俺の名前は黒澤航太郎。跡目のために獅子王組を割ったケジメを付けようとする野望の男だ。
公式サイトでの解説
黒澤派のトップを務める武闘派構成員。
昔、金が無くなったことにより可愛がっていた後輩が道を踏み外したことから、金がなければ仁義を貫くことなどできないと考えている。
シノギの能力が非常に高く、対立する眉済のことを「理想主義者」と敵視している。
眉済派のヤサ一人で乗り込み、勝ち目はないとわかっていながらも眉済と斬り合う。最期は獅子王組の将来を託し人生を終えた。
概要
「阿蒜……俺の下につけ」
「暴力こそが極道の真髄。俺たちが強いからこそシマで喧嘩がなくなって安定を生むんだよ」
河内組(のち獅子王組)に所属する武闘派極道で、次期組長の候補者の一人だった男。
組のならず者達をまとめ上げて多数派勢力を作り上げ組でナンバー3である本部長の座を手にしているがそれだけでは飽き足らず、元々の組長が引退、次期組長になるはずだったカシラの小御門が敵対勢力のうちの1人の独断で殺害されトップの椅子が空席になったことで組長の椅子を狙っていた。
人物
容姿
金色に染めた髪と、少し皺が刻まれた強面の顔が特徴。右頬から右目、額にかけて痣のような跡があるが、回想シーンでは認められない。
服装は黄色の縦縞をしたスーツを着込み、金色のストールを掛けている。背中には竜の刺青が入っている。武闘派ということもあり立派な筋肉を持っている。
性格
力と権力に固執する場面を多々見せており、冒頭の座右の銘からも明らか。極めて凶暴ではあるがシマのことを疎かにしている訳では無いようで好戦的な指針は組やシマを守るためのもの。それ故に自分より地位が上の人間には一才逆らうことをせず、ナンバー2の小御門が次期組長になることに対して反対はしなかった。
組の方針としてはとにかくカチコミをするスタンスを掲げており何かしらのトラブルがあった場合は犯人どころか犯人が所属してる組織単位で連帯責任を取らせて抹殺する凶暴性を持つ。伊武隼人曰く「あちこちで怨みを買ってて羨ましくない」らしい。また仁義外れのシノギにも手を出していたらしい。
その一方で自分より1つでも位が下の相手は自分に従うべきと思っているようで、それが原因で敵対派閥が生まれてしまう。なお、宿敵で田頭組時代から対立している天羽組との関係はあまり良くない。
同期の眉済俊之や彼と仲が良い京極組の6代目組長の五十嵐幸光ともかなり不仲。そのため五十嵐曰く、黒澤が組長になると同時に、京極組と敵対することは確定であるらしい。
ちなみに侵略を好むため、これを抑えるべく京極組から久我虎徹と犬飼鷹四郎が眉済派に一時期出向していた。
その一方で
眉済派からは「汚い拝金主義」「仁義を忘れた外道」と呼ばれているが、決して私利私欲に塗れた外道などでなく、かつては彼も理想に燃えて仁義と任侠を重んじていた。だが過去に起きた貧しさによる悲劇が原因で、金が無ければ人間は獣になり仁義を守り通す事などできないと痛感し、理想を捨てて手段を選ばない結果至上主義で金を稼ぐ徹底した現実主義者になってしまう。任侠を重んじ汚いシノギを絶対に認めない眉済を綺麗ごとしか言わない無能な理想主義者と断じ、いざという時に手を汚せる者が上に立つべきであるという信念を持っており、まさに「衣食足りて礼節を知る」「トップは組員を食わせてやってナンボ」という考えを持つ。それ故に、身内の黒澤派に対しては仲間想いである。
能力
彼の優れた能力は層が厚く実力が高い有力派閥を纏めあげる戦闘集団のトップとしての手腕にあり、組長が病気で退出に追い込まれた後の河内組でナンバー3である本部長の地位を得るまでに至った(天羽組で言えばツルハシの喜多川に相当か)。
また彼は年老いてはいても武闘派極道らしく高い戦闘力を誇り、敵の言い訳は一才聞かない非情さも持ち合わせる。必要とあれば利害一致している人物とも協力関係を結び戦力を拡充していく手腕と度量も備えている。
敵味方問わず組員のことを正確に把握する観察力を持ち合わせ来栖三成を格上だが身内を殺さない柳楽和光にぶつけてあえて敗北を体験させて成長するという作戦も披露した。
過去
- 2023年2月15日の動画(阿蒜寛太→黒澤航太郎)
「仁義が大事なんざ……言われなくても分かってるわボケが……」
阿蒜とのダブルナレーションを担い、動画後半で主役として登場。
15年以上前、元々黒澤は貧乏時代の河内組のいちヤクザであった。描写されなかったが、時期的に恐らく暴対法は施行されていたと思われる。かつての黒澤は義理人情を重んじる極道で、そんな彼を慕って付いてくる青木と木村という2人の舎弟もおり、任侠に生きていればいつかは報われると愚直に信じていた。専属舎弟達とは仲良くやっていたが、外道なシノギには一切手を染めず真っ当なシノギをしていたものの生憎と商売は軌道に乗らず、そのせいで彼等はしきりに空腹を訴える程のド貧乏で交通費すら組にないという事態に陥っていた。そんな中2人の舎弟はあまりの貧しさからついに麻薬販売という禁忌を犯してしまう。舎弟達は黒澤にバイトで忙しいという理由で麻薬を捌いていたが数ヶ月後に黒澤に発見されてしまう。更に2人は薬物中毒にもなっており、極道のケジメとして組の掟を破った裏切り者を始末しなくてはならない黒澤は「腹が減っていた」「ひもじいのが嫌だった」と泣いて命乞いをする2人を射殺した。
「いい車に乗りたい……いい時計を付けたい……いい女を抱きたい……それでヤクの売人になったなら死んでも当然だ」
「だがよ……腹が減ったが理由じゃ辛えじゃねえか。ひもじい人間が選んじまった事をそんなに責められねえじゃねえかぁ!」
彼らを飢えさせた原因は兄貴分である自分に甲斐性が無かったからではないのか、もし自分がもっと金を稼いでさえいれば彼らは死なずに済んだのではないか。金が無く、腹を満たせなかったことで歪んだ2人を想いながら涙を流した。ここから黒澤は「金が無ければ人間性が歪む」という結論に至りまずは組の土台である金稼ぎに心血を注ぐようになる。組長からもその功績を高く評価され、自分の派閥ができるまでに出世した。そしてこの内部抗争では絶対に折れないという強い決意を見せた。あくまでも獅子王組内部での抗争の為、組織全体の弱体化を防ぐため狙いは眉済俊之・龍本雅幸・柳楽和光・伊武隼人達ベテラン~中堅レベルの眉済派の主力数名にして、阿蒜寛太や井上月麦などの比較的若い人間は戦闘不能程度で済ませようと考えていたり、義理人情を重んじる眉済の思想を理解しながらも上述の経歴を持つが故に心理的葛藤を抱いていることが明かされた。
ちなみに青木と木村との微笑ましい写真が今でも残っており、死んでいった舎弟の想いや命を背負っている以上、彼は信念を曲げないと決意している。
「知ってるか来栖…スラムではパン一個のために人を撃ち殺すんだ」
「勝つのは俺だ…綺麗事じゃ腹は膨れねえんだよ眉済」
活躍
ここで初めて河内組の黒澤と眉済の存在が明かされ、同時に両派閥で壮絶な跡目争いをしていることが発覚した。また龍本、伊武、阿蒜は眉済派であることが確定した。ちなみに半田民生もこの頃は眉済派だった。
- 2022年8月20日の動画(阿蒜寛太)
初登場。この回では存在が言及され、彼の派閥と敵の派閥で争いとなっていることが判明した。新入りの阿蒜に自分の下につくように求め、「答えを間違えたら死ぬかもしれないから、よく考えろ」と忠告。
「二択で間違えて死ぬ、そんな奴がいたら嫌だよなぁ。餓鬼……親には会っとけよ」
- 2022年9月14日の動画(阿蒜寛太)
上述の通り、元々河内組はカシラである小御門がアルツハイマーを患った組長から座を受け継ぐはずで、彼もそれを認めていた。しかし彼が突然敵組織の刺客に討たれると、次期組長の座を狙っていたこともあって彼は復讐に燃え、味方する者を集めて(自分も含めて)敵のアジトに乗り込んだ。側近である鮎川鉄次の活躍で敵を一掃するが、ここで彼らは実行犯の佐村を取り逃すという大失態を犯してしまう(組長の鎌田は彼が直々に排除した)。さらに数日後に佐村が敵対派閥の者に討たれた時、あまりにもタイミングが良すぎたためにマッチポンプを疑い内部抗争が始まってしまう。
「眉済ぃ、テメエはそれでも極道か!? 腰抜けは家で昆布茶でも飲んどけ」
「アホかテメエは。次期トップを取られたんだ。組員全員殺すのが当たり前だろうが!」
「緩いんだよ、そんな弱腰で……」
- 2022年10月2日の動画(阿蒜寛太)
幹部会に急に呼び出されたことで遅刻してしまい眉済の怒りを買う。会議は売り言葉に買い言葉が続いて全く議論にならず、ついには激怒した組長の妻によって本部から追い払われてしまう。彼はそれ以上のことを言わず、素直に引き下がったが緊迫状態が続いている。
「とんでもねえ濡れ衣だ。テメエみたいに人間を斜めから見る奴は人の上に立つ器じゃねえ」
「これじゃあ埒が明かねえな。俺はお前が次期組長など死んでも認めねえ」
「いいでしょう姐さん、一旦出ます。ただ勝負が決まったら戻ってきますからね」
- 2023年1月6日の動画(阿蒜寛太)
犬猿の仲である五十嵐が彼と仲が良い眉済が提携関係になる事を阻止するため、なんと羅威刃生き残り幹部の秋元詩郎に協力を取り付けた。やはり秋元の加勢は凄まじいもので龍本すら圧倒して見せた。また、いずれは秋元の上司でもある羅威刃の3代目ボス東雲竜政を抱き込もうとしている腹積もりである。
- 2023年1月23日の動画(阿蒜寛太)
井上が戻ってきたことが黒澤派に伝わり、犬亥鳳太郎から殺す手筈を整えると伝えられたが、跡目争い抗争に対しては中立のポジションを取ると思い、様子見をすることを決めていた。……しかし黒澤にとってまさかの大誤算であった。
「井上の奴が戻ってきたらしい」
(犬亥「はい。聞いてます」)
「井上は敵に回れば厄介な男だ」
(犬亥「はい。ご要望があれば奴を殺す手筈を整えます」)
「いや奴は身内を何より大切にする男だ。抗争に対しては恐らく中立のポジションを取るだろう」
(犬亥「つまり触らぬ神に祟りなしと?」)
「そうだ。機を見る必要がある。味方に着けるも始末するもなぁ」
半グレの裏切り…派閥トップの覚悟
- 6月2日の動画(黒澤航太郎)
次々と東雲の元に半グレが吸収合併される事態を皮切りに協力をとりつけた半グレが不審な動きを取り続ける中、井上から忠告されていた来栖から半グレを頼りにするのは危険過ぎると警告されるが行く所まで行ってしまった戦争に確実に勝つために戒炎のトップ我妻京也と会合することになる。しかしここで我妻は花宝町の利権の半分を要求してくることになり決裂。さらに東雲からは提携解消を伝えられる。本来なら任侠者同士の意地の張り合いであるはずの内部抗争に仁義外れの輩を招き入れたのは誤算だったと気付くも全ては後の祭りであり、これで戒炎・羅威刃こそが自分たちの真の敵であると決心が着いた黒澤は橘花らが探しあてた眉済派のヤサに袴とサラシと太刀を装備して単独のカチコミを決行。驚く来栖と橘花には、万が一があったらシマから半グレを全て追い出すように指示し…
悲しき一騎討ち…獅子王組内部抗争 最後の戦い
- 6月3日の動画(黒澤航太郎⇒阿蒜寛太)
眉済派のヤサに単独で向かった黒澤はまず阿蒜ら門番と出会した。黒澤が単身で現れたことに狼狽したが、それを喝でねじ伏せ、中に入ってしまう。
庭から現れたのは眉済派の武闘派、柳楽和光と井上月麦であった。圧倒的有利を捨てた黒澤の態度に井上が混乱する一方で、怒りに燃える柳楽は臨戦状態に入る。
しかし、それを制すように大将の眉済が現れる。眉済は1対1で決着をつけるという意向に従い、長ドスを引き抜き黒澤と向き合う。
覚悟を決めた黒澤は凄まじい気迫で眉済を襲うが、眉済の凄まじい剣術の前に一方的に斬られ続ける。それもそのはず、若い時の眉済はその腕一本で時代を作った猛者として知られ、黒澤は道場の稽古でも眉済に勝つことがなかった。戦闘中、黒澤は自分のもっていた信念について疑問を抱くようになり、眉済の最後の斬撃を防ぐことなく致命傷を受けてしまった。
倒れ伏した黒澤は、眉済に任侠に固執して金を軽く見るなと忠告。後に獅子王組の組長を襲名することになる眉済を羨ましく思いながら見上げ、組の後を託して穏やかにその命を散らした。
「負けねえ!お前は知らねえんだ!金がない地獄を!信じていた舎弟に裏切られる絶望を!」
「眉済… あとは任せたぞ… 獅子王組をダメにしたら…地獄から出てきてぶん殴ってやる…からな…」
余談
若頭殺害の報復
敵対組織の天羽組でも、カシラだった阿久津敏朗が根岸組の刺客に襲われる事件が発生したことがあった(あちらはいち構成員の独断ではなく組織ぐるみの凶行かつヤクザの重大ルール違反)。この時の天羽組も黒澤同様に報復として根岸組に襲撃をかけ、組長の根岸は野田一によって生きたまま粉砕器に投げ入れられて文字通りに消された(野田曰く「死んでなお踏まれとけ」)。
声優
彼を演じている畑耕平氏は、過去に「須永、野田、和中」の3人が演じていて楽しいキャラクターと公言しているが今では「演じてて一番楽しい」と公言している。そのうえで「みんなも黒澤派だよね?」と質問している。
??? 俺の下につけ……
仁義外れのシノギ
眉済が話していた黒澤が手を出していた仁義外れのシノギとはどの程度のものかは不明だが、恐らく先代から続く「ぼったくりケツ持ち」や「麻薬販売」などと思われる。そのうちの1つに「一方的な借金取り」があることが判明した。紅林シリーズにも河内組の外道シノギに絡んだ話があり紅林二郎と深道真津梨がそれぞれ巻き込まれている。ただし、幹部の陣内が行っていた「麻薬販売」に関しては自身の過去もあって手を出していないと思われる。そして、その陣内は河内組時代に山本の兄貴と小峠華太に殺害された。また、獅子王組に改名以前は、瓜生龍臣に殺された桐野や、野田一に殺された布袋といった外道なシノギを行っていた連中が多く在籍していたのも事実である。
関連項目
必要悪:彼の目指す方針としてはこれに近い。現に彼の部下である犬亥はそれに触れている。
日下孝次郎:敵対組織の一つである京極組の5代目組長。黒澤同様日下も任侠を重んじる極道だったが、暴対法の施行と舎弟を殺される過去を持ち、以来金がなくては飯も食えず構成員も守れないと思い外道に堕ちた者として共通している。ただし彼は仁義を忘れ金稼ぎに走った結果、街に禁忌をばら撒き、天罰覿面かつ無惨な最期を遂げたのに対して黒澤は仁義を貫き通すためには多少汚いシノギにも手を染めることも厭わない、どこか切ない最期を遂げたという違いがある。
銀田栄角:元CODE-ELのトップ。最期まで信念を貫き通す点が一致している。
太田黒:左翼ゲリラのトップ。こちらも最期まで信念を貫き思想信条に殉じた。