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解説編集

百年戦争末期にギルガメス連邦の主星であるメルキアで開発された、全高4メートル前後の人型機動兵器の総称である。

後にギルガメスの敵対勢力である、バララントでも独自のアーマードトルーパーが開発生産された。

略称はAT


戦場で必要な機能を全て兼ね備え、あらゆる状況にカスタム一つで対応できる汎用性、高い生産性、整備のしやすさからアストラギウス銀河中で大量生産され、百年戦争を激化させる一因にもなった。

が、極一部の機種を除き、生産性を高める為に装甲が薄くされ救命装置どころか脱出装置すらオミットされているものが大半を占める。


この事から「歩く棺桶」「鉄の棺桶」という不名誉な別名で呼ばれている(詳細は後述)。


開発の経緯編集

ATは宇宙戦艦同士の艦隊決戦や惑星破壊ミサイルの応酬により双方の国力が疲弊、目的が有人惑星での資源争奪戦に移行した事によって、陸戦における戦車+機械化歩兵の役割を単体で担う事を期待され開発された。


人型であるATの長所は、市街地や山岳地で小回りが利き、不整地走行能力の高い二足歩行システムと、マニピュレータによる兵装選択システムによる多様性である。

また足底にはコアレスモーターのローラーや履帯が装着されており、平坦な場所ではこれを使った高速移動「ローラーダッシュ」が可能である。

汎用性に優れている為改造改修も容易であり、それぞれの状況に応じた現地改修機が大量に作られるに至った。


陸戦兵器として開発されたATだがラウンドムーバー等の宇宙空間用ブースターユニットを装備する事で宙間戦闘に対応する事も出来る他、ファッティーの様な宇宙専用タイプの機種も開発されている。


機体構造編集

人間の頭と胸に相当する部分にコクピットがあり、パイロットは耐Gスーツ機能と真空中でも活動できる気密性を持った耐圧服を着用した上、外部視察・情報表示用の専用ゴーグルと酸素マスクを装着して搭乗する。これはATの構造簡易化により、一部機種を除きパイロット用生命維持装置は一切装備されていないためである。但し、ある程度の気密性とヒーターくらいはある模様。


操縦装置は2本のスティックと2枚のペダルによるシンプルなものであるが、音声入力型コマンドシステムと基本動作制御の為のミッションディスクが採用されており、パイロットの負担を軽減している。

ミッションディスクは状況に応じて交換やカスタマイズする事が出来る様に成っており、劇中ではキリコが対PS戦用のミッションディスクを自ら製作するシーンがある。


多くの機体には直接外を見る事の出来る窓が無く、ATの頭部にあるターレットレンズからの映像と機体各部にあるセンサーの情報が、纏めてゴーグルに投影される様になっている。

また、多くの機体に1~2台のタッチパネル機構付きの小型モニターが設置されており、機体の状況やミッションディスクに記録されている作戦内容、地図などを確認できる(これらの情報はゴーグルに転送する事も出来る。また反対にセンサーが捕らえた映像などをモニターで確認していると思わしき描写が作中にある)。


パイロット搭乗時やパラシュート降下の着地時などには、脚部を変形させて胴体が前方に沈み込む独特の「降着形態」を取る。バララントATはギルガメスATと逆に胴体が後方に沈み込む体育座りポーズである。一部、降着機能が無い機種も存在する。


ATは内燃機関を搭載しておらず、駆動系はマッスルシリンダーという人工筋肉の一種によって四肢を作動させる構造となっている。

これにはポリマーリンゲル液と呼ばれる液体が満たされており、アイドリング状態ではポンプによってシリンダー内を循環している。駆動時には電気信号によって化学反応が発生、マッスルシリンダーを収縮させて関節を稼働させる。

ポリマーリンゲル液は気化性と引火性が高いために扱いが難しく、ATは少しの被弾でも引火・爆発し易い。また、使用及び経年によって劣化する為一定周期での交換が必要である。


機体構造がシンプルであるためか修理もしやすく、ジャンク品の寄せ集めから機体を製造する事も可能である。

劇中でもキリコはたびたび廃品ATを、共食い整備修理して使用している。

製造自体も町工場程度の環境があれば可能で、レッドショルダー部隊は基地内部にATの独自生産工場を抱えていた程である。



武装編集

基本的な携帯火器は、人間用のレーザー照準器付きアサルトライフルを拡大した様な形状のGAT-22、30mmヘビィマシンガンであるが、任務に応じハンドガン的な万能カタパルトランチャー、GAT-49、50mmペンタトルーパー、ロケット弾をマシンガン的に連射する、HRAT-23ハンディロケットガン、エネルギー弾を放つ対艦大型火器・GAT-35ロッグガンや、SAT-03ソリッドシューター、SMAT-38ミサイルポッド等も使用される。


また、多くのギルガメスATには格闘戦用固定兵装として火薬カートリッジの爆発力によってマニピュレータ前腕部をスライドさせて相手に打撃を与えるアームパンチ機構や、一部の機体には槍状のパイルバンカーやクローが装備されている。


鉄の棺桶編集

他作品のロボット兵器とAT最大の違いは、その徹底した人命軽視っぷりである。


ATはその高速機動性を十全に活かせる環境、そして機体のポテンシャルを引き出せるだけの高い技量を誇るパイロットが揃えば、鬼神の如き戦闘力を発揮する事も可能なのだが、機動性やコスト面を優先した弊害として、装甲は小火器に耐える程度の薄いもので、平均10mm前後の装甲厚は実在の兵器で言うなら軽戦車並である。

実際、劇中ではATの装甲が11mm重機関銃で貫通される様子も描写されており、(互いの練度次第ではあるが)生身の歩兵相手に撃破されてしまうことも珍しくない(この設定を反映し、生身の人間vsATを主軸とした外伝OVA『機甲猟兵メロウリンク』が製作された)。


更に引火性の高いポリマーリンゲル液を内蔵する構造に加え、脱出装置の類も搭載されておらず、一部の機体を除いて自動消火装置や完全気密構造と言った装備は無い。せいぜいポリマーリンゲル液の火災を消火するための非常用中和剤(見た目も使い方も現実の手動消火器に近い)が、申し訳程度に付属してるくらいである。その為、酷い時には転んだだけで大爆発したケースまである始末である。


その事はスパロボZシリーズで、煙草を吸おうとした戦闘メカザブングルティンプ・シャローンに対し、カン・ユーが「俺の親友(ワップ曹長)はポリマーリンゲル液の調合ミスによる発火で死んだんだぞ!」と二人に剣幕を揚げる迷場面になった程である。(但し、「ザ・ビッグオー」のジェイソン・ベックに「此処はATの格納庫ではない」と突っ込まれた)

それ以前の機体は人名優先の保全機能は付けられており、それを使い続ける旧式AT乗りも存在する。


こうしたATの人命無視設計や運用される任務環境の過酷さに加え、なまじ操縦が簡単なのも相まって、百年戦争で荒廃した作中世界においてはその辺で食い詰めてる人間をテキトーに集めて使い捨て同然にATに乗せる事が横行している。

そんな風にして集められたAT乗りは総じて素行の悪い荒くれ者が多いため、いつしかAT乗り達は「最低野郎共」と言う意味の「ボトムズ(BOTTOMS)」と呼ばれる様になったという。

後に、この俗称を快く思わなかった軍が後付けで「Vertical One-man Tank for Offence and Maneuver(攻撃および機動用直立単座型戦車)」という名称を与えたと言われている。

なおメタ的には「BOTTOMSの商標を取れなかったからVOTOMSになった」とスタッフが答えている。


また後付け設定により、人命軽視設計は「異能生存体を探す為に秘密結社が暗躍した結果」とされた。


主なAT編集

主にスコープドッグ等のドッグ系AT、スタンディングトータス等のトータス系AT、ラビドリードッグ等の秘密結社/マーティアル製ATに分類される。

またサイズによる分類もあり、ツヴァーク等をライト級、ドッグ系などをミッド級、トータス、ビートル系などをヘビー級としている。



関連タグ編集

装甲騎兵ボトムズ 歩行戦車 動く棺桶

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