概要
アニメーション作品における日本最初の専門メカニックデザイナー。
ヤッターマン、無敵鋼人ダイターン3、機動戦士ガンダムシリーズ、装甲騎兵ボトムズ、勇者シリーズなど、数多くのアニメに登場するロボットのデザインを手掛けた。
版権絵に用いられる鉄の質感を感じさせる画風や、シンプルかつアレンジの効くデザインが特徴。
本人も機械好きで、メカをデザインする際は木型などで立体物を試作して造形やギミックを検証する(因みに同様の手法を同業の河森正治はレゴで行っている)。
他のデザイナーに見られるようなシャープなデザインはあまり見られない。
ただし、これらの特徴は大河原のオリジナルではない。タツノコプロ時代の上司である中村光毅の影響が大きい。現在も中村は大河原の師匠として知られている。
『オファーはすべて受ける』というスタンスのため、知名度の割には意外な作品に参加していたりもする。
ただし「混沌を知性で制御して実現する」属性のデザイナーであることからデザインには得手不得手があり、混沌ゆえの自由奔放さが要求される基地や宇宙戦艦、キャラクター性の強いロボットは余人をよせつけないものの、航空機は1950~60年代のMig-21〜mig23や米空軍センチュリーシリーズあたりのラインであり、強化・パワーアップを基本的にフォルムを盛ってデザインすることから、秩序・中庸に属する、軌道及び周辺施設の寸法に厳密に左右される鉄道車両は属性からも基本完全な範疇外(より正直に言えば描けない)であり、同様に一般乗用車・民間航空機などもフォルムをあっさり妥協してしまうことが多い。その関係から、前述のオファーはすべて受ける姿勢が裏目に出ることも。
スケジュール上前任者が放り出してしまったデザインの手直しだけを任されることも多い。
因みに「科学忍者隊ガッチャマン」において大河原の名前をもじったキャラクターが登場しており、「機動戦士Ζガンダム」においてもアッシマーの開発も同じくその名をもじった人物が行ったという設定になっている。
インタビューでは、タツノコプロ所属時代に、線一本を増やすだけでもアニメーターには負担がかかること、形自体の魅力が大事であることを学んだと語っている。メカデザインにおいてはシルエットを重視し、線を減らしながら魅力的なデザインを描くことに念頭に置いているそう。
(「ガンダム」を描いた“職人”大河原邦男のメカニックデザイン論 「重要なことはいつの時代も同じ」【インタビュー】)
また、幼少期は米軍基地の周りで育てられたため、大戦を戦い抜けた実在の量産兵器のデザインに強く影響されたそうである。実際、氏が一個人として最も満足している仕事は『装甲騎兵ボトムズ』のスコープドッグとのこと。生まれ育ちが近いボトムズの高橋良輔監督とも意気投合したため、二人でロボットアニメ史に残る最高で最低の量産機を作り出すことができた。
繰り返すように、本人は仕事を選ばない主義で、基本的には作家性よりもアニメスタッフの要望に応えるスタンスを取っているが、『ボトムズ』シリーズのメカニックデザインに関しては、自身の好みに従って自由に行っているとか(スタッフからの要望や制限などもない模様)。
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