俺の名前は我妻京也…… 戒炎という巨大マフィアを束ねる男だ
殺す相手ですら愛してやらねえとさぁ
公式サイトでの解説
巨大半グレ組織 戒炎のトップ。
敵を愛する事でその行動パターンを全て把握することから「愛の処刑人」と呼ばれる。
2歳で天涯孤独となり、周りは全員敵だと思っていた。
愛する人ができ、正しい方向に進みかけていたが、半グレによって無碍に殺されたことで悪魔が覚醒。
組織の勢力拡大のためマッド・カルテルと手を組み、構成員の数を増やしていった。離反する組織の粛清の為向かった先で、守若との戦闘を余儀なくされる。激闘の末、叶うことのない未来へ思いを馳せ永久に目を閉じた。
概要
東北圏最大規模の超武闘派半グレ組織戒炎の創設者にして現トップ。
界隈では『愛の処刑人』と呼ばれている。
東北を掌握しているだけに根城としている付近の飲食店をはじめとする経済圏に息がかかっており、いくらかの要求を全て通せるほど近隣への影響力が大きい。
人物
基本情報
異名 | 愛の処刑人 |
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メインウェポン | ナイフ、拳銃、苦無や鎖分銅や手裏剣などの古流暗器、忍者刀 |
こだわり・口癖 | 愛 |
恋人 | 千尋 |
師匠 | 田宮道三 |
経歴 | 児童養護施設 → 田宮道場 → 独自組織 トップ → 千尋と同棲 → 戒炎 トップ(改称) → 関東侵攻(京炎戦争) |
容姿
紺色を主に所々に黄色の髪が入った長髪の髪に上に刻まれたタトゥーが特徴的。眼の色は黄色。
登場当初は黄色のダウンジャケットを羽織っていたが、海瀬戦以降は黒いジャケットを着用しており、髪型もオールバックになり左右頭頂部に古傷ができている。身長181cm。
※下の画像:登場初期の容姿/メイン画像:海瀬戦以降の容姿
性格
城ヶ崎が手榴弾を投げつけた際は側近2名に迅速に身を挺して庇われるほど人望が厚く、2年で東北全域を支配して見せたカリスマ性は本物である。
ヒューマンバグ大学史上、最も闇深く、そして冷酷な人物として描かれ、他者の感情に一切動じない冷徹さと狂気を「貼り付けた笑顔」という仮面に仕舞っている。
一度は限りなく改心し、真っ当な道を歩もうとした所で未来を絶たれたという経歴を持ち、バグ大では悲しき悪役の代名詞にもなっている。
過去が明かされた回のモノローグにおける声の高さと温度感を失う表現は、我妻京也という人格の二面性を物語っている。
また、後述するように悲惨ながらも狂気的な「愛」と「死生観」の持ち主で、それを原動力として京極組に地獄を見せ続けた。
これはかつて亡くした恋人から教えられた「愛」と「笑顔」が不完全なまま、我妻に植え付けられた為だと思われる。
本来の性格は幼少期より無感情・無表情そのもので「恐怖の権化」としてのカリスマ性から、10代の頃から周辺のチンピラを束ねていた。
「愛」と言う言葉を好んで使用しており、ヒューマンバグ大学の登場人物の中でも一際独特な価値観を持っている。
本人によると「愛したらその人ができる事できない事 したい事してほしくない事がわかる」、「憎まれるよりも愛される方が怖い」と言う哲学的な思想から来ている。
最期の台詞から、本当は誰も愛していないし、唯一心を通わせたのは恋人の千尋ただ一人である事が分かる。
千尋に対して「愛してる」と言ったのは想像の中で1回のみであり、最期の独白でも「千尋を唯一愛していた」と述べている。
人格障害の疑いもあり、喜びの感情が欠如しているか、極めて希薄であると言える。
仲間意識も皆無に等しく、仲間を労う素振りこそあるが、死を悼む描写は一貫して殆どない。
仲間を懐柔したり激しい圧を掛けたりするのも、殆ど表面的な感情のみで動いていたと思われる。
基本的には温厚で飄々とした優男のような印象を抱かせるものの、巨大半グレ組織のボスを張るだけに内に秘めた狂気は凄まじく、黒澤航太郎をたじろがせ、小峠華太・小林幸真・伊集院茂夫・エマ・瓜生龍臣・香坂慎太郎らからも只者ではないと思わせたほどである。
プライドの高さもかなりのもので、交渉に赴き傘下にしようとした羅威刃のリーダーだった城ヶ崎賢志にナイフを投げつける等、好戦的な一面も持っている。ヒットマンを命じた部下にも城ヶ崎のように「失敗したら殺す」と言ったプレッシャーをかける等、冷徹な気質も持ち合わせている。
勢力拡大についても、『暇つぶしのゲーム感覚でやっている』と言ってのけるほど(これは建前である可能性が高く、後に『勢力拡大の末に我妻が死ぬ事を恐れた千尋の発言を否定する』事が本来の理由であったと判明した)。
同時に千尋が殺された後も、もうこの世のどこを探してもいない彼女との対話を脳内で現在進行形でやっており、心に抱く闇の深さは半グレ組織どころか作中全キャラトップクラス以上に強烈なモノになってしまっている。
鶴城史之舞・祇園織文・鵺兄といった、作中トップクラスの殺し屋をアホ面にさせた「うりゅうのメロンパン」を食しても、一切変顔にならなかった辺りにそれがうかがえ、旧CODE-ELやエルペタスといったアサシンギルドに所属する殺し屋以上に冷酷であると言える。
一方、前述の通り彼に心酔している信者は多く、抗争で散っていった親衛隊長の角中正樹や上堂新一といった幹部を「良くやってくれた」と労う言葉を他の幹部達の前で漏らす等、何とも思っていないわけではない。
しかし、本来の我妻京也は冷酷非情がベースの人間性である事が公式より発表されている。
海瀬の葬儀会場を襲撃して以降はそれが前面に押し出されるようになり、幹部の一人にして末期の胃癌を患い思わず目の前で吐血した榊原を見た際は切り捨てようとした。(ただしこの時は、我妻のセリフから戎炎に貢献した榊原に対する温情だったとも考えられる。)
マッド・カルテルと提携して組織拡大を本格的に決めて以降は登場当初で見せた優し気な雰囲気が完全に鳴りを潜め、長年行動を共にした麻生の亡骸を見ても何の反応すら見せず、遂には武力と恐怖心で多くの部下達を抑圧し反乱分子と見做せば容赦なく殺していくほど狂気的な姿を見せていく。
能力
戦闘力
一言で言うならば、数多い戦闘者の中でもトップクラスの戦闘能力を持っている。
古武術、しかも実戦形式の指導をする師匠の下で戦闘訓練を受け、僅か3年ほどで免許皆伝を認められた経歴を持つ。
剣術、射撃、投擲、合気など、総合的な武術が至高の域に高められ、状況に応じて、それらを自在に組み合わせて戦える。
相手の強さを一切引き出さないという戦法も、師匠である田宮の「戦場に卑怯もクソもねえ」という殺しの理念から来ているものだと思われる。
さらに、出すタイミングやモーションを手品のように悟らせず豪速でナイフや苦無を投げるパワーとコントロールも持っている。
城ヶ崎が避けれなかった紅林二郎のワンインチパンチを初見にもかかわらずバックステップでギリで回避する等、反射神経や身体能力も凄まじい。
一見細身の外見であるが、パワーと頑強さも異常かつ痛みへの耐性も相当高く、タフさで定評ある戸狩玄弥・海瀬将悟・紅林二郎・青山琉己・犬飼鷹四郎をも凌ぎかねないレベルである。
実際、京極組の武闘派極道達を立て続けに相手に数多の裂傷や殴打を始め強烈な金的や爆傷を受けても尚立ち上がり、最終的には全て退けて見せた。
古武術を身に付けているだけのみならず鵺兄・智也・紫電・雷電・赤城永吉らバク大もしくはバグアカデミアに登場する暗殺者一族出身の戦闘者たちと同じく暗器を中心とした古流の武器術にも精通しており、相手がその武器を使えば特性を理解した立ち回りで対応し、自分が使えば的確な戦法で相手を容易く追い詰める事を可能にしている。
使用する武器
- ナイフ
基本武器。他の戦闘者に引けを取らないナイフ術を持ち、凄まじい斬撃で敵を斬り付ける。
- 忍者刀
我妻のメインウェポン。通常より短い刀。凄まじい袈裟を振るう。
余談だが作中では鵺一族や雷一族などの忍者一族出身者以外で忍者刀の使い手は我妻と岸本隆太郎だけである。
- 拳銃
遠距離武器その1。早撃ちが得意であり、狙いも非常に正確。
- 苦無
遠距離武器その2。拳銃と同様、速さと正確性は一級品。
- 鎖分銅
遠距離武器その3。相手の顔面に勢いよく飛ばす。目などに当たれば視界を失う。
- 六角手裏剣
遠距離武器その4。苦無と似たような扱いで飛ばす。
頭脳
頭のキレや洞察力・観察力も相当優れており、城ヶ崎に(偽物だが不意打ちの形で)手榴弾を投げつけられても、焦る側近をよそに「自分達が欲しいのに吹き飛ばすわけない」と看破し冷静に対応して見せている。
自身の信条を下に「自分及び相手の戦力や実績を徹底的に調べ非合理的な作戦を立てる」分析力と作戦立案能力が非常に高く、作中で我妻が発案した作戦やアイデアは高確率でシナリオ通りに嵌っている。
かつて麻生成凪と一戦を交えた時も麻生が不得手とする狭い場所で戦い配下にしている。
京極組の久我虎徹も「本質を見抜く能力に長けている」と認めており、京炎戦争において我妻の考案した手段を実行した事で、少なくとも京極組における武闘派兄貴と優秀な頭脳派舎弟及び大幹部それぞれ一人ずつの命を奪う事に成功している
「愛」という言葉通り、相手や事象問わず深く広く観察してはされて嬉しい事をしていくホスピタリティも持っており、かつては裏社会最強の名を冠した瓜生の好みの食べ物等を把握して差し入れた際は、あわや懐柔しかけている。
当然、交渉能力も相当優れており、世界的な巨大麻薬組織マッド・カルテルの日本支部長(当時)である香坂慎太郎との取引でも香坂相手に狂気を見せながら、蟠りを残さないように十分な条件を結んだうえで潤沢な資金源を確保して見せている。
また、城ヶ崎とは初対面であるにもかかわらず「(両親からの)愛の不足が城ヶ崎を狂人に変えた」と見抜いているあたり、人を見る眼もかなり優れていることが窺える。
情報収集力についても、伍代千隼や風谷といった名うての情報屋とも張り合えるレベルの実力がある。さらに情報隠蔽能力も完璧で伍代と風谷をほとんどお手上げにさせている。
また将来的に衝突する可能性が考えられる人物についての情報収集にも余念がなく、最後まで全く関わらなかったものの三門一郎太についても調べていたようである。
気配
内に秘めた狂気が凄まじいにもかかわらず、攻撃時の殺意や接近時の気配を消す事にも長けている。
悪意や敵意を感じる事に優れた紅林でさえナイフを抜いたモーションが一切分からないまま腹を刺し、戦闘中だったとはいえ気づかれることなく瓜生の背後を取っている。
これら事例から察するに、瞬間的に気配を消す能力は伊集院や鵺兄弟と並び作中トップクラスと言っても過言ではない。
死生観
城ヶ崎と同じく死への恐怖はなく麻生とは真逆。城ヶ崎は「死んだら肉になるだけ」という考えを持つ一方、我妻は「死んだら愛する人に会えるかもしれないから別にいい」という特殊な考えを持つ。これは、我妻自身が死んだときにかつて愛していた千尋にあの世で会えるかもという考えから来ていると推測される。
もっとも、千尋は天国へ行ったと考えられるが、我妻は間違いなく地獄へ行ったと考えられるため、我妻が実際にあの世で千尋に会える可能性はないと言うべきであろう。
その他
戦闘などとは関係ないが、千尋と同棲していた時期に家事を一部担った経験もあってか、麻生も「上手い」と認めるほどに料理上手であり、その麻生に自ら手料理を振る舞いサシで食事する事もある。
しかし、この時に作った味噌汁は我妻からすれば不出来であったらしく、そのこだわりぶりはどこぞの某美食芸術家のようである。
過去
悪魔が生まれた刻 愛の処刑人 誕生秘話
- 2023年3月6日の動画(我妻京也)
「顔も覚えちゃいないが…… 俺の母は18で俺を産んだらしい」
「ただ、母の両親は…… 俺を産むことに大反対だったらしい」
城ヶ崎に続いて主役に抜擢された。
父親は分からない状態でシングルマザーの元に生を受ける(この母親は両親との致命的不仲により男の家を転々としていた)。
しかし、2歳の頃、母親は薬物中毒が原因で死亡し、元々ネグレクト気味だった母親を監視していた施設の職員により保護された。
「親の愛情どころか記憶すらないからか…… 俺は他人の痛みがわからない子だった」
しかし、親の愛はおろか記憶さえ知らないまま育ったため子供の頃から無感情な人間であり、危害を加えられたら容赦なく叩きのめし寄せ付けない空気を纏っていたせいで更に周囲からは不気味がられていた。そんな状況の中で敵対視する人間を片っ端からぶちのめしていたため、施設中の恐怖の対象となった。
その目は職員からも向けられて冤罪を突きつけられることもあったが、逆にその冤罪と同じことを実行してクビに追い込むこともしばしばあった。
田宮「お前が我妻か…… 話は聞いている。金はちゃんと払えよ」
田宮「本来、戦場ってのは相手をぶち殺してナンボだ。卑怯もクソもねえ」
少年の身でありながら他人の弱みを握る事を覚え始めたある時、施設の所長がパパ活をしていたことが分かり、それをネタに脅迫し古武術道場に自分を入門させるように指示した。そこの師範・田宮道三は決してできた人間ではなく金勘定に厳しい人物だったが、実戦的な殺人術にかけては第一人者であり、その技術を吸収する事が自分の将来の役に立つという思惑から指導を求め、殺人術を学ぶ日々を送る。
田宮「我妻、お前出ていけ。あのクソ所長飛んだだろうが。もう金を払ってねえ」
田宮(金もあるがな…… もう教えることもねえわ。それにあのガキ、一切更生しなかった。闇が深え。まあ俺には関係ねえけど…… どえらい奴を育てちまったもんだ)
12歳から15歳までの約3年間でその道場から習うことを全て学んで免許皆伝が認められ、叩き出される形で道場からも施設からも追放された。
その後は表社会の仕事を転々とするが、無機質かつ無感情な人間性故に馴染む事ができるはずもなく、転職を繰り返した。あてもなく街中を徘徊するようになり不良に絡まれては返り討ちにし続け、そうして何度もやられる内に不良たちはいつしか傘下に集まるようになり、気づけば半グレ集団の頭に祀り上げられて界隈にゲソをつけ瞬く間に支配した(金銭面も叩きのめした半グレ達が進んで金を献上してくれたお陰で生活には困らなかった)。
しかし、組織が大きくなれば手間が増える事と、本人曰く「支配ってのは『支え配る』、すなわち、『組織を支えて益を配る』」と見解しつつも、自分自身がそのような精神を持った人間でない事を理解しており、当時は野心も支配欲も少なく勢力を広げることについてもさほど積極的ではなかった。
千尋「あの…… 良かったらお付き合いしてくれませんか?」
「ああ? お前マジで言ってんの?」
22歳になった頃、千尋という女性をチンピラから助けたことで、彼女に惚れられ同棲することとなる(千尋曰く我妻と同い年の弟がいたが死別している)。
「お前、俺は愚連隊のアタマだぞ。怖くねえのか?」
千尋「怖いし辞めて欲しいけど…… “毒を食らわば皿まで”それも含めて愛そうと思ってるよ」
千尋「京也、笑い方分かる? 笑うとね、相手が安心するんだよ。ホラ、やってみ」
「……こうか? へへへ…… わかんねぇ」
千尋「むむむ…… なんかヘラヘラしてる奴みたい。でも大いなる一歩か」
「……なんだよそれ」
(コイツ嫌がるし…… もう辞めようかな)
千尋との生活の中で、愛とは何か、笑顔の作り方を教えられる。
人並みの生活を共に過ごす中で、千尋の存在は自覚していた以上に大きく深いモノとなり、半グレを辞めようとも考え始めていた……
はずだった。
千尋「助けて…… 京也……」
敵対していた半グレのトップ園部が、千尋に強姦殺人を働くという最悪の事態が発生してしまった。
「どうした…… いつもみたいに笑えよ」
「せっかく真っ当な方向に向かおうとしていたのに……」
千尋を発見した時にはすでに手遅れであり、その現実を受け止めきれず初めて涙を流す。
千尋という愛する女性を酷い方法で奪われた事実は、千尋との生活で蓋をしようとしていた底知れない狂気と怒りが弾け飛ぶ事になった。
そして、ドス黒い思いを抱えて園部への報復を企てていた時…
千尋 ー私は京也を愛しているから、して欲しいことやして欲しくないことが分かるのー
ーだからね、お味噌汁は甘いと嫌がるし、猫舌なのも知ってる。誰がお友達かだって知ってるし、どこにいるのかも分かるー
ー愛しているから何でも分かるんだ。愛の力は凄いんだぞー
ふと千尋から味噌汁を通じて愛について教えられたことを思い出すが…
「……なぁんだ。園部を愛せば弱点でも何でも分かるじゃん」
愛するとはその人を知ることという千尋の教えが自身の中でネジ曲がっていき、その人の全てを知るには愛することという歪んだ形へと変貌した。
こうして無表情と狂気の二面性を得た後、徹底的に調査した園部の組織にカチコミを仕掛け…
「俺からの祝福だ…… あの世でも派手に愛し合ってくれ」
園部が真っ先に逃がした園部の女にダイナマイトを貼り付け、ゲスシールドにして園部に刺させた上で2人纏めて爆殺するというあまりに壮絶な報復を完遂した。
こうして、愛の処刑人・我妻京也が生まれたのだった。
「愛はさぁ、全国に広めていくべきだと思うんだ。俺たちはこれから全国制覇を目指す。まずは東北を手にしよう」
「他人を愛することが楽しくなっちゃったんだ」
ちなみに復讐を終えた後は心境に変化があり、愛を全国に広げる、全国制覇を成し遂げるためにまずは東北を掌握することを目指した(この時から京炎戦争開始時の容姿に近づいた)。
「組織の名前を改める…… 新しい名前は『戒炎』だ」
「関東侵攻の足掛かりとして、まずは黒焉街を獲る」
そして、東北を掌握した後は組織名を『戒炎』と名付けたことを千尋の墓前で報告し、作中の時間軸に至る。
戒炎No.2の麻生との出会いが描かれた。詳細は麻生成凪の過去参照
活躍
城ヶ崎が腹心の東雲竜政と共にアジトへドアを蹴破りながら赴いた際に出迎える。邂逅するや否や城ヶ崎から軍門に下るように勧められても、受けるどころか逆に自分の傘下に迎え入れる案を不敵に提示した。その際にドスや偽物の手榴弾で牽制し合うも、城ヶ崎が抗争中にやり合うのは得策じゃないと判断した上に牛タン屋の予約が迫っていることで矛を収めたため、穏便に済む形で事が収まり戒炎の息のかかった店にサービスするよう計らう度量も見せた。
「お前には愛がない。闇社会のトップになりたければ、殺す相手ですら愛してやらねえとさぁ」
「敵を愛すんだ。強いところも弱いところも見えてくる。そうすれば殺し方も見えてくる」
「この辺の牛タン屋なら全て戒炎の息がかかっている。分厚く切るように言っておくよ」
- 2022年11月12日の動画(状況整理)
京羅戦争で敗れた羅威刃の生き残り幹部である東雲と共に紅林と激突、現場は血の海になったとの事である。
「君、いい目をしているねえ。愛と情熱に溢れている」
動画の後半に登場。城ヶ崎の死に対しては少なくとも東雲ほど悲しんでいるようには見られない。そしておそらく前々から企んでいたであろう関東侵攻計画に羅威刃幹部の東雲を勧誘した。
「城ヶ崎・・・京極組に殺されたらしいね。いやぁ顔見知りだから残念だわ 俺が愛を注いでやろうと思ったのに」
関東進出のために護衛二人と一緒に空龍街を歩いている所を天羽組の小林幸真に危険な匂いを感じ取られ牽制されるものの、同行していた小峠華太が必死に止めた事で大事にならずに済んだ。そして口には出さなかったものの小林を「獣のような男」と評し、互いに潜在能力を認めた。
また、東雲ともう一人の羅威刃の生き残りの幹部である秋元詩郎と共に映っている場面があった。そして東雲と秋元の目は死んでいるような目であった。
「いいよ、どきな。すいません、何か私に御用ですか?」
「いいえ全然、頭が割れたくらいなんで。行くぞ」
東雲と紅林とのバトルに割って入り、東雲と殴り合いで渡り合う彼の前に現れる。すると、紅林を「正義の味方の目」をしていると評しながら全く殺意を悟らせないままナイフを突き刺す。紅林のワンインチパンチも紙一重で躱し、隙を突いて逃走する紅林を見て関東での大喧嘩も楽しめそうと語るのだった。
「東雲先生の敵は俺の敵だぁ」
「さあ腹を開いてやろう。辛かった人生も終わりだ」
直接登場はしておらず名前のみの登場。
部下の一人を京極組の組長である五十嵐幸光を襲撃するように命じて実行させるも、五十嵐の付き添いをしていた二階堂将平と佐竹博文によって未遂に終わるも、佐竹のタックルで銃弾が廃水物が大量に入った粘液を三人諸共浴びた事で重篤になってしまう。その部下もプレッシャーから完治していないまま病院で暴れた事が仇となり窒息死してしまった。
同時に率いる組織の名前を五十嵐もとい京極組にも知れる事となりこれが京炎戦争開始の合図となった。
幹部の遊馬大介と上堂新一とともに関東に進出した。動画の終盤では関東侵攻計画をゲームと例え京極組に多大な恨みを持つ東雲と秋元には計画の一助として期待している模様。
「これはゲームなんだよ。俺がどこまで行けるかのゲーム…」
「まずは関東を制圧 足がかりは黒焉街だ…お二人さん期待しているよ」
伊集院らと東北へ温泉旅行に来ていたエマが地方の半グレ2人に絡まれていたところに現れ、瞬く間に両名の膝を破壊して行動不能にして見せる。エマに始末しようかと持ち掛けるも、彼女の方針で見逃す事にし愚連隊を傘下に入れた。後に伊集院と鉢合わせ、成人男性一人を担いでいるのに足音を立てず軸がブレていない事や狂気を感じたのか、「絡みたくないな」と思いエマに「またね、綺麗なお姉さん」と言って去っていく。
後に伊集院が拷問ソムリエだと知り、東京を手中に収める事やまた会える事を楽しみにするのだった。
なお、エマを助けたのは前述の恋人である千尋に似ていたかららしい。それもそのはず、前述の通り千尋はかつて愚連隊の頭目だった我妻に怖がらず真摯に向き合い、感情のなかった我妻に愛を教えるのに対しエマは憔悴し自暴自棄になりかけた被害者に真摯に寄り添うなど共通点が多い。
「君は優しい人だ。自己犠牲できる人 わかるんだぁ」
「おもしろいなぁ 東京は本当に ますます愛おしくなってきたよ」
京炎戦争に向けて貴凛町にヤサを貼るために暗躍していた。瓜生がEL戦争に駆り出されて不在なのを見計らったためである。そして貴凛町攻略のメンバーに戒炎の生え抜きである緋田功哲郎と角中正樹を選出した。会議の終了後、No.2の麻生成凪に留守の備えのため東北に残るよう指示した。
貴凛町攻略の際、後の支配もままならなくなるためカタギに手を出さなかったが、黒焉街でのカタギ被害に関しては京極組にヘイトが向き、黒焉街での居場所をなくすためであることが判明した。
そして京極組との戦争で最初の目標が京極組における最強戦力かつ精神的支柱である一条康明の抹殺であると伝えた。彼によると一条は城ヶ崎を葬った高い戦闘力だけでなく、京極組への底知れぬ忠誠心、それらによる他の組員への奮起を促し、さらに彼のカリスマ性は双方が疲弊する後半になる程強い影響を及ぼすため戒炎にとっては厄介極まりない人物だからである。城ヶ崎の敗因は一条を最後まで残したことだとも分析している。
そして現地での兵隊を招集し、京極組との戦争を楽しみにするのだった。
また天才扱いされることに嫌気がさし、逃げるように傭兵組織を抜けたのちしばらく露頭に迷っていた緋田と出会い、彼の渇望つまり普通の人間として扱われたいという気持ちを見抜き直属の部下にした。
「さて……楽しい作戦会議の時間だ。京極組を愛してやろうな みんな」
「マトを一条康明に絞っていい。いきなり奴を殺してしまえ」
「これだけの祭りを仕掛けてやるんだ……俺を退屈させんなよ……」
何千万にも昇ると思われる大量の札束を置き、勝つためなら金は好きに使っていいと伝えた。また一条は相手が何人来ても舎弟を守り抜くため、決して逃げないと踏んで潰しにかかった。
羅威刃のトップだった城ヶ崎も金にものを言わせる手段をいくつも取っていたが、我妻の場合は城ヶ崎以上にポイントを絞り自陣の幹部としっかり連携を取った事で一条を死に至らしめる事は叶わなかったものの、早い段階で抗争から戦線離脱させる事に成功したのだった。この事から我妻は城ヶ崎以上に厄介で狡猾な人物と視聴者に植え付けて見せた。
「この戦争にルールなんてない。勝つためにできることだけを考えてほしい。金なら好きに使っていい」
「一条はいい男だ。だから相手が何人来ても舎弟を守り抜く。本当にかっこいいんだよ」
- 2023年6月7日の動画(久我虎徹)
作戦会議中、東北から合流した副将の麻生から「京極組の舎弟が凄まじいリサーチ力を持っている」ことを聞かされ、殺害の対象を舎弟に向ける。
戒炎に借金をしている債務者の男性を脅迫し、「パラダイス」という黒焉街のキャバクラで嬢にお触りをして京極組の舎弟を誘き出してから放火するという作戦を促す。
それは見事に実行され、その対応に来た野島翔と浪岡常吉は火事から逃げようとするが、緋田と共に2人に襲いかかる。
逃走する野島と浪岡を猛スピードで追跡し、三階の窓まで追い詰め、立ち塞がってきた浪岡と逃げ続ける野島の背中を切る。ここで野島は窓から飛び降りて逃げ切ったものの、浪岡は緋田の容赦ない斬撃を受けて致命傷になる。大の字に倒れた浪岡は戒炎が負けるという啖呵を切るが、それを聞いて表情を失った我妻は浪岡を冷酷に射殺した。
野島と浪岡を助ける為に現場に駆けつけた六車が緋田と交戦している所に乱入し、消防が来たところでその場を立ち去った。
「麻生ちゃんいいじゃん。標的変更して末端の構成員を潰していこうか…確実に幹部の首を取る為の布石として」
「愛せるねえ、京極組は下の子も根性ある。だけどさ…」
「うるせえよお前 さっさと死ね」
瓜生の噂を聞いて一目見ようと、営業再開した彼の店を訪れた。
表向きは互いに普通の客と店主のやりとりを演じていたが、「まともにやり合ったら手を焼くことになる」と考え、下の人間に貴凛町で暴れることのないように麻生に伝えた。
尚、これまで数多の殺し屋を感涙させ、人間性を取り戻させた瓜生のメロンパンを食したが、それでも彼の人間性が戻る事はなかった。
このため視聴者からは鶴城史之舞よりもさらに厄介な人物ではとの印象を持たれることになる。
「うわ、甘くて美味しい。一口で大ファンになっちゃった」
「怖ぁい店長とは全然違うや」
- 2023年7月31日の動画(久我虎徹)
京極組の姐さんであり、組長の妻である五十嵐梢を狙う事で、喘息持ちで定期的に病院に行く際護衛に付く武闘派兄貴を始末する作戦を相棒にして副将の麻生と共に打って出る。
その時付いていた護衛が久我と海瀬将悟であり、梢を連れて逃げようとする二人を追いかける。梢は飽くまでも京極組の武闘派との遭遇率を上げて始末するための一手であり、梢に直接攻撃をしようとしていなかったが、久我と海瀬には容赦なく襲い掛かった(実際、同行していた麻生にも「狙いは男だぞ」と釘を刺しており、麻生自身もしかと理解しているので梢を庇いに入った久我のみを狙っていた)。
海瀬に不意討ちを仕掛けられてもこれを躱し、久我と梢を狙う麻生を止めようとする海瀬に背中へ袈裟切りを浴びせるも、止めるに至らず麻生は海瀬の金砕棒で少々のダメージと拳銃の破損を受けてしまう。
それでも海瀬をその場に釘付けにする事に成功し、一対一の勝負にもつれ込む。
戒炎 愛の処刑人vs京極組 怒りのタフガイ 狂気覚醒
- 2023年8月2日の動画(久我虎徹)
海瀬「テメェはこの海瀬将悟が殺す! たとえ差し違えてもだぁああ!」
「凄い気合いだねぇ海瀬…… そんなに俺が憎いのかい?」
一触即発の中、海瀬の神経を逆撫でするような挑発(大園をロートル呼ばわり、浪岡の名前をわざと間違える)を行い、海瀬は爆進する。
しかし、それは仲間想いの海瀬に効果的な煽りを意図的にしていたもので、海瀬の攻撃はいつも以上に直線的だったと同時に上堂戦で受けた傷が万全でないのもあって主導権を握っていたが、傷が開いた海瀬も冷静さを取り戻す。
海瀬(クソが…… 俺としたことが頭に血が昇っちまった。これじゃあ当たるわけがねぇ。マズイ…… かなり傷が開いちまった。野郎これを狙ってたな)
冷静さを取り戻した海瀬に対し、今度は苦無による遠距離攻撃を行う。海瀬にはそれを難なく払われるが…
「海瀬…… お前は不器用だ。変化のある攻撃は得意じゃない。足元がお留守になった」
海瀬「ぐぉおお!?」
直情型の海瀬を搦手の暗器を交えながら追い詰めていき…
海瀬「そうか…… テメェは古流武術出身だったな……」
「俺に鎖分銅を投げさせるなんて大したものだけど…… 海瀬、神様はお前を見放した」
鎖分銅で海瀬の左半分の視界を奪い強烈な袈裟切りを浴びせて王手をかけた。しかし、海瀬のタフネスは自分の想像を超えており、金的を浴びせられそうになるが…
海瀬「うぐぅううう!?」
「ここぞでは金的だよね? 海瀬将悟…… だけど古流武術では基本だ」
刃で受けた事で更にダメージを与え、動きのキレが完全に鈍ったところで顔右半分を切り裂く。両目が潰され、絶望的なダメージを負った海瀬に再び王手をかけるが…
海瀬「両目が潰れたぐらいなんじゃあ! 差し違えてもテメェは殺すっつってんだよ!! 我妻! 一緒に逝こうぜぇええ!!」
海瀬「頭蓋骨…… 粉々にしたらぁあああ!!」
「グゥウウウ!?」
それでも海瀬は、負けられない決意を胸に抱き倒れなかった。
その執念とタフネスは初めて余裕の表情を奪われ、強烈な頭突きを2発浴びせられる。
しかし…
「痛えなこの野郎……」
海瀬に対し上堂戦で受けた傷に抜き手を浴びせる事で攻撃を止めさせる。
「頭が割れたのなんていつ以来だ…… ダリィな……」
「いいぞ海瀬、頭突きで勝負しようか」
そして、先ほどまでとは明らかに違う雰囲気を纏い、敢えて頭突き勝負に乗ったうえで容赦なく痛めつけていく。
「それじゃあダメだろ海瀬……」
海瀬「ぐぉおお!!」
ダメ出しの金的を浴びせた事で海瀬を振り解き、背後に回った。
「お別れの時間だ…… だが大園と浪岡に会える。喜ぶといい」
「海瀬将悟…… サヨナラだ」
海瀬「がぁあああ!!」
そして、その身体を完膚なきまでに切り裂き致命傷を浴びせ、京極組一のタフガイと称された海瀬将悟を屠って見せたのだった。
勝利したものの、自身でも想定していた以上のダメージを浴びせ頑強さを見せた海瀬に敬意を払い、虚ろな目をしている彼の顔に手を添え、両目を閉じてやった。
そして、この日を境に冷酷な本性を前面に押し出していく。
- 2023年8月14日の動画(久我虎徹)
海瀬の葬儀を行う京極組の葬儀会場を掴むため、傘下の半グレ組織に大金と戒炎内での出世を餌に探し出させる。見つけられないまま葬儀の開始を許す中、部下にトラブルを起こさせて対処に動いた高砂明夫と仙石薫が出て行く瞬間を別の部下が発見、高砂の「自分がナビをする」と言うセリフから近辺にあると割り出して見せた。
そして多くの半グレ達に特定した葬儀会場で暴れさせて地獄絵図にして見せたうえで、強力な援軍を送り込んだのであった。
後に葬儀会場を特定して奇襲する際に狙いを絞ったのは京極組の武闘派兄貴の中でもトップレベルの実力を持つ一条・守若・六車の他に久我も狙いを付けている事が判明した。我妻によると久我は京極組の上層部と下層部を繋ぐハブとして優秀であり、始末できれば現場の指示系統がガタガタになりボロが出やすくなると踏んでいたのが理由だった。また、戦闘能力も上昇傾向にある事を警戒している。この時点で京極組は現場で指示を飛ばす若頭の大園を喪っており、頭がキレて視野が広い久我まで死ぬ事になれば、内部崩壊を起こす確率が相当高いと踏んでの作戦だった。
ちなみに、この回から服装や髪型が大幅に変化した(詳細は「容姿」の項を参照)。
- 2023年10月6日の動画(状況整理回)
動画冒頭に登場。「(京也に死んでほしくないので)これ以上組織拡大をしないで欲しい」という千尋の主張が誤りであることを示すために京炎戦争を始めたと独白していた。
我妻は千尋の要求通り組織拡大を停止していたことが彼女が殺された原因の一つだと考えているらしく、これを踏まえて「自分たちの安全を守るための最善解は組織拡大である」という結論に達したのだという。
止めどなき歪み 暴走極まる愛と狂気
- 2023年10月20日の動画(我妻京也)
幹部を複数名失う中、傘下の半グレ組織である血乃犯が、ヤクで稼いだ上納金の一部を隠していると伝えられ、自ら粛清・壊滅する。
「千尋の言っていたことは本当だったのか……?」
千尋ー力で他人を抑えつけたら恨まれる。そしてそれはいつか京也に返ってくるの…… だから組織を大きくするのはもう止めて!ー
その中でかつての最愛の恋人である千尋から言われた言葉を思い出し、それが間違いではと感じ始めていく。
香坂「戒炎の皆様、ご足労感謝致します。マッド・カルテル日本支部代表の香坂と申します」
その中でかつては羅威刃がヤクの売買の流通ルート開拓で手を組むも裏切った巨大組織マッド・カルテルとの取引に麻生と反町を同伴させ日本支部長の香坂と対面する。
香坂「君たちとはいい関係を築けそうだ」
「ぜひこの日本でたくさん稼いでくれ」
カルテルの日本支部長が日本人だった事や持ち前の交渉スキルもあって悪くない条件で結ぶことに成功し、豊富な資金を得る手筈を整えていく。
そして、交渉を終え麻生らと別れ夜風を浴びているなか、千尋から何度も言われた言葉を思い出すが…
だが…… 千尋が死んだ…… しかも俺に恨みを持った奴に穢され殺されたんだ
千尋も守るためにはもっと脅威になるべきだったんだ…… そう思わねえと頭がおかしくなるんだよ…… 千尋が間違っていたと思わねえと理解ができねえんだ……
でも…… 千尋が教えてくれた「愛」…… この考え方はとてもいい…… 相手を愛してしまえばその力を封じることができるんだ
きっと俺はあいつが死んだあの日…… 俺は狂ってしまったんだろう
千尋の教えを使って…… 千尋が嫌がることをやっているんだから……
そして、我妻京也はこの日を境に更なる狂気をまざまざと見せつけるようになる。
会合を終えて戦場に到着すると、五十嵐の姿を見つけるや否や銃撃する。しかし狙いを外した(正確に言えば、近くにいた友山に当たった)ことと高砂明夫の機転で逃走されてしまい、捜索を始めた。この際、反町も捜索していたが、彼の部下である烏丸が京極組の久我や一条らが現場に向かっていると知った際はどういう訳か自身に無断で捜すのを打ち切り高みの見物を決め込んでいる。
途中で自分が殺めた海瀬の敵討ちに燃える犬飼に見つかり、血の海が広がる激闘に発展する。
麻生の回想シーンに登場。麻生に「俺にとってお前の価値は無限大だ」と称賛をされながら食事をしていた。我妻が自炊していて料理上手な場面が出る度にSNS上では我妻と麻生が夫婦のような信頼感で結ばれるコメントを出すリスナーが出てきている。
戒炎 愛の処刑人vs京極組 若き豪傑 血染めの死闘
犬飼「我妻ぁ…… 遺骨がねえくらい粉微塵にしてやる」
「犬飼…… お前じゃあダメだと思うんだけど」
犬飼との死闘が始まった。
海瀬の敵討ちに怒りを燃やしながら突っ込んで来る犬飼に対し、多彩かつ卓越した戦闘技術とセンスで終始翻弄しダメージを重ねていく。しかし…
犬飼「それがどぉしたぁああ!! 軟体動物になっとけやぁああ!! 当たるまで何回でも振ってやらぁああ!!!」
犬飼は攻撃をものともせず、金砕棒を暴風のごとく振り回してくる。そんな犬飼に対し、今度は距離を詰め…
「力持ちの犬飼くん…… 知ってる? 長柄の武器は懐が安全なんだ。そして武器の切り返しが遅れる…… やられたい放題だ」
犬飼「ぐぅうううううっ!? ……そんなもん関係あるかぁああ!!」
犬飼「みみっちい攻撃だな我妻…… そんなもん百本刺されても効かねえぞ」
横に回り込んで肘を押すことで軌道を逸させ、苦無を犬飼に次々と打ち込むが、犬飼の鎧のような筋肉により致命傷には至らない。
そんな状況に対し…
「タフさ自慢か…… いいね。昔から壊れない玩具は大好きなんだ……」
焦るどころか口角を吊り上げ、捕食者の如き冷徹な笑みを浮かべる。
「コイツならいくら筋肉が分厚くても心臓に届くだろ」
そして、今度は忍者刀を武器に犬飼の懐を侵略し、流れるように連撃を浴びせていくことで犬飼にじわじわとダメージを与えていく。
しかし…
犬飼「俺はよぉ…… 兄貴たちから京極の魂を受け継いでいるんだわ。恩人の仇を目の前にして退く道なんてねぇんだよ!!!」
次の瞬間、犬飼は自分のシャツを引き裂いて目潰しとして投げつけてくる。そして、上下に攻撃を打ち分ける犬飼から逆にカウンターを取り、一方的に痛めつけて腹に忍者刀を深々と突き刺すが…
「なに…… (入りきらない?)」
犬飼「別にこれでもいい…… ゲフ…… 掴んだぜぇ」
なんと犬飼が手で掴み、動きを止められてしまう。すぐさま鎖分銅などで握力を緩めようとするが、それでも犬飼は手を離さない。そんな状況に業を煮やし、刀を引くことで犬飼の指を飛ばすが…
「すごいや… 犬飼鷹四郎(これは躱わせないな……)」
犬飼「我妻ぁあああ! 軟体動物になっとけやぁああ!!」
「ぐぅううう!!」
犬飼の常軌を逸したと言う表現すら生温いような頑強さとメンタリティーの前に、とうとう腹に金砕棒の一撃をもらってしまい、大きく吹き飛ばされたが…
「すごいな… 犬飼… ゲフッ…… カッコいいよ。後ろに飛ぶタイミングを間違えてたら死んでた。肋骨も2本は折れたか…… 片手ですげえじゃねえか」
「で…… 立ってきたらどうすんの?」
しかし力に沿って飛んだ事で、肋骨数本を折るダメージは受けたが何事もなかったかのように立ち上がる。それでも啖呵を切る犬飼に対し…
「うるせえよ…… もう残りカスもねえんだろ」
「俺に触れたんだ。よくやったよ…… 助からんだろうが」
最終的には犬飼の首元に苦無を放って歩道橋から突き落とすことで甚大な重傷を浴びせて戦線離脱させ、五十嵐の追走を再開するのだった。
戒炎 愛の処刑人vs京極組 斧の狂人 底なしの狂気
「犬飼鷹四郎…… あの目、心の底から憎んでいたなぁ。そういえば海瀬も同じような目をしていた」
再び五十嵐を追跡する中で、海瀬と犬飼の目を思い出す。
それに対して脳裏に浮かんだのは…
千尋 ーなんで私、あんな目にあったんだろうね? ズタボロにされてさー
ーなんで…… なんだろうな……ー
千尋 ーほんと、悪い人っているんだね。京也、抑えられなかったの?ー
ー無理だった…… すまねぇ……ー
千尋 ー……私が間違えてたのかなぁ? ずっと京也のお味噌汁を作りたかった……ー
ー千尋…… こっちの世界でそんなん通じねえんだ…… 良い子は真っ先に殺されるんだよ……ー
千尋を穢されて殺害された後、脳内で幾度となく彼女と交わした会話の数々だった。
そして、あの事態を避けるには再び組織の拡大しかないと結論づけたところで…
野島「貴様ぁ…… 絶対に許さない。真っ二つにしてやるぅううう!!!」
友山組に残っていたはずの野島と出くわし戦闘に発展する。
斧を振り下ろす野島の攻撃を躱わし続け、右目を苦無で抉るなど一方的な攻撃を与えていく。
「寝返らないか? 野島…… 五十嵐の居場所を知ってるなら生かしてやってもいいぞ」
野島「寝返るかぁ悪人めぇええ! ふざけるなぁああ! 真っ二つになってくれぇえええ!?」
野島の一縷の望みを賭けた一撃も容赦無く躱わし…
「これで片手片足だな……」
左腕を切断する。しかし、野島はまたしても特攻を仕掛け、斧の一撃と見せかけて頸動脈への噛みつきを狙ってくるが、それすらも見事に看破し強烈な肘打ちを浴びせ、脳震盪を起こさせて満身創痍に追い込む。
そのまま野島に歩み寄るが…
野島「お前は絶対に許さない…… 真っ二つにするんだ…… 僕の大切な仲間を返せぇえええ!!!」
野島はむしろ恨みがましい目を向けて叫ぶ。これが自身の琴線に触れ…
「そんなに俺を殺したいんだなぁ…… お前は弱くてお前の組織は小さいから死ぬんだ」
野島「が……」
一瞬で野島の頸動脈を切り裂き、殺害した。
戒炎 愛の処刑人vs京極組 若きエース 命懸けの攻防
五十嵐と高砂を探す中、深手を負っている状況から遠くに行けず増援を期待して見つけてもらえ安い場所に隠れていると踏んで友山組の敷地に戻る中…
「うん……? まさか…… 麻生か……」
六車に敗れ骸となった側近の麻生を発見する。少なからず驚くも…
「千尋…… また俺の隣にいたやつが死んだよ。組織の規模が小さいから舐められてこうなるんだ……」
何の感情もこもってない声で独り言を呟き、麻生の亡骸から離れて五十嵐を追跡する。
だが突如としてタクシーが突っ込み、躱わしきれずに吹き飛ばされ、受け身も取れず地面に叩きつけられてしまう。
久我「我妻くん…… 何寝転がってんの? 風邪ひくよ」
「久我虎徹か…… 組敷地内でタクシー…… 面白い奇策だなぁ…… カタギに轢かせるなんて」
それでも起き上がり、久我に対して同期や舎弟である犬飼と野島は自分が殺したと醜い笑みを持って告げる。久我は拒絶して怒りの眼差しを向けて戦闘に発展する。
久我のスピードに対し、古流武術をベースにした戦術で立ち回り煙幕を張るが…
久我「遅えんだよ…… さあ、死んでくれ」
「なに!(速い…… 予想以上だ……)」
久我「ハラワタぶち撒けろ我妻ぁああ!!」
「おっとぉ!」
久我の磨かれたスピードは想像を超えており、咄嗟に身を引くが横薙ぎを浴びせられる。
久我は事前に一条へ相談し、「自分の長所を活かす事」と「克服しつつあるからこそ強みを信じるべき」と教えられた事を思い出していた。
久我はスピードだけならば自分さえ凌駕する戦法で渡り合う。
「チッ……(予想外だが、スピードはコイツが上か)」
「正面から斬り合ってもらえると思ってるんだ? ……フゥッ!」
久我のスピードに悪態をつきつつも口に仕込んだ硫酸を吐き出し攻撃を一瞬止めさせ、間隙を縫って斬ろうとするも、久我は必死に躱す。
久我「ぐぉ…… (クソッタレ…… せっかく引っ付いてたのに)」
「なるほど…… 古傷が開いたか」
しかし、久我は無茶な避け方をしたせいで治りかけた背中の傷が開いてしまい、その隙に鎖分銅や石灰で追撃して追い込む。そして完璧に隙を突いて深々と久我の胸を切り裂く。
久我「……海瀬の兄貴ぃいい! 力を貸してくれぇええ!! お前は女になっとけやぁあ!!!」
「グッ……」
しかし久我は驚異的な精神力で凌駕し、蹴りを放つ。それを躱わそうとするが、犬飼に折られた肋骨の傷が突っ張ったことで動きが遅れる。
そして…
久我「これが本場の金的じゃああ!!!」
「ぐぅううう!!」
久我に金的への蹴りを喰らったことで片膝をつくも、咄嗟に刃を入れた事で左脚に裂傷を浴びせていた。しかし、思いもよらない苦戦に自分の表情にも少しだが焦燥と苦悶の表情が浮かぶのだった。
そんな状況を鑑みて拳銃に切り替え、久我の脇腹を撃ち抜くことで追い詰めるが、一人の影を捉える。
「へえ…… 驚いた。マジでタフなんだね」
犬飼「我妻ぁ…… テメェを地獄に送るまでは死なねえって決めてんだわ」
それは、一度は自身に敗れ満身創痍になりながらも、復讐に燃える犬飼だった。
犬飼「我妻ぁ…… 2対1だ…… ゴフ…… 外道相手に卑怯もクソもねぇ」
久我「テメェには破滅しかねぇ」
「……勝てると思ってるんだね」
怒りに震える久我&犬飼に対しても余裕を崩さず、両者の戦いは佳境に差し掛かって来るのだった。
戒炎 愛の処刑人vs京極組 エース&豪傑 脅威の連撃
- 2024年1月8日の動画(久我虎徹)
久我「犬飼…… ブチかますぞ」
犬飼「あぁ…… 獣は手負いが一番凶暴なんだわ」
「手負いの狐さんと狸さんが睨んでる…… 怖い怖い」
久我と犬飼を同時に相手にするという事態に陥るものの、2人の怪我の状況を冷静に分析すると…
「2人ともキツそうだ…… これじゃあただの残虐ショーになっちゃうな」
醜悪な笑みを浮かべ、獲物に狙いを定めたかの如き目を向ける。そのまま彼らの同時攻撃を次々と躱し、逆に連撃の随所に反撃を入れて翻弄していく。
久我「犬飼、すまねえ。威勢よく刻まれちまった」
犬飼「奴は俺が見た中でぶっちぎりだ。神様はひでえよ」
久我「でも…… 折れてねえよな?」
犬飼「たりめえだろ…… 京極魂は不滅じゃあ」
「死にゆく者同士、辞世の句を考え合っていたのか?」
それでも互いを鼓舞する2人に嘲笑をぶつけ、突っ込んでくる彼らの連撃を次々と躱わす。そして、ダメージが大きい犬飼に狙いを絞り、虚を突いて脚へ苦無を刺す。
「隙ありだ……ゾンビ退治1匹目だぁあ!」
犬飼「がぁああああ!!」
胸に深々と袈裟斬りを浴びせ、激昂した久我による銃撃も犬飼の陰に隠れることで対処する。
犬飼「このくらい……モーニングルーティンだって言ってんだよ! イソギンチャクになっとけぇええ!!」
「ぐぅうう!!」
しかし、それでも倒れない犬飼の金砕棒を喰らい、額を割られてしまう。
その隙を突いた久我の突進に六角手裏剣を投げつけるも、犬飼の捨て身の肉壁で当たらなかった。
久我「我妻ぁああ! テメェのタマは俺が獲る!!!」
(マズい…… トップスピードに入った!)
久我「遅えぇええ!! 死にやがれぇえええ!!!」
「ぐぅうう!!」
久我の魂の一撃を喰らい、遂に倒れたかに思えたが…
「今のは…… ゲフッ…… かなりヤバかったよ。ザックリやってくれたな…… でも俺を殺すには少し足りないか」
それでも倒れ伏すことはなく、立ったまま久我を見据える。
そして、衝撃の言葉を久我にぶつける。
「それは無意識なんだ…… 隠したいものほど見てしまうんだよ」
「お前が見たものって…… 五十嵐?」
久我「うっ……!」
久我が自分との戦闘中に目線を僅かに逸らしていたことを見逃さず、五十嵐が自分の後ろに隠れていることを看破する。
次の瞬間、久我を尻目に五十嵐が隠れている場所に突っ込み、久我を退けつつ五十嵐へ肉薄する。五十嵐は必死に銃弾を避け、車の陰に隠れて迎撃されるが全て躱わして距離を詰めていく。
そして、五十嵐のもとへ回り込むが…
五十嵐(これに懸けるしかねえ……)
次の瞬間、五十嵐は車の給油口にライターを投げ入れ、自分もろとも爆風で吹き飛ばす捨て身の攻撃をした。
とてもじゃないが躱すことはできず、爆風を喰らって吐血しながら大きく吹き飛ばされてしまった。
さすがに倒したと思いながら五十嵐に駆け寄る久我だったが…
「なるほど…… 組のトップがこんな博打に命を懸けるのか…… 下っ端が皆命を懸けるのも納得だ」
あれだけの爆風を受けても尚立ち上がり、いやらしく口角を上げた。
そのまま動けない2人に歩み寄るが…
「そうか…… 増援が来ない原因はお前だったか」
「一条康明…」
一条「虎徹…… よく粘った。後は任せとけ」
そこに現れたのは、戒炎の増援をたった1人で足止めすることに成功し、満身創痍になりつつも駆け付けた一条康明だった。
「一条…… 古傷も開いているな? もう死ぬんじゃないか?」
一条「月明かり〜ニヤける悪魔〜刺し殺す」
お互い手負いの状態で向き合い、更なる死闘へと発展していく。
離反と暴走 京炎戦争 最終章へ…
- 2024年1月12日の動画(久我虎徹・我妻京也)
「何しに来たのお前? 舐めてんじゃねぇぞマジで」
一条「テメェを殺しに来たに決まってんだろ」
戒炎の増援を壊滅させたうえでやって来た一条との戦闘を繰り広げる。
手負いの一条の怪我を冷静に分析し、流れるような苦無と忍者刀の合わせ技で一方的にダメージを与えていく。その間に久我が五十嵐を連れて逃げようとするが…
「……何コソコソやってんだ? 逃すわけねぇだろ」
一条を目の前にしても久我たちの行動を見抜いており、拳銃で狙撃するものの、一条が辛うじて銃口をずらしたことで当たらなかった。
「恨みの籠った目だ…… そんなに俺を殺したいんだな」
一条「当たり前だろうが…… 戒炎の行動はお前だけでなく周りの人間にまで恨みを引き寄せる。テメェらの未来はもう破滅しかねぇんだよ」
「黙れ…… 戒炎はどこまでもデカくなる。誰にも止められねぇんだよ ……む!?」
邪魔をした一条を今度こそ殺すべく、前のめりの姿勢になった時…
男「ファッキンガイ!!」
突如銃弾が飛んでくる。
何とか躱わし目線をやった先にいたのは、救援として駆けつけて来た近藤新平太・ルーク黒羽根・佐古大和だった。
犬飼・野島・久我・一条と連戦し、さらに近藤とルークまで相手にするのはとてもじゃないがリスクが大きいと考え、瞬時に撤退の決断を下す。
「今日はタイムオーバーでいい…… お前らの戦力はこれでほとんど消えた……」
煙幕を地面に投げつけ、煙に紛れて撤退した。怪我からして遠くには行ってないようだが、京極組サイドは怪我人への対応で追いかけることができなかった。
「……このアジトも随分寂しくなったな。麻生も死んじまったからな……」
撤退後は逃げ切ることに成功し、2週間後には巻き返しをするべく1人で策を巡らせていた。
遺体発見時は悲しむ様子を見せなかった麻生の死をこの時に悲しんでいたが、同時に反町の離反を見抜き怒りを隠せずにいた。
その時、傘下組織である悪刃羅の三池などがアジトへ流れ込んできた。三池らは今回の総攻撃で多くの仲間が犠牲になったことに憤りを感じており、離反を宣言するために乗り込んできていた。
「ククク…… 誰に口聞いてんだお前? お前とてつもない無能だな…… お陰で迷いなく斬れる」
「組織の縮小だけは絶対に認めねぇんだよ」
だが離反することを許さず、その場で三池たちを容赦無く斬り裂いて殺害した。
その後はそのまま離反した、あるいは離反する可能性があると判断した構成員ら35人を容赦なく粛清した。
そして、残った構成員たちを集め…
「力さえあれば何も奪われない…… 誰に恨まれたって何も……」
「さぁ組織を拡大しよう…… 裏社会を牛耳るまで……」
再び組織の拡大が必要であるとし、更なる狂気に飲み込まれていった。
長きに渡る京炎戦争は、ついに最終章へと突入していく。
傷は完治し切っていないがいくらか治り、組織拡大のために有象無象に半グレ組織の多くを急襲し続けた事で、構成員の数だけならば登場当初よりも多くして見せた。狙う組織も中規模半グレ組織に徹底する事で大規模も小規模も「自分が狙われる」恐怖を刷り込ませて傘下入りを願うことを視野に入れていたのだった。更にはマッド・カルテル日本支部トップの香坂を「本部から独立したらどうだ?」と進言する。後に本部のやり方に不満を常々抱いていた香坂は会合や視察に来た本部の要人を護衛諸共始末し、香坂と本格的に手を組む事になった。
そして戒炎もといそのトップである我妻は裏社会で別格の存在の第一歩を踏み出していく。
傘下である半グレ組織・舞乱呼が離反を企てていることを嗅ぎつけ、護衛2名とともに彼らの集会を襲う。
トップの山西を一方的に瞬殺し、戦慄する残りのメンバーに脱退は死に直結すると脅しをかけるが…
その時、あることに気づく。
「お前、京極組の佐古だろ…… 潜入してんだな… 度胸あるじゃねえか」
内部に潜入していた佐古の変装を見破ったのだ。
佐古は違うと白を切ろうとしたが…
「俺は京極組全員の写真をずっと見てきている」
「一人一人…… 何枚も何枚も…… いろんな角度から見ているんだ…… お前らのことを愛してるから」
「お前は心から愛する人が…… ちょっと変装したくらいで…… わからねえとかあるか」
それを聞いた佐古が拳銃を取り出して我妻を襲う。そして自身も銃撃を躱して忍者刀と苦無を手に佐古へ襲いかかる。
しかし、それに触発された舞乱呼のメンバーたちも武器を取り、護衛も巻き込んだ乱戦へと発展する。
佐古「我妻ぁあああ! お前は許さな…… う!」
「佐古…… お前のレベルじゃもう撃つことも叶わない」
それを好機と見た佐古が再び銃を構えるや否や、すぐさま指に苦無を刺して無力化し、五十嵐の入院先を教えれば生かすと揺さぶりをかけるが…
佐古「誰がお前なんかに親父のことを教えるか…… クズ野郎に媚びるくらいならここで死んだ方がマシだよ!」
佐古は靡くどころか啖呵を切ってみせる。そんな佐古を瞬く間に追い詰め、ついには頬を串刺しにして大量出血を起こさせる。
しかし、それでも倒れない佐古がガスボンベに銃を放ち、捨て身の自爆を仕掛けられるが…
「弱者の戦略…… ガスボンベはマークしてた。佐古…… お前の能力にしてはよく頑張った。あの世で海瀬に褒めてもらえ」
それすらも看破し、無傷でやり過ごしてみせた。そのまま佐古にトドメを刺そうとしたその時…
男「バイクの弾丸だ〜」
「はぁあああ!」
突如として無人のバイクが突っ込み、それを間一髪で避ける。
「守若冬史郎か…… 中々面白い奴が来たじゃないか」
向き直った先にいたのは、無感情な顔をしながらも、強烈な怒りを我妻に突き刺した守若冬史郎だった。
守若「テメェが我妻か…… 俺の舎弟に何してくれてんだコノヤロー…… めちゃくちゃ痛そうで可哀想だろうが」
守若「さらに佐古裸じゃねえか…… セイカガイかコラァ」
「守若冬史郎… 今の京極組の最後の砦だ…… 終わるな… この戦争」
「ここで」
血で血を洗ってきた京炎戦争は、遂に最後の壮絶な戦いに移行する。
戒炎 愛の処刑人vs京極組の最恐狂人 最終決戦
- 【前編】2024年3月2日の動画(久我虎徹)
「長かったよ…… お前を殺せば京極はもう降伏しかない」
守若「うるせえ…… お前をぶっ殺してイガ親父と幸福に浸るんだぁ」
遂に守若との死闘が幕を開ける。
しかし、先制攻撃の的は守若ではなく佐古であり、瀕死の彼を殺害しようとするが…
守若「卑怯モンのやることはわかってんだよ」
守若にはそれを見抜かれており、地面に転がっていた半グレを盾にされたことで失敗に終わる。
しかし…
「守若…… お前は本当にイカれているな……」
「でもお前のことは全部知ってるぞ…… お前の父親は殺人犯だろ? 親が外道ならその子も無論クズだ…… クソが生むのはクソなんだよ…… 親父はムショから出てきたんだろ? 社会のためにお前が殺してこいよ」
守若に対して彼の父親ごと馬鹿にする態度をとり、精神的な揺さぶりをかける。
だが、その言葉を聞いた守若は…
守若「うるせえぞ非国民の下位互換…… 肉なしチャーハンを腹一杯食ったことあんのかコノヤロー…… 味付けは濃すぎるんだぞ」
(揺さぶりが通じない……? いや、分かっていないのか……?)
一切激昂することもなくいつも通りの意味不明な返答を返す。
この予想外の返答には流石に眉を顰めていた時…
守若「我妻ぁ…… 俺もお前のことも知ってるぞ。古流武術の出で師匠は田宮だ…… 古流系の奴、殺し屋時代に死ぬほど見てきたぁ。どうせ古臭い苦無を投げんだろ? デジタル世代の俺には通じねえぞ?」
守若からは先ほどの自分と同じように過去に会得した戦闘スタイルの情報を口に出す。
その誘いに敢えて乗り、苦無と蛍光灯の破片による目眩しを合わせて初撃を浴びせ…
守若「俺の仲間を殺すな…… イガ親父が泣くだろコノヤロー」
「心配するな…… 五十嵐を含めてもうすぐ地獄で集合だ」
火花が散るほどの激しい斬り合いに展開する。互いに傷を負いながらも、横薙ぎを後ろへ躱して距離を取る。
守若の近接戦闘術を警戒し、六角手裏剣で牽制しようとするが…
守若「あ…… そういえばお前のこともう一個知ってた。お前さ…… 半グレに逆恨みされて自分の女を殺されたんだって?」
「あ……?」
守若の口からなんと千尋に関する言葉が飛び出す。予想外の言葉に固まる自分をよそに守若は続ける。
守若「可哀想だよなぁ…… お前みたいなクソと付き合ったばっかりに…… まぁでもクソと付き合うってことは、その女もクソだから仕方ねえか」
守若が千尋のことを馬鹿にしたのだ。
それを聞いた瞬間、周囲の空気が一変する。
「テメェにアイツの何が分かるんだよ…」
守若「ああん?」
「ブチ殺すぞこの野郎!!!」
「細切れにしてドブにバラ撒いてやるよ!」
我妻にとって千尋の存在は、過ごした日々は誰にも穢されたくない尊いものである。彼女のことを貶されたことで、顔が凄まじく紅潮し青筋を浮かべるほどの形相を見せながらブチ切れる。
そして六角手裏剣のことも忘れて、怒りのままに守若へ突っ込むが…
守若「隙ありぃいい! 中身を出せぇええ!!」
「ぐぅうううう!!」
怒りに任せた大振りの斬撃が当たるはずもなく、カウンターの斬撃を顔面にもらってしまう。
守若「なに必死に躱してんだぁ? 粘る奴はダサいだろぉおお!」
「ぐぅううううっ!!」
さらには強烈な蹴りで吹き飛ばされて地面を転げ回る。
しかし…
「……俺としたことが情けねえな…… 斬ってくれてありがとう。男前になったし頭に上った血の気も引いたよ……」
「ブチ殺してやる…… ギタギタに切り刻んで原型もわからなくしてやるよ」
冷静さを取り戻すとともに、強烈な憎悪と圧を守若へと向ける。
そのまま守若へ再度突っ込み、一瞬で距離を潰して壮絶な斬り合いにもつれこむが…
「ああ…… そう言えばコレがあった。とりあえず爆破…… 古き良きテレビはそうだったろ?」
「お前はなんとかなってもこっちはどうかな?」
距離を取るとともに懐からダイナマイトを取り出し、またしても満身創痍の佐古へ向かって投げつける。咄嗟にそれを対処しようと駆け出した守若だったが…
守若(待て…… この大倉庫でこれをやったら奴も危険だ…… まさか……)
守若は状況と挙動を見て、なんとも言えない違和感を感じる。
そして地面に落ちたダイナマイトは爆発しなかった。
その一瞬で…
「お前…… 思ったよりも甘いな」
守若「あ……」
完全に虚をついた守若の顔面に苦無を飛ばし、直撃させることに成功する。
「あらら…… 目の近くをやられたねぇ。今の右側の視界は完全にぼやけている…… そうだろ?」
守若「うるせぇ…… テメェごとき片目で十分でしょうがぁ」
顔面を貫くことこそ叶わなかったものの、守若の右目の視界を塞ぐことに成功する。
そして、互いに傷を負った両者の闘いは残酷なモノへとなっていく。
- 【中編】2024年3月8日の動画(久我虎徹)
「京極組の最後の希望…… それも今日、綺麗に消える」
守若「黙れボケェ…… テメェが刺身になって戒炎壊滅だぁ」
自身は顔から胸にかけての深い刀傷、守若は右目の視界がぼやけるという状況の下、さらなる激闘となる。
「守若冬史郎…… 知ってるよ。お前のことならなんでもわかる」
「殺し屋組織出身だ…… あと蟷螂拳の使い手かな」
守若「黙れぇ…… 男色ストーカー」
次の瞬間、守若が拳銃を放ち、それを超反応で躱す。
守若「至近距離でやりあうかぁ…… ここなら片目見えにくくても関係ないからなぁあ!」
互いに距離を詰めての斬り合いにもつれ込む。
しかし守若が斬撃に拳を混ぜた連撃を繰り出したことによって一撃を貰ってしまう。
「危ない…… 斬撃の中に打突を入れる技は知ってるよ」
守若(初見で対応しやがった…… なかなか直撃しねえ)
だが額で受けたことでダメージを軽減し、警戒する守若との距離を縮める。
「守若…… 次は左目をくれよ」
そして左目を狙おうと六角手裏剣を放ち、続けて鎖分銅を投げつける。
守若はそれを立て続けに躱すが…
「右目が死んでるなら右に飛ぶ…… そう思ってた」
守若の躱す方向を読んでおり、死角の右側から脇腹を斬り裂く。
守若「脇腹切りやがって…… 毎朝のヨガやりにくいだろうがぁ」
「守若…… 俺はな…… 弱点を突くのが何よりも得意なんだよ」
守若「お前は頭皮を剥いて頭蓋骨に佐古と彫ってやる」
「失血を待つのもつまらない…… そろそろ終わりにしよう」
守若「なんだかんだ結局は正面突破だぁあ!」
次の瞬間、守若は脇腹に手を添え、正面から強引に距離を潰すとともに突っ込んできた。
「何度やっても同じだ…… パワーで押し切るパターンは通じない」
先ほどと同じように迎え撃とうとするも、守若が脇腹に添えていた手から何かを投げてきた。
守若「何度も同じことするかぁああ! パワーと意表だよ」
「なに!?」
それは血溜まりであり、咄嗟に躱すも予想外の攻撃によって僅かな隙を晒してしまい…
守若「俺が投げれば液体でも… 立派な武器なんだよ」
「む!(やられた!)」
そこを突かれて得物である忍者刀を蹴り飛ばされてしまう。
「それがどうした…… 来いよ」
そこから守若が刺突とパンチを立て続けに繰り出すが、それらを紙一重で躱していき…
「近接戦は古武道も引き出しはある」
そのまま守若の肘を極め…
「守若… これで終わりだなぁあ!」
投げと同時に顔に肘を落とそうとする。守若は後頭部に手をだすが、そこに全体重の肘を決めようとする。
守若「石頭ぁあああああ!」
だが守若は固い額に肘を合わせ、直撃を避ける。そして獲物の刺身包丁を拾って強烈な斬撃を浴びせようとする。
「それしかないのか守若ぁ!」
その斬撃を避けたと同時、拳が飛んでくる。
守若「ならパンチだぁああ!」
「同じだなぁ! もう逆転はない!(これを躱してカウンターを取る…)」
そして、拳を突き出す守若に対してカウンターを決めようとするが…
「……ガッ!?」
伸び切った守若の拳から2本の指が伸び、それを避けれずに左目を潰されてしまう。
守若「そのまま中身出せぇえええ!」
そして追撃の横薙ぎが飛ぶが、それを間一髪で躱す。
「拳の状態から指が伸びてくるとはな…… 左目…… 持っていかれたよ」
「だがそれがどうした…… テメェらを殺して裏社会を仕切れるもんなら安いもんだ…… 片目くらいでこの俺を止められると思ってんじゃねえぞ」
しかしそれでも戦意を失わず、むしろ理解しがたいほどの執念と圧を守若にぶつける。
それを受けた守若はある問いを投げかける。
守若「なんでお前は無理やり組織を拡大してんだ? 意味ねえだろ…… 反乱起こってるし」
「黙れ…… お前ごときに理解できるもんじゃねぇんだ… 俺は全てを奪われたんだ……」
「千尋も…… “赤ん坊”もな……」
そんな守若の問いに対し、どこか哀しげな表情を浮かべながら応える。
それはまるで、血涙を流しているかのようだった。
そんな時…
千尋 ー組織を大きくしないで! 京也が刺されちゃう……ー
脳裏に浮かんだのは千尋の言葉だった。
(だから組織を小さくしたのに、死んだのはお前じゃねぇか)
そして、それまでとは別人とも言える怨念に支配されたような表情を浮かべ、残った右目で守若を見つめる。
守若「何言ってんだこのメンヘラ頑固マフィア…… 早く死ね」
「邪魔する奴は全員ブチ殺す」
両者ともに重傷、そしてこの戦いは、遂に決着を迎えようとする。
- 【後編】2024年3月16日の動画
守若「お前組織拡大しすぎ…… 反乱起こってただのバカ」
「裏社会なんざデカくなってナンボだろうが…… 止まった奴は死ぬんだよ」
遂に決着を迎えようとしている京炎戦争の最終決戦。
守若「止まったら死ぬってマグロかテメエ…… 刺身確定だぁ」
「うるせえよ…… そろそろ死ね」
次の瞬間、神速で六角を2本引き抜いて守若に投げつける。
守若「それはもう見たぁあああ!」
だが見切られていたことで完全に弾かれるが…
「それも想定内だ」
潜り込むように距離を潰して、再び斬りあいにもつれ込む。
守若「盛り上がってきたぁあああ! お前そろそろ死ぬかなぁ!」
「アホが…… 京極組は全員が死ぬんだよ」
だがパワーは守若が上であり、ガードしたが後ろへ飛ばされる。
「最大出力が出たか…… それも想定内だ」
「負けねえよ…… 人の恨みを食って、俺は裏社会の頂点に立つ」
その時、千尋との生活を思いだし、さらなる狂気に呑まれる。
「長かった…… さあ決着だ……」
凄まじい狂気ぶりを見せつけるが、その時守若も口を開く。
守若「お前が片目になった時点で、もう勝ち目は無いよぉ」
守若「どう見ても、そもそもの力の差があるでしょうが」
そう言って悪魔の如き笑みを見せる。
「どう見たらそうなるんだ…… ハッタリはいいんだよ」
次の瞬間、守若に飛び掛かり、怒涛の斬撃を繰り出す。
「がぁあああああ!」
守若「佐古の手下を舐めんなぁあああ!」
しかし、守若は一歩踏み込んで前に出る。
「むう! (刺身包丁か…… 素手の攻撃か……)」
それも見切り瞬時に迎撃の体制を取るが…
守若「疑心暗鬼ぃ! 頭蓋骨でてこぉい!」
「ぐぉおお!」
なんと守若は強烈な頭突きを顔に打ち込んだのだ。
「ぐぅう…… 六角!」
今の一撃で頭が激しく揺れるが、すぐに距離を取って六角を取り出す。
しかし…
守若「なんべんそれやんだぁあああ!」
「ぐうう!」
六角を持った左手を蹴り飛ばされ、2本の指がへし折れてしまう。
「こ… これも想定はしてる……」
守若「もうだいたい見たんだよ」
守若の規格外の強さにより、徐々に表情に焦りが見え始める。
「フン…… (問題ない… 握ることはできる)」
2本の指を無理矢理直し、守若を睨みつける。
守若「性格の悪い搦め手はもう通じない…… 俺は腐ってる人間をたくさん見てきたから……」
「続きは地獄の鬼に聞かせてやりな」
次の瞬間、鎖分銅を取り出し凄まじい速さで回す。
守若「一度見たもんはもう通じねえ…… 俺を誰だと思ってんだぁ」
だが守若は、何の躊躇もなく突っ込む。
その守若の手には、いつの間にか誰かのジャケットが握られていた。
守若「鎖系の武器は…… 広がる布とか嫌だろ」
「むぅうう!」
そして守若はジャケットを投げつけ、鎖分銅を絡め取ろうとする。
「こすいのはどっちだよ」
それを躱すべくバックステップをする。
守若「下がれば、パワーとスピードで上回る俺から逃げられない」
だがそれすらも見越していた守若がさらなる加速を見せる。
「ハァアアア!」
守若「後手の攻撃は当たらねえ」
咄嗟に鎖分銅を振り下ろすが、難なく躱される。
「(入られた…… 刀で迎撃だ)」
それを見て鎖分銅を投げ捨て、忍者刀で迎撃しようとする。
しかし…
守若「結局パワァアアアアア!」
「ぐぅおおお!」
守若のパワーで忍者刀を弾き飛ばされてしまう。
守若「さあ中身出せぇ…… 外道の大将」
それと同時、守若はもう眼前まで潜り込んでいた。
そして…
守若「開けてビックリ! 悪魔の腹ぁああ!」
「ぐぅううううう!」
守若の刺身包丁が跳ね上がり、腹を大きく切り裂かれてしまう。
「やる…… じゃないか…… ゲフ…… (大丈夫…… 臓器までは届いてない)」
「これくらいの傷は想定内なんだよぉおおお!」
今の一撃により吐血してしまうが、意にも返さず苦無を投げる。
守若「もう通じねえってばぁああ!」
だがその一撃はもう通じない。
「ああああああ! (奴の包丁はパワーが大きい、警戒を上げろ)」
その時、命をかけた踏み込みをして守若との距離を潰す。
「カァアアア!」
そして目つぶしの六角を投げる。
守若「世の中って理不尽だよねえ! 結局力持ちが勝つんでしょうがぁあ!」
「がぁあああああああ!」
六角を躱されて刺身包丁が飛んでくるが、それを執念で受け止める。
その時…
「ここだよ……」
咄嗟に守若の手首を取る。
「合気だ! 転がれ守若ぁああああああ!」
そして合気を決めようとするが…
守若「素手でも刺さるよ」
「ガハァ!」
次の刹那、守若の2本指が喉を突き刺さった。
さらに…
守若「それを真横に走らせる」
「ごぁああ!」
守若は指を強引に走らせ、皮膚を激しく切り裂かれてしまう。
守若「サヨナらっきょー!」
「ぐぅううううう!」
さらに追撃の刺身包丁が飛ぶが、それを間一髪で躱す。
しかし…
守若「組織の技を使うと昔に戻る感じがしたけど…… 最近大丈夫な気がしてんだ」
「と…… 蟷螂拳…… 想定…… 内だよ…… ゴフ……」
喉への攻撃により致命に至る寸前の傷を負ってしまい、必死に喉を手で押さえる。
もう喋ることすらままならない状態であった。
そんな時に思い浮かべたのは…
千尋 ー京也 男の子なんだって。名前考えないとね!……ー
千尋 ー名前は一生背負っていくもの…… こう育ってほしいと願いを込めるんだよー
千尋とお腹の中の赤ん坊だった。
その瞬間…
「もう退路なんてねえんだよ……」
「麻生も緋田も他の奴らも…… みんな俺のために死んだ」
瀕死状態にもかかわらず、凄まじい狂気を爆発させた。
それに対して守若は…
守若「うるせぇ…… 殿堂入り非国民」
守若「京極組をめちゃくちゃにしやがって…… 俺の居場所がなくなったらどーすんだ」
目を大きく開きこう答えた。
「(もう六角と苦無が一本ずつしかない…… どうしたら奴の牙城を崩せる)」
守若との正面衝突は力の差があることを理解し、今の状況を打破するために頭を巡らす。
守若「蛍のひかぁり♪」
「歌ってんじゃねえぞ…… (だが俺ならやれる)」
「(こいつを超えて、俺は裏社会の頂点に君臨する)」
そして、怨念とも言えるどす黒い執念を抱える。
次の瞬間…
「守若ぁああ! 死ぬのはテメエだぁあ!」
腹の底から盛大な雄たけびをあげる。
同時にお互いスタートを切る。
「俺の邪魔をするなぁああ!」
守若「特攻だぁ 大和魂持ってたのかぁあ!」
そして互いの全力の斬り合いに発展する。
「テメエは一体なんなんだぁああ!」
守若「腐れマフィアは破滅だぁあああ!」
だが、守若の怒涛の斬撃を前に徐々に劣勢になる。
「グァアアアアア! (どこで六角を出す……)」
守若「条件が一緒なら、俺に勝てるわけないでしょうがぁ!」
「グォオオオ! (竜巻かコイツは…… 限界だ)」
次の瞬間、懐から六角を抜くが…
守若「苦し紛れぇ!」
守若の蹴りが飛び、六角が鳩尾に突き刺さってしまう。
「(強い…… 鬼だ…… 守若冬史郎…… ここまでとは……)」
そしてあまりの強さの守若に困惑を始める。
もう我妻の命は限界だった。
「(だが、ギリギリ想定内!)」
「まだ可能性はあるんだよぉおおお!」
だが刺さった六角を抜き、それを神速で投げつける。
守若「それでもダメェエエエ!」
だがやはり見切られており、六角は弾き飛ばされてしまう。
「ガァアアア! (予想外を作れ)」
そして、吐血しながらも最後の特攻を見せる。
「ウォオオオオ! (斬られまくって奴の太刀筋は覚えた)」
その時…
「くれてやるよぉおお!」
なんと自身の忍者刀を投げた。
守若「危ねぇえええ!」
無論その刃は守若には届かない。
「そっちに跳ぶと思ったぁあああ!」
だが躱す方向を読んでおり、目を血走らせながら突進する。
「俺は生き残る! 死ぬのはテメエだぁああ! (懐に入った…… 来るぞ)」
守若「お前素手でどうすんだあ」
そして懐に入るが、無論守若の刺身包丁が首を狙う。
しかし…
守若「勝負ありぃいいい!」
「守若ぁああああああ! 捕まえたぁああ!」
なんと自らの腕で刺身包丁をガードして、骨を断たれたが刃を止めてみせた。
「うがぁあああ!」
次の瞬間、強引に腕を捻り落とし…
「この位置は躱せねぇええ!」
最後の苦無を守若の首に突き立てる。
「ウォオオオ!」
守若「グゥウウウ!」
だが…
守若「これが最終手段だよなぁ」
守若「じゃあもう死んでも悔いはないよねぇえええ!」
なんと守若は自身と同じく、片腕を犠牲にして苦無を止めて見せたのだ。
その直後…
守若「シャアアアア!」
「ガハァアア!」
守若が再度喉を突く。
守若「こっちこそ捕まえたぁあああ!」
「が…… あ……」
そして守若に髪を掴まれてしまう。
腕を犠牲にするという最後の手段すらも看破されてしまい、もう我妻に動く力などは一切残っていなかった。
そして…
守若「オープン・ザ・外道の頭ぁあ!」
「グガァアア!」
後頭部を地面に激しく叩きつけられてしまう。
「ガハァ…… (こんなの…… 想定できるか)」
そして守若は我妻を見上げる。
守若「簡単に死ねると思ってんじゃねえぞお…… 全員の恨みを乗せて撲殺だぁ」
その時の守若は、まさに悪魔そのものだった。
その時、脳裏に響いたのは…
千尋 ー京也 みんなに恨まれて殺されちゃう…… もう組織を拡大しないでー
愛する千尋の涙ながらの忠告だった。
だが、もう遅かった…
守若「まずは大園のカシラの分」
「ゴォオ……」
守若は我妻の顔面をひたすらに殴った。
さらに…
守若「海瀬の兄貴は両目見えなくなったんだよな」
「ガッ…… ア!」
残った右目も潰されてしまった。
守若「これは浪岡の分だぁ」
「ゴッ!」
守若「これは野島の分」
「ガッ!」
守若はひたすらに、狂気の拳を怒りを乗せて殴り続けた。
「邪魔するな… 戒炎は… デカくなる…」
意識が混濁する中、取り憑かれたかのようにうわ言を繰り返すも...
守若「誰か知らねえ奴の恨みぃ」
「ゴォ…… (なんでこんなことになってんだ……)」
そして命の炎が消える直前、脳裏に浮かべたのは…
千尋 ーどうかな? 似合ってる?ー
ーああ…… 良いと思うー
千尋 ー思うじゃなくて、すごく良いでしょお? あと笑顔ねー
ー真也はパパとママといっぺんに手を繋ぐのが好きだー
真也 ーそう! 大好きぃい!ー
千尋 ー私も好きー
ー愛しているから、何でもわかるんだよー
叶うことのなかった未来だった。
そして、意識が完全に混濁する。
「死んだら…… 千尋に会えるかな……」
そして消え入る声でこう呟いた。
だが…
守若「クソ外道が…… 真面目に生きたカタギの女に会えるか」
守若「地獄で反省しとけ ボケ」
そして、守若が最後に繰り出したのは…
守若「最後は何回も泣いてた、イガ親父の恨みぃいいい!」
「ゴバァァアアアアア!」
命の炎を消す、壮絶な拳だった。
守若「八つ当たりしてんじゃねえぞ…… ボケェ」
俺はなんで生まれてきたんだ……
2歳で一人ぼっちになって唯一愛した千尋も腹の子も理不尽に奪われた……
なんで俺からぜんぶ奪うんだよ……
神様…… ちょっとくらい愛情をくれても…… いいじゃんか……
自身に愛を教えてくれた恋人を奪われて悪魔が宿り、東北最大級の戒炎を率いて京極組を震撼させた我妻京也は、永遠にその目を閉じて動かなくなった。
- 2024年3月23日の動画(久我虎徹)
守若との死闘に敗れ骸となったが、彼の死体は一切回収されないまま倉庫に残っていた。
部下だと思っていた人間達は誰も我妻のことを慕っておらず、死亡が確認されるや否や全員が彼を見捨てて逃走したのであった。
この時に死体を確認に来た部下達は遺体の凄惨さに戦慄するも『自業自得』と吐き捨ている。
しかし、そんな倉庫にとある人間が現れる。
京極組エースの久我虎徹だった。
久我は倉庫にバイクを取りに行こうとして彼の死体を発見したのだ。
久我にとっても、我妻は数多の命を奪ってきた絶対に許せない大罪人であった。
しかし…
久我「もう いいだろ……」
なんと久我は彼の死体を回収し、葬ることを決めたのだ。
勿論複雑な気持ちがあった久我だが、悪人だろうと死ねば仏であり、殺した京極組が責任を取るとして、死体を運び出したのだった。
そして我妻の死により、戒炎は完全に消滅した。
- 2024年3月25日の動画(久我虎徹・佐古大和・戸狩玄弥)
千尋との幻の結婚式などが描かれた視聴者からのイラストの数々が披露された。
- 2024年3月27日の動画(瓜生龍臣)
モーリーの面々が銀田栄山の別荘で湯治を兼ねて過ごしている時に、守若と我妻の話題が出て瓜生が我妻の戦闘術は古流の搦手を得意とする流派と指摘し、毛利公平も守若との相性の悪さを指摘していた。
- 2024年4月10日の動画(小峠華太)
戒炎壊滅後、仙台では元エルペタス構成員の時透柚貴が率いる半グレ組織「ゼウス」が猛威を奮っていた。かつて麻生が所属しており天羽組と親しい岡口組も組長が討たれるなどかなりの被害を受け、吉本の懇願により天羽組から須永陽咲也・小峠華太・工藤亘清が援軍として仙台入りしゼウスと対決した。又、東北裏社会は我妻の死後にポスト戒炎を狙おうと半グレ組織が乱立する群雄割拠の戦国時代となっている状況から、かつて城ヶ崎が関東裏社会の抑止力、大嶽が関西裏社会の抑止力になっていた事実から我妻の存在も東北裏社会の抑止力になっていた事が見て取れる。
- 2024年10月28日の動画(久我虎徹、香坂慎太郎)
回想で少しだけ登場。
「敵を愛すれば勝てるんだよ」
番外編「新年の挨拶」
我妻は2023年および2024年の「新年の挨拶回」に登場している。
特筆すべきは「新年の挨拶回」に2年連続で登場していることであり、これを成し遂げたバグ大ヴィランは2024年時点で我妻のみである。
2023年新年の挨拶に東雲や秋元と共に登場する。
東京を制圧するために各所を周っている事を明かした。
秋元とは彼を「あきもっちゃん」と呼んでいる辺り、東雲よりは良好な関係を築けている模様。当の秋元も「我妻ちゃん」と言い切っている事からも組織の関係を超えた情を抱いている模様。
今回は反町琥治郎とともに登場し、我妻が反町の離反を詰め寄るという内容の漫才を披露した。本来は元日に投稿される予定だったが、当日の夕方に「令和6年能登半島地震」が発生したことに伴い、動画公開が翌日に延期された。
前回は黄色を基調とした和装だったのに対し、今回は黒色を基調とした洋装での登場となった(洋装はカタギチームと香鈴以外のキャラたちと共通)。
なお、シリアス寄りの2人が終始真顔で漫才をしているというネタについては視聴者からも高評価を得られた模様。また、反町とのやり取りから(バグ大とバグアカデミアの現在進行中のシリーズ主人公では唯一登場しなかった)三門一郎太のことも把握していたことが判明した。
余談
城ヶ崎賢志との比較
共通点
お互い巨大マフィアのボスであり、どちらも巨大組織を率いた、京極組を追い詰めた共通点がある。
相違点(来歴・環境)
城ヶ崎の場合は結果的に捨てられたとは言え、母親からは一定の愛情は貰っていたのに対し、我妻は生まれた時点で父親がおらず、母親も物心つく前に薬物中毒で死亡為、肉親からの愛情が皆無であったという違いがある。
また、城ヶ崎は唯一愛していた母に捨てられたことで誰も信用出来なくなり悪の道へと堕ち、裏社会を支配すると言う野望を抱くようになったが、我妻は愚連隊こそ率いていたが当初は裏社会を支配すると言う野望は持っておらず、更には恋人との出会いで一時は真っ当な道に戻ろうとまでしたが、その恋人を殺された事がきっかけで狂気が爆発してしまった。
きっかけこそ違うが、奇しくもどちらも愛する者を失った事で歪んでしまい、外道へと堕ちてしまったのである。
ただし、城ヶ崎の場合は母と再会したことで死の間際だが多少は救われたと言えなくもないのに対し、我妻の場合は他の戦争シリーズの悪役である銀田栄角・黒澤航太郎・大嶽徳史のように己の信念や美学に殉じることも許されず、「自分に起こった理不尽を、ただただ裏社会にぶつけていた」事も、守若に「八つ当たり」と一蹴された。
また、死んだら千尋に会えるかなというささやかな願いも「真面目に生きたカタギの女に会えるか」と守若に一蹴され、自身の運命を呪いながら息絶えるという、余りに救いのない最期を迎えた。
小湊圭一は、愛する人の言葉を履き違えて理解していた事を伊集院から指摘されたが、我妻が今際の際に回想した「皆に恨まれて殺されちゃう。もう組織を拡大しないで」という千尋の切願に対して、本当の意味で理解出来たのかは不明である。
我妻自身が死者を冒涜した行為は、かつて園部が千尋に行った事と、殆ど同じ事をしたに過ぎなかったと言える。
また、愛する者以外にも城ヶ崎の場合は東雲竜政のようにビジネスを抜きにして自身を慕ってその死を悲しんだり死後にその意志を継いでくれたり生前の思いを他者に語ってくれる人がいるのに対し我妻の場合はそのようになるであろう人物がほぼいないと言ってよいことにも前述の救いの無さに拍車をかけている。
しかしその後生前に散々敵対して彼を恨んでいた京極組の久我も我妻の孤独な人生には思うところがあったのか、彼によって寄り添われて死後亡骸を放置されることなくその身を葬られ、弔われることになったのは生前死ぬ間際まで呪いのような孤独に囚われて苦しみ続け、死んだ後でまで孤独だった我妻にとっては最後の救いになったのかもしれない。
遺体の扱い
城ヶ崎が1人で外出した事を知った東雲が急行している時に久我の死闘で危篤状態になっていた秋元の元を見つけて蘇生し、彼を闇医者に送った後、直ぐ城ヶ崎の元に駆け付けたが彼は既に事切れており、東雲は城ヶ崎の死を悲しんだのに対して、我妻の場合は彼の死を知った戒炎傘下の半グレ達が骸を確認に来た時はその凄惨さに戦慄するも、『自業自得』と罵られていた。又、城ヶ崎の遺体は東雲に回収された後、羅威刃シリーズの初回の2024年7月3日の動画で人気のない山中に埋葬されて墓が建てられているのに対して、我妻の遺体はバイクを取りに来た久我が弔うまで丸1日放置されていた。
抑止力としての存在感
城ヶ崎が死んだ直後、羅威刃を抜けた半グレが好き勝手に暴れるようになり、天羽組の小峠が生前の城ヶ崎を関東裏社会の強力な抑止力と評価していたが、後述のように我妻もまた死後に『東北の抑止力』と評価されるに至った。城ヶ崎と我妻の存在は京極組にとっては邪悪だったが、裏社会において一定の秩序が生まれていたのは皮肉である。
相違点(組織経営・他者への対応)
城ヶ崎は組織を大きくしていくにつれ圧倒的なシノギの才覚で金を稼ぎ暴力と恐怖心で界隈を支配し無用になった人物を容赦なく切り捨てていたの対し、我妻は恐怖心を抱かせこそしているが、経済力に頼っている描写が少なく、部下の考えや進言を尊重し散っていった幹部達を労う素振りを見せている。
『人を見抜く』と言う点においても、城ヶ崎は目を見れば相手が噓ついているかがすぐに分かるのに対し、我妻は人や事象の本質を見抜く力に長けている。一見同じに見えるが、我妻は敵味方の人物や起きている事柄における肝やミソとなる要素を的確に見抜き実行している事から、相手を丸裸にしてしまうことならば城ヶ崎すら凌駕している。
城ヶ崎と我妻に大きな違いがあるとすれば、『自分より下に付いている人物の扱い方』や『物事や人物の本質にどこまで辿り着ける力』と見て取れる。しかし、京炎戦争が終盤に進むにつれ、傘下組織にいたもしくは引き入れようとする者達を問答無用で力と恐怖で従わせる人物に変貌していった。
結局恐怖政治を貫いて組織の運営や拡大はしたことは共通しているが、城ヶ崎は恐怖による統制は取りつつも、相応の大金やメリットを感じる条件で上手く懐柔させながら運営しており、少なくとも城ヶ崎が恐い余りで抜けようとする人間は余りいなかった。一方で我妻は圧政のみを強いたことで下部組織からの反乱を招いてしまい、それを見せしめとして粛清しては新たな反乱の意志が生まれるという負の循環を繰り返していた。
この違いは、我妻の京炎戦争における結末に大きく繋がる事になった。
戦争終盤の切り札として鉄刀兄弟を買収している事から、「人は金で動く」という城ヶ崎の戦略をパクった可能性がある。
一方で、戒炎傘下の組織は金で雇った烏合の衆ばかりで、守若達の潜入を簡単にしたばかりか、千尋に関する知られたくない過去までベラベラ喋られ、海瀬の葬儀襲撃事件の意趣返しとなる形で死亡した。
一方、地元の東北では、戒炎というネームバリューがあってか、周辺の半グレ組織も大人しくしており、仙台の老舗極道組織の岡口組の吉本(麻生のかつての兄貴分)は、「良くも悪くも東北の抑止力だった」と評している。
この事から、京極組・獅子王組・天羽組といった東京の極道さらに愛天雄や比遊怒羅といった自警団からは紛れもなく脅威で厄災であった事は確かだが、地元ではその限りではなかった模様。
女性に対する僅かに残った人間味
前述の千尋には特別な思いを抱いており、狂気の源については『千尋という愛する存在を失った心の穴を塞ぎたいだけなのかもしれない』と独白しているほか、後に戒炎と命名される半グレ組織のボスになった後も、花束を持って千尋の墓参りに行くなど、城ヶ崎と同様に多少の人間味はある様子を見せている。また、守若に千尋のことをあげつらわれた際には最大級に逆上している。
これは我妻が守若の父の事をあげつらい、挑発した事への意趣返しであるが、後に守若は千尋の事を「真面目に生きたカタギの女」と改めている。
千尋を傷物にされた上で殺された過去からか(一部の例外を除いて)『女性を襲う事は良しとせず、逆に女性を傷物にしようとする輩には嫌悪感を抱いている』と言う点がある。
実際、伊集院達と共に東北に旅行に来ていたエマを半グレ2人から助けておりこの際、「女を手籠にしようとする下衆なんて、これくらいじゃあ許せないなぁ」と言い放った。他にも、京極組の姐さんであり組長の妻である五十嵐梢を狙う作戦を立てた際は一見すると卑劣極まりないモノに見えるが、天京戦争で天羽京子の暗殺を謀った京極組の桑田裕二や白武利光と違い、飽くまで武闘派極道が護衛に付くと読んで誘き寄せるための一手に留めた上で、「女性を狙わないように」の旨の注意を角中にしており、梢を攻撃したり傷を負わせる真似は一切しなかった。他にも下部組織が自分達に隠れて上納金を抜き取った事が判明しそのトップの井畑を粛清した際に彼女がいる事が判明した時には「女はできれば殺したくない」と言い切り軽蔑するような素振りをする以上の事はしなかった。
ただし、千尋を殺した園部の彼女である聡美を(意趣返しと言う意味)で園部と共に爆殺したり、組織の金を勝手に使った福田と言う構成員を始末した際に、福田と駆け落ちをしようとした風俗嬢も(この風俗嬢も戒炎直営の風俗店で働いており、直営の風俗嬢と駆け落ちすることを禁じていた為、秩序を保ち下の人間への示しとする為に)殺すなど、場合によっては女性であろうと容赦なく殺害する時もある。裏を返せば、悪事に関与や認知をしていない女性の命を奪う事自体良しとしないと言う事なのだろう(実際、井畑の女を殺さなかったのは(千尋の事を思い出したと言うのもあるが)あくまで『薬の売買に関わっていなかった』事を確認したから見逃したのであり、関わっていた場合は殺していた可能性もあった)。
なお前述の城ヶ崎にも過去の惨い経験から許せない行為がある。それがDVであり、見かけると(子供には見えないように配慮した後で)犯人を血祭りにあげる。
また、幼少期から保護者の仮面を被った汚い大人達、詳しく言えば偽善的に自身を引き取り、誰一人庇わなかった職員、地位を隠れ蓑に、未成年を性の捌け口にしていた所長を見て育った事から、最初に千尋を助けたのも「気紛れ」ではなく、我妻なりの正義感だった可能性が高い。
人格障害?
我妻の性格や作中の描写等を踏まえると、彼はスキゾイドパーソナリティ障害(SPD)の可能性が高いと考えられる。
実際、作中の描写を参考にSPDの診断基準に沿って彼のことを分析すると、以下に示したように、該当していると断定できるものだけでも4項目、下手すれば7項目全てに該当しており、いずれにせよSPDと診断される「7項目中4項目以上該当」という条件を満たしていることになる。
1. 家族を含めて、親密な関係を持ちたいと思わない。あるいはそれを楽しいと感じない。
⇒ 概ね該当。物心がついた時点で家族はおらず天涯孤独だった。我妻が唯一愛した人物である千尋との交際についても、彼女の猛アタックに我妻が根負けしてアプローチを受け入れたというのが主な理由であり、我妻自身は恋人などの親密な人間関係を構築することに興味を示していない。
2. 一貫して孤立した行動を好む。
⇒ 少なくとも幼少期は該当。周りの人間から恐れられていたことを差し引いても、防衛本能の高さゆえに幼少期の小湊圭一・室屋柊斗・馬渕春斗のように自分から誰かと仲良くなりたいという意志を見せることはなく、一貫して孤立した行動をとっていた。
3. 他人と性体験をもつことに対する興味が無い。もしあったとしても少ししかない。
⇒ 千尋との死別以降は該当。千尋が性犯罪に巻き込まれて死亡した影響で、千尋の死後は性犯罪を許せない性格となっている。千尋と出会う前は不明だが、ストーリー全体を通して女遊びに耽っているような描写は見当たらない。もっともバグ大のレギュラーキャラで女好き描写があるのは三門一郎太・南雲梗平・苅込一輝・佐古大和・龍本雅幸・半田民生・御堂鋼作らがいる。
4. 喜びを感じられるような活動が無い。もしあったとしても、少ししかない。
⇒ 正確にはわからないが、作中の描写を踏まえると恐らく該当していると思われる。
5. 第一度親族以外には、親しい友人、信頼できる友人がいない。
⇒ 該当する。物心がついて以降、第一度親族(=両親、兄弟、実子)は一人もおらず、親友がいる描写もない。「実際は誰1人愛していない。命に温度などなく あの日以来凍っている」という公式X(旧Twitter)の投稿から察するに、麻生たち戒炎幹部たちとの関係性も我妻視点ではあくまでビジネス的なものでしかなかったことが窺える。それは反町や烏丸の離反、悪刃羅などの造反という形で自身にも跳ね返ってきており、榊原や麻生でさえも最後には我妻に従ったことの間違いを認めている。榊原でさえも今際の際に一条や氷室の説得もあり得心してからは我妻を「奴」と言っており心情的には三池に近い。
6. 賞賛にも批判に対しても無関心にみえる。
⇒ 概ね該当。自分に実害を与えた者に対しては報復していたが、自分に対する陰口や批判に関しては(多少不快感はあっただろうが)基本的に無関心なように見える。後のストーリーでは裏で戒炎の悪口を言っていた構成員を粛正したが、これはあくまで組織維持を目的とした他の構成員への見せしめに過ぎず、個人的な恨みに基づくものではないと思われる。
7. 非常に淡白で超然とした態度、あるいは平坦な感情。
⇒ 該当する。我妻は基本的に淡白かつ超然とした態度を見せている。ただし、守若に千尋を冒涜された時は例外で、この時だけはハッキリと怒りの感情を見せていた。
興味深い事に、我妻が喜怒哀楽や躊躇の表情を見せたのは、千尋が関わる事以外、全くと言っていい程ない。
(他は、田宮道場に入門した時、小刀を投げ渡された時くらい。)
ただし、SPD患者と言えども症状が軽度だったり、環境がマッチしていたりすれば社会生活をほぼ問題なく送ることが可能である。現に我妻も千尋との交際期間に限っては症状が和らいでおり、彼女との交際を続けるうちに裏社会から足を洗うことを検討するまでに改善されていたため、千尋が殺されさえしなければ真っ当な道に進むことも十分可能だったと思われる。
京炎戦争を始めた理由
「愛を全国に広げる」という理由が組織全体に向けた建前であり、我妻自身の中での本音は「暇だから始めたゲーム感覚」ということにしていた。
しかし、この「ゲーム感覚」という本音すらも実は我妻自身に向けた建前(自己暗示)でしかなく、実際は「千尋を失ったことで開いた心の穴を埋める為だったのかもしれない」と独白している。また、京炎戦争終盤になって、「組織拡大によって自分たちの安全を確保する」という理由もあることも思い出した。なお、我妻にとっての「自分たち」に今の仲間は含まれていない模様(参照)。
最期まで「組織拡大への執念」という呪縛から解き放たれなかったのも、「自分に起こった理不尽を、裏社会にぶつけていた」事と、その為の手段として、幼少期より持っていた防衛本能を使う以外なかった為である。
組織拡大の本当の理由は「心の穴を埋める為」といった生温いものでもなく、自分自身の運命への復讐だったと言える。
それ故、仮に裏社会のトップに立ったとしても、我妻の奈落の底のような心の穴は埋まる事は決してなかっただろう。
仮に千尋が生きていたとしても…
仮に千尋が生きていて一緒になったとしても幸せな未来が約束されていた可能性は低いと言う意見が多い。
千尋の親や友人がまともな人間なら愚連隊のトップである我妻との交際を猛反対されていた可能性も高く、千尋が両親に連れ戻されて強制的に別れさせられる可能性も充分に考えられる。ただし千尋の葬式で我妻が追い出されていない描写から千尋の両親は我妻が半グレであることを知らなかったか、そもそも我妻自身が喪主で千尋の両親はすでに鬼籍に入っていた可能性もある。
また、仮に千尋と一緒になったとしても我妻は多方面に恨みを買っていたため園部がやらなくても他の人間が千尋を狙う可能性は非常に高い。またCODE-ELやエルペタスに我妻の暗殺を頼む人間がいたら我妻の悪名の高さもありトップの銀田栄角や大丸靖公がゴーサインを出す可能性はあったと思われる。
また、上記の人格障害説に加え、千尋と出会う前の言動も相まって我妻に千尋との子供をまともに育てられる可能性は低く、千尋も我妻に組織拡大を咎める際に我妻の身を案じるだけで我妻の犯罪行為や我妻に傷つけられた人たちのことは一切触れていない点を考えると、相手が受けた痛みについて一切触れられないため、子供が人の痛みがわからない子に育つ可能性も考えられる。
これはただ単に描写が少なすぎるだけ、またはお腹の子供から父親を奪わないためにもあえて我妻の被害者のことは触れないでいただけ、或いは、我妻が単に思い出したくないだけという可能性も考えられるが。
そのため、我妻と千尋の間にできた子供がまともに育つのかという疑問の声が多く見受けられる。
また、我妻が愚連隊から足を洗って子供がまともに育って幸せな家庭を築いたとしても裏社会で馳せていた悪名は消えずかつての人食い伊能や別府のような末路を辿る可能性は非常に高く、千尋と子供も巻き添えにされ一緒に殺される可能性も非常に高い。
これは、かつての敵対者が生きている限り、終身的に付いて回る事だろう。
自分で蒔いた種とは言え我妻が幸せになれる可能性は高くはないと言わざるを得ない。
我妻が田宮道場で学び裏社会に首を突っ込んでいた時点で運命は決まっていたのかもしれない。
ただし、幸せになれていた可能性ももちろん0ではない。死ぬ間際に見たIFの世界線では家族で幸せに暮らしている様子が見られ、子どもにも愛を注いでいた。
千尋と死別する直前に、子供の名前を考えて決めたと思われ、これも我妻なりの裏社会から足を洗うけじめだったと思われる。
真也の「也」は自分の名前から取り、「真」は真人間として育てていくという意味だったと考えられる。
千尋が殺されることなく、彼女に愛を教わり続けることができれば違う未来もあったかもしれなかった。
もしくは、我妻が田宮道場の門を叩かず不器用ながら社会人として必死に生きていた上で千尋と出会えていれば、真っ当な人生が待っていたかもしれない。
声優交代事件
事件が始まったのは2023年1月。
2022年の我妻初登場から声優は大河望氏が担当していたが、2023年1月1日の動画にて声優が伊藤タカユキ氏に変更された。
変更の理由は長らくブラックボックスとなっていたが、遂に大河氏本人によりTwitterにて説明された。 その理由として、声優本人が特有の激しい戦闘シーン等に慣れていなかった事、今まで経験したことがない演技が必要だった事からCODE-EL→株式会社モーリーのコモケンこと小森健二などでヒューマンバグ大学の世界に慣れていく事を優先し、我妻役は伊藤タカユキ氏にバトンタッチする事になった(ただし小森の出番は現在でも非常に少ない)。
そしてこの交代劇にヒューマンバグ大学運営ではなく、何故声優が矢面に立つのかという運営へ不満の声が上がっている。同時に伊藤タカユキ氏が担当することへ不満の声も上がっていた。
交代後も、時期によって我妻の演技に大きな変化が見られ、キャラ背景の不透明な初期段階のため何らかの匂わせの可能性があったが、多くの視聴者がそれに気づかずに伊藤タカユキ氏を批判した。
伊藤タカユキ氏は自身のラジオ番組FMPiPさかり場(2023年2月16日)で今回の交代についての心境を語っていた。
前の声の方が良かったという意見については「大河さんの素晴らしい演技が心の中に息づいている証。遠慮せず口にしてほしい。」と語り今後については「受け取ったバトンは重く、立てられたハードルは高い。全身全霊で取り組む所存です。」と前向きな姿勢を語っている。
そして、その後の3月6日の動画「我妻伝説」にて、我妻の過去や闇落ちするキッカケが解明されたことで、その時の感情によって表情や声色が分かれる事が判明した。無表情の本来の我妻と、笑顔を貼り付けた我妻の二面性が判明。伊藤タカユキ氏はこの二面性を表現するため声と演技を使い分けていたことが判明し、これまでの演技の伏線も回収された。
特に注目されたのは話しながら声の高低が徐々に逆転していく技法。我妻の二面性が生まれる瞬間と狂気を演出したこの演技に視聴者の多くが脱帽。動画コメント欄は驚きと興奮に沸く。反対の声と嘲笑を実力で打ち消す結果となった。
関連タグ
悲しき悪役 - 過去が明らかになってから。
味噌汁 - 日本の代表的な汁物料理。本編では我妻と千尋を繋ぐ「愛」の象徴として描かれており、(状況整理回以外の)千尋が登場する回想では必ず登場している。
松村美津留 - 天羽組の飯豊朔太郎に殺害された極左テロ組織「日滅軍」のリーダー。我妻以上にカタギに容赦ない外道。今際の際において吐いた言葉を吐き捨てられ止めを刺された点が似ているが、容姿も初期の我妻に似ている。しかし、戦闘力・精神力共に我妻より大きく劣り、我妻と同じように飯豊が腕を差し出し、飯豊からのカウンターで敗れているのが対照的。
雷電 - 我妻の2日後に死んだ雷一族の暗殺者。元エルペタス世良班の幹部。古流武術をベースにした戦闘スタイルを採用している点、CODE-ELの離反者にトドメを刺された点、方向性は違うが死の間際に幻影(我妻は千尋との結婚式や息子の真也との生活、雷電は紫電に生業の廃業を進言)を見た点、カタギの仕事に馴染めず挫折(我妻は性格の問題、雷電は表社会のルールへの無知とスキルの無さ)した点など共通点が多い。
ただし彼の場合は、瓜生に最後の情けで携帯越しとはいえ、紫電に遺言として自身の本心を伝えて死ぬことができた。
城戸丈一郎、周防律 - 前者は天王寺組城戸派首領、後者は御堂鋼作(御前)直下のアサシン。いずれも負い目のある者に対してうりゅうのメロンパンと同等の効果がある幼馴染みが作るおにぎりを食してもアホ顔にならなかったことから一部の視聴者から我妻を連想された。