君の目で確かめろ――
作品解説
富野由悠季が手がけるたガンダムテレビシリーズ。通称は「Gレコ」。
テレビ放送は2014年10月から2015年3月まで毎日放送およびCBC、TBS、BS-TBSのアニメイズム枠にて枠にて行われ、2015年1月にはBS11、TOKYOMXに於いて再放送が行われた。
ガンダムシリーズの深夜枠放送は再放送などを除けばこれが初のケースとなる(富野由悠季作品としても深夜枠放送は初)。
同時期にはテレビ東京系列にて『ガンダムビルドファイターズトライ』が放送され、史上初となるガンダムシリーズ2作品の同クール内同時放送が行われた。また、それに伴うコラボレーションキャンペーンも催されいる(単純な同年放送では『SDガンダムフォース』及び『機動戦士ガンダムSEEDDESTINY』の二作があるが、こちらは放送開始時期が異なる)。
通常のテレビ放送・Web配信の他、1~3話の劇場先行公開、dアニメストアでの先行配信なども行われた。
本作に於いて富野は監督のみならず全編の脚本を担当。富野がガンダムの長編アニメを手がけるのは劇場版機動戦士Ζガンダム以来10年、テレビシリーズは∀ガンダム以来15年ぶりとなる。
タイトルの「レコンギスタ」は、スペイン語で「再征服」を意味する「レコンキスタ」(特に歴史用語としては、中世にイベリア半島を支配していたイスラム勢力と半島の奪回・再征服を目指したキリスト教諸国の間で起きた一連の戦争を指す)を捩った造語であり、富野の「作品名に濁点と『ン』を入れない作品は成功しない」というルールに基づき濁点を加えられ、「復刻」「再生」「回帰」という意味が与えられている。
富野はタイトルの「G」は「元気のG」であるとの発言もしており、「Gのレコンギスタ」というタイトルをして「元気(活気)の復活・再生」を意味していると思われる(あるいは単純に「ガンダムの再侵略」を意味しているとも言われている)。
ストーリーは、月刊ガンダムエース2010年12月号に於いて掲載されたプロット「はじめたいキャピタルGの物語」が元になっており、プロットの初出から4年の歳月を経てのTVアニメ化となった(キャピタルGでは登場する兵器類がマン・マシーンと表記されていたが本作ではモビルスーツに統一されており、また登場人物の名前が異なるなど設定に細かい差異が見られる)。
富野は当初「タイトルにガンダムとつかないかもしれない」との発言を行っていたが、その後正式にガンダム35周年記念作品としてリリースされた。
作品のアイデアは1994年に企画されるもお蔵入りとなったポルカガンダムの物が再利用されている。
本作は、宇宙世紀の次の時代である「リギルド・センチュリー」を舞台とし、主人公ベルリ・ゼナムとヒロインアイーダ・スルガンの冒険を描くロードムービーである。
若い世代の親離れや自立を主なテーマとして扱い、物語の随所にそれを促すかのようなメッセージが込められているのが特徴。また、富野独自の文明論や社会観、身体論といった要素も盛り込まれている。
機動戦士ガンダム00と同じく宇宙エレベーターを世界観の中心に置いた作品となっているが、宇宙エレベーターの構造やそれに関わる人間の思想などは「00」と比較して大きく異なっている(思想面に関しては宇宙エレベーターを信仰の対象とした宗教が存在する点などが大きい)。
本作の映像にはセルアニメの作風(鉛筆作画独特のタッチや主線のかすれ具合等)をデジタルで再現する為、特殊な撮影処理が使われており、これによってハイビジョン制作のアニメでありながらセルアニメの特徴を備えた独特の作風を生み出している。
従来の富野作品の中でも特に富野の作家性や演出手法が先鋭的に反映された作風を持ち、生き生きとした人物描写や状況設定とMSのギミックを活かしたスリリングな戦闘シーンの評価が高く、敵であろうとも憎めない軽快なノリのキャラクター達の魅力が光る「白富野」な痛快娯楽活劇である。
一方で、キャラクターのセリフの言い回しが非常に独特で難解な物となっている上、様々な勢力が複雑に入り乱れる物語全体の密度の高さに対してそれらをまとめて整理する説明的なシーンがほぼ存在しないため、一度見ただけではストーリー展開の把握が難しいことから好き嫌いが分かれる作品でもある。
これに関しては富野の「子供向けのアニメだからと言って、分かり易い作品にしていいという物ではない」「この作品を観た子供たちが大人になった時に、キャラクターの言いたかった事を理解してくれればそれでいい」という意向から、敢えて意図的に難解な言い回しにしたと語っている。
放送終了後、富野自身も「こんなにも分かりにくい作品にしてしまった事は申し訳なく思う」と語りながらも、個人的に気に入っている作品であるとも語っており、それを認めた上で「後悔はしていない、自画自賛している」とも語っている(富野が自作を酷評することはあっても、褒めることは非常に珍しい)。
ちなみに本作のプロデューサーである小形尚弘が言うには一般的な深夜アニメと同じぐらいの予算での製作であったらしいが、プラモデル展開も本来は少数出して終了予定であったのが大幅延長したのを見る限りが予算に対する利益はかなりの成果であったようだ。そのこともあってか新作カットを大幅に追加し、映像を再編集した劇場版総集編全5部作が制作されることとなり、機動戦士ガンダム40周年プロジェクトとして2019年から随時公開されている。第1部は2019年7月5日にフランスのパリにて開催の「第20回 Japan Expo」にて、世界最速で初上映された。
富野曰く4〜5部は新作予定らしい。詳細は劇場版の項目にて
2014年段階では、本作の舞台となる時代「リギルド・センチュリー」は、『∀ガンダム』の舞台である時代「正暦」から遥か以前の時代とガンダムエースの付録では設定されていた。
しかし、翌年2015年のGレコのトークショーにおいて富野監督が「自分が単独でシリーズ全体の設定を決定する権限は無い」と前置きした上で「『Gレコ』は『∀ガンダム』から約500年後頃を想定して制作した」と発言。
続けて「公式の時系列が自分の見解と異なるものでも、それはそれでいい」
「皆さんなりのガンダム全史のようなものを作っていただければいい」とも発言している。
これを受けてサンライズの小形プロデューサーは「色々と整理したいと思いますので、来場者の皆さんは今日聞いたことは一旦胸の内にしまって頂いて。次の何かの機会に、しれっとそうなってる可能性はありますので」と一旦話を締め括った。
2018年にオープンした展覧会「富野由悠季の世界」の公式サイト上で「『∀ガンダム』終了から14年後に制作された「ガンダム Gのレコンギスタ」は、「∀」からさらに数百年後の世界が描かれる。」との記載があり、約3年を経て新たにGのレコンギスタは∀より後の時代の物語であることが設定された。(これはあくまで富野由悠季の発言に基づいた設定であり、サンライズの公式設定では時系列は、Gレコ→∀となっている。)
ストーリー
宇宙移民と宇宙戦争の歴史となった宇宙世紀が終焉後、しばらくの刻が流れた。
新たな時代、リギルド・センチュリー(R.C.)を迎えた人類の営みと繁栄は、平和と共にこのまま続いて行くものだと思われていた。
R.C.1014年。
地上からそびえ立つ地球と宇宙を繋ぐ軌道エレベータ、キャピタル・タワー。
地球上のエネルギー源であるフォトン・バッテリーを宇宙よりもたらすが故に神聖視された場所である。
そのキャピタル・タワーを守護すべく組織されたキャピタル・ガード候補生のベルリ・ゼナムは、初めての実習の最中、いずれの国の技術でもない高性能モビルスーツ、G-セルフの襲撃を受ける。
作業用モビルスーツのレクテンで交戦したベルリはG-セルフの捕獲に成功する。
しかし、G-セルフを操縦していたアイーダ・レイハントンを名乗る宇宙海賊の少女に何かを感じるベルリ。
それは見たこともないはずのG-セルフに対しても同じだった。
そして、特定条件を満たさなければ動かないはずのG-セルフをベルリは何故か起動させてしまう。
キャピタル・タワーを襲撃する宇宙海賊とアイーダの目的、G-セルフに選ばれたベルリが辿る運命、その果てに待ち受けるリギルド・センチュリー全体を揺るがす真相。
全てはレコンギスタの始まりに過ぎなかったのだ。
(公式サイトより)
主な登場人物
主要人物
アイーダ・レイハントン / アイーダ・スルガン(CV:嶋村侑)
ラライヤ・マンディ/ラライヤ・アクパール(CV:福井裕佳梨)
キャピタル・テリトリィ
ゲル・トリメデストス・ナグ(CV:藤真秀)
ウィルミット・ゼナム(CV:田中敦子)
デレンセン・サマター(CV:小山剛志)
ジュガン・マインストロン(CV:諏訪部順一)
アメリア / 海賊部隊
トワサンガ
マッシュナー・ヒューム(CV:たかはし智秋)
リンゴ・ロン・ジャマノッタ(CV:浅沼晋太郎)
ビーナス・グロゥブ
ローゼンタール・コバシ(CV:諏訪部順一)
登場メカニック
G系列
キャピタル・ガード / キャピタル・アーミィ
MS
艦船
海賊部隊 / アメリア
MS・MA
艦船
トワサンガ / ドレット軍
MS・支援機
艦船
ビーナス・グロゥブ / ジット・ラボラトリィ
MS・MA
艦船
専門用語
- リギルド・センチュリー
「再鍍金」の名を頂く、宇宙世紀後制定された年号。通称は「R.C.」。
宇宙世紀は大規模な戦争を断続的に続けた挙句に資源を消費し尽くした事に起因する人口激減でその歴史に幕を閉じ、そこから長い年月を経て人類が復興を遂げていき、「リギルド・センチュリー」と呼ばれる現在の社会体系が確立されるに至った。
また、人口の激減に伴い、宇宙世紀時代に建造されたスペース・コロニーはその殆どがその役目を終えて数を減らしており、かつてあった地球の特権階級対宇宙移民という対立の構図は終焉を迎え、戦争の結果を左右したニュータイプ達の存在も伝説上の存在として語られている。
この時代に於いては宇宙世紀時代の反省のため、科学技術の必要以上の進歩は戦争を激化させ資源も浪費されるという意識が強く、特に宇宙開発技術、兵器開発技術を今以上に発展させることをタブー視する傾向が強い。
なお、禁止されているのは技術進歩であり、宇宙世紀時代の既存の科学技術は継続して使われている。後述する「フォトン・バッテリー」や「空気の玉と水の玉」など、今までに描かれてきた宇宙世紀100年代までの技術レベルでは製造不可能なものも、リギルド・センチュリーでは「既存の技術」として日常生活に溶け込んで使われている。
ただし兵器であるモビルスーツについては上記の禁忌意識から宇宙世紀100年代程度までの技術レベルのものに退化している。
なお、宇宙世紀時代に発見されたミノフスキー粒子とそれを応用したミノフスキー物理学の有用性はこの時代も健在である。
富野曰く『∀ガンダム』同様自身が手掛けた『Gのレコンギスタ』は『∀ガンダム』から約500年後頃を想定して制作したと発言しており、リギルド・センチュリーは正暦の後、つまり黒歴史を越えた先である可能性もある(後述)。
- リギルド・センチュリーのモビルスーツ
この時代に於いて、モビルスーツを設計・開発する為の技術は失われているに久しく、「ヘルメスの薔薇の設計図」から得られたデータを基に、モビルスーツは製造される。
開発技術の停滞に加えて科学技術の進歩がタブー視されている事もあり、各組織が初期に運用しているモビルスーツの構造は比較的シンプルな物が多い。
また、リギルド・センチュリーが過去の過ちから核を否定するようになった時代であるが故に、モビルスーツの動力源は核融合エンジンではなくフォトン・バッテリーに置き換えられている。
本来ならばこの時代に於いて聖域であるキャピタル・タワー以外でのモビルスーツの製造は禁止されているが、アメリアとゴンドワンが戦争状態にある事に由来する既成事実の積み重ねによって各国の軍拡が進められており、このタブーは蔑ろにされているも同義である。
また、長距離移動時や長時間の任務に対応し、トイレが備え付けられている。
- キャピタル・テリトリィ
エルライド大陸(南米)北部、カリブ海からアマゾン川流域に至る国土を持つ国家。首相はビルギーズ・シバ。
軌道エレベーター「キャピタル・タワー」を中心に発展し、タワーを経由して宇宙からもたらされる物資の恩恵を受けて富を得てきた。技術水準としては、このタワーを破壊したら再建できない程度であり、決して遠未来相応の高水準ではない。
その結果、キャピタル・タワーを神聖視する宗教「スコード教」や、タワーを守護する為のキャピタル・ガードなどが生まれている。
なお、地理的には宇宙世紀時代の連邦軍基地「ジャブロー」の跡地も国土に含まれており、キャピタル・テリトリィのハンガーには学術研究目的にザクⅡやリック・ディアス、ジェムズガン等が保管されている。
- キャピタル・タワー
キャピタル・テリトリィの中心となる宇宙エレベータ。「宇宙を繋ぐへその緒」とも喩えられる。
宇宙世紀時代に残されていた施設を再生させたもので、都市施設を有する移動式の地上施設「ビクローバー」、地上と宇宙を往来する「クラウン」、宇宙に存在する144個の駅施設「ナット」、最上部施設「ザンクト・ポルト」、そして宇宙から地上までを貫くワイヤー・ケーブルで構成される。
各ナットには街やタワーの管制設備がある他、畑による農耕なども行われている。
構造体を支える為の外壁は存在せず、ケーブルとナットの間でミノフスキーマグネットレイフィールド(MMF)を発生させる事で構造を安定させており、大気圏上層部に発生する電力をケーブルで吸収する事で力場を発生させるエネルギー源としている。
宇宙からフォトン・バッテリーをはじめとした物資をもたらす為、キャピタル・テリトリィ繁栄の象徴としてスコード教から神聖視されている。また、破壊されれば全地球が深刻なエネルギー危機となる為、直接の攻撃は一般に避けられる。
- キャピタル・ガード
キャピタル・タワーの守護を司る組織。キャピタル・テリトリィ政府とは独立の組織であり、中立の立場からフォトン・バッテリーを地球に配布している。
タワー防衛のための自衛行動の他、タワーの保守点検も任務内容として含まれており、構成人員を育てる養成学校、他国のタブー破りを監視する調査部なども存在する。この調査部の活動と数多くのタブーの影響もあって、地球の技術水準はあまり進展が見られない。
その性質上、構成人員はキャピタル・タワーを信仰するスコード教徒が大半を占める。
養成学校は設立から1010年以上経っており、この組織が宇宙世紀における地球連邦以上の歴史を持つ事を物語っている。
- キャピタル・アーミィ
大陸間戦争を続けるアメリア軍とゴンドワン軍からの攻撃に対する自衛を名目に、キャピタル・テリトリィ政府がキャピタル・ガードとは別に新設した部隊。
司令官はジュガン・マインストロンが務めるが、その設立にはキャピタル・ガード調査部のクンパ・ルシータ大佐の暗躍がある。
当初はその規模も小さく、新設である事からその存在が公にされるまではあまり知られた存在ではなかった。加えてカットシーを主力機としながらも作業用のレクテンを配備する事でその頭数を揃えており、練度や士気の低さに関しては構成員からも「即席」「キャピタル・ガード以下」と揶揄されていた。
他国からの侵攻に対する防衛を名目に設立された組織であるが、頻発する海賊部隊の襲撃と、キャピタル・ガード運行長官の子息であるベルリ・ゼナムの奪還を理由にキャピタルの軍事強化を進め、戦艦の調達やナットの軍事基地化も行うようになる。
更に新型モビルスーツの開発などリギルド・センチュリーのタブー破りを進めている事から、彼らを快く思わない者も多い。キャピタル・タワー内部の軍事基地化などタブーであるばかりかキャピタル・タワーの自治を侵害するような行動も目立つため、キャピタル・ガードからは友軍とはみなされないほどに憎まれている。
- スコード教
キャピタル・テリトリィを中心に世界中で信仰されている宗教。
その名前は「宇宙のへその緒」を意味する「Space Umbilical cord」に由来する。
フォトン・バッテリーなどの物資を宇宙からもたらすキャピタル・タワーを神聖視しており、タワー最上部のザンクト・ポルトを聖域とみなしている。
タワーを崇めるのみならず、施設維持にも尽力しており、フォトン・バッテリーの分配なども行うなどキャピタルとは密接な関係にある。
一方で、宇宙世紀時代の反省からフォトン・バッテリー以外のエネルギーインフラの普及を禁じており、それがアメリアなど敵対組織を生む結果となっている。
法皇はゲル・トリメデストス・ナグ。
- ヘルメスの薔薇の設計図
高度な技術が記録されたデータの総称。
宇宙世紀時代の遺物と目され、この時代のモビルスーツはこの設計図を基に製造されているが、その存在は一部の人間にしか明かされていない。
中にはG-アルケインなど、この世界におけるガンダムタイプ「G系統」に区分される機体のデータが記された物も存在する。
- フォトン・バッテリー
リギルド・センチュリーのインフラを支える重要なエネルギー源。この時代のモビルスーツは核融合炉ではなくこのフォトン・バッテリーで駆動し、小部屋程度のサイズの物がひとつあれば街一年分の電力をまかなえるなど、エネルギー効率に優れる(手帳サイズでもモビルスーツを一週間は稼働させられる)。キャピタル・タワーからもたらされるが、その供給は最上層にある聖域ザンクト・ポルトから運ばれてくるというだけで、スコード教幹部ら一部の人々を除いては詳細を知らされていない。
実際には、金星にある「ビーナス・グロゥブ」から月の「トワサンガ」を経て輸送艦「カシーバ・ミコシ」によって地球へもたらされるエネルギー源。その名の通り光を蓄積しエネルギーとする。
生産は宇宙空間で行われており、その製造方法は秘匿されている。その構造は地球の設備で修理や解体を行う事が出来ないブラックボックスとなっており、分解しようとした場合はバッテリーが爆発してしまう。
宇宙からもたらされる物資の中でも特に重要度の高い物だが、地球に一度に供給されるバッテリーには限りがあり、その分配もスコード教によって行われている為、国によってバッテリーの供給量が上下する事も有り得る。
- 空気の玉と水の玉
大量の空気、もしくは水を特殊な圧縮技術を用いて球形の容器へ収納出来るようにしたもの。ビーナス・グロゥブから、フォトン・バッテリーと共に地球各国に配給される物資の一つ。
宇宙服のバックパックやモビルスーツなどに組み込む事で使用され、一玉で人間一人が一ヶ月使用する分の水と空気を保存出来る。
- ユニバーサル・スタンダード
リギルド・センチュリーで普及している国際規格の総称。
この規格に則り、宇宙船やコロニーのハッチの開閉システムからモビルスーツの操縦方法、バックパックの接続規格など宇宙での生活で必至となる技術が画一化されている。
一方で陣営を問わずに普及している事からこと軍事活動に於いては敵地侵入や機体強奪が容易になってしまうという弊害も併せ持つ。
- クンタラ
リギルド・センチュリーにおける下級階層の人間。作中の登場人物ではルイン・リー、ノレド・ナグなどが該当する。
その起源は宇宙世紀末期にまで遡り、当時敷かれていた階級社会で下層に位置する人間達であった。
未曾有の食糧危機によって人が人を食らうまでの飢餓状態に追い込まれた際には代用食として捕食される側に回っており、そこから「他人に食われる程に劣っていた」という差別意識が生まれている。転じて、奴隷、貧困層的なニュアンスでこの言葉が用いられる事も多い。
差別意識は時の流れによって薄れてきたものの、リギルド・センチュリーの時代に於いてもその偏見は残っており、要職に就けないなどの冷遇が続いている。
そういった事情からクンタラ出身者は本能的に自衛手段に長けており、中には何らかの武器を日常的に携行する者も少なくはない。
- シャンク
小型の二足歩行メカニック。
一人乗り用の物から作業用のマニピュレータを備えた物まで様々な種類が存在し、軍用から一般家庭用に至るまでそのニーズは幅広い。
自動車と共に人々の生活の足に使われており、観光地などではシャンクのレンタルも行われている。
そう言った意味では、スクーターや馬車にも通じる物であるが、ジャンプも可能など車輪を持つ乗り物よりも高い走破性を持つ。
- アメリア
エルライド大陸の北に存在するアメリア大陸(北米)を統べる大陸国家。
ズッキーニ・ニッキーニが大統領を務め、グシオン・スルガンがアメリア軍を統括している。
エネルギー資源を実質的に独占するキャピタル・テリトリィ、そしてキャピタルと協力的なゴンドワンとは敵対する立場にある事から正規の手順でのキャピタル・タワーへの接近を禁じられており、秘密部隊である海賊部隊をけしかけキャピタル・タワーからフォトン・バッテリーを強奪する。また近年、宇宙艦隊建造を進めており、キャピタル・テリトリィの警戒を呼んでいる。
本作と同じく宇宙世紀後を舞台にする『∀ガンダム』にも同名の地域が出てくるが関連性は不明。
- 海賊部隊
キャピタル・テリトリィからフォトン・バッテリーを強奪する目的に編成されたアメリアの秘密部隊。宇宙海賊、あるいは単に海賊とも呼ばれる。
独自の判断で作戦行動を遂行する為、ドニエル・トスを中心として優秀なスタッフが集められているが、表向きは民間の輸送会社に偽装している事もあり服装や規律などは穏やか。
宇宙戦艦「メガファウナ」を旗艦とし、アメリア軍のそれに改修と偽装を施したモビルスーツ群を主戦力とする。
フォトン・バッテリーの強奪を主任務とするが、アメリア本国から送られてきた各種試作装備のテストを行う試験部隊としての側面を持つ。
また、運用するモビルスーツは宇宙世紀時代のヒート・ロッドに通じる兵装である「ビーム・ワイヤー」を装備している。
- ゴンドワン
アメリアの東側、大洋を挟んだ先にある国家。
キャピタル・テリトリィと協力関係を結ぶ一方でアメリアとは敵対関係にあり、20年もの長きに渡り大陸間戦争を続けている。
キャピタル・アーミィの戦艦ガランデンはゴンドワンから調達したものであり、その関係の根深さが窺える。
- トワサンガ
月の裏側(宇宙世紀時代のサイド3=ジオン公国)に位置するコロニー国家。
スペースノイドの残党が放棄されたスペースコロニーを長い年月をかけて再生させ作り上げた国であり、リギルド・センチュリーの地球圏で稼働を続ける数少ないコロニー群。
ビーナス・グロゥブから運ばれてきたフォトン・バッテリーを輸送艦「カシーバ・ミコシ」を用いてキャピタル・タワーへと運ぶ役目を担う中継地点でもあり、G-セルフとラライヤ・マンディはここから来たと目されている。
地球ではタブー視されている宇宙世紀時代の科学技術と、それを背景とした高い工業力を保有する。
その存在は長い間地球の国家に対して秘匿されて来たが、過去の国際会議にてその存在が公然とされた為、表向きにはフォトン・バッテリーをもたらすスコード教の聖域とされた経緯を持つ。
- ドレット軍
トワサンガの名家ドレット家頭首であるノウトゥ・ドレットが組織した軍隊。
その士気と練度は地球各国の軍隊のそれと比較して高く、地球全域を制圧可能な戦力を保有していると自負しており、その武力を以って地球再征服(レコンギスタ)作戦を推し進める。
しかし、再征服作戦の実行部隊とトワサンガ本国の防衛部隊とでは地球へ行けるか否かという意識の違いから深い溝を持ち、決して一枚岩の勢力という訳ではない。
- レイハントン家
トワサンガの名家の一つ。ドレット家によるフォトン・バッテリーの技術開示に異を唱え、関連技術をヘルメス財団に集約させた事で知られる。
トワサンガでは既にその血を受け継ぐ者はおらず、当時幼子であった二人の遺児は従者達によって捨て子として地球へ亡命させられた事もあり、その存在は半ば伝説と化している。
- ヘルメス財団
レイハントン家によって創設された、フォトン・バッテリーの生産と供給を独占する団体。
創設当初はトワサンガに拠点を置いていたが、その後金星圏に構築されたビーナス・グロゥブへ拠点を移した。
金星圏と地球圏を行き来する惑星間往来船「クレッセント・シップ」や、地球へフォトン・バッテリーを輸送する「カシーバ・ミコシ」等を保有する。
- ビーナス・グロゥブ
地球から遠く離れた金星圏にある巨大なフォトン・バッテリーと、それに付随するスペース・コロニーの総称。統治者はラ・グー。
フォトン・バッテリーによって形成される輪は「ビーナス・リング」、コロニー全体を「オーシャン・リング」と呼ぶ。
コロニー部は直径100キロ、深さ150メートルにも及ぶ「海」を有する「シーデスク」によって構成された円盤型コロニーとなっており、シーデスクの内部には大量の海水を蓄積し、海洋環境を宇宙に再現している。
コロニーの中に海が存在するのは、地球環境を模倣しなければ人間は過酷な宇宙環境に耐えられない為だが、海洋環境を利用した漁業も盛んに行われている。
ヘルメス財団の拠点にしてフォトン・バッテリーの生産地であり、ここからトワサンガを通じて地球へとバッテリーがもたらされる。
- ジット・ラボラトリィ
宇宙世紀時代のモビルスーツ開発技術を保全・改良する目的でビーナス・グロゥブに設立された研究機関。
長い時間をかけて研鑽・洗練された高い技術力を保有しており、これによって複数のG系統モビルスーツの建造を可能としている。
- ジット団
ジット・ラボラトリィの研究者キア・ムベッキが率いる、金星圏から地球圏への帰還を望む急進派組織。G-IT団とも呼ばれる。
ラ・グーによる統治が長らく金星圏に平穏をもたらしてきたが為に地球圏で勃発した戦争と、地球環境に強い憧れを抱く一団であり、クレッセント・シップの準同型艦「フルムーン・シップ」を用いて地球へのレコンギスタを成そうとする。
ジャイオーンを始めとするジット・ラボラトリィが開発したG系統機を複数保有するが、運用するモビルスーツは宇宙用に開発された物がほとんどであり、一部の機体を除き水中での運用は想定されておらず、高水圧環境ではコックピットが浸水してしまう欠点を有する。
- ムタチオン
ニュータイプとは異なる形で宇宙環境に適応した人類。ムタチオンとは突然変異を意味する。
ニュータイプとは違い何百年も生きられる膨大な寿命を持つが、その一方でその身体はほぼ骨と皮のみであり、体力を増幅するボディースーツがなければ人間らしい生活を送る事ができず、その姿はピアニ・カルータをして「劣化した人類」と言わしめている。
ビーナス・グロゥブ総裁ラ・グーもムタチオンに該当する人物である。
各話リスト
話数 | サブタイトル | 次回予告の締め台詞 |
---|---|---|
第一話 | 謎のモビルスーツ | 待ち遠しくても、待て! |
第二話 | G-セルフ起動! | 待ち遠しくても、待て! |
第三話 | モンテーロの圧力 | 見たくなくても、見る! |
第四話 | カットシー乱舞 | 見たくなったでしょ? |
第五話 | 敵はキャピタル・アーミィ | スリリング過ぎるから見なくていい! |
第六話 | 強敵、デレンセン! | どうなるか見たいでしょ? |
第七話 | マスク部隊の強襲 | 歩きながら見るなよ! |
第八話 | 父と母とマスクと | 見なけりゃ人生暗いぞ! |
第九話 | メガファウナ南へ | 僕の天才ぶりを見せつけてやる! |
第十話 | テリトリィ脱出 | 足の下は地球なんだぞ! |
第十一話 | 突入!宇宙戦争 | 見えない敵は怖い |
第十二話 | キャピタル・タワー占拠 | 見なければ何もわからない! |
第十三話 | 月から来た者 | 現実を直視しなさいよ! |
第十四話 | 宇宙、モビルスーツ戦 | 宇宙に提灯が浮いていた!? |
第十五話 | 翔べ!トワサンガへ | 理不尽というのはこういう事だ! |
第十六話 | ベルリの戦争 | 話、分かりたければ見るしか無いでしょ! |
第十七話 | アイーダの決断 | 息を詰めて見るんじゃないよ |
第十八話 | 三日月に乗れ | 見たって言いふらしてくれ! |
第十九話 | ビーナス・グロゥブの一団 | バッテリーフルチャージ! / そんな宇宙など無いと言う人、見てください! |
第二十話 | フレームのある宇宙 | 君のバッテリー、フルチャージ! / これは友達と一緒に見る! |
第二十一話 | 海の重さ | バッテリーはフル! / 目を回さないで見てくれ! |
第二十二話 | 地球圏再会 | バッテリーチャージ! / 君は動画を見なければ、見れない! |
第二十三話 | ニュータイプの音 | バッテリフルチャージ! / これは食い付いて見てはならない! |
第二十四話 | 宇宙のカレイドスコープ | バッテリーは切れない! / 目を離せるものなら離してみろ! |
第二十五話 | 死線を越えて | 見てくれる君に感謝!! / 見てくれる君へ、感謝の心を!! |
最終話 | 大地に立つ |
※第十九話以降の次回予告はシドニアの騎士 第九惑星戦役の番組宣伝の為本放送では15秒の短縮版が放送され、30秒版は公式サイト他での公開となっている。
スタッフ
原作・総監督・脚本:富野由悠季
キャラクターデザイン:吉田健一
メカデザイン:安田朗 形部一平 山根公利
デザインワークス:コヤマシゲト 西村キヌ 剛田チーズ 内田パブロ 沙倉拓実 倉島亜由美
色彩設計:水田信子
美術:岡田有章
音楽:菅野祐悟
主題歌
オープニングテーマ
いずれも富野が井荻麟名義で作詞はしていないが、制作には参加しており作曲の段階で本策の物語と富野の意見を取り入れているとのこと。
- BLAZING(第1話~第13話、劇場版第1部)
作詞:MARiA
作曲・編曲:toku
- ふたりのまほう(第14話~第26話、劇場版第4部)
作詞:前田たかひろ
作曲・編曲:菅野裕吾
歌:May J.
エンディングテーマ
- Gの閃光(TV版全話、劇場版第1部)
作詞:井荻麟
作曲・編曲:菅野裕吾
歌:ハセガワダイスケ
- カラーリング バイ G-レコ(劇場版第4部)
作詞:井荻麟
作曲・編曲:菅野裕吾
歌:ハセガワダイスケ
挿入歌
- ハイフン・スタッカート(第3話、劇場版第1部)
作詞:井荻麟
作曲・編曲:菅野裕吾
歌:ハセガワダイスケ
劇場版主題歌
- G(第2部~第5部)
作詞:吉田美和
作曲・編曲:中村正人
劇場版
Gのレコンギスタ Ⅰ 行け!コア・ファイター | 2019年11月29日 |
Gのレコンギスタ Ⅱ ベルリ 撃進 | 2020年2月21日 |
Gのレコンギスタ Ⅲ 宇宙からの遺産 | 2021年7月22日 |
Gのレコンギスタ Ⅳ 激闘に叫ぶ愛 | 2022年7月22日 |
Gのレコンギスタ Ⅴ 死線を越えて | 2022年8月5日 |
2018年11月「機動戦士ガンダム40周年プロジェクト」発表会にて新規カットを追加した劇場アニメーションの公開が正式に発表された。
基本的にTV版の再編集の総集編だが、台詞、演出の変更やTV版本編ではカットされた部分と新規アニメシーンを挿入した物となり台詞関連では「わかりにくい」の意見があった場所がわかりやすくなっているが、逆に本編で特徴的な台詞はカットされるか別の台詞に置き換えられている。(クリム・ニックの「ジャベリンありがとうね!」等)
2020年9月時点で「ベルリ 撃進」までの作品が再上映及び配信サイトでの配信がされており秋にはTV版12話からを16話を再編集・新規カットを追加した「宇宙からの遺産」を公開予定だったが2021年夏に延期された。
2022年3月にⅣとⅤの副題が発表された。ふた月連続で公開。
TVアニメとしてどうしても主人公側の活躍を描かなければならない為、尺の都合でメガファウナ陣営の動向の描写に偏っていたTVアニメ本編と違い、他陣営の動向も描写されており、特に
TVアニメ本編ではあまり深くは触れられていなかったベリルやケルベスらの心情描写も丁寧に為されている。
関連イラスト
関連動画
外部リンク
関連項目
アニメイズムB1
ペルソナ4 The Golden(2014年夏)→本作(2014年秋、2015年冬)→シドニアの騎士 第九惑星戦役(2015年春)
シリーズ
ガンダムビルドファイターズ←(ガンダムビルドファイターズトライ)→機動戦士ガンダム鉄血のオルフェンズ
宇宙世紀(富野由悠季シリーズ)
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