解説
形式番号:ATM-09-ST
ギルガメス軍制式AT。
ミッド級に分類される(というかこの級に分類されるATはアニメ本編では本機かその派生型しか登場しない)。
様々な武器・アタッチメントを交換・追加することにより高い汎用性を誇る。
ATとしての評価は非常に高く、最も生産されている。一説には一億機も生産されたとも。
メカニックとしての完成度は高いものの、コストダウンが優先されたために装甲は申し訳程度にしか施されておらず、ポリマーリンゲル(PR)液(関節部を駆動させるために充填された液体)は引火しやすく、自動消火装置も脱出機構と呼べるようなものも備えていないため、パイロットの死亡率は非常に高いという、パイロットを必要とする機体としては生存性が必要最低限の水準さえ満たせていない欠陥機でもある(後年の『ペールゼン・ファイルズ』では一応、PR液火災用の小型手動消火器(中和剤)が標準装備されている描写が追加されたが、それでも申し訳程度である)。
別名・「鉄の棺桶」「手足のついた棺桶」。このため、この生存性の低い棺桶同然の機体に乗るパイロット達は「(それしか出来ない)ボトムズ(最低野郎ども)」などと呼ばれ、その流れでAT自体も「ボトムズ(クソ機体)」呼ばわりされている(後で俗称を快く思わなかった軍が後付けで「Vertical One-man Tank for Offence and Maneuver(攻撃および機動用直立単座型戦車)」という名称を与えたという説もある)。
構造が簡易に出来ているのか、劇中では技術者としての技能を持っているわけでもないAT乗りがスクラップの寄せ集めから稼働機を作り出す事もあった。キリコも稼働機を作り出している。
その独特なターレットレンズを装備した頭部から、ファンからはスコタコの愛称で呼ばれることもある。
「乗り慣れている」ということで主人公キリコ・キュービィーのお気に入りでもある(作劇上の区別の意味合いもあろうが)。
なお、『第二次スーパーロボット大戦Z破界編』での説明文では、「愛着や特別な思い入れからではなく、単に乗り慣れていた上に入手が容易だったという理由に過ぎなかったようである」と説明されている。
後輩の彼とはパイロットの愛着の度合いが違いすぎる…(悲)
しかし逆に言えば「機体を選べる状況ならば性能で勝る機体よりも『慣れている』スコープドッグ系列を選ぶ」という事でもある。
特にクメン編にて、傭兵部隊で採用されているダイビングビートル(潜水可能)を差し置いてマーシィドッグ(潜水不可能)を手配させる場面や、ポタリア&キデーラがゲリラに成りすます為にスタンディングタートル(やはり潜水可能)を奪って乗り換える一方で、自分はマーシィに乗り続ける場面などはその最たるものだろう。
基本装備
アームパンチ
ATに標準搭載されている肘から先を炸薬式で伸ばして敵を殴りつけるパンチ版パイルバンカー機構。伸ばす勢いを利用して携行武器を投擲物として飛ばしてぶつける使い方もできる。
GAT-22 ヘビィマシンガン
30mm口径のアサルトライフルで、ATM-09系の標準火器。120発入りの大型弾倉を右側面に付けているのが特徴であり、単発のグレネード発射機を銃砲身上に持つ。局地戦用にバレルを短縮化したGAT-22Cなどの派生型もある。
GAT-45 ブラッディーライフル
次世代機FX-ATプロトタイプの改造機X・ATH-P-RSCの標準装備。GAT-22の新型と思しく、機体そのものが奪取されたにもかかわらず、類似品やバレル短縮型の模造品が出回る人気商品。グレネード発射機はGAT-22と逆に砲身下部に付く。
GAT-49 ペンタトルーパー
大口径ハンドガン。装弾数は僅かに6発だが、小型軽量なので特殊任務や空挺用ATが主に携帯する。また、各種特殊弾頭が用意されている。
GAT-35 ロッグガン
エネルギー弾を放つ大型対艦火器。ATが携帯可能な武器で最大の火力を持つが、取り回しは最悪でチャージに時間がかかる。
SAT-03 ソリッドシューター
標準的なソリッドシューター。威力的にはマシンガンとロックガンの中間的な火器。装弾数は8発。後部に円形の弾倉を持つが、構造上、戦場での再装填は不可能に近い。
X-SAT-01 ソリッドシューター
36発入り大型弾倉を付けた高性能ソリッドシューター。元々はX・ATH-02等の装備であるように秘密結社製だが『幻影篇』に見られるように、後に市販品になったらしく市場に出回っている。
ATP-BP1-ST パラシュートザック
メルキア軍降下部隊などでよく使用される強襲用装備。この仕様の機体はドロップキャバルリーと呼ばれることもある。
ザックには落下傘以外にもGAT-22用マガジンやテントがくくりつけられている。また、腰(マガジン)部分に謎の四角いケースを装着する。
ミッションパック
追加弾倉等様々な装備をチェーンで括りつけた長距離行軍用装備。
ATC-BR1-S ラウンドムーバー
宇宙空間戦闘用のバックパック。X字状のフレームに推進用のスラスターが付いている。
ATC-BR3-S ドッグキャリアー
ジェット推進装置をもった、AT用のソリの様なモノ。降着姿勢の状態で下半身に装着する。
補助装備として専用のバックパックがあり、ソリ部分を破棄あるいは未装着の状態でも、背部のザックのみを装着して運用される場合もある。
バリエーション
ATM-09-WR マーシィドッグ(水上戦装備)
クメン編でキリコが搭乗した湿地戦対応型のバリエーション。腰部両側のエアーパージと呼ばれる浮き袋により浮力を得、脚部のハイドロジェットで河川を水上航行する。アッセンブルEX-10でもダイビングビートルが配備されるまでは本機が主力だった。防水性が下半身に限られるため潜行能力を持たず、ダイビングビートルのような湿地戦用新造機種に比べその面での性能は劣る。
なお、気密がされていない機体では冷房も効かないので、気密服で熱帯の暑熱に対処しているという後付け設定が加えられている。
ちなみに「マーシィドッグ」とは愛称で、「スコープドッグ 水上戦装備」が正式名称である。
ATM-09SA スコープドッグ(戦艦X搭載仕様)
サンサ編で戦艦Xの内部に所狭しと並べられていた宇宙戦闘用のバリエーション機。
PR液やコンピュータが宇宙戦仕様になっている他、上記のラウンドムーバーを装備している。
他にも「スペース・アサルト」又は「スコープドッグⅡ」と呼ばれることもある。
ATM-09-RSC レッドショルダーカスタム(フル装備)
ウドの街を牛耳っている治安警察との決戦に備えて、キリコが火力を強化してカスタム化したスコープドッグをバニラがレッドショルダーにあやかって肩を赤く塗装したもの。
実際のレッドショルダー部隊のATとは塗装部位が左肩と逆であり、その色も通常のものより明るい色合いとなっている。そのため、正式に採用された機体ではなく、あくまでも俗称である。それでもレッドショルダーの悪名は凄まじく、こんなバッタモンでもそれなりに示威効果を発揮した模様。
ミサイルポッドやハンディ・ソリッドシューターを装備、火力が向上しており、その重装備から、ハリネズミとも呼ばれたりする。
ATM-09-STTC ターボカスタム
第24メルキア方面軍戦略機甲兵団特殊任務班X-1(レッドショルダー隊)にて考案・採用された高機動戦闘型。通称『タイプ20』。脚部に装備された、ジェットローラーダッシュ機構によって高い機動力を誇るが、その分操縦性は劣悪でピーキーな性能の機体である。そのため、熟練パイロットが搭乗する場合が多い。
OVA『ペールゼン・ファイルズ』では、メルキア情報省特殊部隊の宇宙戦仕様機(ISS仕様)が総勢300機が惑星モナド中枢の制圧部隊として投入された。
特徴として機体色が黒色であり、左肩には「ISS」のマークがある。
OVA『ザ・ラストレッドショルダー』では、当機体の考案者であるグレゴルーら4名の元RS隊員が、ペールゼンへの復讐のためにバカラ・シティのガレージにてスクラップから本機(LRS仕様)を組み上げた。なお、当機は正式機のレプリカ機ということになるが、右肩は赤く塗られてはおらず、バイマンが「コイツの肩は赤く塗らねぇのかい?」という冗談では済まされない軽口を発したが、「キサマ、塗りたいのか!」とグレゴルーらから顰蹙を買ってしまった。
ムーザ曰く「アテにならねえ部品がざっと50はある」という不安定な状態ながら、元RS隊員達が駆る新型機H級ATブラッドサッカーを相手に互角以上の戦闘を繰り広げた。
その他にも、野望のルーツを初めとしたシリーズではRS隊員らが搭乗している場合が多く、当該機は右肩が赤い。
ATM-09-STC ストロングバックス(ストロングバッカス)
ウドの街で行われていたバトリング用のカスタムスコープドッグ。軍から放出されたスコープドッグを改造し、STCタイプと呼ばれる装甲強化型を再現したものがこう呼ばれている。なお、「ストロングバックス」はリングネーム。
特徴は強化された装甲とレンズガードで、機体前面に100mmの装甲を装備していると言う者もいたが、ATの装甲としては有り得ないのでハッタリだろうという説がある。しかしながら劇中では30mmガトリングガンを弾いた描写があり、通常のスコープドックよりも重量が約750kgほど増量していることから、少なくともスコープドッグよりは防御力が向上していると思われる。
ATM-09-SAC フォックス・スペシャル
惑星メルキアのタ・ビングの街では目立ち過ぎるほど派手な、「メルキアの銀狐」ことギャルビン・フォックス元中尉のカスタム機。
銀のボディに巨大な右腕を持ち、両腕に小型のアームシールドを取り付けている。巨大な右腕で人を握り潰すパフォーマンスで人気を博した。
バトリングカスタムと思われるが、メロウリンクがアームシールドを見てフォックスであること確信したり、相手を握りつぶす行為を「あんたのこの手は吐き気がするほど戦場で見てきた」と発言しているので軍属の頃から使用していた可能性が有る。
ATM-09-HC ベルゼルガイミテイト
ベルゼルガを使用できないル・シャッコがスコープドッグを改装し、ベルゼルガに似せた外装やパイルバンカー等の装備を搭載したバトリング用カスタム機。
スコープドッグ(メルキア軍仕様)
メルキア正規軍の機体。紫色に塗装されているため視聴者からは紫タコとも呼ばれる。
通常のST型であるが、練度の高い部隊によって運用されているとされる。
本編では、いきなり味方に破壊された小惑星リド駐留部隊のほか、ジャン・ポール・ロッチナの指揮で、話の区切りごとに、キリコのいた地域を破壊するために降下兵の大軍として登場する。
スコープドッグ(オドン星調査隊仕様)
OVA『野望のルーツ』冒頭に登場する黒いST型の機体。降下兵と同じ仕様。
内部に数機のスコープドッグを格納できる、大型の輸送車を併用していた。
反ペールゼン側勢力の命を受け、怪しすぎるオドン星のレッドショルダー基地を一目見に来たが、着陸した途端にレッドショルダーの奇襲を受け、一瞬の内に全滅してしまった。
スコープドッグ(オドン星レッドショルダー適性試験仕様)
スコープドッグIIのように全身にダークグリーンの塗装が施された機体。
「共食い」と呼ばれる、過激な入隊試験という名目の実戦で使用された。
OVAに登場するタコ特有の、膝のインテークが3枚フィンであったり、太ももの形が少し違う点以外は、通常のST型である。
スコープドッグ(マナウラ軍仕様)
OVA『赫奕たる異端』に登場。再起動したキリコを迎撃した。
カラーリングは通常のギルガメス軍仕様と同じ緑系だが、形状・武装は『野望のルーツ』におけるレッドショルダーカスタムと同一である。
スコープドッグ(ザキ基地仕様)
『機甲猟兵メロウリンク』第1話に登場。
メルキア方面軍、ザキ基地に配備されていたST型のスコープドッグ。左前側のスカート装甲が独特の長い形状なのが特徴。
『ザ・ラストレッドショルダー』で使用していた背面ザックと七連ミサイルポッドの他、左腕に二連大型ミサイル「イーグル」を装備している。
メロウリンクの挑発を受け、更に部下に見捨てられた基地司令・ドックマン大尉が乗り込んだため「ドックマン機」と呼ばれることもあるが、専用機なのか、単に近くにあった機体に乗り込んだのかは不明。
ATM-09-ST スコープドッグ(ガナード機)
山賊団バンディットの首領と化したガナード元少尉の機体。
真っ赤なスコープドッグの各部にロールバーが取り付けられており、左肩のスモークディスチャージャーには発煙筒の代わりにロケット弾が装填されている。
スコープドッグ以外の何者でもないように見えるのだが、なぜか書籍などでは単に「ガナード機」とのみ呼ばれ、スコープドッグとして扱われていない(設定画にはきちんとスコープドッグと表記されている)。
ATM-09-GSC スラッシュドッグ
プレイステーション用ゲームソフト『装甲騎兵ボトムズ ライトニングスラッシュ』に登場するバリエーション。マッチメーカーのオジャー・ローブのチームに所属するメカニック担当のタネン・ボッタが、故郷の惑星ベヌマに隠し持っていた秘蔵のパーツを組み合わせて製作したバトリング用のカスタム機。頭部のコマンダーズヘッド、携行火器のスーパーヘヴィマシンガン、脚部のジェットローラーダッシュパック、そして名称の由来ともなった左肩のジャイアントスラッシュクローが特徴。
ちなみに、本機の形式番号はオーブがベヌマのバトリング協会申請時に暫定的に付けたものである。
ATM-09-SNC アバランチドッグ
プレイステーション用ゲームソフト『装甲騎兵ボトムズ 鋼鉄の軍勢』に登場する雪上戦仕様のスコープドッグで、主人公のマックスウェルらが搭乗する。PR液やマッスルシリンダーが凍結するのを防ぐ為に各部にヒーターが設置され、関節部を防寒カバーで覆い、ターレットレンズには透明なカバーが取り付けられている。脚部にはスノートリッパーが装備されており、雪上での滑走を可能としている。バリエーションとして、機動力と引き換えに装甲を強化したアバランチドッグSTCも開発されている。
ショルダーミサイルポッド
『第2次スーパーロボット大戦Z 再世編』に登場するバリエーション機。両肩に2連装大型ミサイルを両肩に装備しており、少し異なったGAT-22を装備している。
元々は『ペールゼン・ファイルズ』と連動した雑誌の企画にて制作された模型作品である。
タクティカルカスタム
レッドショルダーで実際に使用された、右肩を血の様な深い赤色で塗られたバリエーション。パイロットの好みに合わせて武装がカスタマイズされている。
上記のターボカスタムは基本的に当機の仕様に準じている。
ATM-09-RC バウンティドッグ
山岳地帯での任務に対応した仕様の機体。
左腕部に吊り上げ用ワイヤのランチャーを持つほか、脚部ターンピックは二連になっている。
パラシュートザックに似た独自の背面ザックを持ち、小型のミサイルポッドを装着できる。
また、ボイル少佐機のような強化タイプ(ATM-09-BDC)も存在する。
ATM-09-LC ライト・スコープドッグ(キリコ機)
OVA『ビッグバトル』において対ラダァ・ニーバ戦用に製作された。
レッドショルダーに激しい憎しみを抱く彼を挑発するために右肩が赤く塗られている。
エクルビスの高い機動性に対抗するためにスコープドッグの装甲を極限まで減らして軽量化を図り、両足に1基ずつグライディングホイールを追加したカスタムメイド機。
左腕のアームパンチ機構まで廃されている。
防御力は無きに等しくなったが、高い機動力と旋回能力を持つ。
ライト・スコープドッグ(ヌメリコフ機)
プランバンドール大隊のヌメリコフ大尉が使用する機体。
本体は上記キリコ機と似た改造が施されているが、ターレットレンズが2連式となり、右腕に長砲身のガトリング砲を装備し、背部に弾倉を背負っている。
また、左腕も前述のキリコ機と同じように外装を取り払われているが、いわゆるパジャマソルティックのように布製のカバーが掛けられている。
ネチネチとした卑怯者系キャラクターにしては妙にアグレッシヴなカスタマイズである…ただ、この仕様は元々後方支援機であり、ヌメリコフの場合は部下を(盾代わりに)前に出して、自分は安全な後方から一方的に撃ちまくる為に使用している、という説がある。
ATM-09-SC ホイールドッグ
アグの街などの軍警が使用する、警備用のスコープドッグ。
パトレイバーのように電磁警棒を持つ。
ストロングバックスベースと思われる重ボディーである。
小説『青の騎士ベルゼルガ物語』作中、世の中のATは殆どこれとW-1ばかりではないのかというほど多く登場する。
ATM-09-STR ライアットドッグ
脱出不可能と言われるドッパー刑務所に配備されていた、警備用のスコープドッグ。
透明のレンズガードや左腕のシールド、スカート部に追加装甲、首には勇者シリーズのようなエンブレムなど特徴的な外見を持つ。
バンス所長が自ら乗り込み、脱走者を虐殺しつつメロウリンクと対決するが…
スコープドッグ(ベルゼルガ物語)
作中、ギルガメス軍の主力がFX-ATに移行してゆく際、従来の主力機であるスコープドッグの性能を向上させFX機に近づけた。
ATM-09-AE ノーマルドッグ
スコープドッグをベースにFX-ATの性能を付加した機体。
ATM-10-ST グラントリードッグ
スコープドッグの設計思想をそのままH級に拡大した新型機。大型化による出力の向上に加え、従来の装備を流用することができる。
ギルガメス軍の次期主力機になる筈だったが、試作機全機が秘密結社により強奪され、頓挫してしまった。
後にブラッドサッカーに改造され、ストライクドッグの原型となるが、ワイズマン消滅後にラビドリードッグとなってメルキア軍の下に帰ってくるという、数奇な運命を辿った。
余談だが英語表記GrantlyDogの「Grant」は「叶える、認可する」という意味になるが、「Grunt」とすると「注文だらけ、文句ばっかり」といった意味合いに変わり、開発部が軍からの無茶な要求に対して含みを持たせた名前を付けたと考えるとなかなか面白いものがある。
ATM-08ST スペンディングウルフ
スコープドッグ以前にロールアウトされた機体だが、ドッグ系ATの系譜では事実上の第零号なので紹介しておく。
スコープドッグのプロトタイプであり、外観はスコープドッグと比較して微妙に武骨な印象を受ける。本当にATなのかと疑いたくなるほどの高い生存性(それこそコストと生産性に悪影響が出たほど)を兼ね備えているのが最大の特徴であり、ぶっちゃけるとスコープドッグと同等の性能に加えて生命維持装置完備で自動消火装置も付いているという至れり尽くせりな機体である。
おかげで作戦成功率とパイロットの生還率がとにかく高かったので、搭乗したパイロット達からの評価もべらぼうに高く、送り狼とまで評された。
しかし、スペンディングの名に恥じぬ生産性の悪さと高い運用コスト(スペンディングは「浪費」という意味が含まれる英単語「spend」の現在分詞形。つまりこの機体の名前は「浪費家な狼」と意訳できる)が上層部に問題視されたことで製造はごく少数に留まった。
この機体をベースに、生存性を引き替えにしてコストカットと生産性の向上に成功したのがスコープドッグである。なお、後継機の「ドッグ」という名前は、上記の大幅なコストダウンへの皮肉という説がある。
他作品コラボ機体
レイズナーコラボ機
スーパーロボット大戦DDの初期の名物企画クロッシング・パイロットの第5弾にて登場した、アルバトロ・ナル・エイジ・アスカの搭乗するディープブルーのスコープドッグ。
レッドショルダーカスタムの予備機にSPTのバックパックとレイズナーのレーザードライフルを無理やりくっつけたもの。
スコープドッグの標準装備はヘヴィマシンガン、ソリッドシューター、SMM2連装ミサイルの3つ。ミッションディスクはキリコから借りたコンピュータでエイジが作成している。
ATとSPTのサイズ差はそれなりに再現されているが、完全ではないので全長・重量は不明。
ちなみに、クロッシング・パイロット企画立ち上げ当初から長らくスパロボファンが妄想していた嫌がらせにしか思えない乗り換えの栄えある第1号である。
ATの生存性の低さはこの記事を見ている方々には言うまでもないだろう。
それに対してSPTがどんなものかというと、エイジの本来の乗機であるレイズナーは弱点である透明キャノピー部分を米軍の宇宙用ミサイル(ただし本作の米軍は1980年代で火星まで進出している技術力)で狙われても傷一つつかない堅牢さを持つ。同じミサイルではSPTで最も旧式かつ低スペックなブレイバーのキャノピーでようやく大破となり、そのブレイバーですら特殊装備無しで大気圏の突入と離脱が可能という具合である。
スパロボ30コラボ機
スーパーロボット大戦30のDLC「エキスパンションパック」で初登場した、スパロボオリジナル武器を装備したスコープドッグ。
シナリオ上では、それまで使用していたターボカスタムが蓄積したダメージでテロリストとの戦闘中に大破したため、敵側の倉庫から強奪した機体。
通常仕様のスコープドッグ(もしくはそれに近しい機体)をベースに、腹部の右側にSMM2連装ミサイル、左側に4連ガトリング砲、肩にフォールディングソリッドシューター2門とミサイルポッドを装備し、左腕部にはパイルバンカー一体型のアイアンクロー等が装備されている。また、肩とスカート部にギルガメス文字で「30」を意味するオレンジ色のマーキングが施されている。
重装備故に機動性はターボカスタムに劣るものの、全体的な火力はそれを上回っており、機体特性上は左肩が朱いレッドショルダーカスタムに近いものとなっている。
なお、本機の名称は30作中においては単なる「スコープドッグ」で、この仕様の正式名称は不明(換装パーツ名は「高火力装備」名義。)
武装面を見ると、それぞれTV版、野望のルーツ、ザ・ラストレッドショルダー、ビッグバトル、赫奕たる異端を思わせる装備が施されており、セル画ボトムズの集大成のような機体にも見える。
それと同時に今までのメタ的な問題も解決した。
注釈
昨今当たり前となりつつある設定(ターボカスタムの発案者など)は、過去に出版されたムックなどからの非公式設定も多い。ただ、「ボトムズに公式設定なし」という言葉があるのもまたボトムズという作品の特徴でもある。
後年、大河原邦男氏の著書『メカニックデザイナーの仕事論』口絵にて、1981年ころに氏が自作した原形モックアップが公開されている。当初はあくまでも私的に作ったモックアップであり、高橋良輔監督の「ジープ感覚のロボット作品」のオファーとイメージが近かったことから、現物を見せたところ話が進んだようだ。その段階では顔に相当する部分は制作されておらず、ターレットレンズ式のフェイスは、未知のデザインを受け付けられないスポンサーと少なからず摩擦があったとの事。
2020年3月15日よりJR南武線・稲城長沼駅前にて、実物大のスコープドックが展示されている。
関連タグ
個別
装甲騎兵ボトムズ ブルーティッシュドッグ レッドショルダー アーマードトルーパー(AT) むせる
バリエーション
バーグラリードッグ パープルベアー コサックドッグ カブリオレドッグ レッドショルダーカスタム ターボカスタム デスメッセンジャー ストライクドッグ ラビドリードッグ ブラッドサッカー グラントリードッグ カラミティドッグ
実在商品
iPhone11Pro:デザインが発表されたとき、カメラ配置とカラーがこの機体を彷彿させたことで話題となった。
アシェット:同社は『週刊〇〇を作る』でも有名だが、何と『週刊スコープドッグを作る』がリリースされることとなった。しかも、CMナレーションは銀河万丈氏が担当し……。定期購読コースにすると、レッドショルダー用のパーツも……という予想斜め上の特典も付く。