概要
1979年放映のアニメ機動戦士ガンダムの劇中で使われている、暦号の1つ。
別名、ユニバーサル・センチュリーとも言い、U.C.と略される。
宇宙世紀の前の歴号にあたる西暦は、旧世紀と呼ばれ区別されている。
表記は「宇宙世紀 0079」または「U.C.0079」とゼロを入れた4桁の数字で、読み方も「ダブルオーセブンティーナイン」、0123年は「オー・ワン・トゥエンティスリー」といった具合である。
宇宙世紀以外の歴号を舞台とした作品は「アナザーガンダム」、宇宙世紀のアニメ作品であってもパラレルストーリーである『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』や『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』、『機動戦士ガンダム サンダーボルト』などは「アナザー宇宙世紀」と呼ばれる。
また、劇場版ゼータガンダムは一応その後のガンダムにストーリーは繋がるとのことだが、宇宙世紀なのかアナザー宇宙世紀なのかは定かでない
作中設定
人類が生活の場を宇宙にまで拡大するようになってから西暦より改められた暦号。
小説『機動戦士ガンダムUC』の冒頭では「普遍的時代」あるいは「神の時代から人間の時代へ」という意味合いを与えられていた。
サンライズ公式設定
サンライズ公式設定とは、ガンダムシリーズにおいて厳密に言えば映像化されたもの及び映像作品の中に登場するもの、そして、富野由悠季が執筆した小説などである。
この定義を言及した、2004年当時、株式会社双葉社から発行されているグレートメカニックのインタビューに応じた開発室室長・井上幸一氏によれば「富野由悠季が執筆した小説なども皆が正史と捉えるはずで、そもそもファーストガンダム自体が劇場版、TV版、小説版で違っているわけでどれが本物と簡単に言えない」ということである。
また、2023年3月にマグミクスの加々美利治が執筆した「『ガンダム』で論争になる「公式か非公式か」問題 版元が出した「公式の基準」とは?」という記事においても、サンライズは「サンライズで許諾したものはすべて公式である」と念を押した回答をしている。
サンライズ準公式設定
サンライズ準公式設定は、上記以外のもの、つまり富野由悠季の執筆していない漫画や小説、ゲーム作品である。
ここで強調しておきたいのは、サンライズ公式設定、サンライズ準公式設定であっても、どちらも公式設定には変わりない事である。
サンライズ準公式設定からサンライズ公式設定への認可
ガンダムシリーズにおける公式設定と準公式設定を上述部分で説明したが、サンライズ準公式設定が、映像作品に登場した事でサンライズ公式設定になった事例は少なからず存在する。
例えば、1985年放映のアニメ『機動戦士Zガンダム』のジャブローにおいて、MSVが登場したことが、元々準公式設定だったものが公式設定へと認可された最初の事例であると、グレートメカニックのインタビューにて、井上幸一が言及している。
また、同インタビューで井上は、2004年のCGアニメ作品『機動戦士ガンダム MS IGLOO』に『ガンダムセンチュリー』が初出のジオン公国のモビルスーツメーカーのジオニック社、ツィマッド社、MIP社が、登場したことでサンライズ公式設定になったとも、言及した。
サンライズ以外の公式設定
ガンダムシリーズは、アニメを制作したサンライズ以外にも、講談社やストリームベースが主導で制作したMSVなど、公式設定は複数存在している。こういったサンライズ以外のオフィシャルをまとめた本がムック『ガンダムオフィシャルズ』である。名称が「オフィシャルズ」という造語なのは、いくつもあるオフィシャルを一冊にまとめた為、タイトルに据えたと、2004年グレートメカニックのインタビューで井上は答えた。
宇宙世紀の本伝
2004年グレートメカニックのインタビューで井上は「ガンダムの創造者、ある意味“神”である富野さんが作ったガンダムならばメディアを問わず、皆が正史と捉えますよね?そもそもファーストガンダムだってTVシリーズと劇場版と小説版がそれぞれ違うんですから、“どれが本物?”と言われても全部富野さんが手掛けている訳で、本当のところを言うと困ってしまう訳です(苦笑)」と、複数のパラレルが存在するガンダムシリーズでそれが本伝かを、言及しなかった。
『機動戦士ガンダムサンダーボルト』や『機動戦士ガンダムTHEORIGIN』という、両者ともに宇宙世紀のパラレルを題材とした漫画作品がアニメ化された際には、既存の宇宙世紀とはパラレルのアナザー宇宙世紀という分類を、2018年に刊行されたムック「ガンダム宇宙世紀メモリアル」で解説されている。
ただ、映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』を例にするなら、劇中でシャア・アズナブルの回想時にセイラ・マスが乗っていた乗機がTVシリーズ『機動戦士ガンダム』のGファイターではなく、映画『機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編 』のコア・ブースターであるから、視聴者の側からは映画『機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編 』→映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』という時系列を解釈できるわけで、視聴者の想像に委ねられている部分は存在する。
以降、サンライズ側から、どの作品がパラレルか本伝かと言及することはあまりなかったが、下記で説明する、UC NexT 0100シリーズのタイトルは本伝であると、2018年の発表会で明言された。
UC NexT 0100
UC NexT 0100は、サンライズが2018年から展開しているプロジェクトのことである。
現在、アニメ『機動戦士ガンダムNT』や『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』、ゲーム『機動戦士ガンダム U.C. ENGAGE』などのタイトルを発表している。
このプロジェクトについて、サンライズの小形尚弘氏は「本伝です。もちろんパラレルで今までの『サンダーボルト』のようなものもあったりするんですけど、『UC NexT 0100』とついているタイトルに関しては、全部正規のナンバリングタイトルです。これはある意味で決意表明のようなものですね」と過去に上映されたパラレル設定のアニメ『機動戦士ガンダム サンダーボルト』と異なり、宇宙世紀の本伝だと明言した。
プラモデルに関してはバンダイホビーサイトでの特集、公式グッズとして「ガンダムメカニカルカレンダー2022 UC NexT 0100」が発売されるなどアニメ以外のメディア展開も継続中である。
時系列
西暦からの移行時期
サンライズ準公式設定で最初に触れたのは、恐らく1989年に刊行された書籍群『ENTERTAINMENT BIBLE』で、「2045年 第1号コロニーの建造開始」とされる。
コミックボンボンで連載されていた『機動戦士ガンダムF91』のコミカライズ、いわゆるボンボン版F91でも、この設定に習って
「宇宙世紀0123 西暦で言うところの2168年の出来事」というト書きが登場する。
なお、1988年から1992年にかけて刊行されたアンソロジーコミック集『サイバーコミックス』では複数の掲載作品で共通する形で、アポロ11号が月面に着陸した1969年が宇宙世紀元年であると設定されていたが、現在ではほぼ顧みられていない。
サンライズ公式設定で初めて触れられたのは、2000年の『G-SAVIOUR』で、字幕版において
「西暦2045年 宇宙に生活圏を拡大した人類は “サイド”と呼ばれる宇宙都市群(セツルメント)を建設し大規模な移住を開始してその暦を宇宙世紀へと改めた」
と冒頭のナレーションで説明された。
年表
2010年代ではアニメ『機動戦士ガンダムUC』の終盤に、特別番組として「100秒でわかる!機動戦士ガンダムUC」が作られ、その番組内で映像作品のみを羅列した簡易的な年表が発表された。
これについては、サンライズ側の意向としてはあえて意図的に縛りとなる詳細な出来事を網羅した年表の提示を避け、アニメ作品のみを抜粋して羅列した程度に留まっている。
以下、映像化作品、富野作の小説などのサンライズ公式設定を(公)、
外伝漫画やゲームなどのサンライズ準公式設定を(準)と併記。
パラレル扱いが明らかなものは(パ)を併記。
※『MSV』など、メカニックのみはここでは割愛。
年 | 出来事 | 作品 |
---|---|---|
A.D.2045 | 宇宙世紀へと移行 |
|
U.C.0001 | ラプラス事件 |
|
U.C.0071 | モビルスーツ開発 |
|
U.C.0079 | 一年戦争 |
|
U.C.0080 | 南洋同盟の反乱 |
|
U.C.0082 | ||
U.C.0083 | デラーズ紛争 | |
U.C.0084 | ||
U.C.0085 | ||
U.C.0086 |
| |
U.C.0087 | グリプス戦役 |
|
U.C.0088 | ペズンの反乱 |
|
第一次ネオ・ジオン抗争 | ||
U.C.0089 | レジオン建国戦争 他 | |
U.C.0090 | ||
U.C.0091 | 輝ける星作戦 他 | |
U.C.0092 |
| |
U.C.0093 | 第二次ネオ・ジオン抗争 | |
U.C.0094 | ||
U.C.0096 | ラプラス事変(※1) | |
バーナム動乱 | ||
U.C.0097 | 不死鳥狩り |
|
U.C.0099 |
| |
U.C.0105 | マフティー動乱 |
|
U.C.0107 |
| |
U.C.0115〜−0116 | 第0次オールズモビル戦役 | |
U.C.0120 | 第一次オールズモビル戦役 | |
U.C.0122 | 第二次オールズモビル戦役 | |
U.C.0123 | ゼブラゾーン事件 | |
コスモ・バビロニア建国戦争 |
| |
U.C.0133 | 木星戦役 | |
U.C.0136 | 神の雷計画 | |
U.C.0140 | 宇宙戦国時代到来 | |
U.C.0153 | ザンスカール戦争 |
|
U.C.0168 |
| |
U.C.0200年代 |
| |
U.C.0203 | マハの反乱 |
|
U.C.0223 | ガイアの光事件 |
|
U.C.0224 | プロジェクト・レイブン |
|
U.C.0653 |
| |
U.C.???? |
|
※1 - 小説ではラプラス「戦争」。
※2 - 小説及び月刊ニュータイプ1989年3月号などでは100年代表記、月刊ニュータイプ1990年8月号では105年と表記。小説の後に制作されたゲーム、映画では後者の105年設定を採用している。
※3 - サンライズ公式設定である小説版については200年代と明言されており、こちらのラジオドラマ版は、CDのライナーノーツで、年表が掲載されたが小説と異なりパラレルと明言されている。
補足
- 『∀ガンダム』
放送当時は、劇中で∀ガンダムの前に放映された宇宙世紀のガンダムや『機動武闘伝Gガンダム』の映像が黒歴史の中で使われたため、本作自体がガンダムシリーズの終点に位置すると思われたが、リング・オブ・ガンダム発表前後に、富野由悠季が歴史のループに言及するなど、不明瞭な部分もある。(歴史のループについては、後述のGのレコンギスタ終了後のトークショーでも再び言及されている。)ただし下記のGレコでは本作との繋がりが示されている。
- 『Gのレコンギスタ』
明確に宇宙世紀の次の時代であると設定されていて、第16話では「宇宙世紀を含めて2000年を越す歴史がある。トワサンガには」という台詞が出てくる。
また2023年現在では、∀ガンダムよりも数百年後ということになっている。
Gのレコンギスタ放映前は、『Gのレコンギスタ』⇒『∀ガンダム』であると、「ガンダムエース」2014年11月号の付録「THAT’S ALL TOMINO」に記載があった。
しかし、『Gのレコンギスタ』終了後、2015年8月27日(木)開催のトークショー「夜のG-レコ研究会 ~富野由悠季編~」にて富野は、自分が単独でシリーズ全体の設定を決定する権限は無いと前置きした上で
「『Gのレコンギスタ』は『∀ガンダム』から約500年後を想定して制作した」
と発言。
「公式の時系列が自分の見解と異なるものでも、それはそれでいい」
「皆さんなりのガンダム全史のようなものを作っていただければいい」
とも発言し、最終的な位置づけに関しては視聴者に判断を委ねた。
2018年1月4日には展覧会「富野由悠季の世界」の公式サイトの第6部大地への帰還の説明ページにて、正式に『ガンダム Gのレコンギスタ』は『∀』からさらに数百年後の世界だと明言された。