概要
18族(旧分類では0族)であり、すなわち希ガスである。
空気中にも微量に含まれる。
利用
空気よりも軽いので、風船や気球などに詰めて浮遊させるのに用いられる。同じく軽い気体である水素はヒンデンブルク号で大事故を起こしたが、ヘリウムは不燃性なので、火事になる危険性がない。
また伝音速度が空気より高いので、酸素とヘリウムを混合した気体を吸ってから話すと、奇妙な甲高い声になる(ヘリウムボイスとかドナルドダックボイスという)。木管楽器や金管楽器に入れても音が高くなる。
なお、このヘリウムと酸素の混合気体だが、もともとは変わった声を出すのに開発されたのではなく、潜函作業をする人たちが以前は窒素を使っていたので地上に上がって来たときに血管の中に細かい気泡ができていた(潜函病)。それを防ぐのに開発されたものである。
物理的性質
ヘリウムを摂氏マイナス269度まで冷やすと液体になる。この状態で放置された液体ヘリウムは、入っている容器の壁を登るなど奇妙なふるまいを見せることが知られている(超流動)。
液体ヘリウムは、超電導素材の開発や、研究分野での瞬間冷凍などに用いられることがある。
注意点
「吸引すると声が高くなる」というイメージだけが先行してしまい、風船などに充填されている純度100%に近いヘリウムを吸引する事故が多発している。
いくら不活性・不燃性の安全なガスであっても、純度100%のものを吸引すると、酸欠により即座に意識を失い昏睡状態に陥る。
(パーティグッズのように酸素が添加されているものでも事故が発生している。)
酸欠によってダメージを受けるのは、人体で最も酸素を消費する大脳(大脳皮質)であり、死亡する確率も非常に高い。
仮に死を回避したとしても酸欠によって破壊された脳組織が回復することは無く、重い障害が残ることが多い。