知られるスコット・カニンガムの著作の邦題に「開運」という「スピ系」寄りのワードがくっつけられる例がある。
邦題やキラキラな装丁により、一目では本格的な魔術文献とはわかりにくく、もともとディープな人にしか判別できない状態になっている。
日本における魔術文献邦訳刊行の大家として国書刊行会が知られている。
1984年刊の(クロウリーの)『法の書』では原書にないハッタリ(封がされていて、これを開いた後に禍が起こっても責任はとれないと書いたり)を仕込んだりとフリーダムであったが、それ以外は概ね堅実なデザインで本を出している。