概要
原子番号9の元素。17族元素(ハロゲン)の中では最も軽い。また電気陰性度が最も高い物質であり、それゆえ非常に高い酸化力(相手の物質から電子を奪う)をもつため、単体では天然に存在できず化合物の形でのみ存在している。また、その酸化力ゆえ単離することも非常に困難なため化合物の形で使われることが殆ど。安定同位体を持つ物質の中ではめずらしく天然同位体が1種類のみ(フッ素19)である。他の同位体は非常に不安定で半減期のもっとも長いフッ素18でも半減期が2時間に満たないため天然に存在しない。
天然同位体が1種類のみということを利用しウランと化合させてウランの沸点(※)を下げウラン235の濃縮に使われる。
虫歯化しかけた箇所の再石灰化を促す歯磨き粉やフッ素ジェルが有名な為、pixiv内では擬人化したイラストが何かと多い。
※・・・ウラン単体の沸点は3745℃、フッ素と化合させた六フッ化ウランの沸点は56.5℃
性質
非常に高い酸化力を持つ17族元素であるため、猛毒であり腐食性も高く更に可燃性、しかも相手の物質によっては爆発的な反応もするという非常に危険な物質。殆どの物質と反応しフッ素化合物となる。そのため単体の保存はせず化合物として保存し、保存容器も耐蝕性の高いポリエチレン製容器やフッ素樹脂をコーティングした容器に保存される。また使用時も化合物の形で使用されることが多い。
単体を得る際はフッ素化合物(フッ化水素またはフッ化水素カリウム)を電気分解して得ることができるが、反応容器や捕獲容器とも反応するので事故が起こりやすい。フッ素の単離の研究にあたって何人もの科学者が研究中の事故や漏れたフッ素による中毒で後遺障碍を被ったり命を落とすなど犠牲となった。
とりわけフッ化水素の水溶液であるフッ化水素酸は骨や筋肉なども腐食させる極めて危険な物質であり、かつて歯科医で用いられるフッ化ナトリウムと間違って使用されたことで死亡事故が発生したこともある。
単体の存在がほぼ不可能なため、化合物では安定した結合をすることが多い。ただし、それが裏目に出ることもある(冷媒・溶媒用のフルオロカーボン類など)。
用途
その性質ゆえ多くの用途では化合物を用いる。
- ウラン濃縮の際に使われる六フッ化ウランの製造
- 光学系等の屈折率制御
- 半導体や液晶の製造ラインの清掃
- 歯磨剤の添加物
- フッ素樹脂の製造
- 大電力系統用の絶縁ガス