概説
本来の教義、学説から逸脱した考え方の事。
転じて、風変わり、特異であることも意味する。
宗教的な意味合いを特に強く含む言葉で、一神教の教理においては異なる神を崇めたり、神よりも下位の霊的存在に着目して崇敬を傾けるだけでも「異端者」として重罰を課されることが多い。
つまり異端であること自体が罪と看做されたのである。
正統派から見れば、同じ宗教を名乗りながら違う教義に従う異端は「神の教えを穢すもの」と見做されるため、最初から信仰を共有しない異教徒以上に許しがたい存在として強く排斥される場合が多い。
こうした排他的思考は単純な宗教観のみならず、共同体意識からくる連帯感を保ち、集団生活において余計な不和を排除するために存在する部分も大きい。
特に大陸側の民族は、土地の支配・権力圏の保持・民衆の統制のために宗教を大いに利用しており、時に宗教戦争や魔女狩りという形を成して、異端の排除に熱を上げることがあった。
では日本ではというと、そもそもとして神仏にカウントできるものは一先ず拝んでみる習性があるため、実は異端という概念自体にあまり明るくない節がある。
もっとも島国根性と、自治体ごとの「ムラ意識」の強さは自然に定着していたため、村八分等、何かしら自治体規則を破った者への風当たりは強い。
また、浄土真宗は例外的に「異安心」の名前で異端という概念が明確に定められており、異端者狩り(誤った教義に対する積極的な摘発や、破門された善鸞の流れを汲む隠し念仏に対する取締への協力)を積極的に行ってきた歴史もある。隠し念仏が合法化・公然化されたのは戦後に新後生と言われていた一派が中山身語正宗という教団を立てた1946年の事となる。
Pixivでは
ヴィジュアル系バンドtheGazettEが「大日本異端芸者」と自称することがあり同バンドを描いた作品が見られる。