概要
劣化ウラン(ウラン燃料を採取した後に残る産業廃棄物)を弾芯に使用した徹甲弾などの銃砲弾のことを指す。砲弾として通常用いられる通常のタングステン等よりも高密度かつ高強度という優れた特性があり、アメリカ合衆国軍やイギリス軍などが湾岸戦争やイラク戦争などで使用した。劣化ウランそのものは核廃棄物などではないため放射線は強くはないが、砲弾として使用すると酸化ウランとなり拡散、健康被害を引き起こす。検索すると放射能汚染によって奇形児となったとされる子供達の画像がヒットするため、検索してはいけない言葉の一つに数えられている。
当然だが、対戦車用の劣化ウラン弾はメイン画像のものほど小さくはない。
特性
核兵器に用いられるウランを砲弾にするとは何事かと思われがちだが、ウランは核分裂を起こすU₂₃₅と核分裂反応を妨げるU₂₃₈の混合物であり、劣化ウランはU₂₃₅を取り除いた残渣なので、劣化ウランが核爆発を起こす事はない。U₂₃₈も放射性物質であるが比較的安定で放射能はそれほど強くなく、砲弾として密封されている限りは問題にならない。
兵器としては、着弾時に微細化した劣化ウランの酸化による焼夷効果がある、タングステン弾と異なりその脆さにより起きる自己先鋭化現象により塑性流動を起こしにくい装甲に対する貫徹力の維持がされるなどの優れた特性がある。(タングステン合金弾ではマッシュルーム状に先端が潰れる事から貫通力が落ちる)
元々はゴミでしかないものが弾丸に適した性質を持っていたわけであり、弾丸に使用するという発想それ自体はさほど不思議ではない。M1エイブラムスの装甲にまで用いられているくらいである。とはいえ脆さや焼夷性故に加工が厄介でコストがかかるため、劣化ウラン弾はタングステンを使用したものと値段は変わらない、もしくはタングステン弾よりも高価となる。
また、戦略物資であるタングステンを使用せず輸出規制等の産出国の情勢に左右されにいといった利点もある。
毒性
放射能の問題を除いても有害な兵器であると考えられている。というのは、ウランは鉛と同様に体内に入ると中毒を起こす重金属(ヒ素と同程度の毒性と考えられている)であり、しかも、着弾時に生じる焼夷効果によって微細な酸化ウランの粒子を周囲に撒き散らしてしまうからである。
よって、日本やドイツでは環境問題を理由に劣化ウラン弾を使用していない。
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