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星野ルビー

ほしのるびー

星野ルビー(Ruby Hoshino)とは、漫画『【推しの子】』に登場するメインヒロイン。
目次 [非表示]

「だって憧れは止められない」

「嘘は いやだ」


プロフィール編集



概要編集

本作のメインキャラクターの1人。

カリスマアイドルアイの娘として密かに生を受けたアクアの双子の妹。兄と同じく、前世の記憶を持つ転生者でもある。

『星は巡るから』

ルビーの前世は、難病を患って夭逝した天童寺さりなという少女。前世の頃からアイの大ファンであり、アクアとも関わりを持ち、彼がアイ推しになるきっかけを作った。ただし、死亡して間を置かずに転生したアクアとは違い転生に4年近くのタイムラグが生じている。


次第にアイのようなアイドルになることを志すようになり、高校生に成長してからはアイと同じ苺プロに所属して解散したアイドルグループ「B小町」を再結成する。


人物編集

ルビーとアクア

と比べれば若干ダメージの少ない名前。


母親であるアイに瓜二つの、ピンク色の瞳を持つ金髪の美少女(ウィッグをつけて黒髪にするとアイと判別がつかなくなる)。MEMちょの知り合いには、B小町で顔はダントツと評される。左目にはアイから受け継いだ星状のハイライトが入っている(凶変後は時折ハイライトが反転することも)。

ルックスはもちろんのことダンスも上手く、アイ譲りの天性のアイドルの才能を持っている(ただし、歌だけは壊滅的に下手らしく、まだ『ヘタウマ』と称されるMEMちょと違い、ストレートに『オンチ』と言われている)。


素直で天真爛漫、「生まれ変わったらこの顔がいい」と思うほどの美貌を持つ母の子に産まれた為、自信家で顔に関しては特に顕著だが、年相応に緊張したりはする。幼少期は満足に体を動かせなかった前世故にダンスを怖がっていたが、アイのおかげで克服した。


MEMちょに夢は止まらない(=だから困難があっても一緒に頑張ろう)と励ましたり、有馬に先輩はいくら芸歴が長いと言っても新人アイドルなのだから、無理に背負う必要は無いなどと、救われる言葉を投げかけるのに、MEMちょの痛いところをぶっ刺してしまうところなど、さりなとしての経験ゆえに他人を大きく動かす言葉を時折言う。


前世は生涯のほとんど(※発病したのは4歳時とされており、碌な幼少期も過ごさなかったことが示唆されている)を病室で過ごし、体も満足に動かせなかった経験があるため、アイドル活動に対してとても積極的であり、何を提案されても楽しそうに全てをやり抜き、時折有馬を驚かせる。またそのためか、時間についての意識が人一倍強い。


なお、「あくまで前世の自分(ゴロー)と今の自分(アクア)は別人」と割り切っているアクア(※周囲にゴローとしての話は一切せず、唯一話したあかねに対しても知り合いと説明した程度)とは違い、「前世の自分(さりな)の延長線に今世の自分(ルビー)がある」ような、前世の経験をある程度踏まえた語り方をたまにするため、周りから不思議に思われることがある(かなからは元引きこもりと勘違いまでされてしまったことがある)。

※ただアクアとルビーは『ストーカーに母親を殺される』という特大の悲惨な過去を持っており、この時の精神ダメージから長期のカウンセリングを受けていた(言及されたのはアクアのみだが、ルビーもほぼ確定で受けている)。

この過去を推測込みで深掘りすると、カウンセリング期間中を引き篭もりと濁して説明する、カウンセリング終了後も実生活復帰までに塞ぎ込んでいた時期がある、などの解釈は充分成立すると言える。


現世の母であるアイを「ママ」、前世の母であるまりなを「お母さん」と呼び分けている。




人間関係編集

母親にして前世からの推し。アクアと異なり素直にそれを受け入れてたこともあり、大変甘やかされていた。本人はいい母親でないと言うが、ルビーからすると宝物のような時間だった。

やがてアイのように輝きたいという願いから、ルビーもアイドルの道に足を踏み入れていく。


アイの娘ということは当然ながら周囲には秘匿されており、表向きは事務所社長の斉藤夫妻の子ということになっている。


双子の兄。ルビーと同じで前世の記憶を持っているが、前世から関わりがあったことは気付いていない(アニメでは、寝ている最中に『さりなちゃん』と呼ばれたことで一瞬ゴローの面影が過ぎったが、ゴローの死を知らないこともあり、『そんなわけないか』と流していた)。

どちらも前世の記憶を持っていることを知った上で、お互いを家族と認識している。

お互いに軽口を叩きあっているが、ルビーが心配だからとアイドルの事務所を調べ上げたり、同じ学校を受けたりと、シスコンと言っても過言ではないくらい過保護な兄であり、ルビーの方もアクアの人間関係に口を出したり、兄の交際相手を勝手に決めようとしたりとこっちもこっちで多分にブラコンである。

ちなみに初恋はアクアの前世であるゴローなので、当然なのかもしれない。


アイの所属する事務所の社長夫人。アイが仕事中にルビー兄妹の面倒を見ている。うまいこと協力関係を結び、次第に第二の母親とも言える信頼関係を築いていく。


アイの所属する事務所の社長。現在は事務所を離れ世捨て人のような生活をしている。仇を追うルビーに入れ知恵をしている。


アイが共演した子役。高校で再会し、アクアの勧めでフリーの彼女をB小町に勧誘した。

最初の頃は憎まれ口を言い合うなどお互いに印象が悪かった。しかし芸能界の先輩である彼女から、芸能界の常識を1から教わるうちに彼女の責任感の強さや、才能に驕らない努力家なところなどに信頼や尊敬を抱くようになる。

彼女の方も芸能人としては素人ながら、純粋に夢を追い駆けるルビーに対して無限の可能性を感じたり、少し抜けてて危なっかしいルビーの面倒を積極的に見るなど、次第に姉妹のような関係になっている。


高校のクラスメイト。隣の席だったことから意気投合して友達になる。コスプレ取材で共演する。


高校のクラスメイト。アイとは別に推しているタレントで、アクアの仲立ちもあって友達になる。かなり売れている為、みなみは共演なんてできるか不安がるぐらいだが、ルビーやみなみとの共演を楽しみにしているようだ。


アクアが出演した番組の共演者でYoutuber。同じくアイドルの夢を捨てきれずアクアの勧めで苺プロに移籍した事情を知りB小町加入を後押しした。MEMちょ自身もまたアイ推しのドルオタなこともあり、アイドル活動に関しては姉妹の様に意気投合することが多い。


アクアが出演した番組の共演者でカップリングとなる為、会ってみたいと思っていた。その後会う機会ができ、意気投合。その後も話す程度には関係性があるようだ。


余談編集

アイの出産直前に逝去したゴローと違い、4年前に逝去したにもかかわらずゴロー(アクア)と同じ時期に双子として転生できた理由は現時点では語られていない。


また、前世のさりなは闘病による脱毛前はボブカットだったことが明らかになっているが、今世ではアイとお揃いのロングヘアにしている。


関連タグ編集

推しの子 B小町

星野アイ 星野アクア 有馬かな MEMちょ

アクルビ 目が星


作中の動向編集

※この先、単行本8巻以降のネタバレを含む為、閲覧注意!※
























































































































第一幕「アイドルを夢見た少女」

かつて推していたアイの娘に転生し、幸せの絶頂にいたのも束の間。

母・アイは20歳の誕生日に、突如現れたストーカーの凶刃に倒れ帰らぬ人になってしまう。

ルビーはとは異なり、復讐に生きることはせず、純粋に母の夢を追いかけるようになる。

紆余曲折(実際はルビーをアイドルにさせたくないアクアが裏で妨害工作をしていた)あったが、アイも所属していた苺プロ所属のアイドルとしてスタートを切ったルビーは、一度は解散したB小町を再編すべく、邁進する。

結果として(どちらも兄を介してではあるが、)当時フリーであった有馬かな、アイドルの夢を諦めきれないMEMちょという2人のメンバーを獲得することに成功する。

また、当初のシナリオでの扱いとして、前世の経験や経歴が絡む「転生者」としてフォーカスが当たるエピソードはルビーが中核となって進む事が多く、アクアが父親探しを中心とした「復讐者」としてシナリオを進める点との対比が見て取れる。




第二幕「復讐への誘い」

ルビーがの様にはならず、前向きにアイドルへの道を目指せたのは、ひとえに『生まれる直前に失踪した前世の想い人が、いつかアイドルとして大成した自分の前に現れてくれる』という希望があってものだった(生まれ変わって姿は変わっても彼ならきっと分かってくれる、という信頼もあった)。

そして某日。B小町のMV撮影のため、前世を過ごした高千穂に訪れる。

その夜。あかねと行動を共にしていると、一羽の烏がルビーのルームキーを奪い、飛び去ってしまう。怒ったルビーは烏を追いかける。


まるでその烏に誘われるように。


烏が向かった先は古びた祠であった。

その奥で、彼女が目にしたのは……










一体の、眼鏡をかけ、白衣を着た白骨死体であった。






その白骨死体の特徴は、あまりに前世の想い人に酷似していた。

ルビーは最初、人違いだと現実逃避を試みるも、白骨死体の懐から「アイ無限恒久永遠推し!!!」という文字と、デフォルメされたアイが描かれたキーホルダーが見える。

そして前世の自分が、今際の際に雨宮吾郎へ形見として渡したものもこのキーホルダーであった……。






そう、この白骨死体こそ、自身が生まれる直前アイのストーカーに襲われ、命を落とし、隠匿された雨宮吾郎の変わり果てた姿だった。











自身が敬愛するせんせがもうこの世にいない。アイドルを続ける糧でもあった存在がこの世にいない。

その事実は、彼女を不幸のどん底に追いやるには十分だった。件のキーホルダーを握りしめ、感傷に浸っていると、謎の少女が「いーけないんだー、いけないんだー」と声を掛ける。そして、「それ、遺体から抜き取ったやつでしょ? いけないんだよそういうことしちゃ」と、ルビーを指差し、煽るように話し続ける。

しかし、その発言はルビーの怒りを買い、「あなたみたいな子供に分かるわけない」「ほおっておいて」「今私…凄く機嫌が悪いから」と、謎の少女から離れようとする。

すると、謎の少女はこう続けた。


「こわーい。でもいいの? あたし、お姉ちゃんの知りたいこと、何でも知ってるよ?


追い打ちをかけるように、「雨宮吾郎が失踪したのはとある有名アイドルが秘密裏に子供を産んだ日」「雨宮吾郎の失踪時に不審な二人組の男が目撃されていた」「一人は当時大学生ぐらいの男、もう一人は当時中学生くらいの男」「片方は星野アイ殺害犯となったストーカー本来であれば雨宮吾郎とその転生体であるアクア以外知り得ない(それどころか、当時中学生くらいの男に至っては、襲撃を企てた当事者以外誰も知り得ないはずの情報を語り始める。それに対しルビーが「もう一人は?」と尋ねると、「さぁ……? それを捜すのが貴女の役目なんじゃない?」と告げられる。

そして、気落ちしつつも、撮影を進める。

その撮影の際、遂に彼女は覚醒する。







「ママは20歳っていう若さで未来を奪われて……」


「せんせは殺されて、あんな暗い場所で16年も一人で……」


「私の大事な人を二人も奪って」


「今でものうのうと生きている――」


「許せない」


「どんな手を使っても必ず見つけ出す」


「見つけ出して」


「絶対に」


「絶対に殺してやる」



Ruby


ルビーの両目にドス黒い復讐の星が灯った瞬間である――。


そして、これをきっかけに彼女は、自らにとって大切な二人の命を奪った存在を復讐する野心も心の支えとするようになる。

第三幕「嘘は武器」

これ以降、彼女は母への憧れや尊敬に比重を置いた「綺麗でまっすぐ(=明るく天真爛漫)なアイドルを目指す」ことを捨て、売れるためには手段を選ばず、かつては嫌っていた嘘を織り交ぜ、人間関係を破壊すること(ファンからも「計算と病みを感じる」と指摘された)を厭わない程の冷酷かつ腹黒な性格へと変貌してしまう。そして、それは皮肉にも生前のアイとベクトルこそ異なるものの、嘘を武器とした戦い方としては共通であり、「顔はダントツだがいかにも教科書通り」、「誰かの真似をしてるみたい」と評された彼女がよりアイドルとして売れる切っ掛けとなった。


無題


そして、その足掛かりとなるのが、あるテレビ番組のレポーターである。

経緯は以下の通り。


①取材体制の問題がある番組に企画を売り込む。この際、ADと仲良くなる。

②コスプレイヤーの取材にてリーク癖のある人物を紹介し、番組を炎上させる。

③コスプレイヤーの業態改善のお膳立てをする。

④Dに直接売り込む。


ただし本来、打算や計画で動けるほどルビーは賢くない。というか、一応(元)医学部卒でもあるアクアと比べ、世間に疎いアホの子である。

では、そのルビーに入れ知恵した人物とは誰か。答えは――







苺プロを出奔した斉藤壱護前社長である。






壱護にも「バカで失礼で図太いのがキャラクター」とまで言われている(これに関してはアイも大概ではあった)が、先述の通り、その壱護のアドバイスを元に自力で考え※、後に番組のレポーターにまで半ば独力で出世するなど機転の利くタイプであり、地頭はむしろ良い部類と思われる(第一章でも、(元)12歳の少女にしては語彙力が豊富と見受けられる場面があり、実際に幼稚園教諭もギフテッドと評価していた)。

※元々壱護のアドバイスは

『出演する番組の中で1回数秒のアピールチャンスを逃さない為に、周囲がすぐに把握出来るキャラクターを作れ』

『ADは将来のDだから企画に使ってもらえるように好感度を稼いでおけ』

等の真っ当且つ少々まどろっこしいものだけである。

上記のマッチポンプ染みた炎上事件からのDへの売り込みはルビーが自力で考えたものであり、これについてはアクアの想定すら超えていた。




第四幕「許されざる者」

しかし、そんな彼女にも良心は残っており、スキャンダル編においてかながでっちあげのスキャンダル記事を掲載されそうになった折、アクアが「たとえ痛みを伴うとしても、お前にとって苦しい選択だとしても、有馬を救う手段があるなら、お前は有馬を救いたいと思うか」と問われた際には臆することなく「当然でしょ? 仲間なんだから」と言い切っている。


しかし、アクアのとった手段とは、バーター記事として「アイと自分たち双子の関係を世間に公表すること」だった。

これを知ったルビーはアクアの肩を掴み、事の次第を問い詰める。


「人の墓を暴くような真似をして!ママの名誉を傷つけた!」


(アクアはアクアなりに考えがあってのことだが、)「きっとアイなら『あちゃー遂にバレちゃったね』って笑うだろうよ」「アイはもう死んだ」「この情報は、今生きてる人間の為に使うべきだ」と、あたかもアイを軽視するようなアクアの発言にルビーは憤慨。決別を宣言する。


「嘘吐き嘘吐き嘘吐き みーんな嘘吐き 私はもうアクアのことを家族だなんて思わないから」


そして、この出来事をきっかけに、人間不信に陥ると同時に上記のセリフをアクアに吐き、完全に復讐のみを生きる支えとなってしまう…














※これより先、原作122話以降のネタバレにつき閲覧注意!※
















第五幕「めぐり合わせ」

時は進み、内々で映画「15年の嘘」のオーディションをする不知火フリル、あかね、そしてルビー。

前世は「親に理解のある都合のいい娘」として生活してきたためか演技力に関しては幼少期の頃から才能があり(その描写は第1巻の時点である)、演技の天才ことあかねにも「細かい粗は無限にあるがちゃんと稽古すれば全然いける」と評価されていた(もっとも、あくまでも「アイドル」として生きることを選んだ彼女の「演技力」がクローズアップされる機会は少なかったのだが)。

原作122話にて、ルビーは、最愛のアイやゴローとは死別し、実の母(天童寺まりな)からも愛されていないことを知り、過酷なスケジュールもあって心が壊れてしまい、それでもなお『復讐のためにアイドルをやる』と自分を見失ったところを、関係を完全に切ったはずのアクアが「星野アクアとして」ではなく、「ゴローとしての頼み」を『さりな』に語りかけた事で、ついにお互いの前世を認識。アクアとルビーの関係は修復された……かに見えたが?


「信じるからねお兄ちゃん」

「あの日貴方が推してた子はママよりもっと輝けるって」


「あと」

「あの言葉忘れてないからね」

「16歳になったら結婚してくれるって言ったよね?」

「せんせ?私もう16歳になったよ?」


第六幕「アドリブ」

舞台、脚本、役者……その全てが集結し、遂に始動した映画「15年の嘘」の撮影。その主役――星野アイを演じるのは、実娘たるルビー。しかしルビーは母の心情を理解することができず、スランプに陥ってしまう。

その最中、ニノ演じるかなに(アイの心情を理解させるためという狙いもあったが、不退転の決意により)予てから抱いていた本音(嫉妬の感情)をぶつけられる。そしてターニングポイントとなる「アイとニノの訣別」のシーンで、撮影を止めようとした瞬間、五反田がそれに待ったをかける。すると、ルビーは手に持ってる瓶をドアに投げつけるという台本には無い演技を披露し始めた。


「嫌い 皆嫌い 私なんか悪い事した?」


それは偶像仕立て上げられた等身大の少女の悲鳴であり、その代弁者による義憤であった。


カットが入った後、当然ながら周囲からは「完璧なアイドルとしてのアイのキャラが崩れる」「今後の展開へとどう繋げるのか」との声が上がったが、五反田は「尺換算15秒のアドリブに込められていたのはアイの悲痛の悲鳴とその娘の突き刺すような怒りだった」と評価した上で「むしろアイの強さの理由が分かるシーンになった」と一蹴した。

ただし、鏑木にルビーの演技の感想を聞かれた壱護は、「まだまだですよ。アイが胸に秘めてた孤独は多分もっと……」と零し、鏑木も同調しているように、ベクトルこそ同じ方角を向いたがその本質を見抜くには至っていない。


「どうだったかな 私の芝居」

「(前略)素の感情っぽい、本物の感情って感じした」


撮影を終えた後、ルビーとかなが対峙する。ルビーは「本当に怒ってたから」と吐露し、「人間の心理の奥底がよく分かった」と話す。

そして、ママの気持ちが少しわかったという。


「友達にひどい態度取られたら悲しくて、理解してほしいからムカつくんだよ」


それは、丁度今のかなとルビーの関係性であった。

役作りとは言え、かなの本音の部分を見たルビー。

その時、ルビーはママみたいなアイドルになろうと頑張ってきたが自分とママは違うことに気づく。

そして、友達とずっと仲良しでいたいことと自分の気持ちに素直でいたいと吐露する。

「私は私のままスターになる。(中略)私はママみたいに友達を諦めたりしない」と宣言。母を尊敬し、その背中を追ってアイドルになったルビーの出した結論は、皮肉にも『アイドルとしてのとの決別』であった。


「B小町辞めようと 先輩が私をうざがろうと しつこくつきまとうから 覚悟してね」


かなはその姿を見て、元の関係性には戻れないという懸念が取り越し苦労だったと分かり、安堵した。


第七幕「アヴァンチュール」

「15年の嘘」の撮影は順調に進み、アクア演じるカミキと、ルビー演じるアイのキスシーンが間近に迫る。兄妹間でのキスは抵抗があると述べるアクアに、ルビーは「私を天童寺さりなとして見たら? 雨宮吾郎として私を見たら?」と投げかける。加えて、


「想像して。奇跡的に病気が快方に向かった天童寺さりなの姿を。(中略)18歳の誕生日。大好きな先生に何年も我慢してた言葉をやっと言うの。そういう女の子が目の前に立ってる。そういう感じで考えた…なら、キスできる?」


と語るルビーに、「さあな」と躱すアクア。それに対し、「練習しとく? 今からキスシーンの練習。せんせーはいや?」と迫るルビーだが……。


「やだー!寝ないー!呼んで!!さりなちゃんって呼んで!!」

「呼んでくれるまで寝ないから!」


「せんせ!せんせ!結婚して!」


「そうだよ?私せんせーの全肯定オタクなので」


「わたしもせんせーが好き 勝手に全部抱え込んで弱いくせに強がって いつもちゃんと傷ついて しっかり苦しんで でも それでも前に進もうとする貴方の全てが大好き せんせーの苦しみも弱さも優しさもせんせーの全てを肯定してあげるでもこれだけは忘れないでね 私はせんせーの全肯定オタクであると同時にせんせーのガチ恋オタクだから」


そういってルビーはアクアにキスをした。


そして翌日の本番の撮影でOKをもらい、「15年の嘘」の撮影は佳境へと突入していくのだった。


その後、撮影はアイの妊娠〜出産までの経緯(いわば物語の序盤をドラマ再現するシーン)に入ったが、前世の最愛の人とも言えるゴロー役を演じる俳優がよりにもよって大根演技の黒歴史を持つ鳴嶋メルトであるため、かなりの不満を漏らしていた…が、彼なりのキャラ理解・研究は当たらずとも遠からずなばかりか、かつての自分を想い続けてくれているという解釈一致に感銘を受けたこともあり、最終的には認めることとなった。この時、ちゃっかりメルトに対してさん付けと先輩呼びをしている。試写会後には、自分の演技を褒められたこともあり「ししょ〜」と呼んでいた。







そして、会議室にてインタビューを受けるアクアとカミキヒカルの密談を扉越しに聞いていたルビー。真実を知った時、彼女はその罪を赦すことにしたのだ。





第八幕「ライブツアー」

カミキヒカルへの復讐は終わり、ついに始まったライブツアー。

名古屋、宮城、大阪を回り、疲労が溜まる。


「ライブやるだけで大変なのに 地元のテレビにラジオ…お土産買う余裕も無いよ」


最終日にて国立競技場でのクリスマスライブが迫る頃。



奇しくも惨劇は、母と同じライブ当日に起こるのであった。

と思われていたが...



実は、万が一の可能性を考慮して壱護が対策を立てており、ニノが刺したのはルビーに変装したあかねであり、防刃ベストを着用していた。そのため、ニノの目論見は失敗に終わり、ライブは無事に開催された。そしてアイと同じポーズを取り、両目に星状のハイライトが光っていた。

そして、彼女をそのようにけしかけたのはやはりカミキヒカルだったことも明かされた。


終幕「兄の死を乗り越えて」


ライブを終えて数日後、ルビーは壱護やミヤコ、かな達と共にアクアとカミキの死をニュースで知ることとなる

ルビーにとってアクアの死は今世の母であるアイの死、前世での想い人だった吾郎の白骨死体を発見しその死を知った時に匹敵する絶望となり、ルビーは前世と今世の二度に渡り"大切な人"であるアクア=吾郎の死を経験することとなってしまっただけでなく、彼女は天涯孤独の身となってしまった。

その結果、アクアの葬式に出ることすらままならず自室に引きこもることしかできなかった

しかし、彼女の眼に現れたのは吾郎の死を知り闇堕ちした時のような黒い星の輝きではなくその死を乗り越え前に進もうとする白い星の輝きだった。


その後、ルビーは誰よりも泣いた。

何も救われず苦しさも悲しさも抱えたまま時に壁にぶつかり挫けながらもひたすら前へ、前へと進み続けた。悲しみを嘘で隠し、無理矢理笑顔を作り、心の闇をここぞという時に出しながら、使えるものを全部使い、アクアの命を丸ごと背負って。

その我武者羅さが世間にも響いたのか、多くの人々がルビーに注目を向け、ルビーの身に起きた悲劇をドラマと解釈、リアリティに疲れた星野ルビーの物語に世間は夢中になり、誰も目を離せない存在になった。

そして、ルビーは新メンバーを迎え入れ、アイが生前成し得なかった東京ドームでのライブを開催し、大盛況を巻き起こした

悲しくないという嘘を重ね、それが暗闇に生きる誰かに何かを与えていった。

そして、世間はルビーを夜空の星のように暗闇に光を照らすために生まれてきたと解釈した。

東京ドーム公演を終えて暫く経ったある日、ルビーはいつも通り仕事のために身支度をして、家を出る。

その直前、彼女は幼少期のアクアと生前の母・アイが映る写真に声をかける。


嘘に嘘を重ねちゃいけなくて、どんな辛いことがあってもステージの上で楽しそうに笑わなきゃいけないお仕事

だけど、どうしようもないほど楽しいお仕事!

見ててね、二人とも。私は行くから。

ママとお兄ちゃんが照らしてくれた未来を!


行ってきます!


そう言って彼女は星の輝きを放つを双眸を携え、今日も仕事へと向かうのだった。


こうして【推しの子】の物語は幕を閉じた。


幕引きとしてはメリーバッドエンドに近い。

また、アイがルビーに宛てたDVDの中身は、最後まで分からずじまいであった。

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