解説
もとは第一次世界大戦中にイギリス軍が採用した軍人用コートからきている。
トレンチ(Trench)とは「塹壕」のことで、その雨水等により湿気のはびこる劣悪な環境から兵士を保護するため、防寒性以上に防水性を重視して開発された(織り上げる前の糸の段階から防水処理を施すなどして、徹底した防水対策が取られている)。
大きめの襟に耐寒・耐水用の腰・手首・襟裏のストラップ(ベルト)、射撃時の銃床の衝撃を緩和させるための肩部ガンフラップや腰部ストラップに備え付けられたDリング(手榴弾等を懸架できる)等々、数あるコートの中でも特に野戦用軍服としての意匠を色濃く残している。
肩にもエポーレット(ショルダーストラップ)があり、水筒や双眼鏡を下げる際のずり落ち防止に役立った他、倒れた仲間を引っ張るためにも用いられたという。
戦後は実用性の高さから一般に普及。特に1940年代頃からアラン・ドロンやハンフリー・ボガードといった俳優達がフィルム・ノワール(ギャング映画)の劇中でしばしば着用した事により、「ハードボイルドな男性が着用するもの」というイメージが世間に広まった。
日本でも、創作物では年配の刑事や探偵等がよく着ている印象が強い(代表的なところでは『ルパン三世』の銭形警部など)。
……なお「露出狂が全裸の上から羽織るもの」というイメージで語られるのは日本だけだろう。多分。
現代では冬場における定番防寒着の一つとなっている。
上述の経緯もあって着用者は主に男性が中心だが、近年では女性もファッションに取り入れるケースが増えてきている。
関連キャラクター
主に刑事である事が多いようである。