無間氷焔世紀ゲッテルデメルング
むげんひょうえんせいきげってるでめるんぐ
氷雪の幻想息づく北欧世界。
それは、戦乙女の花散る、古き神話の終焉地。
その太陽は赫奕と大地を照らす。
ロストベルトNo. | Lostbelt No.2 |
---|---|
分岐基点時代 | B.C.1000? |
異聞深度 | B+ |
場所 | 北欧・スカンディナヴィア半島南部 |
キーキャラクター | 消えぬ炎の快男児 |
クリプター | オフェリア・ファムルソローネ |
異聞帯の王 | スカサハ=スカディ |
空想樹 | ソンブレロ |
章クリア報酬 | 概念礼装「花園の少女」 |
シナリオ担当 | 非公開 |
『Fate/Grand Order』における、第2部「Cosmos in the Lostbelt」第二シナリオ。副題は「消えぬ炎の快男児」。
孤立無援のまま野を征くシャドウボーダーに、確証なき不確かな光明が一筋。
それは北海に隠された、原初にして最後の壁・彷徨海バルトアンデルスの座標を示す、送り主不明の通信だった。
魔術世界の三大組織の一つであり、文明による魔術の進歩・変化————ひいては今の人間社会とは相容れない、西暦以前の神秘神代の魔術のみを絶対原則とする魔術棟。
神代の島を次の目的地とした彼らは、補給も兼ねてその道中にある北欧の異聞帯へと突入するが、そこに1騎の敵性サーヴァントが強襲する⋯。
ロストベルト名となる「ゲッテルデメルング(Götterdämmerung)」とはドイツ語で「神々の黄昏」を意味する。北欧神話におけるラグナロクのことであり、リヒャルト・ワーグナーの歌劇『ニーベルングの指環』の第四部のタイトルとして使われた。
ブリュンヒルデの幕間によると、このロストベルトの分岐点の時代である紀元前1000年、汎人類史においては、カトラ山の噴火とそれに伴うムスペルヘイムの顕現と暴走、それに連なる形で引き起こされたラグナロクによって北欧神話における神々や巨人は滅んだのだという。
しかし、現代の記録では西暦930年以前のカトラ山噴火の記録は存在していない。これはラグナロクでテクスチャが消えてしまった影響だろうと言われている。この影響でアルテラとブリュンヒルデの関係に齟齬が生じている他、汎人類史の我々が知る北欧神話の正体とはラグナロクで消えてしまった神代北欧の痕跡を編纂したものであり、それ故にエッダやサガの成立年代と矛盾が生じるのだろうと推測されている。尤も、アルテラ関係に関しては別の理由があるのだが。
また、本章で炎の館が登場していた事から、幕間時点では時系列が不明だったシグルドとブリュンヒルデの物語がラグナロク後の物語ではなく、神代の出来事であることが間接的に判明した。
PVの背景では、北欧神話で神々と敵対した巨人の影があり、実際にエネミーとして登場する。
巨人たちは、スキル「神性」を持つサーヴァントを狙い撃ちにする傾向がある。
また、本章からはストーリー召喚への追加サーヴァントは後日追加実装の形になった。
※カルデアが到着する前にある存在に取り込まれている。
第二異聞帯・北欧
ある理由でラグナロクが正常に終わらなかった世界。
雪原と氷の林と延々と燃える山が広がっているが、その炎は燃え広がることがなく、通常の山火事とは様相がまるで異なっている。
氷原と蒼炎の境界線周辺は緑豊かな環境がわずかに残っており、そこに通常の動植物がこれまたわずかながら生息している。
この異聞帯の人類は、100人単位の集落を100に分割して形成し、総人口10,000人という僅かな数で保たれている。集落内部はルーンによる結界が張られ、外の極寒の世界とは真逆の穏やかな環境が保たれている。
集落の入口は巨大な石造りの門が関門として設けられており、その外には魔獣と巨人が徘徊する。特に巨人種は人間の存在に敏感に反応して襲いかかるため、人類は常に天敵の存在に事実上晒され続けている。
年に一度「御使い」が降臨し、もしその際に病気に罹った人々を見つければ、ルーンの力でたちどころに治療してもらえる。
だが、この年に一度降臨する「御使い」の本当の役割は、25歳になった者と、15歳までに子供を作れなかった者を門の外へと送り出すことである。
⋯⋯ここまでの説明で分かるとおり、北欧異聞帯では人類は最長でも25歳までしか生きられない。子供を作れず15歳を迎えた場合も同様。待っているのは死の運命である。
「御使い」が門を開いて大人や独身者を外へ送り出すことを「旅立ちの儀」と称し、その行き先をヴァルハラとしていることからも、この儀式が明確な間引きであるのは疑いようもない。
この手法により、北欧半島の異聞帯は「100の集落と10,000人」という規模を3,000年間も続けてきたのだ。
人々は「御使い」を崇拝しており、その御使いは「子供を作れず15歳を迎えた者はヴァルハラに行くことができない」と触れ回っているため、子供を産むのも「神の意思」と信じている。
さらに、汎人類史における常識と決定的に異なる点として、集落は全て番号で呼ばれているばかりか、恋人はもちろん親子という概念すらないことが挙げられる。
すなわちそれは、人類が家畜のような扱いを受けて完全に管理されていることを意味する(ダ・ヴィンチちゃん曰く「人類こそがこの異聞帯で最底辺の生物」)。自分たち人間が男女ペアの組になった者に対して「つがい」と呼んでいることなどに象徴されている。
翻れば、人々はその短い一生を「集落の中の個人」という形で完結させられており、組織というものは認識さえしておらず、まして他の集落はその存在さえ重要なものとは認知されていない。
そして文明や魔術も全く発展せず、故に劇的な歴史はなく、ともすれば伝承や神秘も極めて薄い。
人々は戦う力を一切持たされることがないため、15歳ないし25歳で巨人種に殺されて一生を終えることは確実である。カルデア陣営と敵対はしないが、戦力にもなり得ない。
この異聞帯で剣や槍————武器を持った者は「御使い」に限られる。
何より、北欧異聞帯の人々にとって、そのライフサイクルは3,000年続いてきた「当たり前」のもの。現状を完璧に受け入れており、人間という生物が強くなりうる存在であることも知らず、この環境が窮状であることさえ認識していない。
そこには反骨する思想はおろか「生き抜くという意思」さえ生まれるはずがなく、以上を持って秩序に反抗して決起する異端や英雄を育む土壌など何一つとして有りはしないということだ。
英霊も反英霊も生まれない———
一見平穏に見える北欧異聞帯は、力が無ければ早死には免れないにもかかわらず「どうあがいても強くなれない」という、「強くなければ生きられない」ロシア異聞帯とは別種の過酷さを持つ異聞帯なのである。
ラグナロクのもう一つの爪痕として、大地の血管である霊脈もズタズタに寸断されて虫の息に等しく、伝承や神秘を引き寄せて定着させる基盤が機能していない。
巨人や御使いたちの存在に必要な魔力は、異聞帯を支配する女王自身の絶大な魔力によって賄われている。
この惨状は女王にとっても不本意なものだったが、それを維持せねばならぬ切実な理由がラグナロクの最後に残っていたのだ。
節 | サブタイトル |
---|---|
1 | 魔剣強襲(前編) |
2 | 魔剣強襲(後編) |
3 | 万物の霊長(前編) |
4 | 万物の霊長(後編) |
5 | 雪と氷の城(前編) |
6 | 雪と氷の城(後編) |
7 | もうひとりの女神(前編) |
8 | もうひとりの女神(後編) |
9 | まるで、春の日向のような(前編) |
10 | まるで、春の日向のような(中編) |
11 | まるで、春の日向のような(後編) |
12 | まるで、春の日向のようだった貴方 |
13 | 此処に再びの黄昏を(前編) |
14 | 此処に再びの黄昏を(中編) |
15 | 此処に再びの黄昏を(後編) |
16 | 瞳の先に |
17 | ────往け黄昏を越えて |
BC1000には旧約聖書が完成する、地球温暖期が終了して現在の海面位と同じになったなどの出来事があった年。
また、ダビデ王が即位した年とも言われているが、本編中では特に関係ない。
因みにゴリアテ(巨人)を退治した事で有名なダビデであるが、今回のエネミーに巨人とセイバークラスのボスが多く登場する為にダビデを使うマスターが多かったとか。特に宝具発動時のセリフは噛み合っており、本編に登場する機会が無くとも、活躍出来る場はきちんと用意されていたわけである。
のちに強化クエストにより巨人特攻を習得した為、本当にこの章でも活躍が見込めるようになった。
また、本来の北欧神話ではヴィーザル、マグニ、ヴァーリ、ヘーニルなどの一部の神は生き残り、ヘルやバルドルは死者の国から蘇るとされているが、スカディの発言から、この世界はその生き残るはずだった神々や半神すらも消滅してしまった世界である事が窺える。(そもそもヴィーザルが倒す筈のフェンリルが別の要因で引導を渡された事からも異常性が窺える。)
これらの神々がラグナロク後の世界を再建するとされている為、彼らが消滅した事で北欧があのような惨状になってしまったのだろう。人間がこの世界に住んでいる以上、新世界の人類の祖リーヴとリーヴスラシルは生き残ったものと思われるが詳細は不明。
各ポイントを汎人類史の地名に置き換えると以下のようになる。
- 雪と氷の城:ノルウェーの首都オスロ
- 第67集落:スカゲラク海峡
- 第23集落:ベーネル湖(スウェーデン)※異聞帯の座標もここを指す。
- 薄氷の丘:ベッテル湖(スウェーデン)
- 巨人の花園:エレブルー付近(スウェーデン)
- 果てへと到る道〜忘れられた神殿:スカンディナヴィア山脈
- 炎の館:ヨートゥンハイメン山地
また、ヨートゥンハイメン山地は巨人の国ヨトゥンヘイムから名付けられた。また、スカディは神話においてはヨトゥンヘイムの近くにあるスリュムヘイムに住んでいたとされる。このことから、現在のヨートゥンハイメン山地付近が北欧神話世界でいうヨトゥンヘイムだったことが窺える。
9周年から制定された配信ガイドラインでは当初から解禁されている。
当初は副題が「消えぬ炎の⬛︎⬛︎⬛︎」と後半三文字が隠されていた。副題が隠されていた章は2部では7章を除けばここのみである。
そのため、上述のように北欧神話に関係する話であることが予想されること、そして登場するクリプターの二つ名が「現代の戦乙女」であることから、副題は「消えぬ炎の戦乙女」ではないか、というのがユーザーの大多数の予想であった(あるいは北欧神話であることから「消えぬ炎のスルト」等)。
いずれにせよ、ユーザーからの章に対する印象の殆どは神秘的で儚げ、というものであった。
そして昨年の水着イベント復刻中の7月6日。この章の配信予定の事前告知及びニコニコ生放送の告知があったのだが、そこにあった副題の文字はなんと「快男児」。
それまで予想されていたものと正に180度違う路線にユーザーの多くが驚愕を露わにし、一気に話題となった。
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