銃
じゅう
殺傷力を持った弾丸を発射するものの内、砲よりも小さいもの。
またはこれらを前提とした上で、それを模した機能もしくは形状の、殺傷力を持たない機器も含む場合がある。
ちなみに銃火気が登場する前の銃という漢字の意味は、斧に挿し込む穴であった。
銃を描いた(書いた)作品に付けられるタグ。
広く銃関係を包含するタグのため、種類、サイズも多岐に渡る。
構造
先込め式(前装式)
初期に登場した形式。銃身は片方が閉じた筒になっており、銃口から弾薬を装填する。
後述する薬莢が登場する以前に広く使われていた形式のため、弾丸と発射薬(弾丸を射出するための火薬。装薬とも)が一体となっておらず、まず発射薬を詰めてから弾を込め、槊杖とよばれる棒で突き固める方式が一般的。変わり種として、薬莢登場以後の時代でありながら前装式とした銃も存在する。GP-25は薬莢を持たないロケット弾のような弾を用いており、銃口から装填する前装式となっている。
装薬への点火に着火した火縄を用いるマッチロック、火打石を撃ち金に叩きつけて火種にするフリントロック、回転する鑢で火打石を発火させるホイールロック、雷管を火種にするパーカッションロックなどが時代とともに開発されていった。
いちいち銃を上に向けては装薬と弾丸を順に装填して突き固めねばならないため、装弾に手間がかかるのが難点。この手間を改善するため西洋諸国では紙で弾丸と一発分の装薬をまとめて包んだ紙カートリッジ(紙薬莢とも呼ぶ)が開発され、日本でも弾丸と装薬をまとめて収める早合と呼ばれる容器が登場した。しかし結局根本的な解決にはならず、このため後装式銃の開発が進められた。
ホール式と呼ばれる薬室部と銃身を分離した構造となっているものがあり、装填時に薬室へと直接装填するので銃身の長さやライフリングが装填作業に影響しにくい構造となっている。
元込め式(後装式)
17世紀に登場した形式。銃身尾部に薬室があり、ここに弾薬を装填する。なお、要求される工作精度が比較的低い大砲では15世紀には既に出現していた。
射撃姿勢を大きく崩さないまま、新たな弾薬を装填できるのが最大の利点である。
初期には薬室に直接装薬と弾丸を詰めていたが、19世紀に後述する薬莢と一体となった弾薬が発明され、これを丸ごと装填する方式が開発されて以降は爆発的に普及し、前装式銃を駆逐していった。
現在生産されている銃は、ほぼ全てがこの形式である。
自己完結型弾薬
現代の多くの弾薬の構造。
発射薬を詰めた薬莢の先端に弾丸を圧着し、底部中央に雷管が取り付けられたセンターファイア方式が主流。
撃鉄による衝撃で雷管を起爆し、発射薬を燃焼させて弾丸を撃ち出すというもの。
小口径のものでは雷管と薬莢が一体化したリムファイア方式などもある。
漫画・ゲーム等における銃
銃は基本的に強力で殺傷力の高い武器だが、戦闘漫画においては当たり前に弾丸を刀で切り裂いて止めたり、
ある程度のダメージを無効化するバリヤーや敵の装甲や耐久力が化物じみている等により意外と低火力な部類の武器に位置しやすい。
また、敵の強大さ、非常識さを示すために現代兵器は役立たずであると描写されることもあるため、まったく役に立たないと言うこともある。
数多く高速で撃てるが、どうしても弾丸が小さいため絵的な迫力が出にくいというのも一つの一因ではある。
キャラクターのステータスの反映するのが難しい武器であり、攻撃力を上げて何故銃のダメージが上がるのかと良く疑問視される。
ライトファンタジーではジャンルの都合上軽視されがちな武器で、特にスキルなどが存在するゲーム的な世界観の作品では弓矢などが物理法則を超えて威力や射程が大幅に向上する、防御貫通などの特性が付与されるなどの持ち主次第で桁違いに優れた武器になるのに対し、銃火器の場合は威力の向上やスキルによる特性の付与が一切できず、素のままの威力どころかぬののふくの防御点すら超えてダメージを与えられない役立たずな武器として描写されることもある。
まあ、とんでもない破壊を齎すことのできる肉体、それに耐えうる武器を作れる金属等があるなら相応の威力の武器を作れるうえに、対応したスキルがあれば更なる性能や威力の更なる向上が可能となるわけで、役立たずとしなければ剣と魔法の世界から剣と魔法のどちらも駆逐しかねないので仕方ないのだが。
しかしながら、現実世界の伝承に目を向ければ、狼男や吸血鬼を倒せる武器として「銀の弾丸」、悪魔と契約する事で鋳造できるどんな場所でも意のままに当たる「魔弾」などが存在する事からも分かる通り、ファンタジーとの共存は絶対に不可能というわけではない。(ファンタジーの代表格とされるドラゴンクエストシリーズでも「魔弾銃」が外伝作品で登場し、ファイナルファンタジーシリーズでは『FINAL FANTASY Ⅶ』以降に銃が武器として使えるようになった)。
共存のために魔力を込めた弾丸や魔法を発射する為の武器として扱われたり、特定の属性の弾を撃ち出す銃を登場させるという工夫がなされる事がある。例えば『冒険王ビィト』に登場する空気を弾丸に変える風属性の銃サイクロンガンナーや『ボクらの太陽』に登場する太陽光をエネルギーとした太陽銃がそれである。
銃という呼び方そのものを避けるパターンも確認でき、『新・光神話パルテナの鏡』では「狙杖」や「撃剣」、『棺姫のチャイカ』では「機杖(ガンド)」と呼ばれている。
現代ファンタジーものでは現代社会とは切っても切り離せないものであるためか主要武器の一角として登場し、刀剣類と比べて携行が容易であり、比較的実用品の入手がしやすいという点で優れている武器として扱われることもある。
しかし、銃火器が身近にない日本を舞台とした作品では社会が崩壊しかけているなどいわゆる世紀末状態でない場合、特別な立場であったり架空のライセンスを持つなどの正規に所持できるようにするか、違法品を買ったり盗むなどにより違法に所持しているかになり、どちらの場合でも銃の使用を隠さねばならない場合は使用が容易ではなく、なんらかの手段で銃声等をごまかす必要があるなど、面倒な面が強調されることもある。
SF作品では近未来的な雰囲気を出すためにビームライフルなどの光線銃の出番が多いが、実弾銃との共存が不可能というわけではない。
ロボットアニメでの実弾兵器はミサイルランチャーが役割を担う事が多く、いわゆる実弾兵器としての銃は等身大の人間が扱う武器としての役割で登場する。しかしながら実弾兵器としての銃を使わないロボットが存在しないわけではなく、『ダンボール戦機』などでは実弾銃と光線銃が共存している。
ゲームでも同様。特に外骨格類や不定形生命体へのダメージは通りにくいことが多い。
また、銃を使用するキャラクターも速度・テクニック等に重点をおいたキャラクターが多く火力型になりにくい側面もある。
作品によっては、前衛排除前に後衛に攻撃が可能、弾を変えることで装備を大きく変更せずに属性の変更や状態異常の付与が可能、武器での攻撃を銃と手持ち武器とに分けて殴られるのには強いが銃撃に弱い敵を出すなど、銃にも優位性を持たせた作品もある。
実用性
現代社会において最も普及しているだけあり、その有用性・実用性は従来の武装を凌駕する。
特に以下の点が本武器の最大の特徴にして強み。
- 安全な位置から防御の難しい点による攻撃を可能とする。またその射程や動作の簡潔さから殺傷に対するストレスを大きく軽減出来る。
- 殺傷力が極めて高い。例え小口径であっても致命傷になりえるため、当てればいい。また連射可能な場合は正確に狙わずともばら撒けば良い。
- 発射動作が簡潔なため、殺傷力の高さに対して予備動作が非常に少ない(要するに隙が殆ど生まれない)。
- 弾丸の飛翔速度が極めて速く、射程の長さも他の飛び道具とは比較にならない程長い。標準的な小銃でも数百m、大型の狙撃銃ならkm単位での攻撃が可能。
- 装弾数が多ければ前述の少ない予備動作で弾丸をばら撒き続けることができる。
- 特殊な資質や技量を必要とせず、短い訓練期間さえあれば女子供でも扱え、さらに個人差による戦闘力の変動が小なく、また銃声はそれだけで相手に大きな心理的ストレスを与えるため、集団戦に向いている。
- 銃口を向けたり適当に撃つだけで敵へ威嚇ができる。
- 銃ごとにある程度の相性はあるが、弾頭の形状や被覆の有無、火薬量等性質の違う弾薬が用意されており、それらを使い分けることで貫通力や威力の調節ができる。
- 銃剣を取り付けた場合は弾の出る槍等としても扱え、取り付けていない場合でも鈍器としても使用可能。
逆に以下の点で他の武器に劣っている。
- 発砲に弾と火薬を必要とするため、継続戦闘能力が低い
- 弾切れを起こした場合の再装填の間は無防備になる。
- 同じジャンルの銃でも機種が違うと操作方法、部品形状、使用弾薬等が違う。この為銃を変えた場合は操作やメンテナンスの訓練を積まなければならない。
- こまめにメンテナンスしないとすぐに動作不良を起こすが、メンテナンスのための技術や道具は専門的なものが必要。
- 機種にもよるが、粉塵や泥に総じて弱く、それらが内部に入り込むと作動不良を起こす。これは戦場という過酷な環境で使う兵器としては大きな弱点である。
- 構成する部品は形状、材質共に工場でないと製作できない。自然にある素材で製作できる部品はグリップくらいしか無い。その為現地での有り合わせの修理やメンテナンスは殆ど望めず、故障すると途端に無力化する。
- 大きな銃声や発射炎で自身の位置を周囲に悟られ易い。
- 遠距離で命中するには相応の技術や装備を必要とする
- 戦闘力が個人より武装に依存し易く、装備の質が大きく問われる。
- 強力な火器はサイズ等の都合で携行が難しく、持ち運びすら不可能となる場合も。
- 上記の強力さと個人でも扱える簡便性から現在流通している武器の中でも特に規制が強い。銃本体は勿論のこと部品単位でもその形状の特殊さから持ち込むハードルが高い(早い話が、隠し持っていてもばれやすい)。
日本における銃
現在の日本では銃砲刀剣類所持等取締法(銃刀法)により、所持や使用が厳しく規制されている。基本は明治時代から施行された「銃砲火薬類取締法」から変わりはなく銃砲類の市販製造は政府への登録制とし許可無く所持することが禁止されていた(刀剣類に関しては廃刀令で禁止されていた)。
所持するためには申請が必要であり、また審査も厳しく狩猟の場合狩猟免許を所持してなければまず申請すら通らない。また使用できる銃器についても制限があり拳銃の所持は認められていない。所持が認められた場合でも基本は各警察署が管轄する専用のロッカーに常時保管しておかなければならず、正当な理由でない限り持ち出しは禁止されている。
ただし無稼働銃(用途を観賞用に限定し発砲能力を完全に喪失してる実銃)は一般人でも届出を必要とせず所持できる。
拳銃については上述した通りいかなる理由であっても日本国内では所持できない。例外として所持が認められている身分は、
のみである。在日米軍基地の日本人警備員に関しては日米地位協定を根拠に所持しているとされる。また税関職員は所持こそ認められているが現在ではほとんど携行してない。
なお意外かもしれないが過去には郵便配達員も拳銃の所持が認められていた(しかも日本で最初に拳銃の所持が認められた職業である)。これは昔の郵便配達員は現金を運ぶことも多く、強盗などから身を守る為の護身用として携帯する必要があったからである。無論今は携帯してない。
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