概要
元々はゲーム関連用語だったが、現在は「最後に立ちはだかる最強の存在」的な意味合いで、物語にも用いられている。
その歴史は古く、いつ言葉として定義されたか、何をもって最古とするかは定かではないが、例えば1986年に創刊されたファミコン通信(現・ファミ通)の誌上では、同年に発売された『ドラゴンクエスト』の最後の敵・りゅうおうのことをラスボスとは呼んでおらず、少なくとも1985年に始まったファミコンブーム以前にはなかったものと思われる。
「コイツがラスボス」と見せかけて実は真のラスボスが存在するというパターンも数多く存在している(例として『ドラゴンクエストⅡ 悪霊の神々』では表向きのラスボスはハーゴンだが、最後の敵はシドー)。
また、ラスボスがそのゲームの敵で必ずしも最強とは限らない。ストーリーの最後を締めくくる敵である以上、最終的にはプレイヤーに倒されてもらわなければならないため、過度な強化ができないのである。そのため、やりこみ要素としてラスボスを大きく上回る強敵が用意されることがあり、『隠しボス』と呼ばれる。
「ある条件を満たす」、「選んだ主人公」、「分岐ルート」などの条件により、ラスボスが変わるゲームも存在する。例として挙げられるのは『真・女神転生』、『サガフロンティア』、『聖剣伝説3』など。この場合、通常のプレイにおけるラスボスでもエンディングを見ることができ、条件を満たすことで別のラスボスと別のエンディングを見ることができる作品の場合、「表のラスボス」と「裏のラスボス」と呼ばれる場合もある。裏のラスボスと隠しボスとの違いに明確な差は無いが、その後にエンディングがあるか無いかが一種の判断材料になるかもしれない。
なお、シリーズ物におけるゲームシリーズにおいては、「ラスボス達で構成されたチームと戦うボスラッシュ」という物はかなり稀だが、スピンオフ作品では過去のシリーズのラスボスが勢揃いする作品というものも結構存在する場合もあり例として『真・女神転生デビルチルドレン』、『ディシディアファイナルファンタジー』、ドラゴンクエストモンスターズシリーズなどが挙げられる。
スピンオフ作品で登場した場合、敵として戦うだけでなく、プレイヤーが使用可能な作品も存在するが、ストーリーにはそこまで絡まなかったり、性能も他のキャラクターと大きな差が無い程度だったりのファンサービスの一種である場合が多い。
何かのゲームでラスボスだったキャラクターが、同じ会社の出した別作品に通常のキャラクターとして登場することもあり、珍しい場合ではひとりのキャラクターが同シリーズの主人公とラスボスのどちらも経験したことがあるという場合もある(例としてはスーパーロボット大戦におけるシュウ・シラカワなど)。
格闘ゲームにおいては当然ながら基本的にラスボスは使用できないという作品が多い。
しかしプレイヤーキャラクターでありながら最後に戦う相手でもあるというキャラクターは多く、通常は使用できないが家庭用移植版などで限定的に使用可能になっているという場合を除いて、ストーリー上はラスボスではあっても、プレイヤーキャラクターのひとり扱いとしてラスボス扱いされないことも多い(ストリートファイターシリーズにおけるベガや、ギルティギアシリーズのI-NOなど)。しかし、この場合はプレイヤーが使用する際と比べてラスボス用に性能が大きく向上していることが多く、プレイヤー使用時と区別してボスverやボス版等と呼ばれることもある。
コンピューターゲームにおいては1981年にアメリカで発売されたPC向けRPG『Wizardry』(Apple Ⅱ)に、既に現在のラスボスの定義にほぼあてはまると言ってよい「ワードナ」が存在しており、ラスボスと呼べる存在はコンピューターゲーム黎明期から存在していた。
漫画やアニメにおいては明確に定義されているわけではないが、いわゆるスーパーロボットもの(マジンガーZ、ゲッターロボなど)では敵の組織の親玉=ラスボスと実質的に定義されている場合が多い。シリーズ物(カードゲームアニメやホビアニが顕著)の場合、第1期ではラスボスだった人物などが第2期では味方になっていたりすることもある。
リアルロボットなど、敵の大将を倒すことではなく戦争そのものがテーマとなる場合はラスボスの定義が異なる。例えば『機動戦士ガンダム』の場合だとギレン・ザビが敵の総大将に該当するが、一兵士である主人公(アムロ・レイ)との接点がほとんどなく、直接戦う機会が無いため、実質はアムロのライバルであるシャアが搭乗するMSジオングが作品内におけるラスボス扱いになっている(一年戦争を題材にしたアムロとなってガンダムを操縦するようなゲームでは、ラスボスは大抵これである)。一方、『機動戦士ガンダム逆襲のシャア』ではそのシャア・アズナブルが組織の総大将にもなっているので、搭乗するMSのサザビーと合わせ名実ともにラスボスとなるなど、扱いは作品によりまちまちである。
他の作品の場合でも、主人公らが最後に戦った敵がラスボス扱いとなる場合が多い。ただし敵組織の壊滅した後の残党や、ラスボス戦後のオマケイベントとして発生するライバルとの闘い、隠しキャラなどが最後の敵として登場した場合(例:『仮面ライダーW』のエナジー・ドーパントなど)はラスボス扱いにはならないこともある。また、最後の締めくくりとして味方と戦う場合(例:『遊☆戯☆王』の武藤遊戯対闇遊戯など)もラスボス扱いにはならない。
主に型月作品において時折あることだが、主人公(プレイヤー)が最後に戦う相手がそのストーリーの黒幕だと限らない場合もあり、その場合最後に戦う相手を指してラスボスと呼ぶか、それともストーリー内における黒幕を指してラスボスと呼ぶかによってそのストーリーのラスボスが変わるという場合もある。この場合、黒幕と呼べる相手を倒すことで一定の問題を解決したが、最後の後始末だったり、黒幕が残した何らかの要因によって発生した敵であったり、黒幕とは全く関係ない別の敵性存在だったりが最後の相手として立ち塞がるという場合が多い。
『Fate/GrandOrder』第二部の第二章におけるスルトとスカサハ=スカディや、空の境界における荒耶宗蓮、型月作品以外では寄生獣における後藤と浦上等が具体例にあたる。
ネタとしては、ときめきメモリアルシリーズの攻略難易度の高いキャラクターたちや2010年代以降の小林幸子を指す事がある。(後述)
pixivでは主に版権のラスボスキャラクターに付けられることが多いが、題材自体がラスボスではなくとも圧倒的な存在感を放ち、到底勝てる気がしない、まさにラスボスのような雰囲気を放つイラストにもこのタグが付くことがある。
ネタとしてのラスボス
ときめきメモリアルのメインヒロイン《藤崎詩織》に対してラスボスと呼ぶ人も多いが、これは攻略パラメータが高く設定されておりクリア条件が非常に厳しく、また他キャラにはない不動の存在(ある名前でゲームを始めると他の女の子は好感度が高い状態から始まるのに対し詩織だけ好感度が普通の状態で始まる)であり、発売当初からラスボスと呼ばれていた。また、ときメモ対戦ぱずるだまでのラスボスはこの人なので(本人シナリオ除く)、そういう意味でも間違ってはいない。
そして他シリーズでも攻略の難易度が高いキャラをラスボスと呼ぶこともある。
現実世界の「ラスボス」としてはぶっちぎりの知名度を誇る演歌歌手。
元ネタは2ちゃんねるで話題となったある現象から。
紅白歌合戦に出場した小林幸子の衣装が、ファイナルファンタジーシリーズやロマンシングサガシリーズ等のラスボス戦(アルティミシア、サルーイン、ハリ・ハラ等)とあまりにも酷似していたためにネット上で話題になった。この現象に閲覧者達が吹きまくり、ゲームの画面と合成したコラ画像の投稿祭りへと発展(そのほとんどどれもが全く違和感が無かったのだからどうしたものか)。
その影響は『ラスボス』でグーグル検索をかけると、ページ上部の関連画像の箇所に他のどのマジゲームラスボスをも差し置いて紅白歌合戦でのド派手衣装で熱唱する小林幸子閣下の画像がトップで一時期表示されるほど。この現象が話題となり、某掲示板では「これはまだ第一段階だから成長するとヤバイ」「倒してもケンちゃんと融合するから倒せやしねぇ」等、RPGのラスボスネタを付け足されるなどで盛り上がり、正に『勝てる気がしない』そのままのイメージが引き起こした一幕だったと言える。
そして2015年の紅白歌合戦、とうとうNHKも小林幸子のことを「ラスボス」というキャッチフレーズで呼称してしまった。
当の本人はというとネットやゲームに疎いため、スタッフに知らされるまで自分がネット上で"RPGのラスボスに似ている"などと呼ばれていた事など一切関知していなかったという。ラスボス呼ばわりされたり、合成画像を流行らされたりしたという、自身を取り巻くそんな流行について、スタッフに知らされその由来を教えてもらった際に「『いいじゃん! ラスボス小林幸子』『ラスボス幸子、いいね! いいね!』的な流れになっちゃった」と振り返っている。更に「怒らないのか?」といった周囲の反応に対しては「そんなことじゃ怒んないですよ、おもしろいんだから(笑)」とインタビューで返している。
どうやら当の本人も公認の上、ノリノリで面白がっている様子である。現在はネットユーザーの多く集う動画投稿サイト、ニコニコ動画にも活動の幅を広げている。
画像右。
インターネット気象番組「ウェザーニュースLiVE」(以下、WNL)を中心に活躍する気象予報士・キャスター。同番組に登場するバーチャルYoutuber「ウェザーロイドAiri」(画像左)の専属マネージャーも務めている。
WNLの前身番組「SOLiVE24」が2009年に放送開始となった際の創設メンバーで唯一現在まで一度の休業もなく出演し続け(本人曰く「生放送で喋った時間はざっくり1万時間」)、他の出演者のスケジュール次第では6連勤も厭わない鉄人ぶりと、WNLがかつて行っていたファンとの対面交流イベント「そら博」の予告動画で最後の最後に大御所感満載の登場をしたことの2点から、畏怖と尊敬を込めて「ラスボス」と呼ばれている。当初は「ニコニコ生放送」の視聴者から発生した呼称だったが、現在では幅広い層に定着している。
なお、本人は自分が出演していない時間のWNLをニコニコから見ていることを公言しており、当然「ラスボス」と呼ばれていることも知っている模様。
様々なラスボス
ストーリーモード等本編とは別に、ゲーム全体におけるラスボスも存在している。星のカービィシリーズのソウル系統が良い例。大抵は隠し条件や裏ルートで開放されやすい。
音ゲー関連では、最高難易度を持つ曲の中で特に一番難しい曲がラスボス扱いされるようだ。太鼓の達人シリーズの「2000シリーズ」、初音ミクProjectDivaシリーズのcosMo@暴走Pの曲等。そちらに関しては、キャラクターではなく再録しやすいためか上記の「ラスボス達で構成されたボスラッシュ」という物も比較的作られやすい。
長期に渡って連載・放送が行われている作品では、シナリオの区切りとなる大ボスがこの扱いをされやすい。
主人公がラスボスのような立ち回りをするケースもある。
ソーシャルゲームにおけるラスボス
ソーシャルゲームでは期間ごとにストーリーやイベントが配信されるため、各イベントごとのボスをそのイベントのラスボスとすることもある。ただし、ストーリー全体におけるラスボスというのも存在するためそのあたりの棲み分けが重要。
悪役が多い声優
演出上の特別な意図や意外性などを狙わない限りは、キャリアが長く知名度と実力のあるベテランの俳優や声優が、物語中のラスボス役を担当するパターンが殆どである。このため映画のポスターなどの宣伝素材は、ラスボスを演じている役者が、真ん中の一番後ろに配置されているパターンが非常に多い。元ネタや原作を知らないと、ラスボス担当が誰であるかでネタバレになったりもする。
声優では主にベテランが務めており、かつての主役やヒロインを担当した人が多く、作品によっては善玉系のイメージが強い声優がラスボスを務めることがある。特に女性声優ではラスボスと称される悪女系キャラクターが少なかった。
男性声優 | 青野武、青森伸、秋元羊介、飯塚昭三、池田秀一、池田勝、石田彰、石田太郎、石塚運昇、稲田徹、井上和彦、内海賢二、江原正士、大塚明夫、大塚周夫、大塚芳忠、大友龍三郎、大平透、置鮎龍太郎、金尾哲夫、加藤精三、北川米彦、銀河万丈、玄田哲章、小池朝雄、郷里大輔、子安武人、阪脩、櫻井孝宏、笹岡繁蔵、塩沢兼人、柴田秀勝、島田敏、杉田智和、杉山紀彰、菅生隆之、鈴置洋孝、諏訪部順一、関俊彦、関智一、曽我部和恭、田中信夫、田中秀幸、谷昌樹、千葉繁、津嘉山正種、富田耕生、永井一郎、中尾隆聖、中田譲治、納谷悟朗、納谷六朗、成田剣、西村知道、野沢那智、速水奨、藤原啓治、古谷徹、堀内賢雄、堀之紀、森川智之、矢尾一樹、家中宏、梁田清之、山田康雄、山寺宏一、屋良有作、若本規夫、若山弦蔵、渡部猛 |
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女性声優 | 池田昌子、伊藤静、井上瑤、小原乃梨子、川村万梨阿、来宮良子、京田尚子、小山茉美、榊原良子、島津冴子、田中理恵、中西妙子、野沢雅子、林原めぐみ、藤田淑子、堀江美都子、吉田理保子 |
なお上表で太字となっているのは故人。
関連タグ
メディアミックス:原作(原典)となる作品では該当しないものの、メディアミックス作品にて『最終回やラストステージ近くにて主人公達が立ち向かう最後の山場を務めることになる』と言った意味合いで、ラスボスと呼ばれる場合もある(例:アニメ版『君のことが大大大大大好きな100人の彼女』における花園羽々里等)。