「ここはプロの現場なんだけど!
遊びに来てるんなら帰りなさい!」
「お願い
私と一緒に良い作品を作って
アンタとなら出来ると思うの」
「アンタの推しの子になってやる」
プロフィール
初登場 | 原作:第1章(6話)/アニメ:第1話 |
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年齢 | (第1章)4歳、(第2章以降)16歳→19歳 |
身長 | 150cm |
イメージカラー | 白(サイリウムの色と同じ) |
CV | 潘めぐみ |
演(ドラマ・映画) | 原菜乃華 |
演(舞台) | 佐竹桃華 |
概要
かつて「10秒で泣ける天才子役」として一世を風靡した女優。子役としてのピークを過ぎてからも細々と役者の仕事は続けていたが、かつてのような勢いはない。
子役時代に出会った星野アクアと星野ルビーの兄妹と高校で再会したことが切っ掛けで、止まりかけていた彼女の芸能人生が再び動き出すことになる。
人物
身長150cmと小柄で、顔立ちも服装も幼い。屋内でも被っていることが多い帽子(主にベレー帽)に切りそろえたストレートボブヘアがトレードマーク。
自尊心が高くマウント癖がある。
感情的で思ったことをすぐ口に出す毒舌家。良く言えば自分の気持ちにまっすぐだが、それゆえ非常識な言動を取ってしまうことも多い。
作中では「悪いのは口ではなく性格」とツッコミを受けるほど。そのため同世代の友人はいないが、幸い作中では同じ事務所の優しい人々に見守られている。
一方で繊細で傷つきやすいところがあり、根はかなり臆病でネガティブである。
心の奥底では、常に周囲から求められることを欲し、「ありのままの有馬かなをこの世界は求めていない」という鬱屈を抱えている。
なお恋愛面ではチョロくて流されやすいタイプ。恋する相手にはすぐに舞い上がってしまう。
趣味・嗜好・その他
一番の趣味は「読書」で、仕事の無いときなどは事務所のソファなどで『よくわかる〇〇〇〇』という雑学書を何冊も読み漁っている。これは芸能界で生きていくために必要なトークネタを集めるためらしい。
YouTubeやTikTokのようなSNS系のエンタメにはあまり関心がなく、おもにエゴサに利用していた。そのため苺プロで腹面筋トレ系YouTuberのぴえヨンや、インフルエンサーのMEMちょと出会うまで、動画配信などは殆ど観たことがなかった。B小町がネットアイドルとしてデビューしたことで、ようやく身近なものになった。
また小中学生の流行などにも疎い。
嫌いな食べ物はピーマンなのだが、子役時代に歌った『ピーマン体操』でむちゃくちゃ我慢して食べた結果、今では見るだけで蕁麻疹が出る程になった。
本人曰く、子役時代に稼いだ貯金が引くほどあり、仕事がなくなったあとの独り暮らしでも生活基盤は安定している。「一流のタレントである為には、身の回りの物も1級品で揃える必要がある」「安い女と思われたら終わり」との考えから出費は吝まない。『B小町ch』でルームツアー動画を撮ることになった時も、始めは「私生活の切り売り始めたら終わり」と反対していたが、ルームツアー動画が良い節税方法になると知った途端に手の平を返すように賛成した。
恋愛に対しては「ずっと恋愛とかは、してはいけない」と考えていたアクアに対して、「恋愛の自由は基本的人権」とアッサリ言ってのけた。
アイドルとしての有馬かな
当初はフリーで活動し、役者一本で続けるつもりだったがアクアのゴリ押しに負け、苺プロと契約し、アイドルに転身することになる。彼女としてはいずれ役者に復帰することが前提のため、気持ちは役者のまま。
彼女を値踏みしたルビー曰く、アイドルとしては「こってりしたオタク」に好かれるタイプとのこと。
B小町の3人の中では最も芸歴が長く、真面目で面倒見の良い常識人(=ツッコミ役)なため、リーダー的存在となっている(アクアからはルビーだけではなくMEMちょのことも頼まれている)。
役者と並行して歌手活動をしていた時期があり、カラオケで97点という高得点を出したこともある。しかしいくら曲を出しても売れなかった経験から、B小町のセンターを務める気は無かった(唯一のヒット曲であるピーマン体操も彼女にとっては黒歴史の一つ)。
結局、残りがヘタウマと音痴しかいなかったため、消去法でセンターを務めることになるが、はじめは不安しかなかった。
B小町のメインであるダンスは未経験だったが、元々役者修行で毎朝欠かさず走り込みを続けていたため、B小町の中では一番小柄ながら、体力や身体能力は他の2人よりも高く、身体作りの知識なども熟知している。さらに飲み込みも早かったので、特訓の結果歌いながらでもミスなく踊れるまでに成長した。
上述のとおりアイドル活動そのものには消極的で、初ライブのおりにも迷走時代のトラウマもあって2人に同じ恥をかかせたくないと自分を追い詰めていたが、ルビーのフォローもあり新人アイドルとしてステージに立つ決意を固める。
客のほとんどが人気配信者であるMEMちょのファンな中、見事なヲタ芸でB小町を応援するアクアをステージから目撃したことで「アクアの推しの子になる」という目標ができた。
女優としての有馬かな
天才子役と呼ばれるのに相応しい実力の持ち主で、あり、演技に対して強い熱意と執着を抱いていた。
役者としてのプライドも高く、演技力よりも話題性やコネなどを優先する現場には不満を感じたり、自分の演技が他よりも劣っていると感じれば、納得するまでリテイクを要求するなど、非常に負けず嫌いでもある。
ただしそのプライドの高さが災いすることも多く、初登場時の彼女はすっかり大御所気取りで、バーターで急遽映画出演が決まったアイとアクアをコネと見下すような問題児だった。その後、旬が過ぎると強すぎた自己主張が仇になって、すぐに仕事を失ってしまった。
その時の経験から「役者に大事なのはコミュ力」「上手い演技≠良い作品作り」と学び、以降は大人たちに使ってもらいやすい演技をするようになる。その結果、芸歴=年齢のキャリアで積み重ねてきた知識と経験を活かした『受けの演技』を得意とする。これは過去に自己顕示の強い演技をし続けて仕事を失った彼女が芸能界で生き残るための戦略であり、周りの演技力や状況に完璧に合わせることができる。
一方で過去のトラウマが原因で自分から前に出ることに酷く臆病になっており、「自分が脇役で終わってもそれで良い作品ができるなら構わない」という考えに陥り、地味でパッとしない演技ばかりになるという悪癖にも繋がってた。
ただし周りの役者達に合わせて演技力を調整する癖は悪いことばかりではなく、大スターである姫川大輝に合わせたときは、ライバルである天才女優・黒川あかねをはじめとした劇団ララライの一流役者たちのやる気に火を点けるほどの圧倒的な演技を披露した。
役作りなどは基本に忠実で、「自分の中にあるものが何か正しく理解すること」「アレが好き、コレが嫌いなどの感情を膨らませたり抑えたりすれば良い」「演技は結局人格が出る」など、演技を楽しむために一番必要な感情や人格を大切にしている。
「役者も一人の作家であるべき」という持論があり、「その場その場をミスなく演じるのではなく、作劇的な盛り上げに加担するべき」と主張している。
以下ネタバレ
巨星の演技
実は天才子役と呼ばれていた頃の彼女は「私は特別に可愛い」という嘘を他人に信じさせる程の説得力(鏑木P曰く『スター性』)を秘めており、何も考えず好き勝手に楽しんでいるだけで、観る人の目を焼く程に眩い太陽のような『巨星の演技』を披露し一世を風靡していた。
アイドル活動の経験やアクアからの背中押しで自信を取り戻した彼女の演技を観た鏑木Pは、彼女のスター性が枯れていなかったことに目を付け、「もし、有馬かなが本物なら…」と意味深な発言を残す。
第137話では映画の撮影で見事な演技を見せると同時に主演のルビーの演技力を引き上げるなど、周囲への影響力も大きいと見込んだ鏑木Pは、彼女を『天才女優』として売り込むべきと壱護に提案した。
瞳について
彼女が自身のスター性を最大限に発揮しているときは、彼女の瞳にも星が映るのだが、アイ達と同じ六芒星ではなく、十字状の星が無数に散らばっているような模様をしている。しかも演技やアイドル活動中以外に嬉しいことがあった時などでも星が浮かぶことがある。
実は漫画家のアビ子先生も感激したときなど、気分が高揚した際に同じ十字状の星が瞳に無数に映っており、作中で『嘘付きの目』と呼ばれるアイ達の瞳と違い、2人とも純粋に何かを楽しんでいる時に輝いているように見受けられる。
過去について
かつて芸能人になることを夢見ていた母は、幼少期のかなが子役として売れ始めたのあやかる形で自らの欲求を満たそうと過度な期待を押し付けた他、芸能界へ押し売りするように現場に口を出すなど暴走を繰り返していた。
その後父親がそんな母に愛想を尽かして不倫するなど家庭が崩壊していき、かなが事務所を退所すると祖父への介護を口実に娘に一人立ちを促し自身はさっさと実家へ引っ込んでしまった。
かな自身は母親の期待に応えるため芸能界にしがみついてきたにもかかわらず、結局利用価値が無いと見るや切り捨てられたこと、子供時代を無碍にされたことなどは、彼女の人格形成に大きな影響を与え、また周囲の人々から高慢で身勝手な性格を矯正される機会を得ないまま、天才子役としての有馬かなは年齢とともに終わりを迎えた。
人間関係
子役時代に共演し、天狗になっていた自身に挫折を与えた存在。彼との出会いは非常に印象的だったようで、高校で再会したときは、彼が芸能界に残っていたことを非常に喜んでいた。
自身と同じく前も後ろも真っ暗な芸能界で、必死に努力してもがいていた彼にシンパシーを感じていたが、アクアとの2度目の共演で、彼のアシストが自身の演技力や作品の本来の魅力を引き出し、良い作品が出来たことで心境が大きく変化する。
基本的に趣味が合い、精神年齢も近いおかげで話が弾むなど、お互い気を遣わずに触れ合える仲である。しかし彼の口数が少なく感情が表に出ない性格と、彼女の人の気持ちに疎い察しの悪さが原因ですれ違いを起こすことも少なくない。
アクアに苺プロのアイドルグループ(=新生B小町)にスカウトされたときは、初めは嫌々だったが、次第に「アクアの推しの子になるため」とアイドル活動に前向きになった。
アクアのためにアイドルになった彼女だったが、人気の出た彼女がアイの二の舞いになることを恐れたアクアが何も言わずに距離を置いてしまったりなど、アイドルであることが彼とのすれ違いの原因となったこともある。
ちなみにかながよく読んでいる『よくわかる〇〇』シリーズの雑学書はアクアも読んでいるシーンがある。
アクアの妹で芸能科の後輩。初対面でいきなり有馬に対して暴言を吐き、再会した時も態度が悪かったため、初めは彼女のことを快く思っていなかった。しかしお互い口が悪く上品とは言えないなど、似たもの同士のため息はぴったりだった。夢見がちな彼女に対して、現実的なかながツッコミをいれることが多い。
何だかんだ言いながらも、素人なのに大きな才能を見せる彼女に対して、芸能界の先輩としてアドバイスしながら面倒を見ているうちに、打ち解けていった。打ち解けた後はお互い強く信頼し合うなど、姉妹の様な仲になっている。
同じB小町のメンバー。お互い年齢の事で苦い思いをしたり、早熟のかなと精神年齢が近いということもあり、出会った初日から意気投合、B小町のメンバーとして快く受け容れる。
2人で少し抜けているルビーの面倒を見たり、チャラ男から守ったりするなど、共にアクアやミヤコの代わりにルビーの姉役を担うことが多い。また、かな自身も暗く落ち込んでいるときなどは、彼女に慰めてもらうなどかなにとっても姉のような存在である。
同業者にして『今ガチ』でアクアと共演した女優。
元天才子役と言われたかなから見ても、彼女は「天才」であり、その存在を目の上のたんこぶと言うほど強く意識している。
仕事上とはいえ、あかねがアクアと付き合って関係を持ち始めたことが、かなとアクアとの仲に悪影響を及ぼしたこともある。
あかねも子役時代に知名度に勝るかなに仕事を独占された経験から思うところがあるようで、役者としてかなり意識している。商売敵にして恋敵。
一方で、かなはあかねが役者を志すきっかけとなった存在でもあるなど、きわめて複雑な関係。
子役時代に1度だけ共演したアイドル。当初はコネで役をもらったと見下していたが、共演後その認識を改め、売れるべくして売れた「本物」と振り返っている。実際に共演したホラー映画ではアイが主役を食う名演技を披露し、ブレイクする大きなきっかけとなった。
ちなみに情報誌『ダ・ヴィンチ』の2024年1月号に掲載されたアイのインタビューで、やる気に火が点いたのは有馬の演技に対する真剣さを目にしたことが理由と述べており(同時に有馬から「もうちょっと真面目にやってください!」と叱られたことも明かしている)、当時の有馬かなが幼いながらも、天才アイドルのアイに影響を与えるほどの少女だったことが明らかになっている。
偶然にも両者共に「母親に捨てられて人格に歪みが生じた」という共通点を持っている。
モデル?
有馬かなのキャラクター像のモデルとなった人物の一人として、かつてジュニアモデル・子役として活動し、現在は女優・声優・タレントとして活動する春名風花が挙げられている。
実際に、春名氏は当作品に取材協力として一部参加している。
余談
劇中で「10秒で泣ける子役」を「重曹を舐める子役」と言い間違えられたシーンをきっかけにファンからの愛称が重曹ちゃんとなり、作者も認知した結果作中でも使われるように。ついには公式愛称としても使われるようになった。
アニメ化決定後はエイプリルフール企画で『重曹のイメージガールに決定!』と弄られたり、重曹のコラボ商品を本当に発売したり、アニオリで『実際に重曹を舐めている場面のイメージ映像』が作成されたりと公式のキャラ弄りがより深刻化している。
作者からの言及
「4巻で【推しの子】のタイトル回収と取れるあの発言などメインヒロイン感が凄いですよね。がありますが、意識して書かれているのでしょうか?」と質問した取材者に対して
- 作画の横槍メンゴ先生は
- 「『【推しの子】』の3人のヒロイン、「星野ルビー」「有馬かな」「黒川あかね」の3人の中でも一番アカ先生の“真ん中に存在する女性”が有馬かなちゃんですね(笑)。」と答えている。
- それに対して原作の赤坂アカ先生は
- 「(笑)。決して贔屓しているとかではなく、『かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜』で培ったすべてを生かすことができる“表現しやすい”キャラクターなんですよね。有馬かなは全力で外さないキャラクターにしたかったし、物語的にも暗い雰囲気を明るくすることができる人物も必要だった。だから「そうだ! かぐやキャラを呼んでくるか!」って。」と回答。
この答えに取材者は
「なるほど。確かにアクアが昔のアクアに戻れる相手としての描写などまさに「光」としての一面ですよね。」と納得。
※原作6巻時点 詳細ページ
また、インタビューでは特に作者と対面機会のある公式関係者陣営から非常に人気の高いキャラクターであることがうかがえる。
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アクアとの関係とその顛末(ネタバレ注意)
星野アクアとの関係は物語が進むにつれ進んで行き、かなはアクアに対する想いを募らせて行き、アクアもまた「有馬の気持ちに応えるのも良いかもしれない」と受け身な形ではあるが意識される存在になっていた。
しかし、物語最終盤にて描かれたB小町のあるライブの日、かなは歌いながらも白いサイリウムを持つアクアの姿を探し続けたが、ライブ終了後でも見つける事は出来ず────────数ヶ月後、アクアが死亡したという事実をニュースで知ることとなる。
B小町のライブの裏でアクアは実父のカミキヒカルと対峙し、自らを道連れにする形で殺害していた。
その後、家族の他あかねやMEMちょ、姫川やメルト等生前のアクアの知人や共演者を集めて執り行われた葬儀にも参列したが、献花の際に棺の中のアクアの遺体を思い切り引っ叩いた。
アクアの育ての親であるミヤコから平手打ちで諌められたが、それでも想いは止まらない。
「まだ言ってないのに!!」
「アンタにちゃんと好きってだって!」
「生き返りなさいよ!!」
「いますぐに!!」
「おねがいだからああ!!」
「生き返ってよぉ!!」
「アクアぁ!!」
「やだああぁぁ あああぁ!!」
献花が飛び散るのもかまわず棺に縋りつきアクアへ想いを叫び続けた。
募り続けた恋心はこうして悲痛な結末を迎える事となった。
その後はルビーやMEMちょ達と共に立ち上がり、再び役者として歩み始めたようである。
余談
- 6話のインタビューシーンでは「天才だってナイフで刺されればお陀仏」、146話では死をほのめかすアクアに発破をかけるように「あんたなんか死んでも悲しくない」「死体にビンタして口汚く罵ってあっという間に忘れてやる」と口にしていた。当然ながらアクアが本当に死ぬとは微塵も思っていたかったからこその発言だったが、皮肉にも現実のものとなってしまった。因みに当初は上記のインタビューとアクアの発言から(結果として生前のものになってしまったが)「黒川あかねの死」を予想していた読者も居た。
- 葬儀に参列したかなはトークハットを被っていたが、親族以外が被るのはマナー違反とされる。他にも目に異常があるわけではない斎藤壱護やGOAがサングラスをかけたり長髪の女性が髪を纏めていないなど、葬儀にふさわしいとは言えない装いが目立った。
- 取り乱していたとはいえ葬儀を荒らす行為は倫理的にも法律的にも問題行動であり、読者の賛否両論を呼んだ。
- 最終回のコマでかなが演技中に体調を崩す描写があり、生前のアクアと同様PTSDを発症しているのでは?との指摘があり、あかねと同様アクアの死はかなに深い傷を残したと言え、将来を案じる読者も居る。