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塹壕は戦場において歩兵の防御のために使用するあるいはであり、この中に入ることにより砲弾銃弾手榴弾から身を守ることが可能となる。


歴史

このような「防御用の溝状構造物」の歴史としてはっきりと記録に残されているのは7世紀中東において行われた戦闘であり、これは騎兵対策として用いられたものである。

(なお金属製のスコップもこのとき発明され、これを作らせた人の墓所に立つモスク聖遺物として保存されている)


この構造物が用いられるようになったのは中世以降大砲などが発達し、要塞が作られるようになってから、要塞に対する戦術として用いられるようになった。しかしこの時代では野戦においてはまだ使用はされていなかった。


野戦においてこの構造物が大々的に用いられるようになったのは火薬の進化やライフルとなり、命中精度が上昇した19世紀ごろからである。


特にこの構造物が用いられた戦争で有名であるのが第一次世界大戦であり、鉄条網地雷などで移動が制限され、機関銃で守られた塹壕は正面突破が不可能となり、両軍ともにこの構造物を用いた戦闘(いわゆる塹壕戦)を行う状況になり、戦場(特に機動戦に失敗した西部戦線)は「塹壕の奪い合い」という状況になった。

そして「歩兵の仕事のほとんどがこの構造物を作ること」といわれるまでになった。


日本では1614年の大坂冬の陣真田丸の戦いにおいて徳川方が陣地構築の際に塹壕を掘った事が記録に残っている。


現在では戦車や装甲ブルドーザーなどを用いた対処法が確立されているため、過去のような大規模な塹壕戦は行われなくなっているものの、山岳地帯など装甲車両の運用が困難なところや、各種事情により対処手段を持たない戦闘では行われることがある。

韓国などの現在も戦争が続く地域やスイスなどの防衛主体の国では排水溝等を平時には排水路等の生活設備として利用し、有事の際は塹壕として利用する構造としている都市もある。

それ以外の地勢でも、即席防御陣地としての塹壕は依然として有効であり、野戦における歩兵の最大の仕事は今でも穴掘り。スコップは歩兵の必需品である。


構造

基本的には人が完全に隠れるための深さのある溝である。

爆発物での被害が拡大しないために長い直線を作らず、クランク状に直角に曲げてジグザクを描くように掘られるようになった為、敵兵が侵入した際には突発的な近接戦闘が発生することも多くあった。

準備期間や人手によって塹壕の質は大きく変わり、簡単なものでは屈まなければ隠れられない程度の深さの溝だったりする。

一方大掛かりなものでは人がすれ違える程度の広さになり、壁は土嚢や木材で補強される。足元には雨水や手榴弾を逃がすための溝が掘られ、各所には兵士が射撃するための銃座や重機関銃などを設置する簡易トーチカが設営された。



塹壕内には排水用の溝などが備えられているものの実際の大雨には殆ど役に立っておらず、中の兵士の足は常に湿気を持つ状態となっており、寒さによる凍傷や重度の水虫による塹壕足が発生するなどその居住環境は劣悪を極めた。


対策など

この構造物への対策としては、当初は「砲撃後に歩兵の突撃」による突破の試みが行われたが、砲撃では塹壕を完全に破壊することは困難であり、歩兵の突撃は機関銃の良い的にしかならず、犠牲をそれまでとはケタ違いに増やす結果となった。日露戦争では、歩兵による攻撃武器として「小型爆弾」(後に迫撃砲となる)が開発された。


第一次世界大戦では「弱いところを見つけてそこに攻撃を集中する」(浸透戦術)という戦術が開発されるが限界があった。

「下にトンネルを掘り、爆破によりつぶす」(坑道戦)ことはかなり効果的だったが年単位の工期がかかり、限られたケース以外には実用的ではなかった。


こういうわけで、塹壕突破のための新兵器として「毒ガス」、「戦車」という兵器が開発されたが、効果的な戦術が確立していなかったためや数の少なさのため限定的な成功をおさめたにとどまり、第一次世界大戦の終結まで真に効果的な塹壕突破戦術は確立しなかった。


第二次世界大戦では、戦車や爆撃機の発達を背景に、ドイツ軍が「浸透戦術」と「電撃戦」の組み合わせで塹壕を突破するという戦術を確立。以降は大陸を横断するような長大な塹壕線は築かれなくなった。しかし、第二次世界大戦後も朝鮮戦争ベトナム戦争などで塹壕戦が展開されている。


特に、イラン・イラク戦争では大々的な塹壕戦が展開され、イラク軍は塹壕を効果的に運用してイラン軍の侵攻を撃退した。イラク軍は続く湾岸戦争でも塹壕を採用したが、アメリカ軍は「燃料気化爆弾」を投下し、塹壕に潜むイラク兵を殲滅。さらに「装甲ブルドーザー」を投入し、塹壕を兵士もろとも埋め立ててしまった。


この湾岸戦争を最後に、大規模な塹壕戦は発生しなくなった。だが、その構築技術の一部は現在でも前線基地などでの陣地作成の際にも用いられている。


pixivのタグ

pixivタグとしては戦場でこの構造物が使用されている状況を描くイラストである。


関連項目

戦場 円匙/スコップ 第一次世界大戦

トレンチコート ショットガン 重機関銃 鉄条網

トーチカ

タコツボ キツネ穴


参照

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