概要
2016年から2021年までの間に月刊ガンダムエースで連載されたいた、『機動戦士クロスボーン・ガンダムゴースト』の続編作品。スカルハート以降同様、富野監督不参加の長谷川氏単独による作品であるが、これまで各種メディアで取り上げられる事のなかった『機動戦士Vガンダム』のその後を本格的に描いた初の作品でもある。全13巻。
地球連邦が本格的に衰退しスペースコロニー同士の覇権争いの活発化した真の意味での「宇宙戦国時代」を舞台としている。
ザンスカール戦争終結後も更に長く続いた戦乱によって社会全体の技術力が低下し、新型機の開発・量産が困難となったという設定の下、整備性に優れる旧世代のモビルスーツが戦場跡から回収・修復され運用されているため、作中には一年戦争からザンスカール戦争までに登場した様々な時代の機体が活躍する。
また群雄割拠の戦国時代を背景にしているためか、これまでのシリーズと違い「諸悪の根源であるラスボス」といったものが存在せず(一応の最終決戦の相手として『首切り王』が存在するが、諸悪の根元という存在ではない)、さながら大河歴史物語のような様相を呈している。
ストーリー
地球侵攻を行ったサイド2ザンスカール帝国とリガ・ミリティアの戦い。
その裏であった、宇宙細菌エンジェル・コールを巡る新生クロスボーン・バンガードとザンスカール帝国キゾ中将との戦い。
木星圏から端を発したこの争乱は地球連邦の弱体化を如実に晒すことになった。
そして、世にいうザンスカール戦争の終結から15年が過ぎた宇宙世紀0168年。
地球連邦政府という手綱から外れた各スペースコロニーは自治政府を樹立。時代はコロニー同士が大小の争いを繰り広げる戦国の世に突入していた……。
これは混迷の時代に終止符を打つべく立ち上がった、名も無き塵芥(DUST)どもの物語である…!
主な登場人物
主要人物
前作「~ゴースト」序盤において、資源コロニー『ミート・オブ・トゥーン』にて、主人公フォント・ボーに子供たちのリーダーに任命され、最初に首を斬られそうになった少年の成長した姿。本作において名前が明らかになった。ミキシングビルドモビルスーツ「アンカー」を駆る武装輸送団「無敵運送」のリーダー。
どのような苦境に立たされようと決して諦めない不屈の闘志の持ち主であり、その姿から「燃え尽きぬ灰」の異名を取る。
強い正義感の持ち主であり、弱者を決して見捨てず、どんな小さな仕事も引き受けるが、女性関係に対してだらしない一面も併せ持つ。リアリスト然としているが根はお人好しである。
ザンスカール戦争の際に負ったトラウマから「首を切る」という言葉を聞いてしまうと、怒りの余り錯乱して暴れ回ってしまう。
ニュータイプに匹敵する戦闘技術をたたき上げで身につけた劇中屈指の戦士である。
- レオ・テイル
サイド5・27バンチコロニーでアッシュが出逢った少女。
無法者達に住む場所を奪われる事と、それを覆せない自分の無力さを嘆くが、アッシュに命を助けられた事から自分を見つめ直す為に無敵運送に入社。彼と行動を共にするようになる。
父親がメカニックだった為、彼の影響もあってメカに精通している。
長谷川ヒロインにしては珍しいトランジスタグラマー体型であり、見た目に違わず包容力のある少女である。豊満な胸に大きな夢を抱いている志の人であり、「平和な世界」を作ることを夢見ている。数多の修羅場をアッシュとともにくぐり抜ける中で、ニュータイプ能力を覚醒させつつある。
- カグヤ・シラトリ
一匹狼の女パイロット。28歳。一人称はわらわ。
過去の経歴は不明だが、パイロットとしての腕は一流。戦場で出会ったアッシュと、彼の下でメカニックとして働くレオに対し興味を抱く。
サウザンド・カスタムのバイラリナを改修した「クレイン」を駆り、踊るように戦う事から「踊る白鳥(しらとり)」「月下の白鶴」とも呼ばれている。
パイロットとしての技量も確かなものであり、クレインの機体性能も相まって戦闘では無敗を誇る。一方でそそっかしいところがあり、ポカミスを連発することもしばしば。
その正体はスペースコロニー「ムーン・ムーン」の姫。10年程前に政略結婚を嫌い家出していた為、故郷から莫大な懸賞金をかけられた上で捜索依頼が出されていた。
スレンダーな体形と同性愛傾向から、アッシュからセクハラ被害を受ける羽目に遭う。
年齢から分かる通り、「機動戦士Vガンダム」の主人公ウッソ・エヴィンと同世代である。
- タガナス・タヤカ
7つのコロニーを束ね、コロニー群の自給自足率を上げる事で経済の拡大を目指す農業家。
モビルスーツパイロットとして自ら前線に立つ事から「鋼鉄の農夫」とも呼ばれている。
妻のトレスとの間に1人娘がいる。見た目はいかにも成金といった感じのキザ男だが、戦国の世で財を成した強者であり、明晰な頭脳と剛胆な神経の持ち主である。ちなみに名前の並びを変えると「耕す田中」というド直球にお百姓さんなネーミングになる。
搭乗機は木星から販売されている最新鋭機「ウォズモ」。
アッシュ達の協力者
- ジャック・フライデイ
サイド5の教会に務める牧師で、アッシュが出先で拾ってきた怪我人を受け入れている。
かつてサーカスの一員としてザンスカール戦争を戦い抜いたジャック・フライデイその人。キゾ中将との戦いで瀕死の大けがを負ったものの、両足と引き替えに命をつなぎ止めた。子煩悩な牧師として身寄りの無い子供達の世話をしており、裏では情報通としても知られている。
タロットカードでの占いを身につけており、昔馴染みのマーメイドと共にアッシュとゴーストの接触を遠く離れた地から察していた。
タガナスの妻。ザンスカール戦争時代はリガ・ミリティアに所属し、リア・シュラク隊のリーダーを務めていた。この時の縁が理由で、幼い頃のアッシュの事も把握している。
結婚を機にパイロットとしては第一線を引いているが、有事の際にはVガンダムの四肢をガンイージに換装したビクトリーイージーに搭乗し、ブランクを感じさせない腕前を見せる。旧知とは現在も連絡を取り合っている模様。
- ニコル・ドゥガチ
木星の御曹司。テテニス・ドゥガチ、カーティス・ロスコの息子。容姿は若い頃の父親(の本来の顔)と瓜二つだが、本人は父親が整形した事を知らない。そのため自身の家庭事情が複雑なのではないかと訝しんでいる。
テテニスらが木星の政争で敗北し、親と引き離されて育った為ややマザー・コンプレックス気味。六歳の頃にカグヤとの政略結婚の為に利用され、彼女の出奔の理由を作った。
本人は政略結婚には否定的だが、女性としての理想像をカグヤに見出しており、「お互いに愛し合ってこそ結婚するべき」という持論を持っている。
搭乗機は木星で生産された「クロスボーン・ガンダムX-13」。
木星タカ派が唯一恐れる諜報員。ハト派のテテニスが政権争いで敗北し、コールド・スリープという形で軟禁されたのと同時に、サイド3に勃興した独裁国家ザビ・ジオンに軟禁されていた。タカ派はテテニス及びカーティスのどちらかが救出された場合、残る方を処刑するという約定を課していたため、カーティスは長らく囚われることとなった。
キュクロープス
- アーノルド・ジルベスター
地球連邦軍キュクロープスの若き指揮官。
人命よりも効率を重視する冷徹な人物であり、必要とあれば雇った傭兵や罪のない数百人単位の女性たちの乗ったコンテナ船を後ろから撃つ事も厭わない。自分の理想を実現するために出世を望む野心家であるが、一方で彼なりに秩序ある平和な世界とその為の連邦軍内部からの改革を考えている節があり、単なる冷血漢とは言い切れない複雑な人物。
多数の火器を搭載した一つ目の機体「ボルケーノ」を乗機とする。
幽霊を名乗り、燃えるモビルスーツ「ファントム」を駆るパイロット。肉体年齢は18歳であり、「現在では」アッシュより歳下。
ザンスカール戦争時にアッシュやレオを救った恩人であり、自分の目的の為にアッシュの前に現れたが、訳あってキュクロープスの側に付く。現在はアーノルドの副官として彼を支えつつ、宇宙戦国時代に終止符を打つべく暗躍している。
幽霊と共に行動する少女。
木星の令嬢、ベルナデット・ドゥガチその人。
ムーン・ムーン
- エラゾ・カノー
ムーン・ムーンの司祭長。カグヤの妹であるが、彼女とは正反対のグラマー美人である。
カグヤを姉と慕っている反面、自分を置いて出奔したカグヤへの恨みも抱える事になった結果、自分が一番であることに強い執着を持ち、カグヤから姫の座を奪い見返す為に暗躍する。
親木星派で木星の技術で強化を施された強化人間でもある。ちなみにカグヤと同じく百合趣味である。
ルナツー
- 首切り王(ヘッド・ハーベスター)
かつての連邦軍の宇宙要塞ルナツーに君臨している暴君。”首切り”の仇名は伊達では無く、何百人もの人間の首を切ってコレクションにしている凶人である。宇宙戦国時代をさらにエスカレートさせるべく、手勢「賛美歌の民」を組織して世界に宣戦布告した。虚無的な殺人鬼であり、絶望と荒廃を人々に撒き散らし人類の自滅と破滅を推し進めようとする作中屈指の危険人物。彼の登場によって物語は新たな局面を迎えることになったため、本作のターニングポイントとも言えるキャラクターである。
本名はエバンス・ジルベスター。アーノルドの実兄である。元々は温厚で生真面目な性格で世界を守り支える事を誇りにする連邦軍人だったがとある事件で人類全てに心底絶望して価値観が反転、現在のような暴君に変貌してしまった。
- ジャン・ドーヴァン
腕利きの傭兵にしてアッシュの師匠。名前の精悍さに反してグラマラスな美女である。MSに使われているバイオ素材を使った料理方法を開発している変わり者だが、人々の生活が荒廃しきった宇宙戦国時代においては無視出来ないスキルである。
暴走する首切り王を食い止めるべく、陰で暗躍している。
- フランク・オズ
ジャンの父親にしてミキシングビルドモビルスーツの名工と呼ばれる腕利きのメカニック。アンカーを制作したのも彼であり、かつてはサナリィでモビルスーツ開発に携わっていた。
風采は冴えないが肝の据わった老人であり、首切り王を食い止めるべく策を巡らせている。
サイド1
- タルス・バンス王
サイド1の行政執行機関代行官で、アッシュの知人。実質的にサイド1を支配していることから”王様”と呼ばれているが、市民から政治を押しつけられた当人はこの呼ばれ方を嫌っている。不本意ながら王と呼ばれるだけあって優れたリーダーシップと行政能力を持った辣腕政治家である。首都コロニーであるネオ・1バンチが首切り王に目を付けられたことで、アッシュと共に対策に奔走することになった。
登場メカニック
ビアッゴ
マガツキ改
アドマモス
マトマーシュ
ヴェテラーノ
ボルケーノ
オーテングー
ミガッサ
専門用語
宇宙世紀0140年代から突入している、地球圏の時代背景。
度重なる戦乱による疲弊と同時に、スペースコロニーの人口が増大した(宇宙世紀0120年代には、総人口が一年戦争以前のレベルまで戻っていた)事で、地球連邦政府の影響力が大きく弱体化。地球連邦軍の力では最早スペースノイドの独立を抑えられなくなり、ザンスカール帝国のような『国家』が多数樹立した。更に加えて、スペースコロニー間で経済格差が拡がったために、スペースノイド同士で抗争を起こすという、宇宙世紀0100年以前よりも遥かに複雑な情勢となってしまった。
宇宙世紀0153年のザンスカール戦争を経て、混乱は一層拡大し、戦乱の長期化が市民生活と治安の加速度的な不安定化をもたらした。結果、宇宙世紀0168年時点では既に技術退行が始まっており、新型モビルスーツの開発・建造は地球圏では一部を除いて不可能となった。
この技術退行を理由として、戦場の主役はレストアした旧世代モビルスーツが主流となっている。
連邦の弱体化に伴って治安機構も穴だらけとなっており、宇宙盗賊と呼ばれるならず者がコロニーを荒らし回る、さながら世紀末の様相を呈している。
- レストアモビルスーツ
世界全体の技術力低下によって、モビルスーツの新規開発や生産は一部勢力を除いて不可能となった。そこで各コロニー勢力や宇宙盗賊たちは宇宙に漂う廃モビルスーツや年代物のモビルスーツを組み合わせることで稼働状態にして戦力に回すようになった。これらレストアされたモビルスーツ達はあり合わせの部品で無理矢理組み上げられているものが大半を占めているため、奇妙奇天烈な見た目になっているものが多い。ある意味、宇宙世紀でガンダムビルドファイターズを再現しているようなものである。
整備技術が軒並み低下していることもあって、壊れやすい15m級のハイテクモビルスーツより一昔前の18m級モビルスーツの方が整備性の高さから好まれる傾向にある。
- ミキシングビルド
戦場跡などでサルベージされたパーツを組み合わせて建造されたハンドメイドモビルスーツの総称。あり合わせのレストアモビルスーツに比べ、特注品とも呼べる内容に仕上がっているものが多い。
アッシュの乗るアンカーもこのミキシングビルドに分類され、中にはベース機が判別出来ないまでに改造が施された機体も存在する。
武装もメンテナンスの容易な実弾・実体剣などが主流となり、ビーム兵器を運用出来る機体は希少。中にはビーム兵器を装備しているように思わせる為に外見だけそのように偽装している物も見受けられる。
また全天周囲モニターなども修復出来ない為、コックピットを損傷した機体を改修する際には別途モニターを取り付ける事になる。
なお宇宙世紀のモビルスーツは、第二世代機以降はムーバブルフレームが採用されているため、設定上ハードウェアのミキシングビルドはある程度容易に可能だが、それによって変化した機体重量、モーメントを制御するためのソフトウェア構築が極めて困難となる。
- ガンダム
宇宙世紀0168年に於けるガンダムは、事実上伝説の存在として語られている。
かつて戦争で活躍したその系譜の機体の武勇にあやかり、フェイスエクステリアをそれに似た物に換装する者も多く見られ、一部からはコロニーの間で流行しているモビルスーツ用フェイスマスクとして認識されている。無論、歴としたガンダムタイプのモビルスーツも存在するが、絶対数が少ないため世間的には本物が眉唾物と認識されている有様である。
尚、ガンダム以外にもランバ・ラルやギレン・ザビなどの過去の人物を模したモビルスーツ用マスクも存在している。
- 無敵運送
サイド5の資源採掘コロニー「ミート・オブ・トゥーン(マンガ肉)」を拠点とする、アッシュ・キング率いる武装輸送団。
その名の通り輸送業が本業ではあるが社会情勢上輸送には護衛戦力も付き物であるため、独自にモビルスーツを保有し戦力としている。
保有戦力の高さもあって傭兵と誤解される事もあるが、あくまで引き受けるのは輸送の依頼であり、敵対者と事を構えるのは自衛や護衛の為。
「どんな小さな仕事も引き受けます」と社訓に掲げているが、それ故に貧乏くじを引く事も少なくはない。アッシュのお人好しも災いしてか、経営状況はかつかつの模様。
宇宙世紀を象徴する国家機構。ザンスカール戦争終結後も形骸化が進んだ結果、かつてのような強大な影響力は見る影も無くなり、地球圏におけるコロニー間の戦争にも介入出来ない状態になってしまった。
これはエンジェル・ハイロゥが破壊された際に、その残骸が地球の衛星軌道上に無数のスペースデブリとなって漂うことになった結果航路が大幅に制限されてしまい、地球と宇宙が半ば分断されてしまったことも影響している。宇宙に残った連邦軍も末端の腐敗が更に進み、一部は地球連邦の看板を掲げた愚連隊のようになっている有様である。
- キュクロープス
一つ目の巨人の名を頂く地球連邦軍の部隊。
この時代には珍しく技術レベルがかなり保たれており、モビルスーツも独自に開発・生産している。運用する機体の多くは過去に連邦軍で開発されたものを基礎としているが、「キュクロープス」の名が表すように、顔の大部分を占める一つ目のような形状の独自のカメラアイを採用した頭部を備えており、外見上の大きな特徴となっている。この統一されたカメラアイは部隊内での通信効率の向上に一役買っている。
技術レベルについては、流石にザンスカール戦争時代(全盛期)を維持してはいないものの、「マイクロハニカム構造」「小型・高出力ジェネレーター」を用いた第二期モビルスーツを量産、稼働させる事ができるなど、市井のコロニーとは完全に隔絶している。
一方でティターンズの末裔とも呼ばれ、その別名に違わず目的の為なら非道も厭わない性格も強い組織である。地球圏の治安維持を目的としており組織内の統制もある程度保たれてはいるものの、前述の独善性の強い性格に加えそもそも腐敗した連邦軍の派生組織でもあるため、総合的には愚連隊化した他の連邦軍部隊より多少はマシという程度でしかない。
- ムーン・ムーン
宇宙世紀黎明期においてコロニー建設を目的としてサイド1に建造された、古い小型スペースコロニーの名称。および当該コロニーで独自の生活様式と分化を構築した住民を指す。詳細は『機動戦士MOONガンダム』を参照(奇しくも、同作の「ガンダムエース」での連載開始は本作のムーンムーン編の開始と同じ号である)。
これに加えて『DUST』では、地球の水中都市も指す。ムーン・ムーンの民はザンスカール戦争時代に、「アンダーフック」同様の水中都市を手に入れ、そこに拠点を移した。当初は水中から徐々に地上へ進出する予定だったが、地上の環境の過酷さに適応しきれなかったため計画は頓挫し、結局住民達は水中都市に引きこもった。
地上を捨て宇宙への帰還を悲願としており、その為に木星共和国タカ派の手引きで民を木星へ移住させる代わりに彼らの兵士を秘密裏に受け入れていた。
- 木星共和国
木星圏のスペースコロニー群。ジェネレーターの稼働に必須となるヘリウム3を採掘、木星船団公社を介して地球圏へ輸出している。
かつて独裁国家であった木星帝国は神の雷事件以降から共和制に移行したが、独裁者クラックス・ドゥガチの思想を受け継いだタカ派とハト派が対立しており、一枚岩では無い。
ハト派だったテテニス・ドゥガチは政権争いでタカ派に敗北し、事実上の軟禁状態にある。
政権はタカ派の意向が強く働いており、ムーン・ムーンを利用して先兵を地上に派遣する等の工作を行っている。もっとも地球圏が戦国時代に突入し情勢が混迷を極めているため、泥沼に足を突っ込むことを躊躇ってか、以前ほど積極的に地球に攻め入ろうとはしていない模様。
技術力の低下した地球圏とは違って戦乱から離れていたため、ザンスカール戦争当時の技術水準を保っており、外貨獲得のために地球圏へのモビルスーツの輸出も行っている。
現状、モビルスーツの完全新規開発を行える唯一の勢力である。
- MS料理
モビルスーツの部品から作られた料理のこと。とは言ってもガンダリウム合金などの金属パーツを食べるわけではなく、バイオマスプラスチックやコックピットシート内の緩衝材と言った有機性原料由来のパーツを加工して料理を作るのである。
これは「石油原料の部品を潤沢に使えないためバイオマスなどの植物由来の部品を代替品に頼らざるを得ない」と言うコロニー側の事情に由来する物であり、ジャンの様なMSの部品の原料や構成を熟知している人間ならばモビルスーツ一機から1ヶ月の食料を500人分生み出すことが可能となるらしい。
ただしこれらの部品は「食べられる」だけであって「食用」ではないため、出来上がる料理は味、消化共にあまりよろしくない。あくまで「本当に食べる物がない場合に仕方なく食べざるを得ない」程度である。
また今後運用する予定のあるモビルスーツの部品を消費した場合、その部品は後で調達し直さなければならないためコスパも悪い。
地球連邦軍が一年戦争時代に要塞を築いた小惑星。一年戦争終結後は、サイド7に組み込まれていた。
資源惑星としての役目は終えていたが、首切り王の指導の下に新たな鉱脈が発見され、微々たる資源を採掘して人々は生計を立てている。首切り王の拠点であり、居住区としてコロニーもひとつ占拠している。
閉鎖環境であることもあって独特な雰囲気があり、内部には江戸時代の吉原をモデルにしたような歓楽街がある。もっとも、ルナツーの資源は底をつき始めており、先の見えない未来に怯える住民達の弱みに付け込んだ首切り王による恐怖政治が敷かれてる。
- 賛美歌(ヒム)の国
世界に宣戦布告を発した首切り王が率いる盗賊集団。彼の母艦ケルベロスによって宇宙各地で略奪を繰り返しており、世界に混沌と恐怖を振りまいている。ケルベロスはミノフスキー・ドライブで稼働する高速艦であるため、技術退行した地球圏のコロニーには対抗する術がなく、蹂躙されるままの状態が続いている。それどころか首切り王の恐怖に屈し、彼の信奉者となった”賛美歌の民”と呼ばれるならず者達までもが勢力に加わっており、その脅威は日に日に増大している。
宇宙戦国時代にあって特にひどい戦災を被ったコロニー・サイド。首都コロニーであるネオ・1バンチも難民収容のために改造を施され、9000万人を収容している。生活基盤も経済もボロボロの状態で数多の人間を抱えているため、生活圏としてはパンク寸前の状態である。そのため人口問題解決策としてキュクロープスからは口減らしのターゲットに選ばれ、首刈り王からは略奪の標的にされるという絶体絶命の危機に直面している。
戦災のせいで市民は政治に参加するゆとりが無く、行政手腕を持つタルス・バンス個人に政治を丸投げしている。そのため実質タルス・バンスの王国になってしまっている。
余談
登場するモビルスーツの一つがアンカー(MS)だったり、前人未踏のVガン以降の世界を描写したり、無印クロスボーンから2020年時点で26年が経過しており、場合によっては本作が、クロスボーン・ガンダムシリーズの最終作になるかも知れないと思われていた。
そして本作の連載終了をもって、クロスボーン・ガンダムシリーズは正式に一旦の終了を迎えたのだが……。
2021年5月26日発売の月間ガンダムエースで、本作のストーリーの裏側を描いた『機動戦士クロスボーン・ガンダムX-11』の連載が6月26日発売の8月号から開始されることが発表された。
主人公はカーティス・ロスコとなり、DUST計画の裏側で木星圏で展開された彼の物語が描かれる。
更に2022年12月のガンダムエースで、オムニバス形式による新作『機動戦士クロスボーン・ガンダムLOVE&PIECE』が展開されるに至った。
関連項目
- 機動戦士クロスボーン・ガンダム
- 機動戦士クロスボーン・ガンダム スカルハート
- 機動戦士クロスボーン・ガンダム 鋼鉄の7人
- 機動戦士クロスボーン・ガンダムゴースト
- 機動戦士クロスボーン・ガンダムDUST
- 機動戦士クロスボーン・ガンダムX-11……今作の「裏」の物語。
- 機動戦士クロスボーン・ガンダムLOVE&PIECE