概要
連射できる銃。重いので1人で移動できず、通常3人以上で運用する。
主に拠点防衛、対車両、対空、対船舶目的に使用される。その重量から持ち運びは難しく、防御的用途がメインで、攻撃的に使うには車載したいところ。
無論、必要とあらば分解などして歩兵が攻勢に持ち込む場合もあるが、従事者は地獄。
しかしながら、軽機関銃のように抱えて最前線で撃ちまくった事例も報告されている。
マキシム機関銃(1884年)など最初期の重機関銃は、登場当初は単に「機関銃」と呼ばれていたのだが、第一次世界大戦で軽機関銃が普及するにあたり、改めて「重機関銃」として定義された。
かつては小口径弾を使用する重機関銃も多く作られ、軽機関銃とは持続射撃能力ですみ分けていたが、軽機関銃サイズで十分な持続射撃を可能にした汎用機関銃の登場により、小口径重機関銃は前線を退いている。
このため現在重機関銃として用いられるのは、10mm口径以上の弾を使用する大口径機関銃である。
更に大口径のものは機関銃ではなく機関砲と呼ばれることが多い。基準は国家、組織によって異なる。
重機関銃の特徴
性能としては射撃の継続性が重視される。
・長時間撃ち続けられるよう、銃身の冷却性能が良い(もしくは交換が簡単)
・装弾数の多い(100発程度)ベルト式給弾機構
・移動性能の良さは求められていない
重機関銃は主に車両に据え付けたり、トーチカのような火点・防御陣地などに設置される防御火器として使われる。
「歩兵が携帯して移動し、必要に応じて火力支援する」という使い方は難しく、そのような用途は軽機関銃や分隊支援火器が担う。
銃架に車輪と引手を取り付け牽引できるようにしたものもあるが、踏破性がよろしくないためかなり地形を選ぶ。
2つの大戦と機関銃
かつての陸戦は、歩兵や騎兵の突撃によって敵の戦線を突破、または防ぐというものが主だった。だが19世紀末に登場した機関銃はそれを一変させてしまった。
どれだけ多くの歩兵が突撃を試みても、たった数挺の機関銃だけで防御できてしまうのだ。
この状況は第一次世界大戦に先んじ、既に日露戦争などで現出している。
鉄条網を設置することで敵兵の移動を制限することが出来、これに穴を開けられても、突破しようとする敵兵は穴へと集中するため、そこに火線を集中させるだけでいい。
当時、このような防御を突破できる作戦は、機関銃陣地の地下までトンネルを掘って爆破するくらいだったが、大規模な工事で時間がかかりすぎた。このため多くの戦線では歩兵・騎兵が機関銃に対して無為に突撃を試み、全滅かそれに近い損害を被った。
このため銃弾避けの塹壕を掘り、それを相手の方向に少しずつ伸ばしていくようになった。戦争は「いつまでも同じ場所」で「ダラダラと続く」ようになったのである。
新たな兵器も生まれていった。
まずは塹壕に潜む敵兵を追い出すため、化学兵器が生み出された。これが(現在で言うところの)『催涙ガス弾』で、「ガスを避けて敵が逃げ出したスキに敵地を占領しよう」というものである。
または強固な塹壕の防御を打ち破るため、手榴弾も復活した。狭くて爆発力が逃げない塹壕での効果は凄まじかった。敵味方ともに手榴弾を投げ込みあうようになり、対策のため塹壕に手榴弾処理用の溝を作ったり、複雑な形状にするなどの工夫が行われた。
出会い頭での戦闘が増えたため、トレンチガン(ショットガン)やトレンチナイフも生まれた。
あるいは塹壕を乗り越えて後方に突破するため、装甲車両に重機関銃を据え付けた戦車も登場した。機銃掃射で敵に頭を上げさせない間、盾となって歩兵を伴って戦線を乗り越えるのだ。
偵察のついでに攻撃をしようと手榴弾や矢、果てはレンガなどを投下する航空機も登場した(爆撃機)。
そういった航空機を追い払うための航空機も登場した(戦闘機)。
その後、侵攻する歩兵が携帯できるように軽量化された機関銃も開発される事になる。これが軽機関銃やサブマシンガンで、短時間の掃射に特化した仕様になっている。