オガネソン
おがねそん
元素記号はOg。命名前の仮符号はウンウンオクチウム (Uuo) 。2018年時点で主張のみで認められていない物も含め、合成・発見・命名されている最も重い元素、かつ最も重い同位体を含む元素である。オガネソンの命名で、周期表は第7周期及び発見報告がある全ての元素が発見・命名され、周期表から仮符号元素が無くなった形となった。
118番元素は認められている物の中では2002年に最初の発見報告がなされた。2015年12月31日に113番元素 (後のニホニウム) 、115番元素 (モスコビウム) 、117番元素 (テネシン) と共に発見がIUPACによって承認され、2016年11月28日に正式にオガネソンと命名された。
名前はロシアの原子核物理学者ユーリ・オガネシアンに因んで命名されている。命名時点でオガネシアンは存命人物であるが、故人が命名される事が慣例化している元素名の世界では、シーボーギウムに命名されたグレン・シーボーグに次いで2例目となる。2018年時点で元素に名前が付いた人物では唯一存命している。
希ガス元素の1種であり、命名では希ガスの接尾辞「-on」が付けられている。これはIUPACの以前の決まりにはなかった事で、新元素にはたとえ希ガスでも「-ium」が付けられる事になっていたが、命名前の2016年に改定された事で希ガスの接尾辞が付けられる事になった。
オガネソンの性質は限定的にしか分かっておらず、ほとんどは理論計算に基づく推定である。
オガネソンは極めて重い元素であるため、合成は困難を極めた。認められた発見報告でも、カリホルニウム249に対してカルシウム48を4ヵ月間、合計250京回衝突させる事でようやくオガネソン294を1原子合成する事に成功した程である。
オガネソンの同位体は1種類、オガネソン294の半減期0.7ミリ秒のみ知られており、歴史上6原子のみが合成されている。しかしながら未だに合成されていないが、より重い同位体は半減期が長く、性質を調べる程度の寿命を有していると推定されている。例えば中性子が1つ付いたオガネソン295は、半減期161ミリ秒とはるかに長いと推定されている。
オガネソンは希ガス元素であるが、実のところ希ガスの系統立った性質を取る事はないと現在では推定されている。
希ガスと言うからには気体であり、実際初期の予測ではオガネソンも常温常圧では沸点-26℃~-10℃の気体と推定されていた。だが現在の予測では沸点は47℃~107℃と推定され、希ガスが液体でいる温度範囲は2~9℃と非常に狭い事から、常温常圧のオガネソンは比重4.9~5.1の固体であると推定されている。
希ガス元素は重くなるほど反応性が富む傾向にある物の、オガネソンはラドンやキセノンから推定される傾向より更に反応性に富み、同じ超重元素でもコペルニシウムやフレロビウムの方がより反応性に乏しいと推定される程である。フッ化物は二フッ化オガネソンと四フッ化オガネソンが推定され、四フッ化オガネソンは、アナログである四フッ化キセノンの平面型と異なり四面体分子を形成すると推定されている。