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ニヒリズム(虚無主義)とは、あらゆる存在に客観的な価値を認めず、あらゆる宗教的・道徳的・政治権威を否定する立場を表す。ニヒリズムを奉じる人間をニヒリストという。


ニヒリストは根本的にあらゆる権威秩序を否定する。表面上、権威や規範を尊重しているように見えても、それは便宜上に行う身振りにすぎない。


その思想は古代インドの六師外道、古代ギリシャの哲人などには既に見られたが、インド以西では一神教化によって消滅していった。全知全能の神がつくった世界に価値が無いわけがないのある。


インド以東においては一神教化を受けた地域が少なかった。日本でも聖徳太子は「世間虚仮」と言ったとされる(ただしその後に「唯仏是真」と続くのでニヒリズムというより無常観)。

中世になると、一休さんでお馴染み一休宗純が非常にニヒリスティックな伝説を残している。


江戸時代には儒教、戦前には天皇崇拝により権威の力が増すも、敗戦によりそれらの権威が否定されたことで、大衆においてもニヒリズムが台頭した。この分野では坂口安吾が有名。現代文明(当時)を礼賛するその思想はイタリア未来派に近い。


その後、急激な学生運動の盛り上がりと高度経済成長によりニヒリズムは下火になるが、それらが連合赤軍事件やオイルショックで終わると、「しらけ」の時代が始まった。それでも人々は「ジャパン・アズ・ナンバーワン」を維持するという大義でその不安を紛らわせていたが、バブル崩壊以降はそうもいかなくなり、ニヒリズム、ペシミズム、シニシズム(冷笑主義)の複合した時代が今に至るまで続いている。


ニーチェのニヒリズム編集

哲学的な意味での虚無主義を確立したのはフリードリヒ・ニーチェである。世で言われるニヒリズムは世の中をいやなもの、悲惨に満ちたものだと捉えるペシミズム(厭世主義、悲観主義)と関連付けられるが、ニーチェ関係でニヒリズムといった場合は全く別の意味になるので注意。


ニーチェは「能動的ニヒリズム」としてそれを徹底して推し進め、ニーチェは、自分自身の存在を含めたすべてが無価値であり、偽りであるということを前向きに捉えた上で、自ら積極的に「仮象」を生み出し、一瞬一瞬を一所懸命生きることで逆説的に生を肯定しようとした。


だが能動的ニヒリズムのこのような態度は、一切の反道徳的行為も人間の意志の前に正当化されるとして、あらゆる権威を破壊しようとするアナキズムや、極端な権威主義に陥ったナチズムのような過激思想と結びつけられた。そしてニーチェも晩年は発狂してしまった。


ニヒリズムに関係する語句編集


アンサイクロペディアでは編集

主に全てが無となってしまった記事がある。ただそれだけ、仕組みは分からない…

全てが無となる世界、でも、戻れるから…

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