概要
魔術協会の三大部門の一角。別名「移動石柩」または「彷徨海バルトアンデルス」。
真なる神秘の継承者を名乗り、北海で彷徨い続ける“生きた海”。最古の魔術棟。
北欧を根城とする「原協会」で、その名の通り海上を彷徨い移動する山脈の形の本部を持つ。
「文明による魔術の進歩・変化を認めず、神代の魔術のみを魔術とする」が絶対原則であり、そのため今の人類文明も認めていないとされている。活動としては、主に肉体改造を主軸としているらしい。
"原"協会というだけあり、時計塔の設立時にはアトラス院や彷徨海を逐われた魔術師も多く関与したと言うが、『2015年の時計塔』によれば「神代の魔術こそ至高、西暦以後の魔術なぞ児戯に等しい」と見下しているため、現在の時計塔とは冷戦状態にあるとのこと。ちなみに見下しているだけで現代の魔術を使うことは構わない模様。
本部は北海に隠された神代の島だが、外界とは完全に隔絶しており、年に一度の12月31日だけ新たな弟子を取るために門を開いている。しかしその門は固く閉ざされ、新たな門弟はおろか、彷徨海に辿り着けた者も数えるほどしかいない。
ただ、海上を移動する島というのは合っているが、正確な表現ではない。
その正体は、西暦以前から続く神代の世界の海という異世界そのものであり、その中に浮かぶ島こそがバルトアンデルスである。
内部は若干の補強が成されているだけの天然洞窟と言って良いもので、魔術師の工房が多数あり、その入り口は石扉にて封じられている。石扉の向こうには西暦元年からずっと変わりがないという「時計塔の学園長」と同じ気配がいくつも感じられる程の凄まじい危険性を秘めている。
ちなみにカメラなどの電子機器で内部を見ようとしても、魔術での検閲が入るらしく全く映らない。
その実態は、遥かな過去人類や神々から自らを隔離する為、絶海の孤島ごと宇宙から消失した工房。
これにより『かつてあった彷徨海』から各時代に影という形で現れ、たとえ工房自体が破壊されても本体には何の影響もない時間軸から外れた領域。
ただ一つ例外として「本当の彷徨海」に通じる『五つの扉』からなら干渉可能。この『扉』はタイムゲートとされ、各時代の彷徨海と繋がっている。
本来はまず無いが、大陸一つ殺す程莫大な魔力を消費する事で、向こう側から現代に来る事も可能。
また、所属者の一人によれば彷徨海に迎え入れられるのに特に資格はなく、ただ扉が開いた時に居合わせている「運命」だったか否かとのこと。
秘匿神理
彷徨海において奥義書のようなものである、時計塔の"霊墓アルビオン"、アトラス院の"アトラスの七大兵器"にも等しい、彼らが依って立つ『秘密』。
単に神理ともよばれる。
人理に似たような名称だが、どのようなモノなのかは現時点では詳細不明。
『FGO』においてゼウスが、神理という言葉を口にしているが、これと同様のものであるかは不明。
五つの扉
それぞれ『維持(セレン)』『発展(エレン)』『保存(ゲノン)』『隷属(フシカル)』そして『再生(ガヌ)』の名前が付いている。
これらの扉が時計塔での十二学部に相当する。
- 保存(ゲノン)の扉
秘匿神理は『聖柩』。
- 再生(ガヌ)の扉
『FGO』世界では現在所属しているのは二人だけ。それも現代には絶えていなければならないらしい。
各作品での描写
Fate/Grand Order
第2部にて、汎人類史の人類の僅かな生き残りとして登場。
西暦以前から神秘のテクスチャを貼りその異世界ごと移動している為、地球を襲った地表の白紙化現象から逃れることができた模様。
第3章冒頭の時点では、キリシュタリアに言わせると「『異星の神』とその使徒ですら彷徨海は捉えられなかった」としつつも、「手を出す必要性を感じなかった」「今の人類史の行く末に関心を持たないので、我々の人理編纂には決して手を出してこまいと放置していた」という、まるでその気になれば手を出せるかような言い回しが一部見られた。
様は起きる気の無い眠れる獅子を、わざわざ敵に回すリスクを負いたくは無かったという事だろう。
「今ある人類史を滅ぼし、神代の世界を取り戻す」というクリプターの目的は、彼らにとって本来賛同して然るべきもの。だが、クリプターの思想にこそ賛同はしても、自分達の理想ではないとして一切干渉せずにエントランスからも去って石扉の奥に引き籠っている。
流れ者であるシオンにはエントランス一帯を貸し与える事と、それに伴う権利として「白紙化地球解決プロジェクト」を一任(丸投げ)しているが、石扉に関しては「この扉に触れると運命に保証がない」という極めて物騒な警告をしている。
その後シオンは、人理継続保障機関フィニス・カルデアに寄贈された霊子演算装置『トリスメギストス』の兄弟機『トリスメギストスII』をエントランスに施工して、管制室の機能を持つ様に改装。
カルデアの生き残り達と合流後は、「白紙化地球解決プロジェクト」の本格的な前線基地として余剰スペースをキャプテンに依頼し、カルデアを極力再現した第二のカルデア「ノウム・カルデア」へと作り替えた。
ロード・エルメロイⅡ世の冒険
所属者であるジズと白若瓏がキーパーソンとして登場し、かつて彼らが他の魔術協会と共に着手した「壮大な実験計画」の謎にエルメロイⅡ世が迫る事が、本作のストーリーとなっている。
所属者
- 宝石殺し
詳細不明。特性は「停止」
かつては「彷徨海の鬼子」と称された魔術師。『月姫』世界では出奔。
本来は対立するアトラス院の中枢メンバーだが、『FGO』/『路地裏ナイトメア』の時空では地球の滅びを食い止めるべく、彷徨海へ身を寄せている。
厳密には彷徨海に所属している魔術師の弟子。エルゴの「幻手」と酷似した「幻翼(ファンイー)」を持ち、サーヴァント並の実力を持つ。
彷徨海の『保存の扉』に所属している魔術師。白若瓏の師。賭け事が好き。
余談
設定自体は古くから存在していたものの、それこそネロ・カオスがかつて所属していたという情報しか存在せず、型月世界のブラックボックスの一つになっていた。
そのため『FGO』にて彷徨海が物語に関わってきた事は、古くからの型月ファンに激震を走らせ、続く『冒険』では更に多くの情報が明かされている。
そのため「そこのお前!FGOに含まれる彷徨海の情報は全体の凡そ九割だぜ!」というコピペが発生し、彷徨海という名前が初見の型月初〜中級者が古参に「彷徨海ってどんなところ?」と尋ねても「知らん…俺も初耳だ…」としか言えないという事態が起こった。
「神代の魔術こそ至高である」という考えを持つが、西暦以降の存在であるバルトアンデルスを組織名に使っていたり、時計塔やアトラス院からの移籍も許可している等、近代の魔術や出身者を完全に無視しているというわけではない。
また、重視されるのは神代級の神秘を残すか否かなので、その条件を満たせば西洋・東洋といった魔術体系は問わない模様。
関連タグ
Fate/Grand Order ロード・エルメロイⅡ世の冒険