概要
原子核内のエネルギー準位の遷移を起源とする電磁波。X線と波長が重複する波長域があるが、X線は軌道電子の遷移を起源とするものをさす。発生機構を区別しない場合はX線より波長の短いものをガンマ線とよぶ。
また、原子核崩壊後に余存エネルギーが残っている際、そのエネルギーがガンマ線として放出される。
ガンマ線は電荷を持たないため貫通力が強い。密度の大きさゆえ遮蔽能力の高い鉛の板でさえも線量を100分の1~1000分の1に減衰させるのに約10cmの厚さが必要となり、また電磁気力で向きを変えられないため、防護が非常に難しい。その反面、アルファ粒子(ヘリウム4の原子核)やベータ粒子(電子又は陽電子)に比べ、電離作用は小さい。
ちなみにガンマ線の人間に対する致死線量は4[Gy](※1)前後。(胸部X線撮影での被曝量は0.0001~0.0003[Gy]程度)ガンマ線とベータ線は1[Gy]=1[Sv]になる。(アルファ線の場合は1[Gy]=20[Sv]、中性子線では1[Gy]=5~20[Sv])
※1・・・全身にまとめて受けた場合。
宇宙空間では・・・
超新星爆発や恒星からのガンマ線により、人工衛星や惑星探査機の電子機器が誤作動や故障といった悪影響を受けるため、IC・LSIの素材の工夫や、電子系統の冗長化などによりこれらを最小限に食い止めるようにしてある。
尤もガンマ線に限らず他種の放射線(ベータ線や重荷電粒子線、中性子線など)もまた電子機器に悪影響を及ぼすためこれらに対しても影響を最小限に食い止める工夫が施してある。
工業利用
- 製品の透過写真撮影。製品の欠陥の有無を調べる。X線も用いられることがある。
- 使い捨ての医療器材(使い捨てタイプのメス、注射針など)の殺菌。25kGy~35kGyほど照射する。この処理によって帯びる放射能は無視できるほど小さいため、殺菌後の使用について特別な留意点はない。
- 食品の殺菌、芽止め。10kGyを上限として照射する。この程度では栄養分の破壊や有毒生成物の発生は無視できる。(※2)
※2・・・WHO(国連の専門機関のひとつ)の実験では50kGyの照射でわずかな栄養分破壊と有毒生成物の発生が確認されたが、影響は加熱料理した際と大差ない現象であると確認されている。
才能の無駄遣いな利用
EPROMベースのワンタイムROMのデータ消去。やっている事は窓付きROM(UV-EPROM)の紫外線照射によるデータ消去と同じだが、ワンタイムROMとして作ってある以上再び書き込める保証はなく、他の回路の破壊や中のチップが変質する可能性があるので全くお勧めできない。大学や研究所の研究員のちょっとした戯れ事である。ちなみに、ヒューズタイプおよびアンチヒューズタイプのワンタイムROMでは各メモリセルの一部を電流で焼き切って書き込む構造のためデータ消去は不可能。
人間が浴びると
超人ハルクになる。
かのトキもガンマ線を浴びたのではないかと言われている(アーケード版に限る)。
関連タグ
X線・・・実体の同じ放射線(発生機構が異なる)