概要
模型企画『MSV』のザク・マリンタイプをアニメ『機動戦士Zガンダム』に登場させる際に付けられた名称。設定では、近代化改修が加えられたザク・マリンタイプが「マリン・ハイザック」と名付けられたことになっている。
『Zガンダム』劇中に登場するザクを全て「ハイザック」と名付ける事で統一感や分かりやすさを狙ったものであるが、ハイザック自体は同じくザクⅡを祖とはしているもののザク・マリンタイプとは全く異なる発展を遂げたMSであるため、「ザクⅡの直接のバリエーション機ながら、ハイザックと呼ばれている以上はハイザック」という非常に珍妙な機体となってしまった。
そのような混乱があった一方で、ティターンズの強行偵察型ザクやハリオに配備されていたザクキャノン等は名称の改変は行われなかった。
このため、その迷走したネーミングが一部マニアの間でたまに話題に上がる機体であったが、Web企画『A.O.Z Re-Boot』においてハイザックとの関連が設定され、現在では先に開発されていたものの量産が頓挫した「正真正銘の水中用ハイザック」の名前が、量産機として制式採用された「ザク・マリンタイプの近代化改修機」に引き継がれたものが『Ζ』に登場したマリン・ハイザックという形で落ち着いている。
マリン・ハイザック(RX-106M)
メカニックデザイン企画『A.O.Z Re-Boot』および漫画『A.O.Z Re-Boot ガンダム・インレ -くろうさぎのみた夢-』に登場。
ハイザック試作型をベースにザク・マリンタイプのコンセプトを継承し、マリンタイプと同規格の水中用装備を装着した機体。
大まかな装甲形状はザク・マリンタイプに似ているが、アクア・ジムの構造を踏襲した耐圧ゴーグルを装備しており、頸部ダクトのソケットから動力パイプの代わりに伸びるシュノーケル状のパーツや脚部レイアウト、腕部のマグネット・ハーケンと酷似した増加オプションなど、ザク・マリナーに繋がると思われる設計が見受けられる。
耐圧ゴーグルの方もまたザク・マリナーの兄弟機であるザク・ダイバーとの繋がりが窺える。なお、耐圧ゴーグルは頭部一体型のアクア・ジムのそれとは異なり可動式で、上下にスライドすることでオン/オフを切り替えられる。
バックパックは海軍主導で開発されているため、舵の配置や臀部に縦に2基配されたハイドロ・ジェットの噴射口など各所に後のF90のMタイプミッションパックに通ずる意匠も存在する。
高性能だが、地球連邦軍が海洋戦力の投入に消極的だった事に加え、ティターンズでTR計画の水中用Gパーツを開発中だったため、少数の試作機が生産されたのみで開発は中止され、機体名称のみ後述のMS-06Mに受け継がれた(計画ではGパーツを装着する事で各種性能が強化されるため、ザクベースの機体でも十分と判断されていた)。
試作機はT3部隊に譲渡されて水中用Gパーツ「アクア・ハンブラビⅡ」の運用実験に供され、これを装着した形態はRMS-106M-2「アクア・ハイザック」と呼称されるようになった。
グリプス戦役終結後は、火星に逃げ延びたティターンズ残党によって設計データが火星のジオン軍残党組織「レジオン」の手に渡り、レジオンによる近代化改修の後にARZ-106HZMマリン・ハイザックとしてアクア・ハンブラビⅡと共に生産されるようになった。なお、同様にアクア・ハンブラビⅡとの連携を想定していたバーザムも、ARZ-154と称してレジオンによって再生産されている。
ARZ-106HZMは主に火星の氷河地下秘密基地に配備され、同じく火星で活動する「火星独立ジオン軍」(ジオンマーズ)との抗争などで実戦投入された。
RX-106Mとの主な外見的な違いとしては、脛のハイドロ・ジェットの撤去、胸部増設式4連装ミサイル・ポッド2基、腹部バラストタンクの装備などが挙げられる。また、作中では両肩の肩部装甲をハイザック試作型のショルダーアーマーの外周をフェアリングで覆った本来のものからザク・ダイバーのものに換装している機体も多数確認された。
基礎設計を共有するハイザック、ひいては基となったザクの頃からの慣例ではあるが、指揮官機は前頭部にブレードアンテナも装備している。
マリン・ハイザック(MS-06M)
『機動戦士Ζガンダム』に登場。外見がザク・マリンタイプそのものな方。
MSM-01やMS-06MHなどの型式番号も存在するが、本項目ではMS-06Mで記載する。
地球連邦軍が接収・再生産したザク・マリンタイプを原型としている。
他の『MSV』からの登場MSと同様、コックピットへの全天周囲モニター・リニアシート化などの小規模な近代化改修が加えられており、同じく接収したザクⅡF型や陸戦型ザクⅡの生産ラインを利用して少数が増産されている。
これらの機体はコックピットがハイザックと同型になったことに加え、ハイザックに採用予定だったタキム社製のジェネレーターも水冷式化して搭載しているため、RX-106Mの名称を引き継ぐ形で「マリン・ハイザック」と改称されている。
また、脚部やランドセルなどにも、ザク・マリンタイプとの外観上の微妙な差異がある。
なお、RX-106Mの計画中止時の経緯から、MS-06Mにもアクア・ハンブラビⅡの装着が検討されていたことが窺えるが、実施された事例が存在するかは不明。
海峡警備などのために連邦軍情報部がアジア軍管区で運用していた機体が知られている。グリプス戦役時には4機がベン・ウッダー大尉の指揮下に入り、ホンコン・シティ付近でアウドムラに対する作戦行動を行っているが、全機がガンダムMk-Ⅱに撃墜されている。
また、特殊な事例としては、南氷洋でシロナガスクジラの保護活動に使用されていた機体もある。
派生機としては、本機を原型としてジャブロー工廠で開発されたザク・ダイバーがある。
初出時の設定ではハイザック試作型(RX-106)をベースとした水中機とされていたが、RX-106Mの登場以降は設定が上書きされ、名称以外にハイザックとの直接的な繋がりは無くなった。
ただし、『A.O.Z Re-Boot』以前にも「ザク・マリンタイプの改修機」とする設定は存在しており、並立していた矛盾する設定の片方が改められたとするのがより正確ではある。
関連動画
立体化
ガンプラはMS-06Mのもののみであり、ザク・マリンタイプのガンプラ版である水中用ザクの成型色を青に変え、ティターンズのエンブレムデカールなどを追加したものである。