概要
主に地球連邦政府への軍事支出や戦略、兵器の将来的展開等の助言を行う公的団体。
正式名称は海軍戦略研究所であり、サナリィとは、英語名の略称S.N.R.I.(Strategic Naval Research Institute)に発音を当てた名称である。
スペースコロニー建設の為の企業連合体の一員としてサイド1建設に携わった企業を前身に持ち、企業としての歴史自体は宇宙世紀改暦以前から続いている。
宇宙世紀改暦後に自社株の大半を地球連邦政府によって買収され公社として半官半民の企業となり「戦略戦術研究所」へと改名。地球連邦軍の諮問機関として、長期的視点から軍の予算運用に対する提言を、連邦政府へと行ってきた(この為、連邦軍にとっては予算の使途に口うるさい『目の上のタンコブ』であった)。
また半官半民企業という性質上、正式な手続きを取れば戦略戦術研究に必要な機材やモビルスーツを連邦軍から受領する事も可能で在り、宇宙世紀0088年のグリプス戦役終結時には、ガンダムNT-1とその関連機材を接収した上で運用し、その機体の稼働データを収集・解析し自社開発の礎である機体を開発したとされる。
そして、第二次ネオ・ジオン抗争終結から半年後の、宇宙世紀0093年9月に連邦軍直轄の「海軍戦略研究所」へと再編され、以降の活動へと至る。
これは第二次抗争にてアナハイムが敵であるネオ・ジオンにもMSを供給していた事が原因で連邦軍でもMSの独自開発の必要性が出たと考えたからである。
宇宙世紀0102年に大規模戦乱の終息に伴う軍事費削減の為に「モビルスーツの小型化」を提言した事で知られる。
これは、グリプス戦役から第二次ネオ・ジオン抗争までの間にモビルスーツの多機能・大型化が進んだ事で機体の維持や整備に掛かるコストが増大した事も手伝って比較的スムーズに受け入れられた。
また、サナリィ自体も事前にこの提言の有益度を証明する為、小型・高出力ミノフスキー・イヨネスコ型熱核反応炉の研究に早くから着手しており、宇宙世紀0096年に生じた小規模軍事衝突「ラプラス事変」では、10mサイズながらも多機能を達成した可変型MSロトを独自にロールアウトさせていた事なども功を奏した。
しかし、当時連邦軍のモビルスーツシェアの大半を担っていたアナハイム・エレクトロニクスは軍事費の高騰によって利益を得ていた事も有ってサナリィの提示したコンセプトには消極的であり、連邦軍からの発注で開発したヘビーガンはジェガンのダウンサイジングに過ぎないものであった。
この時期からシャアの反乱以降の新規プロジェクトに消極的だったアナハイムを見切りをつけた元アナハイムのスタッフが多くサナリィに転向し、その中には、「Ζ計画」の主要メンバーやその弟子たちも含まれており更には、ティターンズの「TR計画」関係者やアクシズの亡命者もサナリィのメンバーとなった。
この為サナリィは独自にモビルスーツ開発に着手。「フォーミュラ計画」と称された同計画で開発されたF90を開発。
連邦軍の次期主力機コンペティションにおいてアナハイムの最新鋭機MSA-0120を圧倒的な差で下し、開発の主流を小型モビルスーツに切り替える事に成功した。
しかしながら、サナリィが次期主力MSとして提出したF70キャノンガンダムの特注機然とした設計は、到底大量配備に耐えるものでは無かった。
このため連邦上層部内には長年の開発実績を持つアナハイムを再評価する機運が生じ、キャノンガンダムをベースに、アナハイムがこれを量産向けに再設計した仕様であるF71 Gキャノンを同社がOEM生産を行う体制を構築する。
しかしサナリィ側はこれを不服とし、キャノンガンダムの問題点を伏せた上でアナハイムの設計を非難した。
またサナリィは秘匿主義体質からジェネレーター等、主要技術のアナハイムへの供与を拒んだ。
これらの事から、サナリィとアナハイムの確執は深まり、また連邦上層部にもサナリィへの不信を抱かせる結果となる。
その後、連邦主力機はアナハイム設計製造のジェムズガン/ジャベリンに決定し、GキャノンのOEM生産体制は部分的なものに限定された。
更にその後、アナハイム・エレクトロニクスはMS産業保護の観点からそれまでの一社独占の方針を転換し、周辺企業との開発技術及び生産設備の提携を強めて行く。
一方サナリィは各コロニーや資源惑星に複数の支社を設置、それと同時に自社の生産拠点も増設する事により、それまでのアナハイムに代わり独自のMS開発を推し進めて行く事になる。
その裏では、ブッホ・コンツェルンの台頭、サナリィの木星支社「ジュピター・サナリィ」の暗躍などが起きていた。
また0130年代に起きた木星戦役では地球侵略を密かに画策する木星帝国に対抗しようとする宇宙海賊へ木星圏での運用を想定した機体を提供し、これによって連邦の目の届かない木星圏での実戦データを入手するつもりであった。
しかし戦いの舞台が地球圏に移行した事で海賊がサナリィの試作機を使用している事がバレてしまい、海賊への支援を隠蔽する為に機体の売り込みを断念、大赤字を出してしまった。
その後、それを挽回するべく、ミノフスキー・ドライブを搭載したF99の開発に乗り出すが木星帝国残党軍の襲撃により機体や開発データは奪取・消失されてしまう。
0150年代には、サナリィのサイド2支社がサイド2駐留の連邦軍部隊と共にザンスカール帝国の軍事部門「ベスパ」へ統合され、サナリィ出身のスタッフの中には反ザンスカールで立ち上がったレジスタンス組織「リガ・ミリティア」に合流する者も居た。
そして0160年代から70年代に成ると各コロニーの独立が加速し宇宙戦国時代が激化、交流途絶状態に陥る事態が起きる。
分散していた各サナリィ支社はMS開発を行う処では無くなり、企業停止を余儀なくされ、全体的な技術衰退を促す結果となった。
分散し過ぎた会社と製造拠点を宇宙戦国時代の影響によって次々と失い、もはやサナリィは自力でのMS開発すら不可能となった。
それに伴い、独占していた技術も混乱により失っているため、0190年代以降に起きる高級量産機マンマシーン誕生による残存技術乱用から生じた資源枯渇や機体大型化を始めとした先祖返りを引き起こす結果を齎した。
一方でアナハイムはMS開発は自社の一部門でしかないと考え、時代を見越した上で他社との提携によりMS産業全体の維持を目指した。
サナリィの凋落はこれと逆の方向に向かった結果とも言える。
ジュピター・サナリィ
サナリィの木星支社。0116年の時点で木星公社のフォンセ・カガチとカラス、エグムのサイファー(とアナハイムとの橋渡しとしての連邦軍のリベラ・アマルガム)がジュピター・サナリィとしてハウゼリー・ロナに接触しており、様々な情報流出等が意図したものである可能性が生じている。加えて木星支社による本社のデータの強奪、更に技術漏洩やリバースエンジニアリングの支援を行った可能性も出てきている。
サイド2支社
サナリィの支社の1つ。0150年代に起きたサイド2に於けるザンスカール帝国建国の際、支社の設備・人員・技術の大半が接収され、サイド2駐留の連邦軍部隊と共に後述の「ベスパ」へ統合される。
ザンスカール帝国のMSの技術や部分的にサナリィ製のMSと似通っているのはこの接収・統合による。
スーパーサイコ研究所
サナリィのニュータイプ研究所。ザンスカール帝国に接収され、ゲンガオゾ、ザンネック、ゴトラタン、リグ・コンティオなどのニュータイプ用の高性能MSを開発している。小説版『機動戦士Vガンダム』ではカテジナ・ルースを強化人間にした研究所でもある。
漫画『機動戦士ガンダムF90FF』ではサナリィの病院施設とされ、フロンティアI(新サイド4)にある。
ベスパ
ザンスカール帝国の軍事部門。「弾道研究と宇宙偵察部隊(Ballistic Equipment & Space Patrool Armony)」の略称。
リガ・ミリティア
反ザンスカールで立ち上がったレジスタンス組織。サナリィ出身のスタッフも参加し、リガ・ミリティアのMS開発に貢献している。
しかしサナリィ出身スタッフを経由してのザンスカール帝国への技術漏えいを恐れ、開発ナンバーの偽装及び抹消等の対策を講じている。
セイバーチーム
元サナリィMS開発スタッフを始めとする人材によって設立した独立MS開発チーム。G-SAVIOURの時代で活躍し、そのMS群が世界混乱を阻止している事を考えるとサナリィの培った技術は無駄では無かったと言える。
開発機体
▲は映像作品、MSV企画、外伝ゲーム作品外
- RX-106M:マリン・ハイザック(再編前にバックパック等の開発に関与)▲
- RX-78AN-01:ガンダムAN-01(通称トリスタン、再編前にアレックスより改修)
- D-50C:ロト
- RIX-00PT:GFタンク(アナハイム・エレクトロニクスによるバック・ウェポン・システム検証機)▲
- サナリィ・ザク(ザクⅡをベースとしたF91稼動実験用の標的機。胸部や脚部へのスラスターの増設のほか背部に大型ブースターを装備)▲
フォーミュラ計画関連機群
詳しくは当該項目を参照。
関係者
- ジョブ・ジョン
- オムル・ハング
- アルマイア・グッテンバイガー
- モニカ・アノー
- オーティス・アーキンズ
- ミューラ・ミゲル
- ミノル・スズキ
- ミッチェル・ドレック・ナー
- ヨン・サンニー
- ユリシーズ・レオパルド
- オンモ
木星支社
関連項目
機動戦士ガンダムUC 機動戦士ガンダムTwilightAXIS
機動戦士ガンダムF91 機動戦士ガンダムF90 シルエットフォーミュラ91 機動戦士ガンダムF90FF 機動戦士ガンダムF90クラスター