ファッティーとは
『装甲騎兵ボトムズ』に登場するATの一種にしてバララント軍の制式採用AT。「百年戦争」の末期、ギルガメス陣営の代表機「ATM-09-STスコープドッグ」に対抗すべくバララント陣営の代表機として本機が開発された。正式名称は「B・ATM-03ファッティー」である。スコープドッグよりも大柄な体型ながら基本スペックは大差が無く、宇宙での空間戦闘ではスコープドッグを上回るが、反面陸上戦では分が悪く負けることが多い。そのため陸上戦用に特化した機体として「ファッティー地上用」という機種も開発されている。スコープドッグの「アームパンチ」のような固定武装がないため格闘戦もやや苦手である。
なお、ファッティーとはギルガメス軍での呼び名で、バララント軍ではフロッガー(Frogger=蛙獲り、またはFlogger=ムチ打ち係)と呼ばれている。以降、本記事ではファッティー呼称で統一する。
概要
ATの例に漏れず生産性が高く、地上用、宇宙用ファッティー共に同じ規格である。広大なアストラギウス銀河全域に渡って一億機以上の機体が存在すると言われている。中でもB・ATM-03「ファッティー地上用」は、バララント軍での使用が最も多い陸戦型ATである。
その機体は、宇宙戦用のB・ATM-03ファッティーのコンポーネントと同様の物で構成されており、ギルガメス側のヘビー級ATに匹敵する機体サイズは、「鉄の棺桶」と称されるスコープドッグに比べて、パイロットに余裕のあるコックピット空間を与え、高い対弾性を持つ高強度の前面装甲が用いられたことにより、生存率を向上させている。
もっとも、結果オーライとはいえ、このような寸胴な体躯になった元々の原因は、宇宙型の動力装置やロケット推進剤のタンクの小型化がうまくいかなかったことにある。
ファッティー地上用は踵のグランディングホイールで高速走行するが、通常のファッティーは足の裏と背中のブースターを用いたホバー走行によるダッシュを可能としている。
識別
ギルガメス軍は、重力下で使用されるファッティーを地上用とし、格闘戦時に有効な対AT用の射出槍「パイルバンカー」を装備したものを「A型」、片方の腕を携行火器の保持を行うためだけの最低限の機能を有した物に変更した機体を「B型」と識別した。
しかし、重力下における行動で運用される機体バリエーションはスコープドッグ、ファッティー共に多く存在し、A、B型の混在した機体や同様の機能を持った別規格の機体、基本を同じ物とした上で惑星環境、地域条件等で変更されたと見られる雪上戦、湿地戦に対応した機体等が多数確認され、正確な認識は困難である。
武装/機能 解説
カメラアイ
バララント製ATに共通して見られる単眼のカメラアイ。網膜投影ゴーグルによって、パイロットに映像を送る。ギルガメス側のATが標準ズーム・広角・精密射撃照準それぞれのレンズを状況に応じて切り替える方式なのに対し、本機は単一でこの機能を有している。
降着機構
スコープドッグを始めとしたギルガメス側のATが前方に下りる形を取るのに対し、ファッティーには後方に座る体育座りのような方式の降着機構が導入されている。機体運搬時のコンパクト化とパイロットの昇降補助のために機能する。
コックピット
ギルガメス側からはヘビー級のサイズと認識されているファッティーはスコープドッグに比べて余裕のある操縦空間を確保しており、機体前面の厚い装甲より高い生存率を獲得している。
グライディングホイール
地上用の足首の踵部分には歩行より走行を重視した走行用大型駆動輪「グライディングホイール」が装備されている。これにより本機は、舗装路から砂漠・湿地などの悪路まで、広範囲に渡る地形対応能力を持つことに成功した。しかし旋回性能は低く、急制動システムも搭載していない。サンドローダーとも呼ばれている。
G-BATM-04 カタパルトランチャー
ファッティーの標準装備。4連装の携帯式ロケットランチャー。
G-BATM-02 ハードブレッドガン
対艦攻撃用のオプション装備。大型のエネルギーガン。スコープドッグ用のロックガンをデッドコピーしたものだが、出力は劣るものの取り回しやすく、カタパルトランチャーと並んで使用された。
G・BATM‐05 ガトリングガン
地上用ファッティーが最も多用した携行武器。三本の銃身から実体弾を高速で連射する。その扱い易さからギルガメス側でも「GAT-42・ガトリングガン」として導入されている。
G・BATM‐51 マシンガン
バララント製AT共通の通常火器。主にライフルとして使用されるケースが多い。
G・BATM‐52G マシンガン
G・BATM‐51の改良モデル。バレル下部にグレネードランチャー等の装備を追加できるマルチマウントを装備している。
3連ロケットランチャー
6連ロケットランチャー
背部に用意された可動式のラッチに装備される武器。様々な種類のロケット弾が搭載できる。ラッチ取り付け基部をジョイントとして、横方向に繋げて追加していくことが可能。
劇中ではB型が6連ロケットランチャーを2つ繋げている。
円筒型7連ミサイルポッド
背部に用意された可動式のラッチに装備される武器。ロケット弾の他にミサイルを搭載できる。
多目的ランチャー
背部の可動式ラッチによって前後に大きく可動し、発射角度を大きく変更することができる。主に煙幕弾の発射に使用される。
その他
ATの稼働に必要不可欠な可燃性の液体「ポリマーリンゲル液」の予備タンク、追加武装の取り付けラッチとそれに伴うコントロールシステム、携行する武器の予備マガジン用ラック、宇宙戦仕様機にはロケットブースターが備えられている。