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銃弾とは、で攻撃する際、目標に当たって直接これを破壊する物体。


概要

おおよそはなどの柔らかい金属を主成分としている。

弾丸とも称され、火縄銃マスケットパーカッションリボルバーなどの古式銃のものは文字通り『玉』だが、ライフルドマスケットや後期のパーカッションリボルバーなどの近代の銃以降は円錐のような流線形をしている。

加工が容易な鉛のみを使うソフトポイントは鋳型やモールダーという道具を用いることで自作が可能で、マスケット等の古式銃の銃弾はユーザーの手で製造されている事が多い。


使用できる銃弾が決まっている上に制式名称として名前で形状、構造の判る軍用銃弾等と違い、民間用弾銃弾では好きな弾を選んで使うことが出来る為にその銃弾の特性や用途を示すため、銃弾自体の名称(商品名)とは別に以下の種類の名称を並べる事で説明がされることもある。

例えば狩猟用で鹿・猪向けの銃弾ではラウンドノーズのジャケッテッドホローポイント(フルメタルジャケットのホローポイント)、サブソニック、曳光弾というライフル弾がある。


主な種類

ラウンドノーズ弾

銃弾先端が丸くなっている弾丸。

一般的な銃弾の形状で、先端が丸いために装填不良などが起きにくい。


フラットノーズ弾

ラウンドノーズの先端が切り落としたように平らになっている弾丸。

貫通力はラウンドノーズ弾より劣るが、WC程ではないが紙の的を撃った際にきれいな穴が空きやすい、HPほどではないが変形しやすいといった利点がある。

銃弾が縦一列に並ぶチューブ式マガジンを持つ銃では落下などにより強い衝撃が加わった際に銃弾先端で前の弾の雷管を突いて暴発する事が殆どない、衝撃による銃弾の変形の影響が少ないという利点もある。


スピアポイント弾

銃弾先端が尖った弾丸。

貫通力に優れ、遠距離射撃に適している。

主に軍用ライフル弾等に用いられるが、一部では拳銃弾にも用いられており、サボット(発射後に脱落する弾頭を覆う樹脂カバー)で覆われているものもある。

狩猟用としては貫通力が高くなりすぎる事から限られた用途でのみ使用されている。


ボートテイル弾

銃弾後端がボートのようにテーパー状に窄まっている形状の弾丸。

窄まることなくすっぱり切ったような「フラットテイル弾」と比べ、空気抵抗が減る事で後部の負圧(カルマン渦)が減少し、より初速を上げ射程を伸ばすことが出来る。

理想は後部もスピアポイントのように尖らす事であるが、銃弾ではそれが不可能なためにボートテイル状の形状となっている。

製造メーカーによっては後部のフラットとなった部分に突起を追加して気流の巻きこみを減少してるものもある。


フルメタルジャケット弾

ライフルアサルトライフルなど軍用の銃に適用される弾丸。

弾丸表面をギルティング・メタル(丹銅)やニッケル合金などのある程度硬い金属で覆っている。

純鉛弾は人体に着弾すると衝撃で変形し、組織を大きく破壊するが、丹銅等で加工することで、着弾時の過度な変形を防いでいる。

また、鉛による中毒症状を緩和する効果がある為、猟銃でもFMJやそれに準ずる弾を用いることを推奨している地域もある。

徹甲弾のような固すぎる弾の場合は柔らかい金属で覆うことで銃身に与えるダメージを下げる効果がある。

逆に古式銃では硬すぎる金属で銃弾を覆ってしまっている事から銃身に与えるダメージ増すどころか停弾等を引き起こしてしまうため、樹脂製サボットで覆う等の対策が必要となる。

ハーグ陸戦条約で戦争への使用を義務づけられている。

また、ライフリングの保護や銃弾の破片化、銃身途中での停弾といった事が起き辛いといった利点があるため、陸戦条約抜きでもジャケットで覆われた弾を使用する利点はある。

質の悪い銃弾では射撃時にジャケットが剥離して散弾のように散ってしまう上に剥離による重心や重量の変化で弾道が狂ってしまう事もある。

略称として「FMJ」が使われている。


補足:ハーグ陸戦条約

銃弾でよく言われる「ハーグ陸戦条約に基づき人道上の理由から~である」の多くは

「即死するような急所に命中しなかった場合になお、致命傷を与え、そのために死亡するまでに長く相手を苦しめる効果」という点が問題となる。(他には鉛などの一部の金属が持つ中毒効果)

なお、ホローポイントに関しては正確には陸戦条約とは別の「ダムダム弾の禁止に関するハーグ宣言」によって禁止されている。

この項においては以降説明を簡潔にするため以上のような効果の場合「残酷な効果」と表記する。


ソフトポイント弾

最も一般的にイメージされる弾丸。

拳銃などの小型の銃の弾丸としてよく用いられる。

銃弾全体、または先端部を丹銅で加工せず、鉛をそのまま加工している。

目標に命中すると激しく変形、破片化し、効率的に衝撃力を目標に伝えてダメージを与える。

丹銅で加工していないものは値段が安いために練習用として使われるほか、破壊が目的ではなく的に穴を開ける、着弾する等で十分な射的競技等でも使用される。

線条と噛み合う側面に丹銅の加工がないと銃身内に千切れた鉛のカスが残ったり、銃身の途中で止まってしまったり、発射時の摩擦熱で溶けて変形してしまう等が起きる事から、弾の表面をパラフィンワックス等でコーティングしたり、グリスやワックス、蝋を入れる溝が掘られていたり、紙を巻くためのくぼみがあるものもある。(紙を巻いたところでライフルマークは残るため、偽装には使えない)

側面を丹銅で覆ったものをハーフ(メタル)ジャケット、先端のみを露出させたオープンチップ、全く覆わずに鉛がむき出しのものをレッド(Lead)ブレットと呼ぶ事もある。

火薬の高性能化により、鉛がむき出しのままでは発射熱と銃身との摩擦により鉛が融解し、銃身内部に鉛がこびりついてゆき、性能の低下だけでなく銃身内部での停弾を招き、最悪は銃身破裂などの事故を引き起こしてしまう。そのため、丹銅で覆われた銃弾が主流となっていったが、.22LR弾などの比較的低初速な弾では弾丸の融解は少なく、丹銅で覆うとかえって停弾を引き起こしやすい事から現在もソフトポイントが主流となっている。

線条が触れる面に丹銅の加工の無いものはグロック17デザートイーグルなどの多角形線条を用いた銃での使用に適しておらず、無理に用いるとトラブルを引き起こす原因となるだけでなく、最悪は銃自体の破損の危険がある。


ワッドカッター

先端が平らに成形された円柱状の弾。

ペーパーターゲットに綺麗に穴を開ける事が出来る事から競技向けの弾となっている。

その弾頭形状から、自動式では装填不良を起こしやすい。

先端が平らになっている事から貫通性能は低いが、人体に撃ち込んだ際にはジャケットが無い為に変形や破片化しやすく、大きな丸い穴を開ける事から傷が閉じにくく、内臓器を破壊しやすい、大量の出血を引き起こす事が出来るといった残酷な効果がある。

装填不良の減少を目的として円錐台状となったセミワッドカッターという弾もある。

略称として「WC」が使われている。


ホローポイント弾

狩猟用としては主流の弾丸。

警察用としてもよく用いられる。

(残酷な効果がある為にハーグ宣言に基づき軍での使用は避けられている。アメリカは調印していないものの準じた弾を使用しているが、新型拳銃のM17と共にM1153弾が採用されている)

先端が凹型にへこんでおり(一部製品は凹み部分が空洞になるようにジャケットを被せたり、凹み部分に樹脂部品を付ける事で流線型にして、初速の減衰や弾道のブレを抑える効果を狙ったものもある)、目標に命中すると凹み内に入り込んだものに押される形で先端が開くことでキノコ状に変形し(マッシュルーミング)、より効率的に衝撃力を目標に伝えてダメージを与える。

銃弾によっては凹みだけでなく放射状の溝を掘ることで先端が花が咲くように開く(バナナピール現象)ようにされたものもある。


破壊力がある代わりに通常の衣服程度でも弾頭の変形は起きてしまい、貫通力はその分FMJ弾より劣る。

総合的に見た威力は大して変わらないか、ボディアーマーが普及した近現代戦においてはFMJ弾より威力が劣る場合もある。

このため硬い素材に対しては変形せず貫通力を維持し、人体のような柔らかい物質に当たったときのみ変形して破壊力を発揮する弾丸の開発も行われている。

また、ライフル弾など初速の高い弾のみではなく比較的低速な拳銃弾であっても条件によっては変形が起きない事もあり、至近での射撃やガラス越しの射撃などでは弾が変形しきらずに貫通してしまうということも起きている。


形状から重心が後方に寄っており、ライフリングに接する面積が広いことから命中精度が高いといわれている。


丹銅等のジャケットで覆われていないオールレッドホローポイント、側面のみ覆われたハーフジャケットホローポイント、完全に覆われたジャケッテッドホローポイント等、様々種類がある。

ジャケットで覆う範囲が広ければ変形しづらくなるが、自動拳銃での使用に対応していたり、銃弾が千切れるといったトラブルが減る利点もある

銃弾が変形しやすいので金属などの硬い物質にあたった場合に自壊して跳弾や貫通が起きにくいため、列車飛行機内での私服警備員の武装する銃の弾丸として用いられることが多い。


略称として「HP」が使われている。


フラグメントコントロール弾

ホローポイント弾に深い縦溝を増やしたような形状をしている

銃弾は着弾の衝撃や侵入の際に破片化し、目標体内で散らばり永久空洞(銃弾が体内で暴れることで傷付いた傷)を増やすことがあるが、この銃弾は意図してバナナピール現象の際に破片化しやすくしたうえで破片が貫通力を有したまま体内で暴れるようにする事で殺傷能力を増している。

着弾と同時に先端が開き、後端部からちぎれて散らばることで一つの突入口から散らばって銃弾が侵入することで永久空洞を増やす。

意図しない形状への変形による威力の低下を防ぐため、ソフトポイント弾に使われるような柔らかい金属ではなく、丹銅のような固い金属で作られている。

バーミントライフル等の狩猟向けの弾だが対人用として登場した拳銃弾R.I.P(Radically Invasive Projectile)が話題となった。


徹甲弾

戦車砲などの装甲目標を撃破することを目的にする火砲に用いられる弾種で、運動エネルギーによる貫通力を重視したもの。

劣化ウラン(DU)やタングステン合金などの重金属、鋼鉄などの重く硬い合金等を用いることで、弾丸により大きな運動エネルギーを保持させて貫通力を高めることを可能にしている。ただし劣化ウラン弾は戦後の環境問題(化学的毒性も含む)にも大きな課題を残すことになる。タングステンも重金属であるが単体では毒性がないとされ、環境汚染は問題にはならない(合金が使用されている銃弾としては話は別)。とはいえコストが高いため鋼鉄が用いられることも多い。

略称として「AP」が使われることもある。


装弾筒付翼安定徹甲弾

戦車用の徹甲弾の一種、APFSDS弾。

既存の徹甲弾と比べ比較的軽量な矢状の弾頭は大型のサボットによって保持され、大量の炸薬によって十分な初速を与えられて発射される。

砲口から出た後にサボットは脱落し、運動エネルギーが集中した弾頭のみが飛翔していく。

着弾と同時に弾頭と装甲は塑性流動(高い圧力により固体がまるで液体のように振舞う現象)を起こして相互侵食し、弾頭内の侵徹体は変形しつつ装甲へと侵入していく。

これにより戦車等の避弾経始(装甲を傾斜させて装甲の厚さを稼ぐと共に着弾した砲弾を弾くきやすくする)は意味を成さなくなっている。

対物ライフルサイズのAPFSDS弾と専用の対物ライフルも試作されたが、対物ライフル程度の口径では安定翼が小さすぎる、サボットの脱落が上手くいかないなどの問題から弾道が安定しないなどの問題により開発は頓挫している。


徹甲弾(小火器用/対人)

サイズ的に装薬を施す事ができないので基本的には鋼鉄タングステン合金などの硬く重量のある金属が用いられる。

また少しでも初速を稼ぐため銃身内でのすべりを良くするコーティングなどが施されるなど涙ぐましい努力も行われている。

また、貫通力が高すぎると人体へとダメージを与えきる前に貫通してしまいかえって人体へのダメージが少なくなることもある事から、体内に侵入後に転倒するように回転する事で永久空洞を増やすとともに貫通しづらくし、効率よく人体へとダメージを与えるように作られている弾もある。

フレシェット弾(後述)や、銃の口径に対してより小口径の弾をサボットを使って発射し、高いエネルギーを与える発想もあったが、弾自体が小さくなりすぎるため極一部の国でSLAP弾のような大口径銃向けか特殊用途向けとして開発された程度となっている。

貫通力のために特異な構造を用いたものではなく、単純に重い材質を用いるなどで運動エネルギーを稼ぐ方式が多いのは、対人用の歩兵火器においては通常のライフル弾(アサルトライフル弾も含む)がスチールコアが採用されるなどの理由から軍用弾は徹甲弾に近い特性を持っているために既に十分な貫通力を有すものもあり、狙撃銃機関銃で軽装甲を貫通させての目標の無力化といった特殊な用途を除けば今のところ不要だからである。

省資源のため鋼鉄等を弾芯に使用した銃弾が意図せず徹甲弾に準じる弾となっているものもある。

その地域の銃規制の内容にもよるが、犯罪に使われた際には大きな被害をもたらす事から準ずる弾であっても基本的に民間人の所有は難しく制限されており、合法であったとしても長銃身のスポーターライフルのように隠し持てないサイズの銃にのみ使用できる弾のみが合法となるなど、所持は厳しく制限されている。


デュプレックス弾

一つの薬莢に複数の弾丸を一列に装填したもの。

7.62mmNATO弾のM198 DUPLEXのようにスピアポイントの銃弾を二つ用いたものや、丸い弾丸を複数装填したものもある。

一回の発砲で複数の弾が連続して飛び出し、前側の弾の命中後に後側の弾が命中するために貫通力に勝る、もしくずれて飛翔した複数の弾が散弾ほどではないものの散る事から命中率が上がるとされたものの、連射が可能となっているアサルトライフルや機関銃等では命中率の向上効果は薄い、倍の重さとなった弾を多少とはいえ少なくなった装薬で飛ばさねばならないなどの問題から軍用としては廃れている。


デュアルコア弾

一つの銃弾に二つの弾芯を入れた弾。

バーミントライフルやハンティングライフル向けで、鹿などの大型の動物向けとなっている。

軟らかい素材のコアを用いる、ホローポイントとなっている等で(硬い弾芯を用いた軍用銃弾と比べて)貫通力が劣ってしまう先端側のコアの貫通力が劣ってしまう点を後方に更にコアを入れる事で補っている。


フレシェット弾

徹甲弾の一種と呼べる銃弾で、が装填されている。

衝撃を緩和し、弾丸を繊維で絡めとって貫通を防ぐボディアーマーの普及により、これを無効化するために細い矢を撃ちこむ事が考えられた。

アメリカのACR(Advanced Combat Rifle)プログラムにてSTYER AUGベースにフレシェットファイアリングアサルトライフルが試作され、SPIW(Special Purpose Individual Weapon)プログラムのHarrington&Richardson案、5.56mmNATO規格用フレシェット弾等が開発さている。

しかし銃弾に十分な質量を与えられず、風などの影響から射線が安定しないといった問題も多く、試作に終わっている。

散弾では複数の矢をまとめて撃ち出すものもある。


フランジブル弾

銅などの金属粉末を圧縮成形した弾丸。

キルハウス等の訓練施設や飛行中の航空機内や船内、室内等の貫通してはならない、もしくは貫通後の二次被害を起こしてはならない場所で使用するために開発された。

着弾すると粉々になる為に合板程度でも貫通は難しく、貫通したとして遠くまで飛翔せず、跳弾の心配も少ないが、弾頭重量が軽いためにそれに合わせて装薬量が減っているために動作不良の心配があり、人に対して使用した場合に当然ながらHP弾以上の変形と破片化を起こすために傷の永久空洞が深くなり、粉末状の破片の除去も難しいため、残酷な効果や破片による中毒などの後遺症を残すという人道上の問題がある。

ただし開発された目的自体が貫通力等を落とし室内戦闘での流れ弾に味方や無関係な人が被弾したり、構造物の破壊のリスクを抑える事であるため、それ以外の用途では人道なんてクソ食らえの特殊任務くらいにしか役に立たないので、そういう意味では特に問題にはなっていない。


サブソニック弾

弾頭重量を増やすことで初速を亜音速まで落とし、サウンドサプレッサー/サイレンサーの効果を増すための銃弾。

一般的に射程と威力が落ちるといわれているが、実際には(長距離狙撃といった特殊な状況を除けば)有効射程は殆ど変わらず、むしろ弾頭重量が増した分、威力が高まっている(と謳っている)製品もある。

増やした弾頭重量に合わせてバランスを取る為に形状を変えた結果、スピアポイントではなくラウンドノーズとなっているライフル弾もある。

弾頭重量を変えずに装薬量を減らした減装弾、減装と弾頭重量の増加の両方を行ったものを指す場合もある。

発射音を抑えるという目的から特殊用途向けといったイメージのあるサブソニック弾だが、規制次第ではあるがは狩猟向けの銃弾もある。


シミュニッション弾

対人訓練用のペイント弾。

専用の銃身等の弾に合わせた部品に交換して使用する。

実銃を用いて火薬で撃ち出すため、あくまで実弾と同じ扱いであり、流れ弾に注意しなければならなかったり着弾時の衝撃が非常に強い為に怪我の恐れがある、訓練の際に銃火器の持ち出しの手続きが面倒といった問題がある。


訓練弾

射撃訓練用の弾。

プラスチックなどの軽量、低威力の素材を用いており、威力や射程を大幅に抑えている。

そのため、狭い射場や室内であっても流れ弾や貫通の危険性を減らすことが出来る。

素材によっては銃身への負担が非常に小さいため、年代物の高価な銃などを撃つ際に銃身等の磨耗を抑えることが出来る

また、弾代が安く済むため、M134等の大量の弾を必要とする銃に使用されることもある。

一方で軽すぎることから距離によっては命中精度の期待は出来ないという欠点を持つ。


照明弾

強い光を放つ弾丸。

信号用、もしくは夜間戦闘時に周囲を照らすために用いられる。

小口径のものは無く、ショットガンやグレネードランチャーなどのある程度口径の大きいものに使われている。

燃焼材に金属などを混ぜる事で色の付いた光を発するようにして信号弾としたものもある。


曳光弾

トレーサー。

銃弾後部に燐等の発火性物質を内蔵し、発射と同時に引火して後方に光を引きながら発射される弾丸。

一種の焼夷弾としても働き、曳光焼夷弾という弾もある。

発火性物質を埋め込む為に通常弾と比重が違い、燃焼により気化する為に飛翔する間に重量が減少し続けるため長距離の弾道確認には用を成さない。

重量の減少を防ぐ為にバッテリー式のLED発光タイプが開発されている他、

相手側の視認率を避けるため発火を遅くしたり、前方・側面へ光が漏れにくい遮光版を取り付けたものがある。(LED式も視認率を下げる効果がある)


機関銃などで照準確認用として通常弾に一定の割合で混合されたり、火砲やSMAW等のランチャーのスポッティングライフル(火砲と似た弾道の弾を使用する弾道確認用同軸銃)に用いられる。

また、目標指示等のために弾倉の一発目に入れたり、弾倉の弾切れ警告用に最後の5発程度をこの弾にする場合もある。

光は化合物を混ぜることで調整でき、NATOの標準規格(西側)の場合は赤色となっており、東側は規格でそろえているわけではないようだが誤射を防ぐためか緑色に発色するものが主流となっている。

単純に発火・発光するだけの弾も使用されており、当然その場合、黄色からオレンジの「普通の火」の色を発する。

曳光弾のみ使えば前述の質量の差によって弾道に差が出る問題は避けられるが、位置が察知されやすくなったり、燃焼炎やガスによって通常の銃弾以上に銃身に負担をかけることになるため、演習やデモンストレーションといった限られた時以外は行われてはない。

影響がどの程度の影響があるかは不明であり、影響が出る前に磨耗により銃身の寿命がきて交換されるとも言われているが、あってからでは遅いというのが実情。(LED式や遅延発火弾の場合この限りではない。)


民間用弾薬では管理を容易にするためと引火による火事を防ぐため、発火性物質を用いず、銃弾先端部の樹脂チップを蓄光素材のグローチップに変更したものも登場している。


炸裂弾

銃弾内に火薬(炸薬)を充填し、雷管や信管などにより着弾時に発火し、炸裂する。

特にサイズの大きいものは榴弾等と呼ばれている。

大口径のライフルや機関銃などで車両やヘリ、駐機中の航空機等の破壊に使用される事が多い。

拳銃や小銃などの小口径のものは実際にはたいした威力の向上はなく、夜間射撃等の際に着弾観測用として用いられていた。

小口径のものは銃弾自体の重量が減ることから貫通力が落ちるなどの問題があり、コストに見合わない為に趣味的なごく一部の用途以外には使用されておらず、現在は量産品としては殆ど製造されていない。

小口径のものはサンクト・ペテルブルグ宣言やハーグ陸戦条約により規制されているが、WW2中のドイツがBパトローネン(Beobachtungs patrone、着弾観測用に8mmモーゼル弾頭に炸薬を装填したもの)を東部戦線で使用したように条約に批准していない相手と交戦した際には対人使用していた例があり、現在においてもアメリカが対テロ戦において12.7mmのRaufoss Mk211等の徹甲炸裂焼夷弾を対人使用した例もある。また、目標に合わせていちいち装填済みの弾を変える事はない為、対航空機や対車両用の炸裂弾を混ぜたまま攻撃した結果、対人使用となった例もある。


大口径砲では対人・対車両用のものがあり、主に機関砲で使われている。

榴弾とも呼ばれており、爆発時の衝撃波と周囲に飛び散る破片で殺傷を行なう。

モンロー/ノイマン効果で装甲を侵徹するHEAT(成形炸薬)、ホプキンソン効果で衝撃を伝え破壊するHESH(粘着榴弾)、ミズネ・シャルダン効果により爆発成形侵徹体を形成して侵徹するEFP(爆発成形侵徹体)といった砲弾もある。

グレネードランチャーやショットガンなど、運動エネルギーでの貫徹のできない比較的低速な弾ではHEATが徹甲弾として扱われることもある。


ゴム

文字通り硬質ゴムによる弾丸。

殺傷能力こそ低いものの、威力はプロのヘビー級ボクサーのパンチに匹敵すると言われるほど強烈なもので、良くても酷い打ち身、悪ければ昏倒して死亡する恐れがある。

比重の軽い弾体が空気抵抗によって減速することで殺傷力を抑える仕組みのため、

至近距離では弾丸が肉体に食い込む恐れすらあり、場合によっては鉛よりも変形しやすい弾頭がより酷い破壊を行うため扱いには注意が必要である。

最近では法執行機関等での使用以外にもホームディフェンス用途での需要が高まっており(犯罪者の側が銃で反撃されても過剰防衛として訴えられるように用意して犯行に及ぶなどが起きている)、至近距離でも殺傷性を抑えたゴム弾が開発されている。

主に暴徒鎮圧や犯罪者の確保、猛獣の撃退に使われる。


対人用はショットガンなどで打ち出す放射状に裂けることでより空気抵抗を得て減速させるものやゴム製の海栗のような形状のもの、専用の銃で打ち出される球状のもの、グレネードランチャーを流用したものが主流。(後者はピッチングマシンで軟式ボールを撃ってる感覚とのこと)

球状の弾のものは薬物中毒者や興奮した対象には効果が薄く、正常な相手でもあってもあまり効果が高くないことからただの球状のものは廃れつつある。


ゴム製ではない為に正確にはゴム弾ではないが、専用の銃から撃ち出される低殺傷弾には金属粉末の封入されたプラスチック製の弾丸があり、ゴム弾同様に軽く減速しやすいがより砕け散りやすくする事で殺傷力を抑えた弾も登場してる。

密閉しやすいプラスチックで製造することで液化した催涙ガスや警察犬追跡用匂いマーカー、塗料等が封入された弾も登場している。


ネット弾

低殺傷弾の一種で、畳まれたネットを撃ち出せる。

ショットガンなどの大口径専用だが、ネットを撃ち出すといってもサイズの限界から多少動きを封じる程度。

至近で撃ち込むと広がり切る前にネット末端のおもりが固まったまま撃ち込まれるため、非常に危険。

近年では比較的周辺被害少なく済む対ドローン用として注目されており、アメリカ空軍などで試験が行われている。


ワックス弾

低殺傷弾の一種で、蝋製の弾を装薬を用いずに雷管の発射ガスのみで撃ち出す。

低殺傷弾とはいえ当たり所によっては殺傷するだけの威力は持っており、防具を用いる必要がある。

相手を殺さない決闘用の銃弾としても使われており、レクリエーションとしての決闘の他に過去にはオリンピック競技(ただし中間大会や準種目)でも用いられたことがある。

また、日本では過去に映画の撮影等で実銃を用いた際に使われたこともあった。


木弾頭

殺傷を目的としない弾頭で、発射により砕け散る事で急速に減速し、遠距離まで飛翔しない弾丸。

オートマチック機構を持つ銃の場合、作動のためのガス圧や反動を得るために銃身内に弾が抜ける必要がある為、普通に(弾頭のない)空砲を使ってもうまく作動しない。

通常の軍等の場合は銃口を狭めてガス圧や反動を確保するブランクファイアリングアダプター(空包発射補助具)を装着する、映画等の撮影に使用されるプロップガンでは銃身内に詰め物をして径を狭める事で実弾の発射を不可能にすると同時に動作に必要なガス圧を確保できるようにしている、と多くの場合は空砲で十分なためにこのような弾はめったに使われない。

ヒストリカル・リエナクトメントにおいて蒐集的価値のある実銃を使用する場合に、本来の外観や機能を損なわずに使用する場合や、式典などで用いられる儀仗用銃が予備火器としての役割も兼ねている上でブランクファイアリングアダプターが無い場合などに使用される。

当たり前であるが至近距離では非常に危険である。


純銀弾(銀の弾丸)

弾丸を純製にしたもの。

宗教的な意味合いや比喩で用いられる言葉。

実在しないわけではないが、殺傷能力は通常の弾丸よりもやや低く、なによりコストが非常に高いため、お守りや観賞用程度にしか扱われていない。

(観賞用のものに至っては薬莢も銀でメッキし、専用の透明ケースや額まで用意されているものもある)

創作などでは、銀を弱点とする吸血鬼狼男を倒すために専用弾として登場する機会が多い。

ソフトポイントライフル弾などには空気抵抗を減らすため先端を別の金属や樹脂などで製造し、着弾時に剥離する構造のものがあるが、特にアルミなどを先端に装着した弾を「シルバーチップ」と呼ぶが、ウィンチェスター社の拳銃用HP弾は構造こそ違えどライフル弾のブランド名を受け継いで「シルバーチップ」と呼ばれる上、全体をアルミニッケル合金で鍍金加工されて銀色に輝くため、銀製弾と誤解されたり、純銀弾の事をシルバーチップと間違って呼ぶこともある。

ちなみに、ウィンチェスター製ではないが、ノスラー社の害獣向けHPライフル弾には先端に銀色の樹脂チップをかぶせている「シルバーチップ」がある。


ボーロー弾

弾自体を中てるだけでなく、ワイヤーを対象に絡ませて損傷を与える銃弾。

複数に分離する弾頭となっているがそれぞれにワイヤーが繋がっており、空気抵抗と弾自体の回転により広がっていく。

ホラー映画などでは首無しライダー製造弾の如く対象を切断する弾として扱われる事もあるが、実際には発射の圧力や空気抵抗に負けてワイヤーが切断されてしまったりとうまくいかず、実用性は微妙。

こちらも対ドローンの弾として注目されており、切断ではなくローターにからめる事を目的としてワイヤーをナイロン繊維等に変えたものが登場している。


水銀弾

運動エネルギーを効率よく伝えるために弾頭内部に水銀を詰めた弾。

水銀は鉛と比べ比重が大きく、着弾時に広がりやすく、更に毒性を持つという事で非常に強力な弾になると言われている。

現実には水銀の腐食性や揮発性によって長期保存には適さず、また固体と液体では勝手が違ってくるため「理論が正しければ高威力」という眉唾モノの弾となっている。


散弾

多数の小さい弾丸を散開発射する。

主にショットガンで鳥などの小~中型の動物の猟に使われるが、警察や軍等により近接戦闘に使われることもある。

毒蛇など、小型動物に対する駆除自衛用途向けにリボルバー拳銃用もある。

狩猟用では鉛製散弾の環境に与える影響が問題になり、軟鉄製や銅製が主流になっている。


バードショット弾

一般的に散弾と言われる銃弾。

顆粒状の弾丸が詰まっており、一度に数十(多いと二百)以上の弾丸が発射される。

弾が細かいため摘出に手間がかかり、対人用には向かない。

これよりさらに細かい『ラットショット弾』や『スネークショット弾』と呼ばれる弾丸もあり、ネズミの駆除に用いられ、拳銃用の小口径散弾も存在する。


バックショット弾

鹿などの中型の動物を狩る場合に用いられる。

直径6〜9mmほどの少し大振りな弾丸を、一度に十発ほど発射する。

対人用として使用されるのはこの弾丸で、軍用、警察用としても使用されている。


スラッグショット弾

といった大型の動物を狩るために用いられる特殊弾。

基本的に特大の弾丸を一発だけ封入したもので、かなりの威力を誇る。(猟銃用としてはバックショットも封入されたものもあり、特大の弾と複数の小さな弾がまとめて飛んでいく)

軍用としても、施設への突入時にドアの錠前や蝶番等を破壊するために用いられることから、「マスターキー」「ドアキー」といった愛称を持つ。


消音弾

ピストン・プリンシプル弾等とも呼ばれ、正確には特殊な薬莢であって弾自体は殆どが通常のもの。

薬莢内にピストンがあり、射撃時には銃弾を押し出したピストンにより薬莢の口がふさがれ、発射ガスが薬莢外に漏れない構造となっている。

発射ガスが漏れないことでサウンドサプレッサーなどを用いて大型化したり、銃自体に特殊な構造を組み込んだり等をしなくとも大きな音を立てずに発砲できるようになる。

PSS(ПСС)拳銃やD消音拳銃、DM消音カービン等に使われており、DM消音カービン等をグレネードランチャーとして使用する際にも使われるほか、水中銃弾にも使われている。


ショートバレル専用弾

こちらも特殊な銃弾ではなく、装薬を短い銃身に合わせたもので、弾も薬莢も通常のもの。

短い銃身の拳銃では短い時間で弾が抜けてしまう為に装薬の燃焼に必要な高い圧力を維持できる時間が短く、未燃焼の装薬が出て動作に必要なガス圧が維持できずにスライドやボルトの後退量不足が起きて動作不良を起こしてしまう。更にじゅうによっては通常の銃身のモデルと比べ強いメインスプリングを用いており、圧力不足となればさらに動作不良が起きる率が上がる。

そのため短い時間であっても必要な圧力を生むべく高圧の発射ガスを生む装薬を使用した短銃身向けの弾が生まれた。

一方で動作の為の高圧を確保した結果、反動が大きくなり銃口の跳ね上がりが大きくなる事で撃ちづらくなるだけでなく、銃口の跳ね上がりによって後退量が相殺されて動作が不安定となるという本末転倒な欠点もある。


水中銃

そもそも火薬を用いた「銃」よりもバネやゴムの張力による投射式の方が信頼性に勝るため例が少なく、一概には言えないが、水の高い抵抗を避けるため断面を小さくしつつ初速と運動エネルギーを保持するために重くする必要のある弾丸は、のように前後に長い棒状となる。

それでも水中での初速は陸上用の銃弾と比べて遅く、ライフリングの効果は十分に得られないことから、滑腔銃身の銃による発射を想定している。

有名どころはロシアのAPS水中銃に用いられる5.56mm×40MPS弾、ドイツのH&K P11に使われている7.62mmx36弾など。

投射式のものと違い連射可能なものが多く、APS水中銃ではフルオート射撃が可能である。

これらは接頭語として「一応」がつくが陸上での発射も可能で、APS水中銃の射程は100m程、P11は30m程となっている。

銃弾と比べ大質量の矢のようなものが飛んでくると言う特性上、並の装備では防ぐ事は難しく、防弾チョッキ等が効果をなさないなどの利点がある。

また、発射ガスが漏れない為、消音銃としても機能する。

5.45x39mmPSP水中弾においては陸上用弾薬と同じマガジンに収める為に小型の銃弾を用いている。

アクアラングを装備した状態での使用の際にはアイアンサイトを覗いて狙うことが難しいため、曳光弾となっているものもある。


余談

稀に洋画などで、水中の相手に向かって小銃機関銃を乱射したり、水中で弾丸が潜っている人間へ向かってくるなどの描写があるが、実際はほぼ不可能に近い

ライフル弾は初速が速すぎて水面に突入した際の衝撃に負けて砕けてしまうか、水面に対して角度が浅いと水切りの要領で弾かれる。

逆に初速の遅い拳銃弾は水の抵抗に負けて減速してしまい、殺傷力を1m維持できれば大した物、といったところ。

遠距離であれば弾速が落ちて弾かれずに水中までたどり着く弾があるかもしれないし、断続的に掃射を加えることで息継ぎをさせずに窒息を狙えたりもするが、無駄に弾を撃つより手榴弾爆薬等を使ったダイナマイト漁を行った方が効果的である。


誘導銃弾

現在開発中の銃弾で、目標に向かい自動的に弾道を修正する機構を搭載した銃弾。

さすがに某映画のようなことはできないが、目標の多少の移動や風などの外的要因による弾道のずれを修正し、命中させることが可能となる。

榴弾砲などの大口径砲弾用では実用化されたものがあり、M982エクスカリバー155mm誘導砲弾などが有名である。


麻酔弾

逃亡した動物や野生動物の保護などに使用する銃弾で、内部に薬物(不動化薬)を充填できる撃ち出せる注射器の様なもの。

弾自体が壊れやすい、命中の際に過剰な運動エネルギーがあると不動火薬の注入がうまくいかない、などの理由から口径等が対応可能だとしても通常の銃火器では用いられず麻酔銃と呼ばれる専用の銃を使用する。

化学兵器の一種の為、ハーグ陸戦条約や化学兵器禁止条約等により対人使用は制限されているが、化学兵器禁止条約には法執行目的であれば使用できるという項目がある為に暴徒治安の際に対人使用されることがある。

また医療行為でもある為に医師免許を持たないものは使用できない、使用する不動化薬によっては薬物を扱うの許可などが必要という制限もある為、扱える人間がすぐには用意できないという問題点も国によってはある。

対象の体重や生態、体質等に合わせて薬剤を厳密に計量して使用する必要があり、ゲーム等のように事前に用意したものを対象を問わず使用したり、同じ対象に何度も撃ち込む事は効果が無い等の無意味な行為になってしまうどころか対象を殺傷してしまう危険性がある。


魔弾

19世紀前後から実しやかに噂され、歌劇魔弾の射手(der Freischütz)』にもなった架空の弾丸。

狙った相手を必ず射殺す百発百中の弾丸で、伝承や歌劇では“悪魔が人の寿命を対価に精製した”としている。

現在でも比喩表現として生きているほか、「ケネディ暗殺事件」で使用された弾丸(物的証拠399)が現代の魔弾として知られている。


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