曖昧さ回避
- 原子番号92のアクチノイド元素。
- 『鉄腕アトム』に登場する、アトムの妹として造られたロボット。 →ウランちゃんを参照
- かつて存在したアダルトゲームブランド。
- 青木カレンの、石原プロモーション所属時代の芸名。
金属元素の「ウラン」
原子番号92の金属元素。同位体のウラン235は核分裂反応を起こすので原子炉の燃料や原子爆弾の核物質として使用される。
また、ウランを微量に混ぜたガラスはウランガラスとよばれ黄緑色の蛍光を発する美しいガラスになる。
物性
全て放射性同位体のみであり、長い半減期を持つ。
比重(25℃) | 19.05 |
---|---|
融点 | 1132℃ |
沸点 | 3745℃ |
沸点が高いため、原子炉の核燃料にする工程であるウラン235の濃縮ではそのまま気化させると設備が耐えられないので、フッ素と化合させて六フッ化ウランにする。すると56.5℃で気化(融点のほうが64.8℃と高いため昇華する)するため用意に濃縮できる。濃縮後の燃料は原子炉(ウラン235を5~7%まで濃縮)や原子爆弾用の核物質(ウラン235を90%以上に濃縮)に使われる。
濃縮によってあまったウラン238を多く含むものは劣化ウラン(Depleted Uranium)や減損ウランといい、体積の割に重いので、微調整用の重りやX線、ガンマ線の防護につかわれる。
また、合金化することで一時期問題になった砲弾、装甲にも使用されている。・・・が、「余り物」を使っているくせに加工代金が高額なため、結局タングステン合金を使った高価な砲弾と値段が大して変わらない(物によってはタングステン合金を用いたものより高価となる)。
他国(8割が中国)で採掘されるタングステンは輸出制限される可能性があり、劣化ウランであれば輸出制限の影響を受けにくい、侵徹の際に自己先鋭化現象を起こし貫通力に優れる、焼夷効果を発揮するといった性質から、徹甲弾として用いる場合はタングステン合金を用いるより優れた性質を持つといった利点がある。
動物実験では原因が重金属中毒か放射線障碍か判明していないものの、発癌性が認められたので規制されるべき兵器としての議論対象になっている。
他にも、中性子の吸収でプルトニウム239に変化するため増殖炉の燃料としても期待されている。
原子炉用濃縮ウランの例外
原子力艦船用の濃縮ウランはウラン235が20%~95%以上と一般的な原子炉に比べ非常に高く濃縮されているが、原子力艦船用原子炉は基本構造こそ同じものの燃料被覆管の材料や冷却材の成分が商用炉や研究炉と大きく異なり高濃縮ウラン向けに造られているため、核反応の暴走や冷却材の過熱による爆発事故に至らないようになっている。また、高濃縮してあっても原子爆弾とは構造がまったく異なるため、仮に何らかの事故が起こっても核爆発はおきない様になっている。(むしろ構造上核爆発が起こせない)
そもそも、何故こんなに濃縮するかというと発電所などの商用炉や大学などの研究炉と異なり炉心交換の際に艦体を大きく切り開いて交換しなければならず、炉心交換だけで工期が1年以上かかる大掛かりな作業となり、その間は当然艦船として何もできないので建造から退役までの間の炉心交換の回数をできる限り減らすのが目的。
毒性・被曝障碍
重金属であるため、重金属中毒の原因となり、腎臓に障碍を引き起こす。毒性は鉛や水銀よりも低く、砒素と同程度。
体内に取り込んでしまった場合に対する障碍として、水溶性の化合物の場合は速やかに排出されるため影響は比較的少ないが、安定化合物の場合は体内に蓄積されるため害を被る可能性が大きくなる。また、崩壊時にアルファ崩壊するため、体内の蓄積による被害は大きくなる。
ちなみに、ウランガラスについては、実質的にガラスの中に封入されていることと、ウランが微量しか含まれていないこと、さらに、天然ウランの主成分であるウラン238の比放射能自体が低いので、特に気にすることはないと思われる。ただし、現在ほとんど生産されていないので高価なアンティーク品が多く、割ってしまった場合は主に多額の金銭的な被害を被る事になる。
各同位体の比放射能
物質名 | 半減期 | 比放射能 | 備考 |
---|---|---|---|
ウラン233 | 15万9200年 | 355.9MBq/g | |
ウラン234 | 24万5500年 | 229.8MBq/g | |
ウラン235 | 7億380万年 | 79.81kBq/g | 核分裂するウラン |
ウラン236 | 2342万年 | 23.88kBq/g | 最も厄介な同位体(※1) |
ウラン238 | 44億6800万年 | 12.41kBq/g | 劣化ウランおよび天然ウランの主成分 |
※1・・・核燃料としても質が良くない上に、放射性廃棄物としては半減期が長く比放射能も高い。しかも分離が困難で、中性子を捕獲しにくく核種変換による処理も困難なため、原子力関連産業ではもっとも厄介な同位体とされている。