連邦軍はいつになったら、ここが地球と地続きでないという事が分かるのだ!
機体データ
型式番号 | RMS-099(MSA-099) |
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所属 | |
開発 | アナハイム・エレクトロニクス |
生産形態 | 量産機 |
全高 | 21.6m |
頭頂高 | 18.7m |
本体重量 | 32.2t |
全備重量 | 54.7t |
出力 | 1,833kW |
推力 | 74,800kg |
センサー有効半径 | 11,500m |
装甲材質 | ガンダリウムγ |
固定武装 |
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携行武装 |
概要
アナハイム・エレクトロニクス社が開発したエゥーゴの士官用量産型モビルスーツ(MS)。旧ジオン軍MSのドムの系統に連なる機体である。
本来の型式番号はMSA-099だが、エゥーゴ向けの機体である事を悟られぬように、地球連邦軍の規則に準じたRMS-099という型式番号も並行して用いられた。
ティターンズでのガンダムMk-Ⅱ開発と、同時期にエゥーゴ側で開発されていた機体であり、純連邦の技術だけで開発されたMk-Ⅱとは対照的に、連邦とジオンの技術融合に成功し、実戦投入された史上初の機体である。この機体の完成が後の高性能MS共同開発計画(Ζ計画)へと繋がっていく事となる。
開発には「ガンダム開発計画」に関わっていた「クラブ・ワークス」と、ジオン系の「第二研究事業部」が合同で携わり、コンセプトとしてはガンダムの技術を用いたジオン系MSという形で纏まっている。
ガンマガンダム
開発当初はエゥーゴの指導者であるブレックス・フォーラ准将によって、「ガンダリウムγを採用しているから」という安直な理由から、「γガンダム」という開発コードが振られ、量産機やプロトタイプ機の正式名称にされる予定だった。
しかし、その外見がガンダムとは似ても似つかぬ物だったという事や、後述のガンダリウムγの名称の由来も既知の上でガンダムを知るクワトロ・バジーナは反感を示し(表向きは「ガンダムを名乗るのは、前のガンダム(RX-78)に申し訳ない」)、宇宙用の機体を意味する「リック」と、冒険家バーソロミュー・ディアスの「ディアス」を組み合わせた名前を提案。本機のプロトタイプも含めて正式名として採用された。
各部構造
本機は旧ジオン残党組織アクシズより齎された新素材「ガンダリウムγ合金」と、アナハイム社がガザ系の「ブロック構造」を基に発展させて開発した、最初期型の「ムーバブルフレーム」形式の一種である「ブロックビルドアップ構造」の、2つの新技術を中核として生み出された初の第二世代MSである。
ベースはアクシズ製のリック・ドムの最終量産型ドワスを改修した「ドワス改」。
開発経路的にはドワス改にブロックビルドアップ構造その他諸々を組み込んで、プロトタイプ機を経て開発された機体であり、大雑把には「リック・ドムとガザとAEの技術の融合で出来た機体」である。実際に、モノアイの形がガザCとよく似ている。
初の第二世代MSと言う事情故か、内部構造等は従来のMSとは一線を画す実験的なものが多いものの、「反連邦組織」と宣伝され、人的資源に乏しいエゥーゴの組織事情を考慮した結果、全体的には防御能力や生存性に長けた機体として仕上がっている。
基本設計は上記の通りドワス改をベースとして、機体構造にブロックビルドアップ構造を採用する。装甲はガンダリウムγの全面採用によって(ベースとなったドワス改では腕部など一部のみ採用されていた)、旧来の装甲より正面部分を薄くする事に成功しており、同時に形状も連邦系特有の直線的なものに変更。
さらにチョバム・アーマー、スペースド・アーマー、リアクティブ・アーマーなど、現実の戦車に用いられているような装甲構造が使用されている(これはデザイナーの永野護氏の趣味が取り入れられている為でもある)。
頭部には、装甲と同時に取引された大型のガザ系規格のモノアイが採用され、コックピットブロックもこちらに移動している(機体構造の大幅な強化によって胴体部に大型ジェネレーター搭載した為である)。
このコックピットは最新型の「全天周モニタ式」である他、機体大破時に自動で射出されるイジェクション(脱出)ポッドとしても機能しており、射出後は友軍機が回収するような運用が多々あった。ただし、万全に機能しているとは言い切れず、アポリー、ロベルト、バッチのように被弾箇所の爆発が大きと、脱出前にコクピットまで致命的ダメージが及んだり、機体の爆散に巻き込まれたりで戦死するような事例も存在している。この頭部周辺の構造は、後に新生ネオ・ジオン軍の総帥専用機のサザビーにも採用されている。
各種推進系統は、ジオン系モビルスーツのように装甲内部に収納される形で配置され、背部にはビームピストルへのリチャージ機能を有するライトレーザーラックと、GP02のフレキシブル・スラスター・バインダーの発展形に当たるAMBAC稼働肢「ランダム・バインダー」が装備される。このバインダーは推進用のプロペラントタンク・スラスター・スタビライザー等の機能が内蔵された複合機能モジュールとなっており、取り外して質量武器やシールドとしても使用が可能。
以上の様な要素を持って生まれた本機は、同時期にティターンズで開発されたガンダムMk-Ⅱと比較すると、防御力(装甲防御・機動性・経戦能力)に優れるとされ、その装甲の冶金技術はΖガンダム開発に大きく貢献する等、グリプス戦役中のエゥーゴを支える傑作機として、MS開発史に大きく名を残す事となった。そういう意味では、Ζガンダムの前身とも言えるのが本機である。
搭乗者
ガンダムMk-Ⅱと同様に作品を通して様々な人間が搭乗しており、主なパイロットはクワトロ・バジーナ、アムロ・レイ、エマ・シーン、アポリー・ベイ、ロベルトである。
他にもモブキャラだとバッチやボティ、外伝作だとジャック・ベアードやアスナ・エルマリートがパイロットをしており、さらにカミーユ・ビダンやファ・ユイリィも一時的に搭乗している。
また、技術者としての好奇心や保身に駆られたフランクリン・ビダンも、本機(クワトロ機)を連邦に持ち帰ろうと強奪した際に搭乗している(その後機体は大破している)。
ガンダリウムγ
クワトロ・バジーナことシャア・アズナブルが、エゥーゴの活動にアナハイム・エレクトロニクス社の協力を取り付ける為に、宇宙世紀0084年頃にアクシズから地球圏に持ち込んだ(事実上の裏取引)、革新技術による合金素材である。
ルナ・チタニウム合金(ガンダリウムα)の組成から、高コストであるレアアース(希土類元素)を省き、代わりにケイ素やマグネシウムを加え生成炉のプラズマ操作などを行う事で、無重力下で生成する合金である。基礎開発及び生産ライン確保の為の下準備は、“シャア直属”のエンジニアであり、同じくしてエゥーゴに参画したアルレット・アルマージュが中心となり、ジオン公国残党の研究者達が心血を注いだ。
本合金の系列が何故「ガンダリウム」という連邦の機体であるガンダム由来の名称が付けられているのかというと、アルレットが初めて自身の才を用いて開発したシャア専用ゲルググが、ガンダムに対して有利な条件下で敗北を喫したばかりか、姉同然に慕っていたララァ・スンを喪う事となった経験(後悔)から、『ガンダムを越える』事を目標として、敢えて「ガンダリウム」の名が与えられたのである。
ガンダムの装甲材であるガンダリウムα(ルナ・チタニウム合金)や、同β合金と同等以上の強度を保ちつつ、ガンダリウムαの問題点であった脆さやレアアース使用由来の高コスト化を克服し、量産技術を確立するという、まさしく「夢の素材」として宇宙世紀0083年9月に完成している。この極めて優れた性能故に、以降この技術は第二世代MSの必須条件となった。
初めて採用された機体はリック・ディアスだが、後にティターンズからエゥーゴとの繋がりを疑われたアナハイム社が、その疑惑を躱す為にマラサイの提供を通して、製造技術を地球連邦軍に提供した為に、グリプス戦役期序盤以降には、事実上あらゆる勢力がこの素材を利用するようになっていき、「ガンダリウム合金」という略称はグリプス戦役以降同γ合金の事を指す様になっている。
また、生成時の技術はチタン合金セラミック複合材等、従来の装甲材の耐久性を向上させる事にも成功している(一例として、第一次ネオ・ジオン抗争後に開発されたジェガンは、コストパフォーマンスの観点からチタン合金セラミック複合材製の装甲を使用しているが、その耐久力は一年戦争時のガンダリウムαと同等以上β合金相当とされている)。
なお、装甲だけでなくムーバブルフレームの機能向上にも貢献しており、フレームの強度が上がった事で、Ζ計画による第三世代MSの実用化が成功するに至った。
活躍
ロールアウト後は、エゥーゴが新造した強襲機動巡洋艦「アーガマ」に3機が先行配備され、TV版1話のサイド7戦において初めて実戦投入された。クワトロ、アポリー、ロベルト達が搭乗する。
所謂「量産機」ではあるが、当初より(ジムではなく)「ガンダム」の眷属との設定があり、初期にクワトロが乗るなど扱いは従来の量産機とは異なり、実際の初陣でもズングリとした外観に似つかわしくない高機動性を発揮して、サイド7の防空部隊に配備されていたジムⅡやティターンズ所属のハイザックを圧倒する活躍をした。その後も、上記の通り作中では放映終盤まで名有りのキャラからモブを問わず多くのパイロット達が搭乗しており、ベテラン、エース用としても優遇されており、やられ役的ポジションとして扱われるような事は最後までなかった。
スペックやシステム上は似通っている機体だとされているティターンズ側のマラサイが、番組終盤になるとバーザム共々やられ役扱いになっていたのとは対照的である。
カラーリングに関しては当初、一般機はゲリラ運用を考慮して黒を基調とし、クワトロの搭乗するチューンナップが施された先行量産機のみ赤基調のカラーリングと区別されていたが、クワトロの活躍が評判となった事でそれにあやかり、偽装の意味合いも含めて以降の生産型では赤いカラーリングが制式塗装として改められた(このような事情から、ゲームによっては赤い機体を「クワトロ・バジーナカラー」ではなく「レッドカラー」と呼称する事もある)。しかし劇場版『恋人たち』では、アーガマがカミーユを迎えに来たときに黒のカラーの機体が存在しており、資料によっては赤いカラーリングはアーガマ隊所属機にのみ施されているとしている。
メタ的な理由としては、宇宙のシーンでは黒だと溶け込んでしまい分かり難いという意見があった事と、制作現場に赤色塗料が大量に余っていた為という、シャア専用ザクの赤色配色と同じ事情である。
他にも白と青、黄色のトリコロールで塗装されたデルフォイ所属機や、純白に塗装されたアスナ・エルマリート機などのカラーバリエーションも外伝作では存在する。色は案外自由なのかもしれない。
クワトロ機は前述の通りフランクリンによって強奪された挙句、その後は乱戦に巻き込まれてエゥーゴ側のビームの直撃を受けて大破している。搭乗していたフランクリンは脱出には成功したものの、大破時の残骸に巻き込まれて死亡している。
エマ機は地球降下作戦時やカミーユが地球から帰還した直後に本機を使用しているが、前者はメッサーラからの攻撃で中破、後者はガブスレイからの攻撃で撃墜されてしまっている。
ロベルト機はクワトロが乗るシャトルの護衛任務の際に被弾して大破。パイロットのロベルトも戦死しているが、劇場版では尺の都合からか死亡描写はカットされてしまった。
アムロ機はジャブロー戦後にアウドムラに残されたアポリー機を引き継ぐ形で搭乗する事となる。7年ものブランクを物ともせずにロザミアのギャプランを退け、ブランのアッシマーを撃墜する活躍を見せている。のちに本機は解体され、そのフレームはディジェ開発の礎となっている。
アポリー機は終盤でジェリドのバイアランからファを庇って大破。パイロットのアポリーも戦死している。
第一次ネオ・ジオン抗争終結後は、各コロニーの警備隊やジオン共和国に払い下げられたが、中には宙賊に流れた機体も存在しており、その機体は入手経路こそ不明ではあるが、バックパックを最新鋭である筈のジェガンのものに換装して運用されていた。
漫画版『機動戦士ガンダムNT』では、サイド6(旧サイド4)のメーティスの防衛隊としてハイザック2機・ΖプラスA1型と共にリック・ディアスが登場。ハイザック2機を撃墜したシナンジュ・スタインと交戦し頭部バルカンで撃墜されるが、雑誌掲載時は頭部にあるはずのコックピットが明らかに胴体にある作画ミスがあった。頭部にコックピットを持つ機体の存在が稀有になので、この様なミスは比較的に起こりやすい。単行本ではコックピットの位置が頭部に修正されている。
武装
バルカン・ファランクス
頭部コクピットの上部に装備された55mm連装機関砲。
発砲時には頭部のカバーが開閉する為に、コックピットブロックがむき出しになるという弱点が存在する。名前の由来は古代に存在した重装歩兵の陣形やMk.15 ファランクスに肖った物。
ビーム・サーベル
出力0.4MW。背面のライトレーザーラック下部に1本を装備。
エゥーゴ用モビルスーツの標準白兵戦用装備であり、同型のものをネモや百式も装備している。ビーム刃のカラーリングは媒体によって変化しており、TV版と『U.C.ENGAGE』は黄色、劇場版では緑色(クワトロ機)やピンク色(アムロ機)が使用されている。
クレイ・バズーカ
型式番号AE/ZIM.C-BAZ-531。
旧ジオン公国の大手兵器企業ツィマッド社が、アナハイム社へ吸収合併されて誕生した企業AE/ZIM社によって開発された口径300mmのMS用ロケットランチャー。ダブルカラム弾倉を採用しており、装弾数は8発(マガジン7発+1発)。元々は敵機の鹵獲等を目的とした粘着榴弾などの特殊弾頭を運用する為に開発された装備で、名称も粘着榴弾着弾時の様子が粘土を叩きつけたように見えた事が由来となっている。戦時での通常弾種は「HEAT弾」であると一部資料で解説されている。エゥーゴ所属のモビルスーツで多く使われたが、第一次ネオ・ジオン抗争後はハイパー・バズーカが改良されて再び採用されたため、連邦軍の新型機には引き継がれる事は無かった。不使用時は背部アームユニットの基部にマウントされる。
ビーム・ピストル
型式番号BP-L-86。
ボウワ社の開発で、出力は「2.8MW」設定が採用されるケースが多いが、一部では「2.2MW」設定も存在する。こちらについては同型の物を強化型であるシュツルム・ディアスも装備している為に、「2.8MW」設定はシュツルム・ディアス用の設定の可能性も有る。装弾数は18発。
クレイ・バズーカと併用される副兵装であり、Eパックは百式、ガンダムMk-Ⅲ、Ζプラスのものと同じエゥーゴ規格のスネイルタイプの物を使用する。不使用時は背部のライトレーザーラックに銃口を上部に向けて装備されるが、この状態でも発砲が可能であり、ラック内である程度可動させる事で対後方・対空にも対応が可能。ここから片手で抜く時は銃身を握って抜いてから軽くお手玉する要領でグリップを握り直すのだが、『U.C.ENGAGE』のアムロ機はこれを激しい剣戟の最中に行うという離れ業を見せている。
また、基本的には1挺ずつ手に持って運用する用い方だが、一部資料によると「2挺を左右に連結して腕に嵌め込む様にして装備する」パターンも有るらしい。
ビーム・ライフル
ガルバルディβと同型のEパック型。
ジャブロー降下作戦時にアポリー機が運用していたもので、クレイ・バズーカを携行しない場合はこちらが主兵装となる。ジムⅡ等が使用したBR-S-85-C2も使用可能。
ハイパー・バズーカ
連邦軍制式採用の大型ロケットランチャー。
ミサイル・ランチャー
アプリゲーム『U.C.ENGAGE』に登場した装弾数6発の実体弾兵装。ショルダーアーマー上部にオプションとして接続されており、発射後にはパージすることが可能。
映像内では、アウドムラから降下した直後にゲーツ・キャパの駆るバイアランに向けて発射されるが全弾回避されてしまっている。
ハンド・グレネード
こちらも『U.C.ENGAGE』に登場した兵装で、腰部サイドアーマーに内蔵。ロザミア・バダムのサイコガンダムに向けて投擲しようとするも、変形したサイコ・ガンダムのマニピュレーターで押し止められている。
多目的ランチャー
拳部マニピュレーターの指基部に装備。
歩兵を無力化させるトリモチ・ランチャーやダミー・バルーン、信号弾、照明弾等々を内蔵している(『機動戦士Ζガンダム Define』では、手甲内に装備している)。
関連動画
バリエーション
- ディアスの直系
プロトタイプリック・ディアス
型式番号RX-098(RX-98)。
雑誌企画『M-MSV』が初出。
エゥーゴの試作型MSで、リック・ディアスの前身にあたる機体。
当初、開発はアナハイムによって独自に行われていたが、開発期間とコストの低減の為にアナハイムで請負生産している地球連邦軍のMSの機体構造を基本構造としている。
詳細はプロトタイプリック・ディアスを参照。
シュツルム・ディアス
型式番号RMS-099B(RMS-099RS)。
ムック『GUNDAM WARS PROJECT Ζ』が初出で、アニメ『機動戦士ガンダムΖΖ』に登場。
リック・ディアスの強襲用強化型で、エース部隊の乗機として火力と航続力を強化すべく開発された。グリプス戦役後にジオン出身者が持ち出した機体がネオ・ジオンで運用されている。小説版ではアムロが搭乗し、ジュドー・アーシタと共闘している。
詳細はシュツルム・ディアスを参照。
リック・ディアスⅡ
型式番号MSA-099-2。
雑誌企画『Ζ-MSV』が初出で、漫画『機動戦士ガンダムF90FF』に登場。
リック・ディアスの発展型で、グリプス戦役後期におけるMSの著しい性能向上に対応するために開発された。
詳細はリック・ディアスⅡを参照。
リック・ディアスS
型式番号RMS-099S。
ゲーム『SDガンダム GGENERATION GATHER BEAT2』に登場。
リック・ディアスの改修機で、専用の強化装備「Dディフェンサー」を装備するためにマウントラッチなどを増設する改修が行われている。
詳細はリック・ディアスSを参照。
リック・ディアス(クワトロ・バジーナカラー)
型式番号RMS-099 / MSA-099。
ガンプラ「MG RMS-099 リック・ディアス(クワトロ・バジーナカラー)」にて設定された機体。
設定上は『機動戦士Ζガンダム』に登場したクワトロ機と同一の機体とされる。しかし、試作品のパーツが用いられるなど、塗装以外に設計面でも一般機との差異があるとされる。
脚部やランダム・バインダーのバーニアスラスターの仕様が異なり、噴射する方向を一般機より精密に制御できるほか、機体装甲の変更(リアスカートの大型化、膝部を始めとする装甲形状の変更など)、ファランクスカバーに小さいながらも「ひさし」が設けられた形状になっている。開発時期や変更された装甲形状から考えるに、所謂プロトタイプシュツルム・ディアスと言える機体であり、後のシュツルム・ディアスの開発に関わっているとされる。
リック・ディアス[シュトゥッツアー]
型式番号MSA-099。
雑誌企画『ADVANCE OF Ζ ティターンズの旗のもとに』に登場。
ジオン軍出身のパイロット、ガブリエル・ゾラに与えられたリック・ディアスに、ゾラがエゥーゴ参加前に搭乗していたリック・ドム[シュトゥッツアー]の装備を参考に試作された増加装備を施した機体。
胸部などに増加装甲が装着され、背部にはスタビライザーが追加されると共にバインダーもウイングバインダーに変更された。武装面では機体各部にミサイルポッドが増設されている。また、「シュトゥッツァー」系MSの特徴とも言える遠隔兵器「ウインチユニット」も引き続き胸部に装備しているが、従来のアームパーツを射出する形から大型クローを射出する形へと改められている。
これらのような追加装備の重量によって機動性が低下するという「シュトゥッツァー」系MS共通の弱点を解消できずにいたが、後に追加されたロング・シールド・ブースターを併用する事によって機動性と攻撃力を強化・向上させる事に成功した。
このロング・シールド・ブースターにはジェネレーターやスラスター、メガ粒子砲などが内蔵されており、さらに装備する事で高速移動用の巡航形態への変形能力も付与される。ただし、リック・ディアス本体に可変機構はない為、[シュトゥッツァー]ユニットのバインダーを左右に展開し、ロング・シールド・ブースターを背中に装着するという、スーパーガンダムに近い簡易変形を採用している。
本来はガンダムタイプのフェイスガードも用意されていたが、ゾラはそれを使わずに、ワイヤーカッターを追加しただけの通常頭部を使い続けた。
また、グリプス2攻防戦に参加するにあたって、ロング・シールド・ブースターを3基装着した「最終決戦仕様」と呼ばれる形態へ改装された。これに際して、メガ・バズーカ・ランチャーを装備する案も提案されていた。
リック・ディアス[デルフォイ所属機]
型式番号RMS-099 / MSA-099。
雑誌企画『ADVANCE OF Ζ 刻に抗いし者』に登場。
エゥーゴのサラミス改級「デルフォイ」に配備されたリック・ディアスのマイナーチェンジ機。白と青を基調としたガンダム[ケストレル]と同様のカラーリングが施されている他、ダクトやスラスターの追加などの改修が行われている。
また、一般機では背部に2基を装備するバインダーが両腕にもさらに2基が追加されており、機動力・防御力の向上に一役買っている。
武装は一般機と変わらないが、ジムⅡやネモ用のビーム・ライフルを携行する事もある。
カノーネ・ディアス(カノネ・ディアス)
型式番号RMS-99。
近藤和久による漫画版『機動戦士Ζガンダム』に登場。
ペイロードに余裕のあるリック・ディアスを中距離支援用に改造した機体。
背部バックパックをキャノン砲付きのものに換装しており、これに伴いビーム・ピストル及びウェポンラックは無くなっているが、バインダーについての説明は無い。
作中ではアポリーが搭乗した。
レッテン・ディアス
型式番号RMS-099NT。
読者参加型ゲーム『機動戦士ガンダム G-STRATEGY』に登場。
リック・ディアスを原型機とするエゥーゴのサイコミュ搭載型MS。
背部のバインダーは廃され、代わりにインコムを装備している。また、腕部も有線による遠隔操作が可能となっており、指に備えられたビーム砲を用いてオールレンジ攻撃を展開できる。
ニュータイプ専用機として開発された機体だが、サイコミュを簡易型のものに換装する事でオールドタイプのパイロットでも運用する事が可能。
- 発展機・後継機
ディジェ
型式番号MSK-008。
アニメ『機動戦士Ζガンダム』が初出。
カラバの試作型陸戦用MS。アムロ・レイ専用機として用いられた。
詳細はディジェを参照。
ΖレイピアⅠ
型式番号MSΖ-007。
『GUNDAM WARS PROJECT Ζ』が初出。
リック・ディアス系の設計を発展させて開発された、「Ζガンダムの第2段階」に位置付けられる可変型MS。
詳細はΖレイピアⅠを参照。
- 改造ガンプラ
ビルドΓガンダム
型式番号RMS-099BC。
漫画『ガンダムビルドダイバーズブレイク』が初出で、アニメ『ガンダムビルドダイバーズRe:RISE』にもゲスト出演している。
GBNで「フォース魂太」を率いるダイバー、オノコ(ユメサキ・エモ)が、リック・ディアスを元に製作した改造ガンプラ。
詳細はビルドΓガンダムを参照。
ブレイク・ディアス
ゲーム『ガンダムブレイカー3』に登場。
ミスターガンプラがかつてガンプラバトルで用いた改造ガンプラ。デザインはNAOKI。
同氏デザインによる百式Jと共に登場する。
余談
同作『機動戦士Ζガンダム』劇中において最初に画面に登場したMSであり、旧作に登場したMSの意匠を残すガンダムMk-Ⅱ、ジムⅡ、ハイザック等とは明らかに異なるデザインが、「新世代のMSの出現」として視聴者に印象付けた。ちなみに本機は(外伝、ゲーム作品等は除く)本編シリーズの中で唯一、シャアとアムロが共通して乗った機体でもある。
1990年代後半から2000年代にイタリア・セリエAのユベントスやACミランに所属して活躍したイタリアの元サッカー選手フィリッポ・インザーギはガンダムファンとして知られ、一番好きなMSとして本機を挙げている。
バーソロミュー・ディアスは喜望峰の発見者であり、この命名にはエゥーゴの活動が新たな局面に到達した事を示す意味合いが含まれていたとされる(ただし小説版では、「喜望峰到達の冒険家から拝借したが、語呂優先で意味はありません」と、クワトロ自身はコメントしている)。
同時期にティターンズへ配備されたマラサイと出力と推力がほぼ同一であり、一部の資料ではマラサイは本機の仕様を変更した機体とされているが詳細は不明(漫画『機動戦士Ζガンダム Define』では、ティターンズ用新型機の開発主任が本機の開発データを盗用して開発したコピー機と設定されている)ただし、本機はマラサイと同じくAEグラナダの工場製である為、実際に技術盗用が行われた可能性は否定できない。
漫画『機動戦士ガンダム サンダーボルト』では、ルナツー基地に納入された大量のガンダム型MSを、エドワード・ボーマン提督が視察する際に同行した兵士が読み上げた機体名称の中に「ガンマガンダム」が含まれていた。しかし、これが『Ζ』のリック・ディアスと同一機種かどうかは不明である。
このシーンは、ガンダム乱発に対する提督のメタ発言で有名。その直後、ある意味皮肉を字で行く展開が待ち受けていた…。
時期によって前駆となった機体設定が揺れている1機。当初はジオン軍のドムとの関係性も仄めかされていたが、後にドワスが前駆であったとする説や、ガンダム試作2号機の系譜ともされている(ガンダム試作2号機との関係性が公式に登場したのは、2003年のアナハイムジャーナルから)。とはいえ、いずれもドムの流れを組む機体であり、「ドムの系譜」という点では一貫している。なお、ゲーム『SDガンダム Gジェネレーション』シリーズでは設定通りリック・ドムから開発可能である一方、ガンダム試作2号機からは開発できない。
立体物
Ζの主要機体の一つなだけあって、立体化には非常に恵まれている。
ガンプラでは1/220、1/144、1/100がクワトロカラーで、HGUC、MGで一般機とクワトロ機の両方が発売されている。また、HGUC版にビルドガンマガンダムの新規関節パーツなどを追加したクワトロ機のアップグレード版が2020年にプレミアムバンダイから発売、2021年には一般機のアップグレード版がプレミアムバンダイ限定で発売。一方、MG版は近年に入ってもアップグレードどころか再販もほとんどされていないため新品価格がかなり高騰している。
完成品ではモビルスーツインアクション、ハイコンプリートモデルプログレッシヴ、ROBOT魂で商品化されている。
SDサイズでは、ロボチェンマン、カワルドスーツ、元祖SDガンダムでも商品化されている。BB戦士では商品化されていないが、SDガンダム三国伝の呂蒙ディジェの仮面を外すとリック・ディアスの顔になる。
SDガンダムフルカラーシリーズにラインナップ。クレイ・バズーカを装備した固定モデルとなっている。 ※現在、入手困難
関連イラスト
関連項目
クワトロ・バジーナ エマ・シーン アムロ・レイ アポリー・ベイ ロベルト
アナハイム・ガンダム(ギリシア文字系)